|
| 平成19年11月19日 飼育 ゴトウヒラタ 福江島産 WF1 他 |
|
今日は陽射しを受けることがあっても常に北東から風が吹き付けており、朝から冷え込んで日中ですら気温が10℃に満たなかった。忍耐の虫作業であった。
■ゴトウヒラタクワガタ Dorcus titanus karasuyamai Baba, 1999 (福江島産 WF1 雄 75mm H19.5中旬羽化 雌 36mm H18.11.25羽化 )
19〜24℃で飼育を続けており、盛夏と比べれば餌喰いが落ちているものの、まだまだ雌雄共に元気に活動している。飼育容器を底から覗くと随分前から幼虫がいるのが見えていたが、なかなか手が廻らないのと、つぼに嵌るとヒラタは大量に産むので、来年に繋げるという意味で今年は熱心に幼虫を増やさないようにしようと考えていた。今日は適度に幼虫が採れたし、予想通りに、母虫に喰われた幼虫の屍骸も見つかった。母虫に幼虫が喰われたら喰われたで、良質な蛋白を得たということで母虫には長生きして貰いたいものだ。このセットはもう暫く室内飼育を続ける予定だ。
・今日の収穫
亜終齢幼虫 2
終齢幼虫 1
幼虫が落ちて -1 (12/10)
F2 合計飼育個体 10
■オキナワノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis okinawanus Nomura, 1962 (沖縄本島国頭村産 自己採集からの累代 α系統 F2 )
8月9日からセットしているWF1 つがいからどんどん F2 幼虫が採れている。飼育容器底面からは卵が、側面からは幼虫が見えている。見えている幼虫のみ回収して成虫は別セットへ移動し、このセットは卵が孵って幼虫が幾らか大きくなってから掘り出そうと思う。時期は来春になるだろうか。
このWF1 つがいのセットには、行き場がなくて余っていた雌 2 頭を追加してやった。そんなに増やしても困るだけなので、このセットで最後にしようかと考えている。
・今日の収穫
初齢幼虫 2
亜終齢 1
α系統 F2 合計飼育個体 35 |
 |
| ゴトウヒラタクワガタ |
|
| 平成19年11月26日 雑記 クメジマカブトの幼虫 |
|
縁があってクメジマカブト Trypoxylus dichotomus inchachina Kusui, 1976 の幼虫の世話をすることになった。6頭の終齢幼虫が一時的に我が家に来て、今日また里子でその6 頭が貰われて行った。正確に言うと、或る方が小生に譲ってくれて、以前から貰われる当てがあったので、その方に引き取って頂いた。小生は仲介役のような格好だ。
丸々太った終齢幼虫で、既に我が家で飼っていた横芝産の赤カブトよりも大きく立派になっていた。クメジマカブトで最初に感じた事は、幼虫マットに混じっていた成虫の鞘翅や前胸の部品を見て、ヤマトカブトと比べて艶やかである点だ。一目で何か違うと感じられる程で、亜種分けされていることに疑問の余地はない。
一方、幼虫はどうかと言うと、こちらもヤマトカブトと何かが違う。頭部周りの肉が厚く、全体的な体形がずんぐりしている印象だ。又、幼虫の糞に特徴があって、比べるとヤマトカブトの糞の方が厚みが薄く平べったいという印象である。つまり、クメジマカブトの幼虫の糞は円筒形に近いのだ。オキナワカブト Trypoxylus dichotomus takarai Kusui, 1976 は実際に見たことがないが、きっとクメジマカブトとよく似ているのだろう。
クメジマカブトを目の前にしていると、自分で飼育して増やしてから他人に譲ろうかという余計な誘惑が湧いて来て仕方ないところだが、自分の飼育能力と許容範囲を考えて、早々に相応しい場所へ飛ばすことにした。
沖縄本島の山原(ヤンバル ) の将来もはっきりせずに危機的な状況が続いていると聞くが、久米島はもっと深刻のようだ。元々小さい島である上に、リゾート開発で山が切り開かれてしまっているらしいのだ。更に以前聞いた話によると、林内の過剰整備が原因で昆虫の棲家がなくなっており、クメジマカブトの採集は儘ならないらしい。小さい島なのでクメジマカブトは近い将来に絶滅してしまうかもしれない。
地域振興の為に沖縄は土地柄として観光目的のリゾート開発が避けられないかもしれない。しかし、それが必ずしも住民多数の意思であるかどうかは疑わしい。節度というものがあるのではないか。そういう状況は本土でも同じ事だろう。 |
| 平成19年11月27日 雑記 コクワ亜種の判別 |
|
