虫日記 平成20年 中期





平成20年6月18日 採集 20時 22℃ ポイントOS092405

オオゾウムシのつがい
天気予報によると西から低気圧が進んでおり、明日から連日の雨模様のようであるから、子供の世話の合間を見て林に行くことにした。
コクワが増えていたが全て雄で雌は1 匹も見ることがなかった。新成虫らしき個体も見られなかった。他種のクワガタもまだいない。オオゾウムシ Sipalinus gigas がお楽しみ中だったので写真に収めて来た。他の木にも付いていたので、彼らの時期になったのかもしれない。雄は雌に比べてかなり小振りで、よくこういう描写を子供が言うように、本当に親子でおんぶしているようだ。
樹液場の様子は前回6月15日と変わらずで、醗酵してだらだらと流れる場所が幾つか出来つつある程度だが、それでも樹液の量と数が虫の数に対して断然に勝っている。言うまでもなくまだ夏本番ではない。撮るべき写真がないので綺麗な満月を撮って帰った。

■今日の収穫
コクワ 20♂♂
黄色く美しい満月



平成20年6月20日 採集 13時 ポイントYT092306 他

横芝光町の某所を探索してポイントYK062008 を追加した。今日は雨降りで濡れていた為、樹液や虫を観察することが出来なかったが、真夏になれば非常に楽しみな場所である。
帰り掛けにヒラタがいるポイントYT092306 に入ってみたが、コクワ 1匹しか観察することが出来なかった。やはりここでも雨で濡れていたので樹液場がはっきり分からなかった。

■今日の収穫
コクワ 1♂



平成20年6月22日 雑記 夏至

夏至だ。梅雨なのでここのところは太陽を見ることが少ないが、それでも一旦日が出れば一年を通して最も陽射しが強い時期だ。明日からはまた12月22日の冬至まで刻々と日が短くなって行く。嬉しいようで何か寂しい。今年はどういう虫と出合うのだろうか。

以下は広辞苑からの引用だ。
二十四節気の一。太陽の黄経が九〇度に達する時で、北半球の昼が最も長く、夜が最も短い。太陽暦では6月22日頃。<(季)夏>。⇔冬至



平成20年6月24日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F3

カブトムシ Trypoxylus dichotomus septentrionalis Kono, 1931 (千葉県横芝産 F3 自己採集からの累代 )

赤カブト計画の累代が危機を迎えてしまった。6/16 に室内飼育分の飼育容器を開けたところ、室内飼育分は蛹 3匹になってしまっていた。腐葉土内にミミズが蔓延ってしまった為にそうしたのだが、取り出した蛹はどうも元気がないように思えた。蛹室がミミズに崩されていた事が影響しているのは明白であるが、そうなった時に何故弱ってしまうのかは不明。その後は人工蛹室を拵えて観察していたが、全部羽化不全になってしまった。成熟した蛹が脚をばたばたさせただけで、羽化と呼べるような状態ではなかった。結果として室内飼育分は1 匹も成虫になることなく、全て全滅した。

屋外飼育の容器内にもミミズが蔓延っているのは先日に確認済みなので、今日は時間的な無理を押し切って作業をすることにした。幸い屋外飼育中の幼虫はあれから減ることはなく5 匹共全て健在であった。蛹室を作っている個体もまだいなかったので助かった。下に敷く土のミミズ駆除に電子レンジを使った。いつもそうであるから、恐らくそれでも生き延びるミミズがいるだろう。だが、やらないよりはマシだし、カブトが羽化するまで蛹室が崩されなければ良いのだ。ミミズが蔓延る原因は、屋外飼育だと雨の日にはミミズは壁ですらよじ登って移動するので、どうしてもミミズを避けることが出来ない。更なる対策としては、飼育容器の上蓋にビニール以外に新聞紙を咬ませようと考えている。

■今日の収穫
室内飼育の蛹が死んで −3
F3 合計飼育個体 5



平成20年6月27日 採集 23時 20℃ 某所

ここのところ梅雨の為に雨降りか曇天ばかりで10日位は気温が平年より低い日々が続いている。昨日は半袖では風邪を引きそうな肌寒い日であった。今日も気温は上がらず、夜間は20℃でも涼しくて過ごし易い感じだ。

今晩は子供を寝かしつけてから、九十九里平野の某所を訪れた。何もこの涼しい日々の下に思わしい成果を挙げよう等と云う大それた考えは専らある訳ではなく、大物を捕らえる為に今まで長い間温めていた秘策を実行する事にしたからなのだ。幼虫が発生していると考えられる場所に或る仕掛けを張った。もし、思惑通りに事が運んだとしたら、これは今までにない画期的な採集方法であること請け合いである。小生の思いつく限り、最も効率的で有効な採集方法である。さて、その効果の程は、秋になるまでのお楽しみと云ったところだ。勿論、もし、これが有効な方法であったとしても、勿論100% の確率で採集出来る訳ではない。それに対して、plan B も用意中である。
それにしても、日中は殆ど御日様を拝むことがなかったにも拘らず、今日は何とも星空が美しい夜となった。

■今日の収穫
コクワ 10♂♂



平成20年6月28日 採集 20時 22℃ ポイントYK062008 他

クヌギの水遣りに行ってくれている妻から新居敷地がまた草ぼうぼうになっていると聞いていたので、家族そろって草取りに行くことにした。ついでに新規ポイント探索と既知のポイントの訪問を兼ねた。

或る程度の事前情報を得ていた某地域を廻ってみた。大変良好な環境が残っているのだが、ほぼ全てが屋敷林なので踏み込めないのが難点だった。その中で幾らか成虫を集めそうな木に近付けそうなポイントYT062808 を新規に追加した。シラカシの古木が5 本位並んでいる場所だ。昼間に歩いていたら、直ぐ目の前の宅からお婆さんがこちらを見ており、会釈しても返事が返ってこなかった。屡探索しているとよく出くわす光景だ。こういう場合はこちらは大抵子供が一緒にいて雰囲気が紛れそうな物だが、あちらにしてみたら怪しい部外者としか映らないのだろう。このポイントには同日の晩にも来てみたが、コクワしか観察しなかった。ヒラタがいても不思議ではないと考えていたが甘かった。

明るい内に6月20日に追加したポイントYK062008 を訪れた。すると黒光りする大きな雄のドルクスを樹上4m 辺りに観察した。5 cmは超えているだろう雄なので、オオクワかと思っていた。26年振りで天然雄成虫を観察したかと胸が躍って、天然のオオクワを見せてやろうと車中で待っている家族を呼んで、妻と子供に講釈した。しかし、何故か採集しようという気分にはならなかった。欲しいのは累代に必要な雌だからだ。それに今一つ疑問にも感じた。曇天と雖も明るい昼間にあれだけ用心深いオオクワがその姿を露にのこのこと出て来るだろうか。デジカメの望遠で何枚かの写真を撮って、拡大してよく確認してみた。オオクワに見えるが、何枚目かの写真で大顎の形がヒラタであり、ヒラタの大型雄である事が判明した。
晩飯の後に再度訪問したが、ヒラタの姿も他のクワガタの姿も見ることはなかった。樹液らしい樹液がないので余り虫が寄って来ないようだ。

帰宅途中に6月15日以来となるポイントHG072707 に来た。樹液が出ていないのでコクワすらいなかった。

帰宅して犬の散歩をさせていると、自販機前で極小コクワの雄をアスファルト上で拾った。ポイント自宅のコクワだ。車に轢かれるので電燈から離れた藪に放ってやった。

■今日の収穫
ヒラタ 1♂
コクワ 3 + 1 = 4♂♂
艶のある大きな雄!



平成20年7月1日 採集 23時 20℃ ポイントOS092405

7月1日だ。梅雨が明ければ正真正銘の夏になり、間もなく子供も夏休みを迎えることになる。今日は7月になった事を証明するかの如く、今年初となるカブトとアブラゼミを観察した。但しアブラゼミは見たというよりも鳴き声を聞いたというのが正しい。北総ではまだ蝉が鳴くのを聞くことがないが、一足早く九十九里平野でアブラゼミが鳴き始めた。昼間の暑い時間帯を過ぎて夕方になってからの事だ。自宅近くの林から1 匹の蝉の鳴き声が聞こえていた。まだ曇天が多くて突き刺すような熱い陽射しは一瞬しか覗かない。最近では比較的に涼しい1 日であった。

夜勤明けなので昼間は大した活動はしなかった。夜勤帰りの午前中に或る地域にちょっと立ち寄った程度だ。新居のクワトープに植樹する木を植木屋で物色した。植木屋と言っても、そういうお店になっている所ではなく、造園の為の植木を仲介しているような場所だ。普通には一見して整然と多くの木が植えてあるような場所だ。現場で作業をしている親父さんを見つけて訪ねてみた。すると、樹齢100年は超えているだろう太いスダジイの値段を聞いて吃驚。考えていた値段とは桁が一つ違った。高級車が買える値段だ。何せ普通に自動車に乗せて運べるような代物ではなく、運んでからまた降ろすのにもクレーンが必要だ。人件費も掛かる。そういう訳で、個人で古木を買うのは現実的ではない。スダジイは若木を入手して植えることにした。
この植木屋の周辺には多くの古い農家が残っており、その屋敷林によってこの地域の中でも大変良い環境を維持している。古木が沢山残っているのだ。自動車で少し廻ってみて気になった場所は歩いてみた。しかし、虫を集めそうな木があるにはあるが、全てもろに農家の敷地内に生えている為、近寄る事が叶わない。非常に残念でならない。只、これらの屋敷林が残っている限りは、この地域でヒラタが絶滅することはないだろうと確信している。屋敷林よ、残ってくれ! 日本の農家よ、頑張ってくれ!

午後は休んで夜になって子供を寝かしつけてから車で林に向かった。思わしい成果はなかったが、とんでもなく巨大なナメクジを観察した。20cm はあるだろうヤマナメクジ Meghimatium fruhstorferi だ。本土にもこんなナメクジがいるものかと、初めて見たので驚いた。

■今日の収穫
コクワ 8♂♂
カブト 1♂
雑木林の王者が登場


巨大ナメクジ



平成20年7月3日 採集 23時 21℃ ポイントTY080507

1年で一番日が長い時期である。日勤の帰り道にまだ明るいのでポイントTY031708 に立ち寄って木を見たが樹液場がない。しかし、樹上約4m 辺りでコクワが歩いているように見えた。樹冠が鬱蒼としていて暗いのではっきり見えず、実際はキマワリかもしれないが期待させる物があるので、念の為に夜間も出向く事にした。
子供を寝かし付けてから、私生活における出勤、お勤めに出た。連日の夜勤を経ている為にかなりくたくたに疲れていたが、物好きが祟ってお勤めは休めない(笑)。

ポイントTY031708 には何もいなかった。懐中電灯で念入りに照らして木肌を舐め尽したが何も見当たらない。残念だ。古い樹液痕のような物も見当たらず、未だに真夏の状態を拝まないと有望か否かは判断出来ない状況だ。虫に遊んで貰えなくて寂しいので、その後ポイントTY080507 に行ってみた。ここも何もいなかった。ここもまだ樹液が出てない。流石に目立つ場所にあるクヌギなので、去年に続いて今年も木の至る場所に誰かが派手に傷を付けた跡がある。こんな事をしなくても樹液は出るべくして出るし、虫は来るべくして来るのに。大事なのはそこにある生態系が然るべき姿を維持しているのかどうかだ。傷を付けているのはここの畑の地主なんだろうか。

