悪夢のかけらがいっぱい
NO.1
夜、掲示板の書き込みを読んでヘラヘラ笑っていたら、背後でくすっと笑い声がした。
「ん?」と思って振り向いたが、アンティークショップで買ったフランス人形があるだけだった。
(はて……)と不思議に思っていると、人形が にやり と笑った。
NO.2
掲示板の書き込みで俺の悪口を言っている
さっきすれ違ったやつも俺の悪口を言っていた
耳をふさいでもきっとだめだなぜなら電波が入ってくるからだ毒の電波が
俺は絶対奴らの言いなりにはならないぞ戦うんだ
やられる前にやるんだ
やられる前にやるんだ
やられる前にやるんだ
(通り魔殺人犯の自宅にあったノートの書き込みより)
NO.3
彼氏の運転する車でドライブしたとき、女の人をはねた。
車を見て、女の人は体がすくんでしまったらしい。私もそうだった。
急激に接近する、恐怖に見開かれた目。
女の人をはね飛ばす瞬間までずっと、私とその人は目が合っていた。
女の人が車にぶつかり、フロントガラスに叩きつけられて、血とか頭の中身とか、あと、いろんなわけのわからないものが私の視界いっぱいに広がった。
……運転していたのは、彼氏だったのよ。
それに、あなただって、いきなり飛び出してきたんじゃないの。
なのに、ねえ、どうして私の後ろにずっと立ってるのよ。
今だって、鏡に映って……
NO.4
意外と痛くないな。見た目は派手だけどね。
手首から、ぴゅーっ、ぴゅーって。噴水みたいで。
噴水と違うのは、色が真っ赤なことだね。
うん、ほら、気持ちよくなってきたよ……
こんなにいい気持ちってわかってたら、もっと早くやってい
NO.5
ホームで電車の到着を待っていたら、アナウンスが流れた。
当駅手前で人身事故が発生いたしました。
お急ぎのところ誠に申しわけありませんが、
しばらくお待ちいただきますよう、お願いいたします。
ちっ、と舌打ちしたものの、仕方あるまい。
「人身事故」と言えば、何が起こったのか、みんな想像はついている。
(時間がかかるな……)
と思った矢先に、電車の到着を知らせるアナウンスが流れた。
ちょっと待てよ、事故のアナウンスから、数分も経ってないぞ?
電車がホームに入ってきた。
先頭車両の正面、そして側面が、バケツでぶちまけたように真っ赤だった。
まだぬらぬらと光っていて、ところどころに髪の毛や服の切れっ端のようなものがへばりついていた。
よほどひどい事故だったらしいな。
……って、おい!
洗えよ!
NO.6
夜中にお風呂に入って、シャンプーしていたら、
誰かが頭をシャカシャカした。