| 3月11日「『ピノキオ』問題」に関する資料を得るため、コンピュータで
「ピノキオ」と検索したところ、『緋の記憶』という本がヒットしたが、
その本は、まったく関係のない本だった。 なぜ、こんなことになったのか? |
以前にも、わたしはこのHPに近い趣旨の小冊子を作成したことがある。それを、知人が担当 学生に配布したところ、読後の感想の中に、上記のような事例が書かれていた。 書き手の友人が経験したことだという。
『緋の記憶』。漢字だとわかりにくいが、カタカナで、「ヒノキオク」と書けば、 ピンとくる方もいるだろう。「ピ」と「ヒ」。この違いだけで、「ヒノキオ」の部分が 重なるのだ。これは、使用したデータベースが、より多くの情報を得られるようにと、 濁音や半濁音を清音に直した形で検索する方式だったと推測できる。
なぜ、そんなよけいとも思えることをするのか。それは検索者の利便を考えてのことだ。 日本語には、漢字は同じでも読み方が異なるもの、濁点の有無があいまいなものがある。
たとえば人名の場合、「中田」は「ナカタ」なのか、それとも「ナカダ」なのかと、 データ作成時や検索時によく問題になる。そういったことに、清音に整える方式、もしくは、 「ハ」も「バ」も「パ」もすべて同一と考える方式が有効ではあると思う。
が、残念ながら、この学生の場合は、「小さな親切、大きなお世話」になってしまったわけだ。
『緋の記憶』は閉架にあったので、わざわざ出してもらったのだという。現物で内容を確認した 学生は、もちろんのことだが、ひどくがっかりしたそうだ。
もう少し、本のデータの知識があれば、そんなことにはならなかったろうにと、 その文章を読んだ時、思った。
データベースで確認したが、『緋の記憶』の著者は仁木悦子。分類は「913.6」だった。
すでに、このHP内でも書いたと思うが「913.6」という分類だけは是非覚えてほしい。これは、 日本文学(小説)という意味の分類である。調査作業においては、文学者の研究でもないかぎり、 あまり必要ない種類の本だと、この分類だけでわかる。また、『ピノキオ』の物語自体を研究した本 だとしたら、分類はイタリア文学を意味する「97」に関連したものになると思う。
たとえ、日本語に翻訳された本だとしても、原書が他の言語の文学であれば、「9」の次の数字は 日本を意味する「1」以外になる。(表を参照)
| 90* | 文学 |
| 91* | 日本文学 |
| 92* | 中国文学(アジア文学) |
| 93* | 英米文学 |
| 94* | ドイツ文学 |
| 95* | フランス文学 |
| 96* | スペイン文学 |
| 97* | イタリア文学 |
| 98* | ロシア文学 |
| 99* | その他の諸文学 |
検索結果を確認する時には、書名や著者、出版者だけでなく、 分類(もしくは請求記号)も有益な情報なので、この辺の ことだけでも覚えると、情報の絞込みが速やかになると思う。
もし、自信が持てなかったら、レファレンス・カウンターで 相談するといいだろう。 たとえば、「ピノキオ問題に関する本や 文献を探しているのだが、この『緋の記憶』という本は参考に なりそうだろうか?」と質問すれば、きっと担当者は首を横に するだろう。
わたしが、もし、「『ピノキオ』問題に関する資料を集めたい のだけど・・・」と質問されたら、次のようにアドバイス すると思う。まず、本を検索するデータベースも自館内に かぎらず、もっとデータの多いものを利用すること。 あと、『雑誌記事索引』のCD−ROMの 併用を勧める。本になったものだけでは、たぶん情報は少ないと思うからだ。 『雑誌記事索引』には、専門雑誌や大学の紀要などに発表された論文の情報が掲載されている。 最近はCD−ROM化が進み、利用しやすくなっている。また、大学図書館では必ずといって いいほど所蔵しているし(逆にないと困ると思う)、公立図書館も備えはじめている。 さて、これを利用して、論題名(論文のタイトル)の検索項目を「ピノキオ+ピノッキオ+ピノチオ」として 検索してみた。この時、使用する「+」はOR検索の意味だ。
外来語を容易に受け入れてきた日本語は、カタカナの表記形が割れるという、情報検索時の障害を 持つので注意しなければならない。著者は、タイトルを決める時、それなりの主義主張が あって、カタカナの表記形を選ぶのだろうが、後を追っていく身にとってはやっかいな問題だ。 表記の割れを念頭にして検索しないと、探しだせないこともあるからだ。 OR検索が可能なデータベースであれば、考えられる表記の割れを「+」で繋げていえば、 「ピノキオ」「ピノッキオ」「ピノチオ」のいずれかで表記された論文も一度にすべて呼び出して くれるというわけだ。もし、OR検索が無理ならば・・・ひとつずつ試すしかない。
検索してみたところ、論文では16件ヒットした。
本の方は、10冊にも満たなかったが、その中に『「ピノキオ問題」に関する資料集』があった。
この『「ピノキオ問題」に関する資料集』を見ることができれば、必要な情報がイモヅル式に 得られることだろう。
『雑誌記事索引』は大学生なら覚えておいて損はないと思う検索ツールなのだが、知っている学生に 出会うことはほとんどない。名前は聞いたことがあるが、どんなものか知らないという学生もいた。
利用方法を説明すると、みな、目を輝かせて「便利だ!」と検索しはじめるのに、残念なことだ。
「本の密林・探検日記」目次に戻る