伊豆諸島各島のコクワガタを一挙に纏めて入手する機会があった。その際に、トカラコクワガタ Dorcus rectus kobayashii (Fujita et Ichikawa, 1985) とミシマコクワガタ Dorcus rectus mishimaensis Tsuchiya, 2003 も一緒に数頭入手した。小生としてはこれらの亜種はそれぞれ2 系統ずつを既に飼育中であったので、特に必要に迫られていた訳ではなかったが、余品ということなので有難く頂くことにした。但し、引っ掛かる条件があって、頂いた状態その儘では、トカラコクワとミシマコクワそれぞれどっちがどっちなのかは鑑定しないと分からないのであった。前飼育者はラベルを貼らずに管理しており、どっちがどっちだったのか確信がなくなってしまっていたのだった。届いたトカラコクワ疑いとミシマコクワ疑いは、雄は個別に容器に入っていて3 頭、雌は 5〜6頭ずつそれぞれ纏めて2 つのプラケースに入れられていた。詰り、全部で5 つの容器がある訳だ。そして、これらはトカラコクワなのかミシマコクワなのかどちらなのかが分からない。(苦笑)
さて、それぞれ容器を開けて順々に見ていった。先ずは雄からだ。あなたはトカラコクワなんだろうか。それともミシマコクワなんだろうか。勿論、本土物よりも明らかな艶があるし、赤っぽい。なんとなく全体的に華奢で、脚が細長い感じはする。しかし、どちらなのかはよく分からんなぁ。艶が強いような気がするからトカラコクワかな。じゃ、次。うぅん、次も同じような感じ。トカラコクワなんだろうか。で、その次もトカラコクワのような感じ。全部がトカラコクワじゃないらしいから、これはおかしい。困った。どれがミシマコクワなんだろうか。分からん。BE-KUWAの日本産クワガタ特集を引っ張り出して、トカラコクワとミシマコクワの写真を見比べた。だが、何も違いは発見出来ない。理屈上は、亜種中一番光沢があるのがトカラコクワ、一番赤味が強いのがミシマコクワで、ミシマコクワはトカラコクワに次いで光沢が強いとさ。実物と写真を何度見比べても違いが分からない。そう言えば、大昔のテレビCM で「違いの分かる男」というコピーがあったなぁ。コーヒーのCM だったっけ。
埒が開かないので、次に雌だ。先ずは最初のプラケース。本土物とは明らかに違う艶で黒褐色だ。雌は雄より判別が難しそうだと考えるのが普通だろうが、そうではなかった。そして、次のプラケース。先程の雌集団よりも上翅中央の光沢が少ない。即ち、トカラコクワとミシマコクワの区別がつくということだ。最初の光沢がより強い方がトカラコクワだ。雌だけ分かった。
結論として、トカラコクワとミシマコクワの雄は、大きな集団としての傾向は亜種分けされた理屈通りだろうが、各々少数の個体を見ただけでは区別が出来ないと言える。違いは個体変異の差の範囲内程度ということだ。但し、雌の場合は、上翅の光沢の違いで判別が可能だ。
ところで、これらの 2種類に更にハチジョウコクワも加わったら、一体どういうことになるのだろうか。その点、ヤクシマコクワだけは、光沢が鈍く、本土亜種よりも確実に赤いので、最も現実的に判別が可能な亜種であろう。
種類が多いのは大変に楽しいことだが、島が違うというだけのような理由で、こんなに判別出来ないクワガタ共が別亜種として扱われて本当に良いのだろうか。それとも小生の知識が悪いとか、目がいけないといった、そういう理由なのだろうか。 |
| 平成19年12月2日 飼育 ミシマコクワ 黒島産 F4 |
|
ミシマコクワガタ Dorcus rectus mishimaensis Tsuchiya, 2003 (鹿児島県大隈諸島三島村黒島産 β系統 F4 F3 の雌親3 頭は全て死亡(H20.4.6) )
9月14日から取り置いてあった産卵木 2本を割ってみた。1本から幼虫4 頭、もう1 本は激しく齧られた痕があったにも拘らず収穫 0 だ。意外に少ない結果だ。今年に採れて健在の幼虫は合計でたったの14 頭だ。
当初3 頭いた雌親は2 頭が生き残っており、死んだ1 頭が残した子孫と考えるとかなり少ない。この死んだ雌は産卵木1本がぎりぎり入る大きさのプラケース小で飼育していた。この大きさだと採れる幼虫はこんなもんだということだろう。プラケース大に雌親1 頭ずつを入れて越冬させているので、来年初夏の産卵に期待したいところだ。
■今日の収穫
終齢幼虫 4
終齢幼虫死亡 -1 (H20.6.17)
終齢幼虫死亡 -1 (H20.7.4)
去年羽化の雄成虫が死亡 -1 (H20.8.18)
新成虫の雌が死亡 -1 (H20.9.28)
β系統F4 合計飼育個体 10 |
| 平成19年12月5日 飼育 コクワ 九十九里平野産 WD |
