虫日記 平成18年 中期





平成18年5月21日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

今年の飼育カブト Allomyrina dichotoma septentrionalis 第一号が活動を開始した。中型で立派な角を持った雄だ。ペットボトル飼育のカブト幼虫は廊下で飼っていたものを1月23日 に小生の部屋へ移動したので、彼らにとっては春が1 ヶ月以上も早かった訳だ。羽化後の活動開始時期も、早い時期の野生個体より1ヶ月は早くなった。
しかし、腐葉土の表面に出ただけで餌の食いは良くないし、まだそれ程動作が活発な訳でもない。羽化に気付いてから活動がいつになるのかと1日に何度かペットボトルを見ていたので、刺激となって動き始めただけなのかもしれない。早く羽化したので、平均的な寿命なら7 月の下旬には死んでしまうのだろう。
活動を開始したカブト雄



平成18年5月22日 ポイントNS031306他 採集

虫日記で全てを記録している訳ではなく、度々ポイントには寄っているのだが、今年最初のクワガタを観察するにはまだ至っていない。今日も仕事帰りに何箇所かポイントを廻ったのだが、クワガタのクの字も見ることがなかった。コクワすらいない。夕方17時〜19時頃なので時間は申し分ないし、今日の外気温も23℃はあったろうから、状況はまずまずではないか。見る場所が悪いのだろうか。少ないながらも樹液場があるのでそうでもないと思う。ポイントの場所と環境からして、盛夏ならカブトにコクワ、ノコギリがうじゃうじゃの筈である。ヒート・アイランド現象の地域や内陸性気候の地域とは違って、日中の最高気温がまだ低目なのが原因ではないか。それに、最近ニュースでよく聞くのだが、今年の5 月と6 月は平年と比べて日照時間が少ないので農作物への影響が心配されているそうだ。九十九里平野はまだ気温が上がらず、虫の活動も乏しい状態だ。だが、少しずつではあるが、虫の種類が増えている。5 月初旬の樹液場は、ヨツボシケシキスイとゴキブリがいた。今はその他に、コメツキムシ、ハエ、蝶類、スズメバチも目立つようになって来た。今日は樹液場を覗く際に、反対側から幹を這って来たオオスズメバチと30cmの距離でご対面してしまった。 (感覚的には20cmだが実際はもっとあるだろう) 背筋が凍る思いで突っ走って逃げたが、小生よりもオオスズメバチの方が驚いていたようで、あっちの方が逃げ足は素早かった(苦笑)。「逃げ足」と言ってもあっちは飛んで逃げたので、「逃げ翅」とでも言ったらいいのか。

■今日の収穫
空振り三振



平成18年5月22日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

5月19日に人工蛹室に入れておいたカブト Allomyrina dichotoma septentrionalis の雌蛹であるが、今日の夜に仕事から帰ると羽化の最中であった。羽化の最中というか、どうも怪しいと思っていたが、後に羽化し切れずに不全となって前翅が蛹の時に近い状態の儘となってしまった。ここまで来て羽化不全とは真に残念であるし可哀相だ。これでは当然野生では生きてゆけない。飛翔出来ないばかりか、腹部が前翅で覆われず常に露わになっているので、飼育下でも乾燥に注意しないと忽ち脱水を起こして死んでしまう。飼育で生き長らえたとしても、これでは交尾、産卵といった、雌としての役割を果たせずに死ぬ運命ではないだろうか。飼育せずに林に放して自然の摂理に任せようか。直ぐに鳥の餌になるか、良くても数日以内に脱水で死んで他の昆虫の餌になるのだろう。



平成18年5月24日 飼育 関東ヒラタ 神奈川県足柄産 F2

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産 F1) つがいの飼育容器を5月17日に変更した。古い容器には幼虫がいるかもしれないのでその儘にしておいたのだが、今日はその容器を掘り返してみた。
結果は貧弱であったが、卵は中が透けて幼虫が丸まっているように見えるので、乾燥させなければ土に戻ることなく孵りそうだ。卵は材を齧った中に産み付けられてしっかり埋め戻した痕があった。幼虫も卵も全て材の中だったので、今後子を沢山採りたければマット云々よりも柔らか目の材を沢山入れた方が良さそうだ。
亜終齢幼虫は500ml の容器へ、他はプリンカップに移し変えた。全て2 次醗酵マットでの飼育である。