■今日の収穫
なし



平成20年7月5日 雑記 庭でクワトープ その参

キイロトラカミキリ


ラミーカミキリ
昨日も暑かったが、今日の日中は31℃の真夏日、夜間も25℃の熱帯夜となった。東京都心の最高気温は33℃だった。天気予報では昨日と今日は雨が降ると言われていたが、曇っても雨が降ることはなく、太陽が照り付ける時間の多い日となって真夏のようにむんむんとしていた。この儘梅雨が明けるのではないかと云う勢いが感じられた。

新居予定地の測量日が近いので、一家揃って昨日今日で連日の草取りをした。梅雨時なので雑草の生長が早くて直ぐに草が茂ってしまう。業者に除草如きで代金を取られるのは癪なので、自分達で草取りを実施することにしている。草取りに来たのは植樹する目的も兼ねている。購入した2 本の椎の木 ( スダジイ Castanopsis sieboldii ) が届くからだ。草取りの合間に運送業者から木を受取って、穴を掘って植えた。長女と次女は近所の婆さんの家でテレビを見て待っていたが、長男は炎天下で妻と一緒に草取りや穴掘りを手伝ってくれた。
今月5 歳になる長男は将来は頼もしい男になりそうだ。だが、草取りの作業が後半になって皆がくたくたになっている時分に、彼は小生の後を追うように近付いて来るので、或る拍子にシャベルで掬っていた砂が目に入っていじけてしまった。頼もしいのと同時にまだまだ青くて可愛い奴だ。

スダジイは2 本共3m の大きさで、若くて幹の雰囲気はあの椎の木らしくはない。後何年位経ったら椎の木らしくなるのだろう。部分枯れするような巨木になるのに何年を要するのだろうか。まだ見ぬ将来の小生の可愛い孫達が年老いる頃には、一体どんな老木になっているのだろうか。それとも小生亡き後に早々と切られてしまうのだろうか。その頃には、今直面している様々な社会問題は解決されているのだろうか。それまで人類は生き延びているのだろうか。地球に生物多様性が残っているのだろうか。

草取りに行っていたら普段見慣れない虫を観察した。一方は子供が見つけてくれた。先ずはクヌギに水遣りをしていたら、幹にキイロトラカミキリ Grammographus notabilis が這っていた。とても活発に歩き回っていて上手く写真に収めるのには苦労した。2cm 未満の小さい、黄色く綺麗なカミキリムシだ。この幼虫は、クヌギ、コナラ、ヤシャブシなどの枯れ木を食べるらしいが、まさか植樹した我が家のクヌギが枯れていると思われたのではあるまい。妻の水遣りの御蔭で枯れ木になるのは逃れているものの、秋に差し掛かったような活気のない葉色をしているのが原因だろうか。成虫が見られるのは今頃までのようだ。

子供が「変な虫がいる。」とラミーカミキリ Paraglenea fortunei を草の中から見つけた。これも2cm 未満。今までに見たことがない。カミキリムシに余り関心がなかったからだろうか。それもそうかもしれないが、このカミキリムシは一昔前までは西日本にしか分布していなかったらしい。ところが、近年は北上して関東まで進出したようで、「20世紀末に東京都の多摩地区でも生息が確認された」と聞いている。すると、九十九里平野で小生が観察した例はちょっとした発見?! そうだったとしたら、全く嬉しくない発見だ。原因は急激に進んでいる地球温暖化なのだから。地球が猛烈な速度で壊れている証拠を極身近に目の当たりにしている訳だ。
ラミーカミキリは元々日本にいた種類ではなく、明治時代に中国から輸入されたラミーという繊維の原料となる植物と共に上陸した外来種らしい。成虫も幼虫もラミー、カラムシ、ムクゲ等をホストとしているようだ。

横芝光町は住宅が並んでいるような所でも色々な生き物に出合える楽しい地域だ。ラミーカミキリの分布のようにとても怖い事例を除いては・・・。
新たに3m のスダジイを植樹



平成20年7月8日 採集 2時 21℃ ポイント自宅 他

七夕だ。短冊には何と書こうか。夫婦円満、家内安全、家族安泰、交通安全、健康祈願、一攫千金・・・・・・探している虫が採れますように!

昨日今日と雨が降ったり止んだりを繰り返しており、幾らか気温が下がってはいるものの湿度は高くて蒸し暑い。

雨降りが多くて湿っているのと夜勤が続いていて身体の疲労が取れないこともあって、今日は採集に出るのは止そうと考えていた。それに明日は午後になって夜勤に出る前に飼育クワガタの世話をせねばならない。ところが、何気なく他人の採集記を呼んでいたら、まだ夜に出向いたことのない或るマテバジイのポイントを思い出して、無性に行きたくなってしまった。昼間に見つけた時でさえ、木々に近付いてをよく観察した訳ではなかったが、虫は見えなくても樹液痕が見えていたので気にはなっていた。そこで、遠くには行かないと心に決めて、気になっているポイントに行くことにした。

1本だけ大量に樹液を流している木を見つけたが、何故か虫が全くいない。まだ醗酵している気配はなくて無臭だからではないだろうか。他には思わしい樹液場は見当たらなかったし、コクワすら見ることはなかった。元々今日は出る心算ではなかったのに無理矢理出て来て、それでこの結果なので意気消沈してしまった。仕方がないので、ポイント自宅を廻ることにした。まだ夜間に観察したことのない木に行ってみた。すると、カブトがいるではないか。この木には樹液場が3 箇所もある。しかし、いたのはカブトこの1 匹だけだった。どうも、今日は湿り気が強過ぎて、且つ、夜になってから気温が下がり過ぎたようである。他にもまだ夜間に観察していない木に行ってみたが虫はいなかった。樹液場は1 箇所確認した。コクワ位なら来そうな所だ。そして、ヒラタがいる木に行ってみた。何もいない。よく見ると洞に潜んでいるコクワと、樹幹にへばり付いているコクワを計2 匹観察した。樹幹に付いているコクワが大き目なので手に取ってみるとそれ程でもなかった。

■今日の収穫
コクワ 2♂♂
カブト 1♂
ここでも雑木林の王者がいる



平成20年7月9日 採集 20時 22℃ ポイントOS092405

北総で今年初のアブラゼミの鳴き声を聞いたが、1箇所ではなくてまるで申し合わせたかのように一斉にあちこちで鳴き始めている。
一方の九十九里平野での夜の酒場では、完全にカブトムシの時期となっており、夏を謳歌するようにどの樹液場でもカブトが幅を利かせている。雄同士で角を使った樹液場での闘争が繰り広げられているし、林で静かにしていると至る所で甲虫の羽音が活発に聞こえている。カブトもコクワも個体数が多い。後3 週間はこういう状態が続いて、8月になるとカブトが減り始めて次第に秋の足音を感じるようになるだろう。
今日のお勤めでは今年初のノコギリクワガタを観察した。

■今日の収穫
ノコギリ 1♂
コクワ 12♂♂ 3♀♀
カブト 16♂♂ 5♀♀
ノコギリクワガタ



平成20年7月11日 採集 20時 24℃ ポイント自宅 他

産卵中のミヤマカミキリ
梅雨明け宣言をまだ聞かない内から暑い。曇り空が多いが一度陽射しが覗こうものなら直ぐに暑くなる。夏だ。

7月8日にポイント自宅周辺の「まだ夜間に観察したことのない木」でカブトを観察したが、この近くに木がもう1 本あったのに何故か見つからず、夜の暗がりなので見え難いだけかと考えていた。確かになかなかの大きさのシラカシがもう1 本あった筈で、今日はもう一度その場所に行ってみたら、先日に見つからなかった理由が判然とした。切られてしまったのだ。切り株と草叢に横たわっている大きな木の亡骸を発見した。がっかりだ。あれだけの木になるのに何十年を要するのだろうか。残念でならない。残った切り株からはまだ萌芽している気配はない。死んじゃったんだろうか。それとも春以降に切られたばかりなんだろうか。木が切られて見通しが良くなったので、その後ろに祀り小屋があるのを知った。この為に切られたんだろうか。
団栗の木は特に昆虫だけでなく多くの生物を育む大切な木だと思うんだが、どうも、雑木と言われて、他の生物不毛の木よりも大事にされないような気がする。人によっては雑木を已み嫌う位だ。

ノコギリの個体数は少しずつ増加しているようだ。自宅周辺で犬の散歩をしていたら、街灯下で雌の轢死体を見つけた。産卵場所を探していたのではないだろうか。それとも潰される前に幾らか子孫を残したのだろうか。カブトとコクワの天下は続いていて、樹液場をカブトが陣取っているし、コクワはおこぼれを頂戴するように端の方にいるか、カブトのいない樹液場を集っている。
雑木林でお馴染みのカミキリムシが目立ち始めている。産卵していたり、交尾していたりと盛んになっている。ミヤマカミキリ Mallambyx raddei、キマダラカミキリ Aeolesthes chrysothrix、ナガゴマフカミキリ Mesosa longipennis の顔ぶれをそれぞれ複数個体観察した。


■今日の収穫
ノコギリ 2♂♂ 1♀(雌は轢死体)
コクワ 13+5♂♂ 1♀
カブト 11+1♂♂ 5♀♀



平成20年7月12日 雑記 庭でクワトープ その四

新築予定地の草取りに行った。定期的に草取りをしないと直ぐにぼうぼうに茂るから、家が建つまで気が抜けない。
7月5日に2 本のスダジイを植えて、その後、水遣りに行ってくれている妻から「木が腐ってる」だの「枯れそうだ」だの「やっぱり大丈夫そう」だのと、色々不明確な事を言われて心配していたが、第一号のクヌギと違って、スダジイを植えた場所は半日は日陰になる場所なので、多分大丈夫だろうと予想していた。行ってみたら予想通りに、やっぱり問題なかった。環境が変わったのが原因で、幾らかの葉が枯れて落ちてはいるが、新しい環境への適応の範囲内と考えられる現象であって、適度に水遣りをしている限りは今のところ枯れる気配はなさそうだ。

早速、スダジイは昆虫に休息場所を提供しているようで、1cm 未満のアオスジハナバチ Nomia punctulata や葉陰で休むコフキコガネ Melolontha japonica Bumeister, 1855 を観察した。妻は生き物が敷地にいるのは余り気持ちの良い物ではないが、小生が生き物を見て嬉しそうな顔をしているのを見るのが嬉しいと話している。そういうことで、間接的にも妻も喜んでいると言えるのだろう。
コフキコガネ

アオスジハナバチ



平成20年7月16日 採集 2時 22℃ 某所

仕掛けの様子を見に夜勤の仕事帰りに九十九里平野の某所を訪れた。最初に仕掛けてから2 回目の手入れだ。実際に仕掛けてみると予想していなかった不具合を見つけたので、更に改良を施した。今のところ効果を査定する段階ではないが、まだ何も採れていない。
樹液場にいる虫の方はと言えば、すっかりカブト天国になっている。雌が増えて雄と半々になっていた。この林ではカブトの最盛期に入ったようだ。一方の我が家での飼育カブトはまだ1 匹も羽化していないと言うのに。

■今日の収穫
コクワ 8♂♂
カブト 35exs (雌雄半々)



平成20年7月16日 飼育 トカラコクワガタ 悪石島産 F3

トカラコクワガタ Dorcus rectus kobayashii (Fujita et Ichikawa, 1985) (吐喝喇列島・悪石島産 α系統 F3 雄 死亡、雌29mm、27mm )