|
コクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) (九十九里平野産 ポイントTG110706 WD 雌 H19.6.8 自己採集 未計測 )
9月20日に採り出した産卵木を検分した。材は割るまでもなく既に粉砕大鋸屑と少数のボロボロの破片が混合された状態になっていた。得られた幼虫は全部で23頭だ。今年採って来た天然雌1 頭から何とも手軽に増えたものだ。新鮮な腹部のみの幼虫の死体があったので、過密で劣悪な環境下にあると、コクワガタの幼虫は共食いするようだ。今年採れた幼虫の数からして、雌の寿命はそう長くはなさそうだが、最後に見た時にはピンピンしているように見えた。無事に越冬したとしたら、初夏中にまた幾らか産卵して果てるのだろう。
回収した幼虫の半数以上が終齢になっていたが、目立って頭幅の大きい個体は見られなかった。WF1は小粒の成虫ばかりになりそうだ。母虫は野外で交尾済みとはいえ、採集後に49mm の天然雄とつがわせた訳だから、将来的にはF2 辺りで大型の子孫が欲しいところだ。そんな狙いもあって地元ただコクワを飼育しているのである。
■今日の収穫
終齢幼虫が死亡 -1 (H20.4.23)
羽化不全で死亡 -1 (H20.6.4)
幼虫が死亡 -7 (H20.6.13)
幼虫が死亡 -1 (H20.6.17)
幼虫が死亡 -1 (H20.7.4)
幼虫や蛹が死亡 -3 (H20.8.16)
幼虫が死亡 -1 (H20.9.28)
亜終齢幼虫 9
終齢幼虫 14
WF1 合計飼育個体 16 |
| 平成19年12月5日 飼育 アマミコクワ 奄美大島名瀬市産 F3 |
|
アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (奄美大島名瀬市朝戸産 雄 β系統F3 H18.11羽化25mm、雌 α系統F5 H19.5上旬羽化 25mm )
10月6日から取り置いてあった産卵木を割ることにした。2ヶ月も室内に置いていれば幾ら何でも孵ってない卵が出ることはないだろう。手で玉葱を剥がして行くように、材はポロポロと手際よく解体することが出来た。その為、幼虫を潰してしまう危険は殆どなかった。出て来たのは亜終齢幼虫 3頭、終齢幼虫1 頭、孵っていない卵 3個と亜終齢幼虫の屍骸 1頭であった。1 頭の終齢幼虫のみが他の個体に比べて極端に大きく太っていたのが面白かった。孵らなかった卵は丸々とはしていなかったので、恐らくもう駄目かと考えられた。それ故に特に保存を目的とした処置はしなかった。回収した幼虫の餌は、母虫と同じく自作二次醗酵マットである。母虫が羽化したのは今年の5 月であったことを考えると、回収出来た幼虫が少ないとも言えるが、今年中に回収出来たというだけで収穫ではないだろうか。来年は幼虫が沢山採れることを期待したい。
産卵木に作られた卵坐の部位は、多くは切断面である木口である。雌は卵の大きさに見合った小さな部屋を作り、産卵管を挿入して卵を産み落とし、木屑で埋め戻して隠すという手順ではないだろうか。卵坐の入り口は中の部屋よりも若干狭まっているようだ。産卵痕を外から見た形態は木の表面が少し窪んでいるような外観となっていた。又、木口ではなく材の中腹辺りに雌が丁度横に隠れられる程度の坑道を掘って、その中から卵坐を作っている場合もあった。
産卵方法は、コクワガタのように独特の産卵痕を材の表面に残すことはなく、オオクワガタとほぼ同じ様式であると考えられる。
■今日の収穫
幼虫死亡 -1 (H20.5.15)
幼虫死亡 -1 (H20.6.13)
幼虫死亡 -2 (H20.8.16)
亜終齢幼虫 3
終齢幼虫 1
β系統CBF1 合計飼育個体 1 |
| 平成19年12月8日 飼育 コクワ 福江島産 WD |
|
コクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) (長崎県五島市冨江町長峰(福江島)産 α系統 WD 雄 H19.6.2活動 41mm、雌 H19.1.25採集 未計測 2頭 )
7月20日に成虫をセット、9月3日に産卵木を取り出して保管していた。成虫は既に屋外で冬眠させている。10月には飼育容器壁面から多数の幼虫が見えていた為、産卵木を割れば手に余る程の幼虫が得られると考えていた。