■今日の収穫
神奈川県足柄産 F2 幼虫
卵 1
初齢 1
亜終齢 1
ヒラタの初齢幼虫



平成18年5月26日 飼育 サキシマヒラタ 西表島祖納岳産 F1

サキシマヒラタ Dorcus titanus sakishimanus (Nomura, 1964) (平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) の容器を掘り返してみることにした。雌は4月 以降殆ど活動しておらず、小生の覚えている限り、5 月になってからは一度も見ていないような気がする。産卵していれば、早い幼虫はもうそろそろ亜終齢になっていると考えられる。
ところが、結果は最悪だった。雌が産卵木の脇で死んでいたのだ。子がいたかというと、実は、雌が死んでしまったので産卵木を割り出すのは止めて、よく分からない。マットには生んでいなかったようだし、あんまり幼虫がいなそうだ。だから、産卵木から卵か初齢で採り出すような危険は避けて、もう少し後にしようと思う。本当にあんまり生んでなさそうだ。2 本あった産卵木の内、1 本は湿気がまるでない。全体的にもやや乾燥気味だ。サキシマヒラタの累代飼育は難しくないと、どこの飼育ホーム・ページ でも口を揃えて言っている。累代を失敗したっぽい。去年のノコギリと言い、小生には飼育下手確定のレッテルを貼り付けだ(苦笑)。つがいで欲しいので3〜4匹でいいから、幼虫が湧いてこないものかと淡い期待を抱いているが恐らく無理だろう。
意気消沈しながら、1 匹を中プラ・ケースで飼っていてもしょうがないから、まだぴんぴんしている雄はスタック ミニ(プラ・ケース小) に移した。
どうして雌が死んでしまったのだろう。黴たような状態だったので、死後随分と日数が経っているようだ。平成17年12月15日に購入した時点では、羽化後の摂食を始めていた頃なので、成虫としての命は凡そ5 ヶ月程度であったということだ。Dorcus 属の虫としては寿命が少々短かったのではないか。卵を沢山産んだ訳ではないし、沢山どころかまるで生んでないということも今のところあり得る。餌も切らさずにやっていたし、産卵木が1 本乾いていたと云っても全体を乾燥させた訳でもない。ただの寿命なのだろうか。多分こういう個体も中にはいるのだろう。
しかし、幾つか可能性を考えてみよう。我が家で4 ヶ月弱の間温室(3 月に入ってからはほぼ25℃ 恒温 ) にいて、その後若干温度低下した只の室内飼育(18℃〜23℃ ) に切り替えていた。雌の身体は温室の4 ヶ月を夏と受け取り、その後の温室外の環境を秋と受け取ってしまったのではないか。秋なので越冬しない個体は死ぬ訳だ。
次の可能性は、何かしらの病気に罹ったかもしれないということか。或いは、前翅に一ヶ所だが、貫通しないまでも雄に挟まれた痕があったので、腹面のどこかに後に感染の元となるような目立たない傷があったのだろうか。
更にもう一つの可能性として、先天的に何か目に見えない障害があったかもしれないということはどうか。我が家に来た時から左触覚が麻痺して動いていなかったので、何かの兆候だったのかもしれない。たまたま動かないだけで、その内に動くようになるかもれしないと考えたが、最後まで麻痺の儘であた。

サキシマヒラタ、累代は失敗となるのか ?! 2 週間後位に割り出してみようと思う。



平成18年5月27日 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 F1

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産) つがいの飼育容器を掘り返し、割り出してみた。少ないながらも神奈川県足柄産 F1 からF2 幼虫が採れたし、もし、神奈川県足柄産 F1 よりも沢山生んでいたとしたら、雌による幼虫の捕食が心配である。それに何よりも、九十九里平野産は地元自己採集個体なので愛着もひとしおである。
神奈川県足柄産に続き、またも結果は貧弱であったが、九十九里平野産も無事に産卵するということを確認出来た。今日の収穫から言って、ぼちぼち産み始めたといったところか。半日水没させた後、半日陰干しして電子レンジで過熱処理した産卵木を、中位の太さ(8cm ) から細いのから沢山埋めておいた。どんどん子孫を残して欲しいものだ。
初齢幼虫も卵も2 次醗酵マットを詰めたプリンカップに移しておいた。この卵も中が透けて幼虫が丸まっている様子が見えるので、孵化の確率はあると考えられる。

■今日の収穫
九十九里平野産 F1
卵 1
初齢 1



平成18年5月29日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

室内ペットボトル飼育の個体群はほぼ全て羽化したのだが、残念ながら羽化不全連発である。もう数えるのも厭になってしまった。羽化不全だらけである。
4月7日の記事でペットボトル飼育について以下のように考察していた。
「ペットボトル飼育の主な利点は、整理し易く飼育場所を有効に使えることと、餌の消費も効率的で無駄が少ないことである。反面、不利益としては、ペットボトルという小さくて狭い環境であるから、周囲の温度変化に弱いことと、餌の適合・不適合に対して幼虫に選択と逃げ場の余地がないことであろう。」