雌2 匹はお役目を終えても未だに餌を消費しており、ボロボロになりながらまだ健在だ。去年から取り置いてあった産卵木と、4月30日から保管している産卵木の計2 本を解体して幼虫を採り出すことにした。これでα系統F3 トカラコクワの作業は全て終えることになる。
実は産卵木を入れて取り置いてあった小プラケースの4月30日分は、ラベルがナメクジに食べられてすっかり無くなってしまっていて、何の種なのか分からずにヒラタじゃないかと、大瓶に幼虫を投入していた。後に日記を見直して当系統のトカラコクワである事が追求出来た。日記を残していて本当に良かった。そうでなければ、何の種なのかはっきりせずにヒラタじゃないかと云う曖昧な段階で、もう使用出来ずに羽化後は寿命が来る迄無為に単独飼育で餌交換をしなければいけないところであった。
それにしてもトカラコクワがうじゃうじゃ一杯になってしまった。効率的に世話をせねばならない。

■今日の収穫
亜終齢幼虫と終齢幼虫合わせて 20exs
幼虫が死亡 -1 (7/18)
幼虫が死亡 -2 (8/16)
幼虫が死亡 -5 (9/28)
幼虫が死亡 -10 (10/3)
α系統 F4 合計飼育個体 42



平成20年7月16日 採集 23時 25℃ ポイント自宅

破壊された捲れ
近畿地方では梅雨明け宣言が出たらしい。だが、今年は梅雨と言っても梅雨の気圧配置になった事がない儘で梅雨が明けた状態になったらしい。更に台風7 号が東シナ海側から日本に接近している。21世紀は毎年のように異常気象になるのが当たり前になってしまった。こうなると何が正常で何が異常なのか分からなくなるだろう。

今日も暑かった。日中は32℃、深夜になっても25℃の熱帯夜だ。休みだったので日中は飼育幼虫の世話、夜は自宅周辺を観察した。自宅周辺だけにぼちぼち見ているのだが、6月6日以来一度もヒラタを見なくなった。カブトもぼちぼち観察しているがまだ断然数が少ない。サイカチが樹液を流さないし、その近くのシラカシは春先に枝打ちされた為に今年は樹液を期待出来ないし、7月11日には太いシラカシが1 本切られてしまったし、ポイント自宅ではまるで明るい話題がない。
去年から感じていたのだが、6月6日にヒラタのいた木はこの辺では一番目立つ部類なので、近所の餓鬼共の採集場所になっているようだ。ヒラタがよくいる場所周辺の捲れが剥がされてしまっていた。如何にも人に剥がされた痕だ。木が何本もないのだから、大事にしないといけないのに。

洞爺湖サミットが終わって間もないが、二酸化炭素削減に本腰を入れるのなら、森林での吸収という要素では、一定の太さの古木が死ぬような伐採は禁止と云うような項目を追加するという案はどうだろうか。森林の手入れという言葉ばかりが漠然と聞かれるが、緑地の保全と育成を徹底するのが先決ではないだろうか。
原材料の高騰で日本の農業が生き返る可能性がちらほら囁かれ始めたが、その原動力は優柔不断な政策が導くのではなくて、経済活動の流れの結果であるのが皮肉な事である。

■今日の収穫
コクワ 3♂♂ 2♀
カブト 1♂ 1♀



平成20年7月17日 採集 23時 25℃ 某所

明後日は長男と次女が通う幼稚園で毎年恒例の夕涼み会と題する行事がある。現在は小学校に上がっている長女がお世話になっている時分から、毎年この行事に多くのカブトとクワガタを進呈している。勿論の事これは無償の奉仕である。その代わりに、小生としては、父親が社会に奉仕している姿を毎年我が子に見せてやる絶好の機会であると受け止めている。
その上、長女と長男、次女らは、毎年この行事の為にカブトの街灯拾いに行くのを楽しみにしている。それは、何故なら、街灯で虫を拾うのは、林の中に入るのと違って、自分達も一緒に行って虫を採り易いので、何かに貢献出来るという自己効力感を養う機会になっているからであろう。実際、この時ばかり我先にと言う雰囲気で、彼らは大はしゃぎでこぞって虫を触りたがるのだ。

そう云う訳で一家揃って採集行となった。街灯廻りをするには時間を遅くする必要がある。まだ日没が遅くて19時半にならないと黄昏た空が暗くならない。そこで樹液採集を目的としてポイントYK062008 とポイントHG072707 に訪れてみた。だが、カブトの羽音とコクワ数匹を観察するのみで、特筆すべき出来事はなかった。今日はカブトを採る日なのでカブトが欲しかったが、木が大き過ぎる為に良く見えなかった。贅沢な悩みだ。こういう古木は今後も残り続けて欲しい。どちらもヒラタ棲息場所なのでヒラタもいなくて寂しい状況だ。物足りないのでポイントYT062808 を見てから街灯廻りに行くことにした。だが、ここでも観察したのはコクワのみであった。

さて、愈々カブトが飛来する街灯を目指して出動だ。長女はどこへ行くのか指定する程やる気満々。しかし、どうもおかしい。幾らか車を走らせて街灯に目をやるが余り虫が飛んでいない。背後を見ると満月が白く煌々と輝いているではないか。これじゃあ駄目だ。雨降りにならないで欲しいと天気ばかりに気が行っていて、街灯廻りで同じ位に重要な要素である月の事をすっかり忘れていた。
月が出ている夜は街灯に虫が来ない理由を家族に説明しながら、それでも何箇所か廻って途方に暮れながらも、樹液採集に方針を切り替える事にした。

先ずは、採集場所をよく吟味して、横芝の家から一番近かった遊び場であるポイントHS090705 が手軽で手堅いと考えて出向いてみた。ところが、夜間であるにも拘らず、遠目で見た景色に厭な予感が頭を掠めた。何となく林が薄っぺらになったように、向こう側の街灯が透けて見えるのだ。車を停めて近付くと厭な予感は的中した。虫採りをやっている者としては、この上なく何よりも最悪な気分だ。整地されて林がなくなっていたのだ。何という事か。林だった端に3 本のクヌギが残っており、1 箇所のみ樹液場があってノコギリ 1♀、コクワ複数、カブト1 ♂ 2♀♀、交尾中のミヤマカミキリらが観察された。残された木の樹液場が活況を呈しているのがやけに虚しく、彼らが哀れに思えて仕方がない。取り敢えずはカブトをつがいで持ち帰る事にした。
試しにその近くのもう一つの林にも行ってみた。なかなかのクヌギ2 本とコナラ1 本があって、現在小生が赤カブト計画で累代しているカブトの種つがいを採集した場所だ。(「平成17年7月28日 0時 ポイントHS090705他 採集」を参照) そして、そこでも最悪の状況に直面した。こじんまりとした畑だったその場所は、放棄されて草ぼうぼうで目当ての木に行き着くのに相当な藪漕ぎである。木を目指して進むとどうもおかしい。木を見ない儘、畑だった場所の突き当たりに来ていることに気付いた。そう、畑が放棄されただけでなく、木も残らず切られてしまっていたのである。絶句だ。ポイントHS090705 の終焉を悟った瞬間である。去年のヒラタ・ポイントの消滅と言い、今年もこんな気分を味わうとは・・・。(「平成19年7月21日 採集 21時 24℃ ポイント自宅 他」を参照)

絶望感を抱いているせいなのか、社会に対する不満を怒り狂ったようにぶちまけながら車を走らせていた。家族もさぞ不快になったであろう。時間が遅くなったのもあるが、長男以外は皆眠ってしまった。
ポイントに着いて懐中電灯で木を照らして進んでいた。長男も小生の真似をするように懐中電灯で木を照らしている。カブトの雌がいたり、コクワがいても通り過ぎて行った。お目当ての場所に来て幾らか長男と散策した。カブトとノコギリが採れた。長男の虫篭は次第に虫だらけになった。行事のノルマとしては、これで一先ず安心。ここはホタル・ポイントでもあるのだが、まだ発生していないようで残念だ。
整地されて雑木林が消滅
そして、また場所を移動して同じように懐中電灯で木々を照らして観察していた。すると、以前から目を付けていた木の洞で、巨大なクワガタの腹部が隠れるのを目撃した。とにかく大きいクワガタだと思ったので急いで走ってそこへ行ってみると、背が届かずに洞内が見えない。脚立がないので即座に車の先端を木の下に持って来てボンネットに上って洞を覗いた。光沢が少ないようだが、ここはヒラタはいない筈だし、もしかしたらと思いながら、その中で見えたのは長らく探していた大物の姿だった。そう、オオクワだ。しかも、大歯。それなのに、何故か横にいたノコギリを採ったり、洞内のオオクワの写真を撮ったりと、オオクワを採る前に随分と悠長な事をしたものだ。幸い、当の大物の隠れ家は、針金を入れると何とかその身体に届く深さで、丸でお手上げ、諦めなければならないと云うような事態にはならなそうだ。長男に車内にあった針金を持って来て貰って格闘した。それにしても、幾ら針金やピンセット、ドライバー類を駆使しても、洞から大物を引き摺り出す事が叶わない。ヘッド電灯セットだと入り口が狭くて深い洞の奥を照らせなく、左手で懐中電灯を照らしながら右手で針金作業の状態だ。車のボンネット上で不自然な姿勢を長時間に亘って強いられる訳で、25℃の熱帯夜も手伝って汗だくが続く。大物は頭をこっちに向けたり腹部を向けたりと抵抗が激しいし、力も強くてピンセットでは到底無理。時には針金に向かってその大きな大顎で頻りに攻撃を仕掛けて来ることもあり、飼育下の温和で臆病な印象とはまるで違う野生的な面を見せ付けている。
その内に今晩は勇敢で頼もしかった長男も車内で眠ってしまった。深夜になってしまったので先に寝ても良いと促したからだろう。それまでは小生と同じように車のボンネットに上ったり懐中電灯で照らしたりと、随分と手伝ってくれた。どんどん時間が過ぎて行く。滝のような汗が止まらない。最悪の場合は夜が明けるのではないかと思い始めていた。また明日にしようかと弱気な考えが頭に過ったが、大歯型なので何とか採集して大きさを確かめてみたかった。
1時間半、格闘開始時から日付が変わって足掛け2 日の攻防の末、天然オオクワガタの樹液採集に成功した。云十年振り。嬉しさの余り、妻や長女を起こしてしまった。云十年前と同じく内心は雄叫びを上げまくっている(笑)。帰る前に、もう一度、木の隅々を探したが、雌の姿はどこにも見当たらなかった。本音を言わせて貰えば、今日はもうこれ以上採集する体力も気力も残っていない。それにしてもこの雄が落ちるまでに天然雌が捕まるだろうか。少なくとも同産地の養殖個体と掛け合わせる事は可能だ。
帰り道のコンビニで祝いのコーラを妻と飲みながら計測。72mm だ。馬鹿デカイ。今まで千葉県で採れたオオクワで最大は何mmなんだろうか。小生が過去に採集したオオクワも、その当時に72mm だったと記憶している。しかし、その標本 (屍骸) はないのが心残りだ。高校1 年か2 年の時に扱い慣れないカメラで撮った1 枚のピンボケ写真が家のどこかに残っているのみだ。進学で実家を出る時期だったので、屍骸をベランダに放置してその後掃除されて・・・思い出す度に後悔している。

もし、月齢が良くて街灯廻りのみでカブトを調達出来ていたとしたら、今日の大収穫は有り得なかっただろう。小生は無神論者でもなければ深い信仰心がある訳でもないが、神様がいるとしたら、不満を言いながらも慈善活動をしている小生の行いに報いると言う形で、今日の巡り合わせがあったのだろうと考えている。