ところが、今日の寒い中、産卵木を実際に割ってみたところ、確認出来た幼虫はたったの6 頭であった。幼虫が沢山見えていた頃から数えると1ヶ月半が経っている。得られた幼虫の内訳から、大き目の亜終齢幼虫と終齢幼虫が少な過ぎると考えられる。採れた亜終齢幼虫は皆初期段階の小さい個体だ。このことから、このセットのコクワ幼虫はかなりの数が共食いで減ったと考えられる。予想していた数の半数以下の幼虫しか得られなかった訳だ。只、材の中心部分は堅くて割るのを止めたので、この中にもう1〜2頭の幼虫がいるかもしれない。
それにしても少な過ぎる。短いながらも幾らかコクワをやっている経験上、幼虫が何頭かいるのが確実なら、産卵木1 本を割れば、少なくとも10頭の幼虫は採れた筈である。この産地のコクワ幼虫は共食いし易いのだろうか。考えようによっては、コクワは増え過ぎて困ると言われているので、こんな感じで減ってくれるとお手軽な飼育が楽しめると言えるのかもしれない。
今日の作業で今年予定していた産卵木の殆どが処置済みとなった。後は幼虫が増える予定としては、地元ヒラタの産卵木1 本、暴いていない房総ミヤマの産卵セット1 つ、オキナワノコギリの成虫飼育セット2 つ、ハチジョウコクワの成虫セット1 つが挙げられる。どれも産卵や幼虫の存在を確認しているので、掘り出し材割作業をすれば更に幼虫が採れるのは確実だ。
■今日の収穫
初齢幼虫 1
亜終齢幼虫 4
終齢幼虫 1
WF1 合計飼育個体 6 |
| 平成19年12月10日 飼育 ハチジョウコクワ 八丈町産 WD |
|
 |
| ハチジョウコクワガタ 雄 |
|
ハチジョウコクワガタ Dorcus rectus miekoae (Yoshida, 1991) (八丈町産 β系統 WD H19.9.1採集 雄 2 雌 6 未計測 )
11月27日に伊豆諸島各島のコクワガタを入手したことを書いたが、この時に沢山のハチジョウコクワガタも我が家に迎えられたのである。ハチジョウコクワも元々我が家に幼虫が19頭いたのだが、新たに加わった成虫と幼虫、及び、今日採れた幼虫を足すと、全部で軽く50頭を超えてしまっている。何頭いるのか数えたくない状態だ。大変ヤバイことになっているので、10頭程度の成虫を職場の同僚に里子として配ることにした。本当はもっと配りたいのだが、細かい産地名の都合でこの数になっている。
里子に貰ってくれる同僚は、当然のことながら虫マニアなんぞではなく、採集したカブトムシやクワガタを自宅で飼っても、その夏限りで終わらせてしまう極普通のヒト達である。勿論、それ故に、ハチジョウコクワは亜種であることや、飼い方の注意点、放虫してはいけないこと等を説明し、それらを纏めた冊子のコピーも虫と一緒に付けて渡す予定だ。飼えなくなったら小生がまた引き取るという言葉も加えている。
■今日の収穫
幼虫が死亡 -1 (H20.7.4)
幼虫が死亡 -1 (H20.8.16)
羽化後の成虫が死亡 -2 (H20.9.28)
亜終齢幼虫 12
終齢幼虫 3
β系統WF1 合計飼育個体 11 |
| 平成19年12月13日 飼育 オキナワノコギリ 沖縄本島産 WF1 |
|
オキナワノコギリクワガタ Prosopocoilus dissimilis okinawanus Nomura, 1962 (沖縄本島国頭村産 自己採集からの累代 α系統 WF1 H19.6羽化 雄 50mm 雌 30mm )
羽化後に1越せずに活動を開始した個体達で2 セットを組んであり、1セットからはF2 幼虫が30 頭以上採れている。そんなに増やしてどうしようと言う訳でもないが、とにかく増えている。どんどん増えるんだろう。来年辺りはあんまり増え過ぎて困った事になっているかもしれない。
事故死のような事例を除けば、今年活動したWF1 個体の殆どがまだ元気に生きている。2♂♂、5♀♀の計7 頭だ。室温が20℃を切ってしまうと滅多に餌を食べている姿を見ることはないが、それ以上の温度であれば雌雄共しっかり活動している姿が見られている。只、20℃前後で活動するかしないかというぎりぎりの温度帯だと、雌の産卵活動は止まるようだ。最近は飼育容器壁面で全く卵が見られないし、マット内を雌が掘り進んでいる気配もない。
完全な夜行性で、日中に薄暗くても活動しているのを見ることはない。まさか来夏まで生きているとは考え難いが、適度に活動出来る温度にしてやれば、春までは鑑賞して楽しめるかもしれない。 |
 |
| オキナワノコギリクワガタ |
|
| 平成19年12月18日 雑記 コクワ亜種の判別 その二 |
|
 |
| トカラコクワガタとミシマコクワガタ 雄の比較 |
 |
| トカラコクワガタとミシマコクワガタ 雄の比較 |
|
11月27日の雑記 「コクワ亜種の判別」 のその後を記す。