今年の結果を踏まえて、餌としてだけでなく、蛹室を作る段階でも環境としての適応度を整えるのが難しいと考えられる。ペットボトルを掘り返して感じたことは、餌としては乾燥し過ぎではないものの、意外に水分が飛んでいたということであろうか。それ故に折角幼虫が作った蛹室が水分不足と元々地盤が緩い故に羽化迄に崩れてしまい、羽化に適さなくなったことが羽化不全連発の原因と考えられる。容器が小さいので腐葉土の水分管理が難しいということだ。感覚としては、羽化が近づいたら少し水分が多目位にしておいた方が良さそうだ。それに8cm 程度で底の土を固めていたが、それも幼虫が蛹室を作る段階で幼虫が潜る時には地盤が脆くなったと考えられる。蛹室の足場としての環境が狭いので、固めた土が脆くなり易いということが原因と考えられる。
全ての段階を踏まえて、カブトムシのペットボトル飼育は、ほったらかしの飼育には向いていないということが言えるだろう。カブトムシのペットボトル飼育は今年限りにしようと思う。来期分は頭数も減らして屋外のコンテナ飼育だけにしたいものだ。
所謂、完品で羽化した個体はたったの3 頭、羽化が不完全でありながらも鞘翅が腹部を覆っているので野生での生存に問題がない個体が3 頭、後は完全な羽化不全で飼育下でないと直ぐに脱水死してしまう個体が多数ということになってしまった。完品でないと他人にはあげられないし、羽化不全は林に放して殺すのは可哀相だし困ったものだ。
廊下で飼っている衣装箱飼育分と屋外コンテナ飼育分には、餌の追加も含めて急いで加水しておいた。これらの芋虫共は最近黄色付いて来たばかりなので、乾燥による不具合にはまだ間に合うのではないだろうか。

ペットボトル飼育のカブトを里子に随分と飛ばしてしまったのだがどうしよう。気が重い。頭が痛い。



平成18年5月31日 1時 18℃ ポイントMT090705 採集

平成18年度の初クワ
やっと今年の初クワガタを観察することが出来た。しかし、場所は九十九里平野ではなく北総(ポイントMT090705 畑内クヌギ並木 ) であるのが若干悔やまれる。夜勤の仕事の合間で深夜に出撃したのだが、来た甲斐があったというものだ。ぎりぎり5 月にクワガタを観察出来たので大変満足である。日照時間が短い為に気温が上がらずに、5 月はもう駄目かと諦めかけていた矢先である。
因みに小生の初クワで最も早かった日は、中学2 年の時(昭和56年 ) の5 月12 日であったと記憶している。その年はアブラゼミの鳴き初めも早くて5 月下旬だったのではないか。セミの鳴き終わりも遅くて10 月中旬頃だったような気がする。温暖な年であった。勿論、地元の九十九里平野での話だ。

さて、今日観察出来たクワガタは全てコクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) の雄であった。例外なく越冬個体のようで、どれも乾いた土が鞘翅に付いていたり、鞘翅に闘争痕と思われる傷があったり、大顋や内歯の先端が磨耗したように丸まっていたりと、草臥れたような外観で動作も緩慢であった。動作については気温がクワガタにはまだ低目ということもあるだろう。それに4 頭中2 頭は、起きたばかりだと云わんばかりに樹液場とはとんでもなく離れた場所で幹を這っているだけのような感じであった。そういう状況なので、今の時期で樹液場の主役はゴキブリである。それ以外に樹液場で観察された虫は、蟻、蛾、コメツキムシ、ヨツボシケシキスイ、ゴミムシのような甲虫類であった。
今日最初に発見したコクワガタ雄は写真撮影は勿論の事、その木を離れる時も嬉しくて何度も振り返って存在を確認してしまった(笑)。コクワも捨てたものではない。いつの時代もクワガタの採集は「コクワに始まり、コクワに終わる」のだ。小生が餓鬼の頃は、初クワがたとえコクワであっても嬉しくて必ず持ち帰ったものである。
この時期にクワガタの雌を見ないのは、雌は産卵して消耗死する場合があるだろうから、雄に比べて越冬個体が少ないのではないだろうか。
去年のこのポイントで一番良さそうな洞を持ったクヌギは、幹の直径は25cm 程で去年と比べて根元部分で約30cm は上方に伸びていたようである。場所がずれていたので、この洞を探すのに少々梃子摺ってしまった。だが、この洞は奥が浅くなって開口部も塞がりそうになっている。中にはコクワ雄の小歯型が顋を外に向けて入っていた。

