| 6月4日 ロシアと日本の交流の歴史についての資料が欲しい |
やや専門外な質問。しかも、レポート提出期日が迫っているという。
1.ロシア―外国関係―日本―歴史
概略でいいというが、日本の歴史でも、ロシアの歴史でもなく、二ヶ国間の交流史だ。
どういうきっかけで二ヶ国は出会い、どんな関係であったかという流れを押さえなければいけないだろう。
そこで、記憶の底を探る。確か以前、「ああ、こんな便利な本が!」と思ったものがあったはずだ。
あいにく出番がほとんどない本で、書名がなかなか思い出せない。
確か、書名中に「交流」という言葉があったはずだが、そんなよくあるような単語でコンピュータ検索しても、膨大なデータが出てきてしまうだろう。
仕方ないので、分類を考えながら、書架に直接行ってしまった。
大きさは22cm、厚さは6cmから7、8cmとかなり厚めだったはず。表紙の色は赤。出版社は、日外アソシエーツ。
徐々に思い出しながら、書架を見ているうちに、運良く目当ての本を見つけた。
蔵書4万冊、しかも専門外の本が限られている図書館だからこそ可能なことかもしれないので、お勧めはできない探し方である。
発見した本は、富田仁編『海外交流史事典』日外アソシエーツ(1989年)。
日本と79ヶ国の交流史の概略を、国別に紹介した本である。今回の質問に、うってつけの本といえるかもしれない。
質問者に手渡すと、とても喜んでロシアの項目を複写するという。
これで一件落着とも思ったが、せっかくなので、もう1冊あまり出番のない本を書架から引き出した。
ゴンザ原編、村山七郎編『新スラヴ・日本語辞典 日本版』ナウカ(1985年)だ。
日本が鎖国政策をとっていた江戸時代、カムチャッカに漂着した漁師とロシア人が協力して生み出した初の露和辞典を編集しなおした本である。
交流のひとつの成果といえなくもない辞典だ。しかも、『海外交流史事典』の概略には、ゴンザのことも辞典のことも登場し、歴史の証人的な意味も持っている。
以上のことを序文を見せながら説明すると、質問者は「こんな本があるなんて知らなかった!」と、書名や出版事項をメモしはじめた。
日頃は出番もなく書架に埋もれている本たちが活躍すると、とても嬉しくなるのだが、どうやらこれは、あまり賛同を得られない感情らしい。
さて、急ぎということなので、今回の事例では割愛してしまったが、時間がある場合の交流史関連の詳しい資料探しの方法も説明したいと思う。
利用させてもらうのは、国立国会図書館のデータベースだ。
これまでも何度か使用した「件名」検索欄に、「日本」「外国関係」「ロシア」「歴史」の4語を入れてAND検索する。
すると、日本とロシアの交流史や外交史がテーマの本の情報を呼び出すことができる。
この時、注意しなければいけないのが国名である。国会図書館のデータでは、「ロシア」で統一されているので、「ロシヤ」といれてしまっては、情報を呼び出すことができない。
もちろん、「ロシア」の部分に別の国名を入れ替えれば、その目的の国との外交史関連の本のデータを呼び出すことも可能だ。
ただ、これまで説明してきた「サマータイム」や「オウム真理教」というように1語でできている件名と違って、単語を複数組み合わせる件名は、かなり扱いづらいと思う。
とりあえず、ひとつのやり方を説明するが、できれば図書館員に相談することをお勧めする。
検索の手順だが、まず検索画面の「件名検索」をクリックする。次に、件名検索欄に、これだけは関連が絶対あるだろうと思われる単語を入れて検索する。
ただし、有り得そうだといっても、たくさんの関連件名が出てきそうなものは極力さける。たとえば、この場合は「日本」や「歴史」だ。それから、一般的な用語、類語が多そうなものも避ける。つまり、「交流」「外交」といった言葉で検索しては、「外国関係」という件名には辿り付けないということだ。で、この場合は交流の相手国、「ロシア」を選ぶのがより早道かと思う。 さて、実際検索してみると、「ロシア―経済―歴史」「ロシア文学―歴史―近代」「ロシア革命(1917〜1921)」など、件名中に「ロシア」を含んだものを呼び出すことができた。
90以上の件名が出てくるが、ざっと見れば、求めている情報に関係ありそうな件名をピックアップできると思う。
だいたい、下の7件ぐらいが目にとまるのではないだろうか?
2.ロシア―外国関係―日本―歴史―19世紀
3.ロシア―外国関係―日本―歴史―20世紀
4.ロシア―外国関係―歴史―17世紀以前
5.ロシア―外国関係―歴史
6.ロシア―外国関係―歴史―18世紀
7.ロシア―外国関係―歴史―19世紀4〜7は、ロシアの対外関係全般の件名なので今回の質問にはやや不適当。日本に限定した1〜3の方が適当だが、2と3は、時代を限定してしまうので、この場合は除いた方がいいだろう。となると、残るは1の件名となる。
で、絞り込めた件名をクリックすれば、その件名に関連した本の情報を呼び出すことができる。
国会図書館の件名検索を消去法によって絞りこむこの方法は少々時間がかかる。が、件名の知識がない方が、やみくもに思いついた単語を複数入れたりするよりは、目的の本に辿りつける確率が高いと思う。
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