晴れていたので、例のトカラコクワガタ Dorcus rectus kobayashii (Fujita et Ichikawa, 1985) 疑いとミシマコクワガタ Dorcus rectus mishimaensis Tsuchiya, 2003 疑いの雄 2頭を比較用に並べて写真を撮ってみた。コクワガタとしては赤褐色で艶が強く、間違いなく本土のコクワガタとは違う雰囲気を持っている。双方とも体長40mm 以上の立派な個体で申し分なく、且つそれぞれの体長に大きな違いはない。
並べて写真を撮って比べると、その全体的な艶の強さに微妙な違いを見出すことが出来た (ような気がする)。勿論、形態で区別することは不可能である。何の違いもない。だが、このダイヤモンドは天然物 ? 人工物 ? という次元に近い気はしないでもないが、どちらがあれでどちらがこれでというのなら、こちらがあれで、あちらがそれでと決められるような、頼りないような、それでもなんとか区別が出来るようになった (ような気がする)。光の加減を色々と変えて辛うじてという感じだ。
この違いは個体差の範囲を超えた違いと言えるんだろうか。又は、違う亜種として扱うような或る範囲を超えた違いと言えるんだろうか。そもそも分類上、亜種分けする際の明確な基準というものはあるのだろうか。この 2枚の写真中、各個体の左右の位置は入れ替えなしで同じである。だから、左があれで、右がそれでと区別出来る訳だ。 |
| 平成19年12月19日 雑記 初霜 |
|
九十九里平野ではこの冬初めての霜が降りた。北総台地ではこれより半月以上は早かったと思う。今朝出勤しようと車に乗り込んだら窓が完全に凍っていた。水道のホースから直に水を掛けて溶かした。水道の水が凍ったり、水溜りが凍って滑りやすくなったりするようになると、本気に真冬であることを認めるが、ここ数年はそういうことが少なかったような気がする。
※後に妻からこれより 2〜3日は早く霜が降っていたことが知らされた。その日は小生は仕事が休みで、起床も外に出るのも遅かったので気づかなかったということだ。
30年前迄の九十九里平野ではその辺の池に氷が張ることはよくあったし、そんな池では夏になるとゲンゴロウやタイコウチ、メダカが極普通にいたものだ。そんな水棲生物は随分と前から見る影もなく地域絶滅種となっているし、千葉県全体で見ても稀少種であるし絶滅危惧種のような存在となってしまっている。動植物が棲めない土地にヒトにも害がなく安心して住めるものだろうか。
世界規模の問題として地球温暖化が騒がれるようになり、某国の元副大統領が今年になってこの件でノーベル賞を受賞したという流れは象徴的である。 |
| 平成19年12月21日 雑記 コクワ亜種の判別 その三 |
|
月刊むし No.438 August 2007 クワガタ特集号・19 を入手した。細谷忠嗣先生、荒谷邦雄先生方の「ヤエヤマコクワガタは何者か?〜DNAからのアプローチ〜」の研究記事が欲しかったからだ。
この記事の中で、ミトコンドリア DNA の16s rRNA 遺伝子の一部990 塩基対を用いて作られた分子系統樹が掲載されているのだが、リュウキュウコクワガタに纏わってコクワガタの系統も一緒に示されて比較されていた。 (但し、残念なことに唯一ハチジョウコクワガタだけがサンプルから抜けている。何故なのだろうか。非常に残念だ。) ここで系統樹の分岐に面白い事実を見出した。簡単にあらましを言うと、コクワガタとリュウキュウコクワガタの間の塩基置換率は明らかに高く、完全に別種であること、リュウキュウコクワガタは亜種内での塩基置換率が高く、分化が進んでおり、特に中でもヤエヤマコクワガタだけが亜種中最も分化が進んでいるということ、トカラコクワガタとミシマコクワガタ、及びヤクシマコクワガタの遺伝上の分化は乏しく、それぞれ亜種間の分化を話す以前に、各亜種の分岐の仕方でも規則性が乏しく、例えば、トカラコクワガタは系統樹内で亜種的な分岐をすると言うよりも、寧ろ本土・九州内地産コクワや朝鮮半島産コクワの方が遺伝上近いこともあるということが示されていた。即ち、大陸や本土、更には離島亜種の違いに関係なく、各地のコクワガタの遺伝距離は、ミトコンドリアから見る限りどれもそれ程大きくはないということだ。流石に、日本で最も身近で普通に見られるコクワガタだけあって、全国的に遺伝的分化が余り進んでいないのである。