追伸: 大収穫で帰宅後ノートPCが通電しなくなって使い物にならなくなってしまった。部品取り機材と化したのだ。
更にオオクワが採れたという喜びよりも、ポイントが消滅したという失望感の方が差し引いて遥かに大きい。環境がなくなってしまったら、どんなに多くの生物がいなくなる事だろう。
これも何と言う巡り合わせだろうか。一体、神様は本当にいるのだろうか。神様は小生に何を言いたいのだろうか。これも思し召しなのだろうか。

■今日の収穫
オオクワ 1♂ (72mm 持ち帰り)
ノコギリ 4♂♂ 1♀ (3♂♂ 持ち帰り)
コクワ 20exs (大凡)
カブト 7♂♂ 4♀♀ (5♂♂ 1♀ 持ち帰り)
樹洞に逃げ込むオオクワガタ


九十九里平野産 天然オオクワガタ 72mm



平成20年7月19日 雑記 幼稚園の行事で虫が大人気

今年も幼稚園の行事で虫売り場が人気を博していた。今年の虫売り場の担当は小生の妻だ。適材適所だろうか。今年は小生よりも沢山の虫を持ち寄った熱心な先生がいらっしゃったので、大量の数が捌かれた訳だが、それでも売り場の中では虫売り場が一番早く売り切れになっていた。
ノコギリクワガタを持って来たのは小生のみだったのだが、その大きなノコギリクワガタを狙って並びを競っていた子供がいたのには、流石に小生も嬉しかった。また来年も虫を持って来ようと思う。
ところで、子供が虫を買うという行動について、今の子供は採らないで買うことしか出来ないと云った批判的な主旨を聞く事がある。テレビ・ゲームばかりして外に出ないとか、世の中が物騒で外に出ないとか、色々な理由があるだろうが、一番大きな理由は、子供の行動範囲内に虫が採れる場所が殆どなくなってしまったという事ではないだろうか。そういう場所がないし、棲息していないのだから、採りようがないのだ。蟻や蜂、蝶等種類を選ばなければ案外身近に多くの生き物を見る事が出来る。しかし、殊にクワガタやカブト等、或る程度の広葉樹が茂るような環境が必要であるなら、都会でなくとも郊外ですら、子供が歩いたり、自転車で行ける範囲内にそれを求める事が難しくなっていると考えられる。大物が生き残っている地域ですら同様の傾向だ。小生が子供の頃は、小学生が歩いて行ける範囲内に、子供の間だけで代々伝承されているようなカブト・ポイントがあったものだ。
現状と理由は「平成20年3月21日 雑記 「ふるさとの町」とは」で述べている通りだ。現代の歪んだ社会構造や問題は、こんなちょっとした身近な所から始まっているのかも知れない。
売り場中央に我が妻



平成20年7月20〜24日 採集 25〜27℃ 某所 他

その後17日に大物が採れたポイントに2 回出向いたが、あの洞に雌が入っている事はなく、別の雄の棲家になった訳でもなく、さしたる成果は得られていない。仕舞いには蟻の棲家になってしまっていたので、暫くこの洞は駄目なようだ。一昨年にこのポイントを見付けた時から、地元の採集者が狙っているらしき跡があったので、採集圧も馬鹿にならず、このポイントで次の成果を上げるには相当な労力と運が必要であろう。
それに採集した雄が来年の夏迄生きているという保障はどこにもない。身体に損傷や欠損はなく、「完品」と云う状態だが、天然の証であるかの如く背面の至る所に小さな擦り傷があるし、大顎の先端は微妙に磨耗しているといった具合なので、新成虫ではないのは確かだ。だから、なるべく早い内に種を確保しておく必要性を感じている。
あの大物のポイントは、幸いにして産地としては、千葉県内では異例な程に大昔から採集例の多かった地域なので、現在でも信頼出来る確実な養殖個体を容易に入手することが可能だ。小生が飼育中の個体で今年使える雌がいない為、Kobayashi さんのお店から雌を調達した。尤も小生が現在飼育中のオオクワも小林さんの所から調達した雌の子孫だ。入手した雌は今年1 月羽化の39mm で餌喰いは頗る良好、今年中に産卵しそうな状態だ。所謂「即ブリ」と言う状態か。累代の種親の採集者は小林さんか小林さんと採集に同行した方なので、出所に間違いはなく、仮にミトコンドリアRNAで分子系統解析をしたとしたら千葉県の特徴が出る筈だ。間違っても西日本の某地域や九州等の有名多産地の系統になってしまう事はないだろう。

子供の夏休み開始に合わせて小生も夏休みを取った。そして幼稚園の行事が終わった後に日光へ家族旅行に行った。夜間余裕があれば街灯廻り程度ならしようかと考えて、荷物に懐中電灯を潜ませていたのだが、1泊2日の短期決戦だったのでくたくたに疲れてそれどころではなかった。旅行初日は鬼怒川ライン下りをして子供と楽しんだ。舟に乗ること自体が楽しいのだが、どうしても癖で河川敷の柳に目が行ってしまうのは、採集人の性(さが)なのだろうか。因みに虫がいそうな柳を沢山見付けることが出来た。子供の写真やビデオもしっかり残したのは言うまでもない。
鈴なりのカブト
採集に熱中する子供
幼稚園が縁で付き合いのある家族がカブトの雄が欲しいと言うことなので、一緒にカブト採りに出掛けた。月齢はそれ程悪くはなかったのだが、虫の飛びが悪くてカブトも同様に飛んでいなかった。この日の街灯廻りの成果は0 だ。小生が林を案内したら偶然相方家族の自宅近くであり、その林でカブト 2♂♂が捕れたので良かった。今年はまだ街灯に虫が飛んで来ていない。時期としてはもうそろそろだろう。月齢が好都合になるのもそろそろだ。

24日は日中が34℃、夜のお勤め時で27℃の熱帯夜であった。カブトが鈴なりに集っている場所がちらほら。あちこちでカブトの飛翔する音が行き交っており、夜間にも拘らず飛翔中のカブトを写真に捉えることすら容易に思える程、夏の雑木林ではカブトが全盛の時期を迎えている。
某所で張っている仕掛けにまた更なる改良を加えた。成果はまだない。

■今日までの収穫
ノコギリ 1♀
コクワ 一杯
カブト 一杯で数え切れない (2♂♂ 子供が持ち帰り)



平成20年7月27日 採集 2時 24℃ ポイント自宅 他

ポイント自宅には纏まった林がある訳ではなく、自宅から歩いて半径3分以内の自宅周囲に点在して虫を呼ぶ木がある。一番木が豊富な場所は自宅から見て西で、ここにはサイカチ 1本、シラカシ5 本がある。屋敷林も含めるともう少しあるのだが、残念ながら踏み込む事は出来ない。ここではカブトとノコギリ、コクワを観察している。自宅から見て北西には、ヒラタがいるシラカシが2 本、北東にマテバジイ 2本、シラカシ2 本がある。ここは通りに面している為か、まだクワガタを見た事がない。自宅から見て東には、なかなかのシラカシ2 本があったのだが、1本は今年になって切られてしまった。ここではカブトとコクワを観察している。又近くの自販機や薄暗い街灯でノコギリとコクワを観察している。今日は犬の散歩がてらにこのポイント自宅東に寄ってみたが、樹液が止まっていて虫はいなかった。

仕事帰りに某所に張っていた仕掛けを見に行った。成果はなし。林ではカブトが最盛期の様相で、コクワも個体数が多かった。

■今日の収穫
コクワ 20exs (大凡)
カブト 一杯いて数え切れない



平成20年7月28日 採集 24時 25℃ ポイント自宅 他

ホシベニカミキリの屍骸
地図を眺めていたら有望そうな場所と思えたので、仕事帰りに東金の某地域を探索した。地元なので行った事がない場所はないと考えていたのは、驕りであることを認めなければならなかった。ところが、今までに全く知らなかった地域を見付けたのは良いが、それは広大な新興宅地群に成り果てた嘗ての里山と森林の残骸であった。その痛ましい残骸に余りにも有望であったろう嘗ての植生の片鱗を見出す度に、吐き気を催してしまった。新興宅地を目の前にして30年前迄の景色が手に取るように思い浮かんで来るのだ。残念でならない。小生はのめり込むと直ぐに感情移入してしまう。これは利点でもあって欠点でもある。探索をするのは楽しくもあり、最悪な気分を味わう機会でもある。
その後、某所を訪れるのに、小生の大昔のヒラタ大収穫地帯を通って、またもや新興宅地群を掻い潜らねばならなかったので、大変厭な気分が続いた。この地域は実際に30年前の景色を隅々まで知っているだけに、他人には伝えられない位の思いがある。相も変わらず林がなくなり続けているし、残された場所にも宅地化が年々着々と迫って来ている。いつもなら新興宅地だらけに成り果てた場所へは行かないようにしているし、見ないようにしているのに、今日は新規に探索する気分もあったので、何となく避けがたく、そして、泣きそうな程に厭な思いが纏わり付いて取れなくなってしまった。今日は抑鬱気分から開放されない。

深夜になってから犬の散歩で自宅西方面を歩いた。虫のいる木を懐中電灯で舐めるように照らして見た。ここでは今年は未だにコクワすら観察してない。カブトの羽音が聞こえた気がしたが空耳か。成果なしだ。
懐中電灯で地面を照らしていたらホシベニカミキリ Eupromus ruber (Dalman, 1817) の屍骸を見付けた。とても美しい赤と斑の模様に反して都心の公園でも多産する公園害虫らしい。害虫という表現は身勝手な呼び方で好きではないが、説明するのには便宜上楽な言い回しだ。

■今日の収穫
コクワ 一杯
カブト 一杯で数え切れない



平成20年7月29日 雑記 天然オオクワガタの検証

7月17日に採集した72mm 雄は、Kobayashi さんのお店から新たに調達した雌と5日間同居させた。だが、その後の雌は材の特定の1箇所に居座った儘、産卵する気配はなく、餌も食べずにじっとしていて動かない。雄と同居するこれまでには餌を食べていたようだが、一体どうした事だろうか。まるでやる気がないようだ。抜かりなく交尾したのかどうかもはっきりせず、大変に困ったものだ。女の扱いが難しいのは、ヒトも虫も同じなんだろう。

小生が見たところ、当の雄の状態は所謂「完品」ではあるが、大顎の先端が幾分磨耗、全身に小さい傷が多数であり、新成虫ではないと考えていた。大顎の力加減は左右対称になっている事が多いが先端が揃わずに非対象になっている事も時々あることから、少なからず筋肉の萎縮が起こっていて老化が進んでいるのではないかと予想していた。
大事な天然個体であるので、念の為Kobayashi さんの所にも持って行って状態を見て頂いた。ショップを経営する小林さんは、今までに千葉県の天然オオクワガタを何10匹も扱ってきた方である。小林さん自身の自己採集経験も数え切れない。小林さんの仰有る事に間違いはないと信じている。
小林さんが当のオオクワを手に取って暫く見つめた後「完璧です」というお言葉を頂いた。(やった〜!) 但し状態そのものは、重量は心なしか軽く、大顎先端のみならず内歯も磨耗、前胸部と頭部の接合が幾らか緩いので、既に何年か生きた個体ではないか、身体や脚の力はしっかりしているが今年一杯の寿命かもしれないというご意見であった。説得力のあるご説明で大いに納得した。
大きさについてであるが、今までに千葉県で採集された天然個体としては72mm は間違いなく最大級である。小林さんによると、大きさは問題ではなく、全体的に「完璧」(何度も繰り返すが)というお言葉であった。誰にでも色々な思いがあるので一概にはこれと言えないし、欲をかいてもきりがないので、そういうことなのだろう。小林さんのお言葉には、一先ず安心した。
因みに、今現在知られている日本での体長の最大は、天然(野外採集個体)で76.6mm、飼育で84.7mm だ。とんでもない大きさに唯感心するのみだ。小生の飼育でオオクワが70mm を超えた事はまだない。短い飼育歴という事を差し引いても、養殖技術はまだまだ未熟である。だからこそ、これから進歩する楽しみもあるということか。

