女性編集者と青木さやか
今、我が家のリビングに青木さやかと女性の編集者がいる。二人はリビングのテーブルに向かい合って座り、自分は女性編集者の隣に座っている。
青木さやかはテーブルの上にB5サイズぐらいの紙を置き、何やら描いている。どこかの出版社にイラストを依頼されたらしい。
実は結婚祝いを兼ねて昼から青木さやかを食事に誘っていて、そのために青木さやかが我が家にいるのだが、イラストが完成しないと出かけられないのだ。
自分の隣にいる女性編集者は、そのイラストの完成を待っている。完成したイラストを持って、社に戻るのだろう。
青木さやかは、今どき墨汁とつけペンでイラストを描いている。
「よく乾かさないと、手で擦れて原稿が汚れるよ」
と、昔の経験からアドバイスするのだが、「これでいいの」と言い張る。
自分はテーブルの上にノートパソコンを置いてネット・サーフィンしていたのだが、それにも飽きて、ひとつ提案する。
「今日は食事はパスして、イラストに専念したら?」
「どうしてそんな事言うのよお!」
テレビで見るような逆ギレではなく、なぜそんな意地悪を言うのか、という体だ。
横で、女性編集者がクスクスと笑う。
──もちろん夢である。
なんで青木さやかが我が家でイラストを描くのだ。
これで女性編集者がS女史であれば俄然話が面白くなるのだが、残念ながら顔はわからなかった。
GIMA注:
これのどこが「ささいな恐怖」なんだとお怒りの方もあろうが、本作は怪談がらみで催された私的なイベントのために書いた作品で、せっかくなのでここに掲載させていただくことにした。
ご了承願いたく。