それ故に亜種分けされているコクワガタの同定を小生が出来なかったとしても、何も咎められる事ではないのだ。そんな言い訳を思いつくのだが、だからと言って、今回のようにどの亜種なのか分からない個体が何頭かいた場合の判別には苦労せざるを得ないし、飼育者としては、こういう事は後々のその虫の飼育にも影響するのである。間違って幼虫が廃棄マットに混入していたり、脱走していた成虫が見つかったり、はたまた、捨てた餌の中から雌成虫がひょっこり出て来たりと、意図せずとも亜種の同定に迫られる事態は起こり得るのだ。どの種類なのか判然としない虫に、或いは言い換えれば産地がどこなのか分からない虫に、愛着を持ってその後何世代にも亙って大事に飼うことが出来るだろうか。仮にそれがコクワガタであっても、元々遺伝的距離が遠くない亜種同士だから問題ないという割り切りも出来まい。亜種分けとはまた別に広義の地域個体群としての役割も考えるべきだと信じている。生き物を扱っているという趣味の性格上、遺伝子汚染、(意図しない場合も含めた)放虫問題、環境問題に対してそれは許されないのである。 |
| 平成19年12月22日 雑記 冬至 |
|
今日は冬至だ。明日からまた1日毎に半年間に亙って日照が伸び続けることになる。昆虫採集の日も近付くという訳だ。コクワが普通に野外の樹液場で見られるようになる迄、差し当たり残すところ5ヶ月弱といったところか。待ち遠しいなぁ。
以下は広辞苑からの引用だ。
とう‐じ【冬至】
二十四節気の一。太陽の黄経が270度に達する時で、北半球では、正午における太陽の高度は一年中で最も低く、また、昼が最も短い。太陽暦では12月22日頃。日南至。<(季)冬>⇔夏至。 |
| 平成19年12月30日 雑記 血が濃くなっても累代を続けられる秘技 |
|
以前から親交のある Dorcus parallelipipedus fan site の掲示板に11月11日に投稿した内容なのだが、とても興味深いので自分の日記にも残しておこうと思う。以下は、同じ1 つがいの親から始まった子孫達を飼っていて、血が濃くなっても材飼育で累代を続けられるという意見に対して、小生が返信した内容である。虫日記向けに幾らか修正を加えた。
ここで、クワガタの分子系統学を調べていて気になっていたことがある。以前、豊房さんと意見交換した中でも挙がった研究論文だ。
===============================================
日本産クワガタムシの分子系統学的研究
松 岡 教 理*1・細 谷 忠 嗣*2
*1 弘前大学農学生命科学部分子進化学研究室
*2 弘前大学理学部生物学科
(2002年9 月10日受付
===============================================
http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/JASI/college/college/hirosaki-seimeikagaku.html
これは、ミトコンドリアRNAから割り出す系統分析ではなく、クワガタの筋肉から抽出した蛋白質を元にしたアロザイム分析によるアイソザイム変異からクワガタの系統を調べた研究だ。この論文の中で、クワガタや昆虫類について、他の生物では観察されない特異な現象として、タンパク多型現象、多型的遺伝子座という遺伝的変異が高い割合で含まれているということが述べられている。論文の中では、これはクワガタの進化速度が早いことに関係しているかもしれないことに言及されているが、素人ながら、小生としては、これは近親交配を繰り返した世代が続いても、クワガタを飼育し続けられることとも関係しているのではないかと想像している。
例えば、哺乳類では、近親交配をした場合、良い因子も悪い因子も関係なく独特な形質がより強調された子孫が生まれ易いのだとする。悪い因子が出る可能性も高いので、悪い因子を引き継いでしまった場合は、良い因子を引き継いでいるかということとは無関係に、悪い因子が致命的欠陥として目立つのだと考えられる。
これに対して、昆虫の場合はどうかというと、遺伝的変異が高い訳だから、近親交配であっても、他の生物から比べれば、まるで別の血統であるかの如く子孫が得られ易いのではないかと想像している。
同じ原理で、反面、ヒトは親子だと顔や体形が良く似るものなのだが、昆虫の場合は、それ程は親子の特徴が酷似することはないだろうとも考えられる。
近親交配で世代が続いた場合、血の入れ替えの代替手段として材飼育が有効とのことであるが、もし、それが支持されるのなら、例えば、室内飼育と屋外飼育の違いでも似たような効果が期待出来るのではないかと想像する。つまり、異なった環境下で成育した場合、適応という観点から、遺伝的変異が高い生物は、その状況で更に遺伝的な適応と変異を起こしているんじゃないか、だから、たとえ1世代でも成育環境を変えることで血の入れ替えと似たような効果が得られるのではないかと、根拠があるような、ないような考えを巡らせている、以上は中年なりかけ親父の戯言である。 |