我が家で種が採れずにこの雄が寿命を迎えてしまうような最悪の事態だけはどうしても避けたいものだ。
ショップへの案内がシブイ


採集直後のオオクワガタ



平成20年8月2日 採集 1時 24℃ ポイントTS072808 他

樹液に付くオオスズメバチ

ウスバカミキリ
夜勤明けの仕事帰りに某所を探索してポイントTK080108 を追加した。7月28日に追加したポイントTS072808 の直ぐ近くだ。このポイントTK080108 では大物を望めないだろうが、コナラ、スダジイ、シラカシらを程々に含んだ構成の雑木林になっており、九十九里平野典型の植生である事から、ヒラタなら狙える可能性を秘めているだろうと見込んでいる。昼間の下見で何箇所かの樹液場が見付かったので、同日の晩に子供を寝かし付けた後に観察に出向いた。昼間にオオスズメバチ Vespa mandarinia がへばり付いていた樹液場では、ノコギリの雌を尻目にカブトの雄が陣取って吸汁していた。ノコギリの雌は小枝の先で只じっとしていて懐中電灯に照らされてもまるで反応しなかった。雄が飛来してカブトをやっつけてくれるのを待っているのだろうか。クワガタなので王子様は白馬に乗って来る訳はない。自力で飛来するのだ。
林全体ではカブト数匹と、木の上部の為コクワかヒラタか不明の小さ目のドルクスを観察した。次に来る時には脚立を持参しようと思う。
他の林でウスバカミキリ Megopis sinica を観察した。前年の観察からも九十九里平野ではこのカミキリの最盛期は8 月上旬と考えられる。

7月末から8月上旬は虫採りにとっては月齢が良い。発生の最盛期を迎えているカブトが月齢の影響で愈々街灯に飛び始めた。虫にとっては死の飛翔だ。あちらこちらの街灯下でカブトの轢死体を見掛けるようになっている。今晩は場所によっては1つの街灯で10匹近くの轢死体が見られた。最盛期なのでまだ雌雄の数の差は見られていない。林では捕食された屍骸はあっても、寿命で死んだと思しき屍骸はまだない。だがもう1 週間もすると雌の方が多くなるだろう。そしてお盆過ぎにはどんどん個体数が減って来て林は次第に静かになって秋に突入し始める。採集人にとっては今は季節の折り返し地点だと言える。小生の頭の中では、今年の秋のクワガタの発生はいつなのかを既に考え始めている。

■今日の収穫
ノコギリ 1♂ 1♀
コクワ 10exs (大凡)
カブト 一杯で数え切れない



平成20年8月3日 採集 2時 25℃ ポイントTS072808 他

ポイントTS072808 では6cm 位の立派なノコギリの雄が樹幹を登っているのを観察した。なかなか魅力的な形と太さをした幹なのに樹液場がどこにあるのか分からない木だ。見付けた時からカブトの羽音もよく聞こえている。その他このポイントではクヌギの巨木が何本かあって樹上5〜8m の場所にはいつもカブトが数匹付いている。新興宅地だらけ地域の生き残り場所で誰にでも目立つ木があるにも拘らず、他の採集者は誰一人としていそうにないのが興味深い。今ここにいないというだけでなく、採集しようとする人がいた気配が感じられないのだ。地主以外にヒトが入った形跡がない。周辺には子供が沢山いるだろうに、彼らは虫捕りを全くしないのだろうか。それともこんな近くで見付けるのに簡単な場所にカブトやノコギリが棲息しているのに、国道沿いのホーム・センターでカブトを買っているのだろうか。全く不思議としか言いようがない。
昨日追加したポイントTK080108 にはカブトやクワガタは1 匹もいなかった。昨日の様子を考えるとカブトが1匹位いても良いものだろうに。誰かに根こそぎ採集されてしまったような気がする。こんなショボイ場所で採集する人がいたとしたら、かなりのマニアか地元で近所の虫好きな餓鬼共だろう。

■今日の収穫
ノコギリ 1♂
カブト 2♂♂ 1♀



平成20年8月4日 採集 18時半 30℃ ポイント自宅 他

日没が早くなって来た。19時になるともう暗くなって外で作業が出来ない状態になっている。立秋まで後数日しかない事を考えると当然だろう。犬の散歩でポイント自宅の西側に行ってみた。小さいコクワの雄1匹が木の幹にしがみついているのを観察した。サイカチの下でカブトの雄の屍骸も落ちていた。先日聞こえたような気がしたカブトの羽音は本物だったようだ。8 月になってやっとここで今年初のクワガタとカブトを確認した事になる。ちょっと嬉しい。
その後は子供を寝かし付けてから深夜にまたポイントTS072808 とポイントTK080108 に行ってみた。クワガタやカブトがすっかりいなくなったTK080108 では今日もカブトはいなかったが、ノコギリの雄2 匹を観察した。子供がいるので自由になる時間を待ってから行く為、毎日睡眠不足だ。でも、クワガタを野外で観察するのは楽しいし、心の癒しにもなっている。

仕事帰りの夕方に気になっていた地域を探索してみた。目当ての場所で車を降りて15分程散策した。幼虫発生場所としては頗る有望で良好な環境になっていた。しかし残念ながら成虫のホストとなる木はまるで見当たらず、ここでクワガタを望めないのが分かった。残念。ちょっとした森林のようになっているので蝉には格好の棲息場所になっているようで、ここで今年のツクツクボウシの初鳴きが観察された。アブラゼミもそうだが、九十九里平野では蝉の発生は北総台地よりも早い。稲穂も垂れかかっているし、ツクツクボウシが鳴き始めたし、これでもう秋になってしまった。

■今日の収穫
ノコギリ 0 + 2♂♂
コクワ 1 + 2♂
カブト 1 + 10exs (大凡)
ツクツクボウシの初鳴き



平成20年8月7日 雑記 13時 35℃ 敷地の草取り

ヤマトタマムシ


カブトムシを持つ娘
新築予定なので今住んでいる家の手入れをする気がなかなか起こらずに、我が家の敷地は雨が降る度に雑草が威勢を振るうようになっている。夕方から夜勤なのでその前の昼頃に、取り置いてあった飼育セットから幼虫を回収しようと考えていた。しかし、余りの暑さに生きた芋虫を掘り返す気分には到底なれずにいた。外は猛暑日の35℃だ。直射日光が当たる場所は一体何度になっているのだろうか。そこで、今日は今の我が家の敷地に生えている雑草共を取り込んで、近所に棲息するカブトの産卵場所として堆肥にせんと画策した。裏庭に既に堆肥が出来上がっていて、そこに取った草を追加していく。引越しする度に堆肥を一から作り直しなので気分が腐っている。次の引越しでまたやり直し。
話は戻って幼虫回収予定の飼育セットが山積みになっていて大変に困っている。秋が酣(たけなわ) になる前にこれらの飼育セットから幼虫を採り出して、産卵出来る雌には今年中にまた産卵する機会を与えてやりたい。何とかしたいものだ。

草取り作業は約50坪の敷地を1 周するのに1時間強の時間を要した。その間滝のような汗が止まらずくたくたになった。夜勤をする前から今日分の体力を全て使い果たしてしまったようだ。夜勤が終わった後にポイントに出向くかどうか悩みどころだが、明後日は早朝から南会津に遠征予定なので、多分家でじっとする道を選択するだろう。
草取りの間、色々な昆虫が目に入った。1ヶ月前から度々見られていたニワハンミョウ Cicindela japana が草陰で交尾中であった。今年もこの虫は庭でよく観察される。半月前から裏庭で何度か目撃していたヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima の写真を漸く今日捉えることに成功した。今まで飛翔している場面は見ていたものの、どこかへ飛んで行ってしまうので写真を撮る余裕がなったのだ。どうやら毎回裏庭で見られているので、我が家で栽培している椎茸と一緒に積んである朽木に産卵するのが目当てなのかもしれない。雌かどうかは確認していないが、これと言った木がない我が家で頻回にタマムシが観察されると言う事は、朽木に産卵しに来ているとしか考えられない。と言う事は、近い将来我が家の朽木からヤマトタマムシが発生するかもしれないと言う事だ。楽しみだ。だが、ちょっと気になる事がある。椎茸と朽木は引越しで持って行く心算なのだが、同じ九十九里平野と言っても、幾らかの虫も一緒に引越してしまう事になる。仕方がない。この場合、人為的移入がないにしても、甲虫なら遺伝的には100年も離れていないだろう。そう考えて無理矢理正当化して納得するようにしている。

昨夜も25℃を超える熱帯夜であった。仕事が終わって夜は子供と花火をしに浜まで出向いて、その帰り道に外灯でカブトの雄を1 匹拾った。以前から長男の幼稚園の同級生がカブトが欲しいと言うので、その子の為にそのカブトを持ち帰った。その子に手渡す迄そのカブトの世話をしないといけないのが面倒だが、子供に喜んで貰えると小生も嬉しい。
去年から知っているその外灯は、道路際ではなくて空き地を煌々と照らしている。飛来した虫は轢死する事はないのは良いが、殆どは烏や近所の猫の餌になっている。餌食にならなかった運の良い個体は、逆さになって動けなくなった場合は日中の灼熱の太陽が待ち受けている。去年この場所を見付けた時からカブトを含めて様々な昆虫の屍骸の山だ。
長女は小生譲りなのか、生きたカブトを手に取るのが年の割には上手いのだが、長男は自分で持ちたいと言いながらも実際に持つのはカブトの屍骸ばかりだ。



平成20年8月8日 採集 20時 28℃ ポイント自宅

犬の散歩でポイント自宅の西側に行ってみた。サイカチにカブト 3匹とコクワの雄が付いていた。立秋になって日が短くなっても暑い。

以下は広辞苑からの引用。
りっ‐しゅう【立秋】
二十四節気の一。太陽の黄経が135度の時。秋の始め、太陽暦の8月8日頃。<(季)秋>

■今日の収穫
コクワ 1♂ 1♀
カブト 2♂♂ 1♀



平成20年8月9日 採集 南会津遠征 その弐

林道での様子


樹液焼けのあるブナ
「平成18年9月9日 23時 21℃ 南会津 採集」に続いて2 回目の南会津遠征となった。ここまで遠出してクワガタを狙う理由は、千葉県では棲息していないか滅多に捕まらない種類に出合いたいからに他ならない。昼間はブナ原生林周辺の柳でのルッキング採集、夜は外灯廻りに明け暮れるという、1 日中クワガタを追い駆けられて、しかもその密度は里山での採集よりも濃いのが東北でのクワガタ採集の特徴だ。又、子供を連れて行く事で、遠出して手付かずに近い自然に触れられる貴重な体験を彼らに提供出来るという利点もある。
前回と同じく今回もDorcus parallelipipedus fan site を運営されている豊房氏と同行する事が出来た。豊房氏は埼玉県を中心に採集活動をされている他、一夏に数回は南会津に遠征されている強者だ。それに何よりも多角的な視点からヨーロッパオオクワガタとそれに纏わる種類の分析と飼育に長けた方で、クワガタに関する話題は常に尽きない。深い探究心にはいつも脱帽させられている。

