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第十一話 108個目のスタンプ



108番目のスタンプに向かって僕は歩いていた。 ふと、頭の中ではこのスタンプラリーへ挑戦するきっかけともなった年末の友人との会話を思い出していた。
「ねぇ、この箱なに?」
『あぁここの中に最後のスタンプが隠されているんだけど。 まぁ今は開けることなんて無理だけどね』
1メートル四方ほどの立派な装飾が施されたその箱を前に説明を聞く。 その箱には暗号を入力するボタンがついていて、 確かにこの暗号を知らない自分たちにとっては無縁の代物。 少々後ろ髪を引かれながらもその場を後にした記憶…

しかし今、手元にはその権利ともいうべき107つのスタンプが押されたスーパーナンジャビザがある。 最後のスタンプに向かう足が自然と早くなる。 人混みに少々苛立ちを覚えながら、そして遂に到着。
(ふぅ)
深呼吸をひとつついてスーパーナンジャビザを開く。 そして今まで手に入れた情報を元に、この箱を開ける為の最後の暗号をひとつひとつ入力していった。

そして最後の暗号を入力してノブをひねると、箱の正面についている扉が静かに開いた。
(ついに、ついに)
しっかりとスーパーナンジャビザに最後のスタンプを押した。

走馬燈の様に今日の出来事が頭の中を駆け巡る。 楽しかったこと。辛かったこと。 しばらくぼーっとしていたのだろうか。
『あっ集められたんですね?おめでとうございます』
という声に我に返る。 振り返るとそこにいたのは当然知らない人。 けれども最後のスタンプを押した僕をみて声を掛けてくれたのだろう。
「ありがとうございます。あっ、押されますか?」
『あっいえ私はまだ先なので』
「そうですか。頑張って下さい」
『どうも』

立ち去ってゆく後ろ姿を見送り、そして手に握っていたスーパーナンジャビザに目を落とす。 そこにはしっかりと押された108番目の最後のスタンプ。 その瞬間、集めたという実感が一気にわいてきた。
(やったー!とうとうスタンプを全部集める事に成功したぞ!)
心の中ではガッツポーズを取っていた。




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