| 平成19年12月30日 雑記 新成虫を蛹室から取り出すことの弊害 |
|
以前から親交のある Dorcus parallelipipedus fan site の掲示板に某日のこと投稿した内容なのだが、とても興味深いので自分の日記にも残しておこうと思う。以下は、羽化後の新成虫を蛹室から無理矢理取り出すことの弊害について、小生が返信した内容である。虫日記向けに幾らか修正を加えた。
クワガタの羽化後の様子を観察していると、蛹室内で虫は半日程度の単位で、腹臥位、側臥位、仰臥位といったように体勢を変えている。変態時には昆虫は見た目の外骨格以外にも、内臓でも形態の激変が起こっていることが予想される。半日単位で体位を変えているのは、外骨格を安定させて固めるという目的のみでならず、寧ろ、内部器官の安定化を図っていることが最大の目的であろうことが容易に想像される。これには羽化から間もない程、体位変換の必要性が高い筈で、外骨格が固まった後も、暫くはその必要性は変わらないと考えられる。何故なら、外骨格は空気に触れて乾燥して固まるのが早いのだが、内部器官は、生命活動による体液の流れがあるので常に湿った状態に置かれており、外骨格に比べれば、組織が安定するにはかなりの時間を要する筈だからだ。
それ故に、たとえ虫の見た目が色付いて固まっているように見えていたとしても、その虫の内部器官も同様に安定したとは言い切れないかと考えられる。外部も内部も安定して活動の準備が出来るのには標準的な時間があるのだろうが、その虫の種類や温度、それに湿度等の環境条件でも大きな違いが生じる筈である。
もし、内部器官が未熟の状態で人為的に取り出されたのなら、その虫の内部器官には微小な変形を各所に引き摺ることだろう。それは後々に血流障害を起こして内臓の萎縮を来たし、遂には機能障害となることだろう。即ち、死に至る訳だ。
因みに、小生は、避けられない事情がある時以外は、全て蛹室を自力脱出する迄放置している。羽化後1ヶ月位でも取り出して大丈夫だと言われることがあるが、それは虫の内部器官の都合ではなく、そう話している飼育者の都合ではないだろうか。虫にとっては、人為的に取り出されたその時点で、影響が見えない範囲で不都合を背負っているのかもしれない。 |
| 平成19年12月30日 雑記 稀少種のオークション売買について |
|
インターネットでのオークションで以前から気になっていたことに、稀少種の売買がある。「近年では本当に数が少なくなって採るのが大変で・・・」、「採集ポイントが開発されてなくなってしまうので・・・」、「稀少種なのでこの値段から(似たような他種と比べてかなり高値)・・・」等と、その種の生存が危機に瀕しているということをはっきりと認めた文章で前置きしておきながら、材割で得られた天然の幼虫を堂々と売っている輩が存在している。昆虫愛好家としては、幾ら稀少で高値であっても、その昆虫に対する興味はまたそれとは別の場合があるし、珍しい虫を入手出来るのならその費用は厭わないという場合がある。それ故に、探究心による興味や収集欲によってその昆虫の入手の経緯はまるで無関係に取引が成立することがある。
小生の個人的な意見としては、「近年では本当に数が少なくなって採るのが大変で・・・」と言うのなら、材割採集するのは言語道断の行為であると考えている。即刻止めて頂きたい。これは一般に言われている材割採集の是非よりも、明らかに罪である。稀少種は稀少であるというだけでなく、近年の殆どの状況は環境破壊による生息域の縮小が最大の問題なのである。だから、その縮小した棲息場所の破壊に追い討ちを掛ける行為となる材割採集は直ちに止めるべきである。棲息場所を破壊しないで、それでも野外成虫が採れたのなら、その個体を売るべきである。或いは、僅かな成虫から養殖して増やしてから売るべきである。それだけやるからこそ高い対価を得られるのだと考える。そうでない輩の心情は、全くの推して知るべしだ。
又、買う者がいるから売る者がいるのである。全ての経済は需要と供給で成り立つのだ。稀少種を入手する場合は、買う側もその入手された経緯を考えるべきではないだろうか。(残念な事に昆虫に限った話ではなく、あらゆる世界で起こっていることで、世界的に日本人の悪行は有名) 入手経路や経緯をはっきり言えない売り手からわざわざ買う必要もないのではないか。それが出来るからこそ、真の昆虫愛好家だと他人に胸を張れるのだと思う。