豊房氏宅を10時出発の予定が、小生方の突発的な事情で11時出発になった。2家族を乗せた車は東北自動車道を北上して3時過ぎに現地へ着いた。幾分遅くなってしまったが当初から林道散策は下見の名目だったので、日照の長い夏としてはこれでも十分な時間だ。林道を約1 時間歩いた。クワガタは1 匹も観察されなかった。不思議だ。夏の林道にクワガタの気配がない。探し方が悪いのだろうか。それとも標高1000mの場所と言ってもまだ気温が高過ぎるのだろうか。しかし、環境は抜群に良い事だけははっきりと見て取れた。ブナの大木とその朽木が当たり前のように無数に生えている。その大木の朽木が1 本でも平地にあったとしたら、もうそれだけでそこに大物がいるのではないかと考えてしまう程の印象だ。抜群の環境とその雄大さは自然の懐の深さを見せ付けている。
子供は度々親が制止するのを直ぐに忘れて林道をはしゃいで走ってばかりいた。危なくて全く目が放せない。只子供としてみれば夏の森林の奥地に来て開放感は満点で、とても楽しめたのではないかと思う。だが、はしゃいでいた割りには直ぐに子供は歩けなくなり、林道探索は早々に終了。クワガタの収穫はなしだった。

休憩を取って19時過ぎには活動再開。愈々外灯廻りに出発。2p未満のスジクワの雄を始め、ミヤマの雌と、少しずつ採れ始めた。今夜を通してスジクワの収穫は1匹のみだったが、外灯にスジクワが来たのを見たのは初めてで貴重な体験であった。
期待していた大物は1匹も見る事なく終えたが、コクワかと思っていた雌がリリース前の最後の観察でヒメオオの雌と判明した事、アカアシの雌が得られてアカアシの養殖に挑戦出来る事、ミヤマのタコ採れ体験と云ったように、南会津遠征はそれなりに楽しめた小旅行となった。
林道でのヒメオオ採集はスカを喫しているだけなので、次回は何かしらの成果を上げたい。分からない事だらけなので試行錯誤の連続だ。

■今日の収穫
 林道
  なし
 外灯廻り
  ヒメオオ 1♀ (豊房氏が持ち帰り)
  ミヤマ 2♂♂ 10♀♀(大凡) (1♂ 2♀♀持ち帰り)
  アカアシ 3♀♀ (小生が 1♀ 豊房氏が 2♀♀持ち帰り)
  スジクワ 1♂
  ノコギリ 1♂ 1♀ (つがいで持ち帰り)
  コクワ 5exs (大凡)
  カブト 1♂ 3♀♀
  屍骸は多種で多数



平成20年8月11日 採集 23時 25℃ ポイントTS072808 他

カブトが幾らか減り始めた。一杯で数え切れないという状況から、沢山いても数えられる程度になっている。
ポイントTK080108 でヒラタを見つけた。手には取っていないが、身体の太さ、大顎の長さから間違いなくヒラタだ。40mm強位の少し汚れた雄。8月1日にこのポイントを見つけた時からいたのかもしれない。あの時確認しなかったドルクスはこの雄だったかもしれない。新しい場所でヒラタを見つけたので収穫だ。純粋に嬉しい。

■今日の収穫
ヒラタ 1♂
コクワ 10 + 1 + 1exs (大凡)
ノコギリ 1 + 1 + 0♂♂ 1 + 1 + 0♀♀
カブト 30 + 20 + 0exs (大凡)



平成20年8月13日 飼育 ハチジョウコクワ 八丈町産 WF1

ハチジョウコクワガタ Dorcus rectus miekoae (Yoshida, 1991) (八丈町産 γ系統 WF1 H20.7羽化 新成虫 )

纏め飼いしていた幼虫は去年の11月19日時点で26 匹いて、今日掘り返してみたら無事に羽化していたのはたったの5 匹だった。内訳は1 ♂ 4♀♀で、全て別容器に移し替えた。ハチジョウコクワは余りにも沢山いたので、飼育は完全にいい加減になってしまった。全てに手が廻らずに把握し切れないという苦しい事情もある。殆どほったらかしで累代可能な数が生き残っただけでもマシと考えている。

■今日の収穫
γ系統 WF1 合計飼育個体 5



平成20年8月13日 飼育 ハチジョウヒラタ CBF1 他

ハチジョウヒラタは羽化後間もないにも拘らず首尾良く産卵してくれたようなので、1 ヶ月近く前に雌を取り出していた。だが、採れた幼虫はたったの 2匹で、本格的に産卵するのはこれからのようだ。幼虫を回収したのでまた飼育セットに雌を戻した。

■今日の収穫
ハチジョウヒラタクワガタ Dorcus titanus hachijoensis (Fujita et Okuda, 1989 ) (八丈町産A型 CBF1 雄 56mm H20.3.25羽化 雌 32mm H20.3.20羽化 )
初齢幼虫 1
亜終齢幼虫 1
F2 合計飼育個体 2

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (九十九里平野産 ポイントOS092405 雄 H19.6.21自己採集 WD 38mm 死亡, 雌 H19.9.16羽化 WF1 31mm β系統 )
終齢幼虫 5
幼虫が死亡 -1 (9/28)
幼虫が死亡 -1 (10/3)
雌の蛹が死亡 -1 (10/22)
β系統 F1 合計飼育個体 2

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (九十九里平野産 ポイントTT030907 H19.6.15 自己採集 WD 雄 55mm ) (九十九里平野産 ポイントTT010106 H19羽化 自己採集からの累代 α系統WF1 雌 37mm )
亜終齢幼虫 4
終齢幼虫 6
回収時に亜終齢幼虫を1 匹潰して -1
幼虫が死亡 -2 (10/3)
幼虫が死亡 -1 (10/30)
α系統 F1 合計飼育個体 6



平成20年8月13日 採集 23時 26℃ ポイントTY080507 他

コクワのようなヒラタ
今日の夜のお勤めは自宅から距離のない場所に絞って巡回する事にした。純粋に身体を休める事のない日々が続いている為、毎日かなりしんどくて無理をする気にはなれない。ポイントTY080507、ポイントTY031708、ポイントTD031708、ポイントTS072808、ポイントTK080108の順で廻った。
先ずは7月3日には閑散としていたポイントTY080507 ではカブトで賑わっていた。コクワ2 匹が木の裂け目で動かずに静かにしていた。まだカブトには活気があって飛翔する個体もいた。

ポイントTY031708 は閑散としていた。シラカシの巨木が立ち並んでいるのに寂しい限りだ。但し、カブトの屍骸3匹分が落ちているのを見つけたので、樹液を流して虫を集めている事があるのは事実だ。このポイントを構成する木は余りにも大きい木で、仮に樹液場があったとしても簡単には虫を採集出来ないだろうし、有望な捲れや洞が見当たる訳でもない。周辺の環境が良いだけに大変惜しい場所だ。木の根元で小さいマムシを見つけたが、写真を撮ろうとしたら草叢に潜られてしまった。

ポイントTD031708 には全く虫がいなかった。樹液を出す気配もないし、盛夏でこの状況ではこのポイントは忘れた方が良いかもしれない。ここで5月2日に初コクワを見つけたのは偶然だったんだろう。

ポイントTS072808 では、ここでは予想していなかったヒラタを採集した。最初はコクワかと思う程小さい個体で、25mm 台の極小。27mm の自己最小記録を塗り替えたので大事に持ち帰った。初秋から活動し出した新成虫のように見えるものの、左前脚フ節がないのがやや残念だ。
今日はここで嬉しいような悲しいような事実が判明した。他の採集者が入った跡があったのだ。極小ヒラタが付いていた場所には昆虫ゼリー、他の木にストッキング入りバナナが仕掛けてあった。どの木も噴き出すように樹液がダラダラなのがまた面白い。きっと子供がやってるんだろう。餓鬼共にはどんどん昆虫採集をして貰いたいものだ。そうする事で生き物や環境の尊さが学べるのだ。但し、昆虫採集に当たって、餓鬼共には二つ守って貰いたい事がある。面倒を看る分だけ持ち帰る事と、捲れや洞を破壊しない等の環境に配慮する心得だ。だが、ここではまだ有望な捲れや洞を発見出来ていない。ないのだから壊されようがないのも事実だ。今日はヒラタ以外にはカブトしか観察しなかった。ここでもカブトはまだまだ活況を呈している。

ポイントTK080108 ではカブトがいなくなった。大量に樹液を出している木はないし、元々小振りの木しかないのが痛い。だが、前回に引き続いて今回もヒラタを観察した。今日は珍しい雌を拝む事が出来たのが収穫だ。きっと前回見た雄もどこか見えない場所にいるのだろう。

■今日の収穫
ヒラタ 1♂ 1♀ (25mm の雄を持ち帰り)
コクワ 2 + 2 ♂♂
カブト 10 + 20 exs (大凡)
25mm 台の天然ヒラタ

珍しいヒラタの雌



平成20年8月14日 飼育 ムシモン CBF1 他

昨日から山積みになっている飼育セットを捌いていて、今日はその続き。ムシモンの飼育セットは産卵が確認されて6月には親を取り出していた。その割には採れた幼虫の数は淋しい。飼育セットを作り直してまた親を投入した。
利島産コクワのβ系統赤は、当初4匹いた親は全て落ちたので、プラ・ケースを空ける為に掘り返してみた。材から終齢幼虫1匹を得た以外には孵らなそうな卵を1つ見つけた。他にも見えていない卵や初齢幼虫がいるかもしれないのでばらした材は暫く保管することにした。

作業中、我が家周辺でのツクツクボウシの初鳴きを観察した。盆真っ只中で旧盆の入りであり、完全に秋だ。34℃で滅茶苦茶に暑いが、陽射しの色が幾分落ちて来て夏の最盛期を過ぎようとしている感じだ。

■今日の収穫
ムシモンオオクワガタ Dorcus musimon Gene 1836 (イタリア・サルディニア島 Sardinia Island Italy、雄 α系統CBF1、雌 α系統CBF1 )
亜終齢幼虫 3
終齢幼虫 2
α系統 F2 合計飼育個体 5

コクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) (利島産 β系統赤 WD 雄 35mm 20mm 雌 22mm 20mm これらの親は全て死亡 )
終齢幼虫 1
β系統赤 WF1 合計飼育個体 1



平成20年8月15日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F3

カブトムシ Trypoxylus dichotomus septentrionalis Kono, 1931 (千葉県横芝産 F3 自己採集からの累代 )