ところで、この稀少種という判断が難しいという考えがある。何を以って稀少で、どういう基準で稀少なのか、どこで稀少と平凡(稀少種と普通種)の線引きをしたら良いのかということだ。昆虫の世界では、昆虫愛好家間で周知の珍品というのが存在する。珍しいクワガタの幼虫を材割採集出来る腕があるのなら、そういうヒトは周知の珍品の判断がつく筈である。だから、そういう場合はそういうヒトの良心に従えば良いのだと思う。そうでなければ、いずれはその種は絶滅か行政的に採集禁止という手段を辿るしかないのである。昆虫愛好家であるのなら、先ずは愛好家自らの手で可能な範囲で守られるのが一番良いのではないだろうか。 |
| 平成19年12月31日 雑記 今年の総括 |
|
今年は採集活動が充実したとも言える年であったが、総括するには語り尽くせない程に色々な事があった。ヒタラ御神木のあったポイントの消滅「平成19年7月21日 採集 21時 24℃ ポイント自宅 他」や、地元千葉県産ミヤマクワガタ成虫の初採集「平成19年7月8日 採集 房総」、及び地元千葉県産スジクワガタの初採集「平成19年9月8日 採集 真夏日 房総」等が特に印象深いのではないだろうか。どの出来事も虫を追う為に多くの時間と労力を注いだ結果として、有り余る位の充実感が得られた。しかし、ポイントの消滅に関しては地元に残る数少ない有望な場所が減ったという事実として、重く心に暗雲が圧し掛かっている。ポイントが消えたということを悟った瞬間に感じた気持ちには、出来ればもう二度となりたくないものだ。
さて、今年の成果として千葉県産ミヤマクワガタとスジクワガタの採集を果したので、千葉県中央博物館「平成19年3月6日 雑記」で示されているように、(幻の)ネブトクワガタを除いた千葉県産クワガタ全種の自己採集を達成したことになる。大変にめでたいことだ。めでたい、めでたい。千葉県から産するクワガタはたったの7種と貧弱なのが手伝ってか、ほぼ達成することが出来たという訳だ。
ところで、この(幻の)ネブトクワガタという奴は本当に千葉県に棲息しているのだろうか。こう疑問を投げかけている時点で、千葉県中央博物館に展示されているネブトクワガタ標本の採集例を否定していることになるのだが、そう考えずにはいられない。小生はネブトクワガタを狙って何度も房総に足を運んでいる訳ではないので、関係者には大変に失礼な言葉ではある。しかし、片手程の採集例もない千葉県産ネブトクワガタの存在に懐疑的になっても、全く不思議ではないのではないか。もし、本当に棲息しているのなら、今までにもっと追加採集例があっても良いのではないかと考えるのは小生だけだろうか。昆虫なので、或る程度は纏まった棲息場所、又はポイントがある筈なのだが、未だに見つかっていないのが不思議だ。ネブトクワガタの生活史と分布パターンを考えてもやはり同じく千葉県にはいないような気がするが、詳しくないので分からない。それを差し引いても有り余っている。
色々な虫で、少数の採集例しかない事例を聞くことがあるが、千葉県産ネブトクワガタもそういった例の一つだ。だから、小生は千葉県にネブトクワガタが棲息しているという当ては持たないようにしている。従って、小生の中では千葉県産クワガタは全6種と言いたい。(なんと種類が乏しいことか!) 因みに、これは、小生が千葉県産クワガタの全制覇を達成したと言えないのが理由ではなく、純粋にそう考えているだけだ。いつの日か千葉県産ネブトクワガタが誰かに採集、累代されて、ヤエヤマコクワガタのようにその分子系統が明らかにされることを願いたい。
平成19年は、小生の人生の中で、最も多く林に出向いた年であった。来年も同じように通えるか分からなかったので、行ける時には無理をしてでも行くようにした。しかし、結果は伴わず、1度も地元オオクワガタの姿を観察することがなかった。3年目の正直と、採集することに燃えていたが、見ることさえ叶わなかったのだ。発生木が少なく乏しいので絶滅してしまったのだろうか。
来年はどういう年になるのだろうか。成果が伴わなくても、家族や友人と楽しい活動が出来れば幸いである。 |
ご注意:このウェブ・サイトに含まれる、文章、画像、その他全ての情報は以下の著作権者にあります。情報の転載や流用は必ず著作権者の許可を得て行って下さい。但し、ウェブサイトへのリンクに関してはインターネットの性質上、全くこの限りではありません。
著作権情報:石井三成 copy right by Mitsunari Ishii
電子メール: kame2k@nifty.com |
|