お盆が終わろうとしているのに相変わらず熱帯夜が続いてる。赤カブト計画の我が家のカブトは、一昨日の晩に漸く無事に羽化した雄が活動を始めた。
1日置いて今晩飼育容器を覗いたら、2匹の雌が活動を開始していた。容器蓋に噛ませてあるビニールに大きな穴が幾つか空いていることから、既に昨晩の内に活動を開始していたようである。そして、別の雌の蛹の頭が何故か腐葉土上に突き出ているのにも気付いた。その蛹を取り上げてみると前胸と腹部の間辺りに大きな傷を負っていて死亡している事が分かった。さっきまで順調に育っていたと考えられる程、頭部は瑞々しくて綺麗だ。残念な事に先に活動を始めた雌に共食いされた可能性が高い。状況証拠からそれしかないと言える。活動後に一晩餌なしだったのが原因で地中に居残っている蛹が餌食になったようだ。赤カブト計画で生き残っている貴重な個体をまた失ってしまった。赤カブト計画を始めて今年で 4年目になるが、カブトは幼虫から成虫迄共食いし易い性質が異様に強い事が分かった。特に雌の肉食性が高い。共食いをするのは今のところ雌だけと言っても良い。
取り敢えずは 1 ♂ 2 ♀♀ が得られたので無難に子孫が得られそうだ。今年で赤カブト計画の累代が途切れるかと諦めかけていたので大変嬉しい。
因みに無事に活動を始めた3 匹の色であるが、黒はいないものの、雄は普通の赤で橙には程遠く、雌は2 匹共微妙に赤い程度で一見して普通の雌のような色だ。なかなか橙色には固定しないようだ。今年は得られたF3 成虫が必要最低限の数なので、親の色を選べないのが辛いところだが、血を絶やさずに累代して行く心算だ。カブトを絶やさずに累代するのは意外に難しい。

■今日の収穫
蛹が共食いされて −1
F3 合計飼育個体 4 (内 3 匹が羽化後に活動済み)



平成20年8月18日 採集 20時 24℃ ポイント自宅

犬の散歩でポイント自宅の西側に行ってみた。サイカチにカブト 1匹、シラカシにコクワの雌 1匹を観察した。19時前にはもう殆ど暗くなるようになった。

■今日の収穫
コクワ 1♀
カブト 1♂



平成20年8月20日 採集 18時半 28℃ ポイント自宅

樹皮が剥がされている
犬の散歩でポイント自宅の西側に行った。サイカチに雄のカブトが 1匹付いていると思って写真を撮ったら、雄の下に雌も写っていた。暗くてよく見えていなかった。18日と同じ樹液場だ。
シラカシには虫は何も見当たらなかった。まだ薄明るくて暑いので時間が早いのかもしれない。一番手前の木の樹皮が剥がれている。如何にも人に剥がされたような痕だ。近所の餓鬼共がコクワでも採ろうとしたのだろうか。それとも樹液を出そうとわざと傷付けたのだろうか。今年は枝を剪定されてしまったので樹液が出ているのを見る事はなく、ここで虫が採れるのを知っている他の誰かが、わざと樹液を出させようとしているのかもしれない。それとも偶然に傷が付いた?

昨日から夜暗くなると、秋によく目立つコオロギの鳴き声が際立つようになった。18時を過ぎるともう薄暗い。日中はまだ真夏の様相だが、雨が降る度に少しずつ涼しくなっているように感じる。

■今日の収穫
カブト 1♂ 1♀
サイカチに付くカブトムシつがい



平成20年8月21日 採集 13時 真夏日 某所

嘗ての御神木 その壱

嘗ての御神木 その弐
夜勤明けの仕事帰りに新築中の家の用事があって建築会社に寄った。夜勤明け後の用事でくたくたになりながらも、ふと思い立って嘗てのカブト・クワガタ御神木を見に行った。建築会社への道中に近いと言うのも理由になっているし、同行家族なしの一人であったからと言うのもある。実は今年の春先に一度下見に来て健在だったのは知っていたが、時期が時期だけに虫が付くがどうかは不明であった。今日の訪問ではっきりさせたかった。

建築会社へ行く前の午前10時頃、まだ時間に余裕があったので嘗ての御神木であるサイカチの木に寄った。小生が生まれて初めて御神木としてカブトを採りまくった木だ。その後30年も経っているが、木はまだ残っていた。それもその筈、或る由緒ある理由があって、現在は町の文化財に指定されているのだ。
しかし、当時と比べると明らかに樹勢が衰えてしまっている。樹齢300年以上と言われており、当時の時点で老木であったが山親父風の幹はどっしりとしていた。二股状の下部、股の付け根辺りに捲れがあってそこから毎年のように夏になると樹液が流れてカブトやコクワが集っていた。この辺ではヒラタは珍しかったが、たまに小さい個体が採れていた。この木で採れたかどうかは覚えていない。今は木の裏側が朽ち崩れて辛うじて生きているような状態だ。二股状の下部は見る影もなく崩れ去って跡形もない。樹液が出る訳もなく、当然の如く虫は付いていない。
周辺の環境も激変した。スダジイで構成された鬱蒼とした農家の屋敷林は、悉く伐採されて開けた宅地で埋められている。小生が住んでいた家の敷地ですら山親父風のスダジイがあったが、今は新規に移住して来た人達の宅になっている。勿論、整地されてスダジイのスの字もなく、如何にも想像出来る最近の家になっている。
はっきり言って、この貴重な古木を町の文化財に指定しておいて、どうしてこんな扱いを受けているのか分からない。30年前は周囲がアスファルトで固められていた筈もなく、今のこの扱いは意図的にアスファルトとコンクリートで固めて乾燥させて枯れさせようとしているとしか思えない。この古木を本当に大事にしたいのなら、周囲を土に戻すべきだと考えるのは私だけだろうか。
写真を撮ろうとデジカメを構えていると、近所の方らしき初老の男性が通り掛ったので挨拶をした。するとその方から「良い趣味ですね。」と言葉を掛けられた。良い趣味とはどんな趣味に映ったのだろうか。まさか虫採り趣味で写真を撮ろうとしていたとは思われなかっただろう。小生も虫採りには余りにも良い年のオジサンだし、まさか大昔にここで小生がカブトを採っていたとは思わないだろう。

建築会社の用事が済んで帰り道に、もう一つの嘗ての御神木に寄った。30年前と全く変わらず同じように樹液を流して、昼間にも拘らずカブトとコクワが集っていた。感激だ。当時と変わっていない。来るまでの道が上り坂になっているので、小学生の頃は同級生と木に行き着くのを競って採りに来たものだ。今日は観察していないが、当時と同様にここならノコギリもいるだろう。周辺の環境も何らまるで変わっていない。只、気になるのは、目当ての木は30年も経って全く生長しておらず、大きくなった様子は微塵も見受けられない。幾分老化して樹勢がなくなりつつあるようにも見える。適度に大きい木ではあるが、この様子だとこの場所では巨木には成り得ないのだろう。木が生長するには根もそれなりに地中で広がる必要があるのだろうし、この場所ではこの大きさが限界なのだろう。
この場所は虫の集る木がたった3 本しかなく、主に採れる木は1 本で、それでもこの場所に来て目当ての虫が1 匹もいなかった事はない。決して期待を裏切らなった場所だ。この素晴らしい場所は30年という年月を経た今でも健在だった。嬉しい。また更に30年後も変わらず残り続けてくれるのだろうか。その頃の小生も同じように健在なんだろうか。ここの環境も小生もそうあって欲しいと願っている。

■今日の収穫
コクワ 1♂
カブト 1♂ 4♀



平成20年8月22日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F3

カブトムシ Trypoxylus dichotomus septentrionalis Kono, 1931 (千葉県横芝産 F3 自己採集からの累代 )

昨日は夜間出撃するのに都合が良かったのだが、夕方から生憎の土砂降り大雨で上がったのは20時過ぎで、縁って自宅内待機になった。その後は気温が落ちて、今日の日中は北風の影響もあるのか気温が上がらず、13時の時点で24℃と、8月になってから初めて夏日にもならない日となった。夕方からは長袖でも良い位に涼しい。半袖だと寒い位だ。それでも日中に時々ではあるが陽射しが出ようものなら、まだ暑いのは相変わらずで残暑は続いている。
日中の作業は適度な気温の御蔭で進め易かった。明るい内に見た生き残りの3 匹は、夜間の印象とは打って変わって、赤カブト計画の累代子孫らしく案外赤かった。良かった。普通よりも確実に赤い。橙迄行かないのが残念ではあるが、来年の子孫の色が楽しみだ。今日やっと今年分の飼育セットをコンテナに組む事が出来た。F3幼虫の最終確認として飼育していた特大プラ・ケースを暴いてみると、一番大きかっただろう幼虫の屍骸の一部が出て来た。黒くなった皮だけだ。生き残った 3匹の大きさは普通かやや小粒なので、一番大きかった幼虫が孵らなかったのは心残りだ。
飼育セットを組んだので、めでたい記念撮影と行きたいところだったが、雌共は直ぐに腐葉土中に潜るわ、雄は昼間にも拘らず直ぐに飛ぶわで、全く皆揃った写真を落ち着いて撮る事が叶わなかった。手に取って刺激すると、コガネムシが前脚を振り翳して威嚇するのと全く同じような仕草を3 匹共同様にしている。去年幼虫を得た時点では得られる成虫がこんなに少なくなるとは思いも拠らなかったが、生き残った頗る元気な 1 ♂ 2 ♀♀の構成でしっかり子孫を残して貰いたいものだ。

■今日の収穫
幼虫が落ちて −1
F3 合計飼育個体 3 (3 匹全て羽化後に活動済み)
平成20年度の赤カブト飼育セット



平成20年8月23日 採集 2時 20℃ 某所

明日と言うか今日は仕事が休みなので、夜勤の帰り道に3 箇所を訪問した。時刻は丁度、草木も眠る丑三つ時と言う奴で、深夜と言うか早朝と言うか。お盆過ぎで時期外れの感を否めないが、因みに小生は幽霊は全然怖くない。多くの大人がそうだろう。一番怖いのは悪い事をするヒトだ。家の子供らがよく幽霊を怖がる時に、小生は口癖のようにこの台詞を言っている。そして、倅も親父の真似をして事ある毎によく同じ台詞を口にする訳だが、倅は我が家で一番の小心者で恐がり屋さんで泣き虫なのだ。5歳なので仕方がない。物心がつく頃には有言実行になって欲しい。
昨日は曇り空が続いて日中でも気温が上がらなかったので余り期待が出来ないが、行ける時に行かないと今年の採集時期を逃してしまう。今年の採集時期も後残すところ1ヶ月程度になった。悔いのない平成20年度にしたい。日中で24℃、夜間で20℃だ。一般では過ごし易いと言われて歓迎される気温だが、虫採りには肌寒く虫の活動も鈍るし敬遠したい日だ。夜間は半袖でも良い位の涼しさで、油断すると風邪を引きそうなので注意したいところだ。
成果はと言うと、気温が低い割には悪くはなかった。但し、可能性で考えるなら、九十九里平野でこの気温だと大物は絶対に活動していないし出て来ないと言える。得られるのは行動したと言う自己満足のみだ。

■今日の収穫
コクワ 3 + 10 + 8 exs (大凡)
カブト 3 + 28 + 10 exs (雄の方が多い)



平成20年8月23日 飼育 アカアシ 南会津産 WD 他

以下の飼育セットを新規に組んだ。冬の休眠前に幾らか産卵して欲しい。アカアシクワガタの養殖の試みは初めてになる。雄なしの雌単独なので未交尾の可能性も捨てきれないし、温度が高くても繁殖しないクワガタだ。遊ばせとくのは勿体無いので、先ずは試しに産むかどうかやってみる事にする。
リュウキュウコクワは1 つがいから増えたWF1 達の中から1 ♂ 3 ♀♀ だけを分けて、これらの子孫は屋外で二次醗酵マット飼育専門として、インラインからのβ系統とする。従ってリュウキュウコクワの別血統は今後も入手しない方針だ。

■アカアシクワガタ Dorcus rubrofemoratus rubrofemoratus (Vollenhoven, 1865) (南会津産 WD H20.8.9 自己採集 雌 28mm )

■リュウキュウコクワガタ Dorcus amamianus nomurai Mizunuma, 1994 (沖縄本島国頭村産 β系統WF1 自己採集からの累代 雄 H19.10羽化 24mm 雌 H19.5羽化 24mm 25mm 26mm )



平成20年8月23日 飼育 スジクワ 千葉県房総産 WD

スジクワガタ Dorcus striatipennis striatipennis (Motschulsky, 1861) (千葉県房総産 自己採集 H19.9.8 WD 雄 25mm(死亡), 22mm 雌 19mm )

22mm の雄が落ちてから優に1ヶ月以上が経った。雌はそれよりも更に1ヶ月以上前から姿を見ていないので先に落ちたようだ。しかし飼育容器壁面から幼虫が見える事はなく経過している。全く期待せずに飼育セットを掘り返して、予想していた事態を確認したのみだった。
スジクワはマットにも産むのに昨秋から今春にかけての今回の飼育セットで産卵しなかった。敗因の一番の可能性として考えられるのは、採集した時点で雌は産み切っていたと言う事だろう。我が家でミヤマクワガタには産ませられたのに、スジクワが駄目というのはないだろうと思う。
養殖を目的としたスジクワの採集は秋よりも初夏の方が良いのだろうか。新成虫が出現する時期と回数は地域によって違うと考えられるので、採集数と飼育事例を重ねないと全く分からない。

■今日の収穫
スジクワ玉砕



平成20年8月23日 飼育 ハチジョウコクワ 八丈町産 WD

ハチジョウコクワガタ 雄
ハチジョウコクワガタ Dorcus rectus miekoae (Yoshida, 1991) (八丈町産 β系統 WD H19.9.1採集 雄 2 雌 6 未計測 )

天然成虫雌雄合わせて8 匹は採集されてから1 年近く経ったのにまだ健在だ。雄は2 匹共傷や損傷はなし。一方の雌は1 匹を除いて全てフ節取れや顎欠けがある。だが、皆まだまだ寿命が来ているようには見えずに元気そうで、更に多くの子孫が得られそうだ。そんなに増やしてどうするのかと言われれば答えに窮してしまう。敢えて答えを挙げるなら、そういう性分としか言いようがない。これらの成虫8 匹は新規に作った飼育セットに全て一緒に纏め飼いする事にした。
去年得られていたWF1 幼虫で纏め飼いしていた分は先月中に無事に羽化しており、今月には活動を開始している個体がいた。活動していた成虫は取り出さずに餌だけ置いて整理する日を延ばしていた。今日その纏め飼い分の飼育容器を暴いて整理していたら、産卵木なしでマット内に2 つの卵と孵化したての初齢幼虫 1匹を回収した。F2 となる子孫だ。流石は繁殖力と生命力の強いコクワの成せる業だ。纏め飼い分WF1 成虫は雌雄合わせて7 匹を回収した。この中で産卵していた雌がいる筈なんだが、どれなんだろう。分からないので、取り敢えずは雌雄を分けて保管した。今年の飼育セットはまだまだWD の番で、WF1 成虫共の出番は来年だ。

■今日の収穫
β系統WF1
 幼虫が死亡 -1
 β系統WF1 合計飼育個体 12
β系統F2
 卵 2
 初齢幼虫 1
 卵で回収した個体が死亡、1匹は亜終齢で餌交換時に潰し -2 (11/20)
 β系統F2 合計飼育個体 1



平成20年8月23日 飼育 アマミコクワ 奄美大島名瀬市産 F3 他

■アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (奄美大島名瀬市朝戸産 雄 β系統F3 H18.11羽化 25mm 26mm 雌 α系統F5 H19.5上旬羽化 25mm H19.6上旬羽化 24mm)

飼育セットを掘り返して古い産卵木を取り出して新しい産卵木に入れ替えた。取り出した産卵木には多数の齧り痕が見られたので、この材から採れる幼虫の数は期待出来るかもしれない。材はこれから1ヶ月後位を目途に割り出す予定だ。マットの底からは初齢幼虫 1匹を追加した。
去年羽化して遊んでいる雌がいたので、やはり遊んでいる一昨年羽化のβ系統の雄もう一匹と一緒に、全部で 4匹で飼育セットに纏め飼いする事にした。

・今日の収穫
 初齢幼虫 1
 β系統CBF1 合計飼育個体 2


■アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (奄美大島名瀬市朝戸産 F5 α系統 雄 27mm H20.6.19羽化 雌 28mm H19.6下旬羽化 27mm H19.5下旬羽化 )

新規に飼育セットを組んで遊んでいた雄と雌の計3 匹を入れた。



平成20年8月25日 採集 20時 24℃ ポイントYK062008 他

ヒラタクワガタ 雄 55mm

ノコギリクワガタ 雌 36mm
8月の盆を過ぎてからは曇り空か雨の日が多く、気温が上がる日が殆どなくなった。真夏日と熱帯夜を毎日のように繰り返していた時期が懐かしくなりつつある。子供らの夏休みももう終わりを迎えようとしているし、巷では稲刈りも本格的に始まっている。
今日は不動産屋に行く用事があったので、ついでに新築予定地の草取りをして、夜は雨が降らなければ一家で林を廻る予定を立てた。曇り空が続いていたが、幸いにして雨は降らなかったので、ポイントYK062008、HG072707、YT062808 の順に廻った。

今晩は眼鏡を忘れるという失態を犯した。不動産屋の時間に間に合わせるのに家を出る際に急いでいたので、いつもと違う場所に置いてあった眼鏡を持ち出さずに忘れてしまった。だからと言って、せっかく林を廻ろうと都合を割いたし子供らも虫採りを期待していたので、何もせずに帰る訳には行かずに決行した。
林に着いて小生について歩くのは長男のみだ。長女と次女は妻と車中で尻取りや歌当てクイズをして楽しんでいる。懐中電灯で木を照らすが、3m 以上高い場所だともう良く見えない。黒い塊に見える影も何もかも全てが虫に見えてしまう。脇にいる長男に、あれはカブトかクワガタか、それとも陰か何かなのかを聞くと、ちゃんと答えが返って来る。長男は随分と役に立ってくれるようになったものだ。
最初に出向いた場所では大き目のヒラタ を捕まえた。目線の高さにある樹洞から尻だけ覗いていたのを見つけて、鷲掴みして採集した。捕まえる前に写真を撮る余裕はなかった。尻だけ見えている時点では、艶と形からヒラタの可能性が高いとは踏んでいたが、もしや大物という期待もあったのだ。右大顎が欠けていたが大き目なので車迄持って行って計測してみた。思ったよりも大きくて55mm もあった。小生のヒラタ自己最大をもう少しで上回るところで惜しい大きさだった。ここでは他にカブトやクワガタを見ることがなかった。この古木は大物な主の独壇場になっているように見えた。
昼夜とも気温が悪くなかったにも拘らず、最終的には成果は今ひとつだった。実際に虫の数が少なくなったのも事実だろうが、今日は見えるべき虫が見えなかったと言うのもあったのではないだろうか。

■今日の収穫
ヒラタ 1♂ (55mm 計測後解放 )
ノコギリ 1♀ (36mm 計測後解放 )
コクワ 7 exs
カブト 5 exs



平成20年8月28日 飼育 トクノシマコクワ 徳之島 WF1

トクノシマコクワガタ Dorcus amamianus kubotai (Fujita et Ichikawa, 1985) (徳之島産 α系統 WF1 H18.7羽化 雄 34.3mm 雌 30.5mm )

成虫の状態確認と産卵木の交換をした。掘り返して材の欠けた部分から初齢幼虫が2 匹出て来たが、幼虫は取り出さずに交換した材と一緒に保管した。成虫は雌雄共全く草臥れた様子はなくピカピカで健在そのものだった。

■今日の収穫
終齢幼虫 1
α系統F2 合計飼育個体 21



平成20年8月28日 飼育 アマミコクワ 奄美大島名瀬市産 F4

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (奄美大島名瀬市朝戸産 F4 α系統 H17.11.17購入 雄 死亡、雌 H16.12羽化 29mm )

飼育セットを掘り返してみた。越冬後に雌の安否は未確認の儘だったものの、餌は少しずつ食べたような痕があったので生きてはいるようであった。去年の9月13日に産卵木を交換後は全く産卵していないようで、材は手付かずの様子であった。材を取り出してマットを掘り返していると、何とぴんぴんしている雌が現れた。まだ生きている。凄い。この雌は成虫として羽化後もう直ぐ丸 4年になる。こんなに小さな虫なのにオオクワ並みの長寿じゃないか。その上、全体的にやや汚れているのを除いて、身体に損傷や傷はなく、両大顎先端が若干磨耗しているのみの健在振りだ。
まだ元気なのに産卵しないのは、1年以上未亡人になっている事が原因かもしれない。そこで、新成虫で元気な若造である雄をこの婆さんに宛がって、精気を養って貰う事にした。何を隠そう、この若造は婆さんの直系の孫に当たるのだが、別の血が混ざっているので完全な近親相姦ではない。従って、得られる子孫の遺伝的問題は無視しても良いだろう。雄の詳細は、27mm β系統CBF1 H20.7.7 羽化だ。婆さんとの間に生まれる子はα系統にする予定だ。

■今日の収穫
なし
α系統F5 合計飼育個体 13



平成20年8月28日 採集 23時 26℃ ポイント自宅 他

朝方に大雨が降ってその後は曇ったり晴れたりで、一旦陽が差すと暑くなるので今日は日中の最高気温が30℃迄上がった。久しぶりの真夏日で身体に堪える暑さだった。ちょっと動いただけで汗だくだ。夜間も気温はさほど下がらずに熱帯夜となった。
先ずはポイント自宅。犬の散歩で西側に行ってサイカチとシラカシを見たが、いつもの場所の樹液場にはいつものカブトの姿はなく、樹液のみが流れているだけで閑散としていた。他の虫も付かないものだろうか。
その後は毎度の夜のお勤めに出て、自宅から車でそれ程時間の掛からない場所を巡回した。結果は本格的な秋の到来を否応なしにも認めざるを得ない状況であった。10日前と比べて虫の密度はすっかり半減した。カブトは綺麗さっぱり雄のみで雌は1匹も見る事はなかった。1箇所だけではないのが味噌で、きっと何かが関係しているんじゃないかと考えてしまう。雌が1匹もいないのは時期的なものなのか、雨降りが関係しているのかは不明だ。雨降りが関係しているのなら、湿気が強い時程、雌は産卵しようとする事が考えられないだろうか。
木の下でクワガタやカブトの屍骸が目立つようになった。まだクワガタの秋の発生は際立って始まったようには感じられない。樹液場の数が虫の数を勝るようになっており、噴き出すように流れる樹液にまるで虫がいないとか、ヨツボシケシキスイだけとか、カナブンだけとか、洞にムカデかゴキブリだけが入っているとか、そんな状況が散見されるようになった。九十九里平野での実質的な採集期間は1箇月を切っている。欲を言えば、今年中にもう一度大物に出合いたいし、元々狙っている地域では最後に観察してから早2年が経とうとしており、最近は諦め気分が屡頭を過ぎるようになっている。決まった期間に只々機械的に夜のお勤めをこなすのみだ。他の採集者は鳴りを潜めようとしている時期で、林に来るのは本当にマニアかマゾか、それとも小生のように気が違っている輩だけになりつつある。(毒のある発言で悪しからず)

■今日の収穫
ノコギリ 0 + 1 + 0 + 1 ♂♂
コクワ 0 + 7 + 5 + 4 exs (大凡、雌は少数)
カブト 0 + 15 + 5 + 0 exs (数は大凡、いたのは雄のみ)





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