■今日の収穫
コクワ 雄4



平成18年6月3日 2時 18℃ ポイントOS092405 採集

夜勤の仕事帰りにポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木に寄ってみた。この場所に来るのは今年は初である。開発の侵食は進んでいないし(少し離れた無関係な場所では伐採面積が拡がった)、他の採集者が入った痕はまだない。今年はここでどんな虫に出会えるのだろうか。10 年後もこの儘残っていてくれるのだろうか。
早速、3 頭のコクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) 雄を観察したが、全て越冬草臥れ個体の小歯型である。でも、今年の九十九里平野で初クワガタなので嬉しい。
この時期にも拘らず何箇所か樹液場があったが、クワガタに関して云えば、樹液場の数がクワガタの数を上回っていると云った感じで、まだまだ時期が早いように感じた。気温も上がらないのでヒラタもまだ活動していないようだ。例外なくゴキブリの天国である。
蛇も2 頭見つけた。林の中でニホンマムシかとビクついたが、後から調べたらアオダイショウ Elaphe climacophora であることが分かった。アオダイショウは、青っぽくて滑らかな皮膚をした大きな蛇だから「青大将」と呼ぶのだろうが、幼蛇には一見マムシと間違いそうな色柄の個体もいるようだ。しかし、1 頭は完全にアオダイショウの幼蛇だが、もう1 頭は似たような色柄でもう少し灰汁があるような感じだったので、本当にマムシだったかも知れない。くわばら、くわばら。

■今日の収穫
コクワ 雄3
アオダイショウの幼蛇



平成18年6月4日 雑記

平成18年3月27日の記事で、アマミコクワガタつがいの飼育容器内にクワガタの幼虫がいたのだが、この幼虫は500ml の容器で個別飼育していた。容器側面から1 ヶ月以上は姿が見えなかったので、アマミコクワなら新成虫になっていたら楽しみだし、反面、生死を確かめる目的もあったので容器を掘ることにした。
容器の内側外周から少しずつ匙で掘り進むと中心から少し外れた場所で蛹室が出た。中から黒いクワガタの雄らしき顋と複眼が覗いた。内心「やった ! アマミコクワの雄だ !」と思って、デジカメの電源を入れて写真撮影の準備をしながら蛹室を更に開けると、その雄は中から這い出て顋を開いて威嚇して来た。
アゴが長い ! (笑)
少し似ているが全く違うクワガタだ。毎度お馴染みのコクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) であった。

どうやってコクワガタの幼虫が紛れ込んだのだろうか。
「アマミコクワの幼虫なのか、それとも産卵木に紛れ込んでいたコクワ Dorcus rectus rectus の幼虫なのかも勿論不明。飼育材を新規に飼育に使う時には、電子レンジで加熱してから使うようにしていたので、恐らくクワガタの幼虫が生き長らえて混入していることはないと考える。」と、3月27日には考えていた。しかしながら、半日前後の水没と電子レンジによる加熱という過酷な条件下でも、朽木内で生き抜くクワガタ幼虫がいたということになる。まだ自分では実験していないし(予定あり)、他でも未だに聞いたことがないが、このことからアマミコクワと本土コクワの不本意な交雑も日常的に十分に在り得る話である。オオクワ とコクワ が野生でも交雑することがあるので、リュウキュウコクワ とコクワ の交雑も飼育下に於いては可能性として否定は出来ないだろう。野外から拾って来て使う産卵木の加熱処理には、万全を期す必要性を痛感した出来事だ。
例のクワガタ



平成18年6月6日 飼育 トカラコクワガタ 悪石島産 F3

トカラコクワガタの雄


トカラコクワガタの雌
吐喝喇列島・悪石島(トカラ・アクセキジマ)産 F3のトカラコクワガタ Dorcus rectus kobayashii (Fujita et Ichikawa, 1985) を入手した。雄1 頭、雌2 頭なので累代には十分だ。オークションで激戦になってしまったので強気な価格で高値になってしまった。この艶やかな赤の魅力には勝てなった(笑)。光の当たり具合でもかなり印象が違うようだが、トカラコクワの色は焦げ茶色から赤(正確には赤茶)色まであるようで、小生が入手した個体は雌雄とも赤茶で、個人的にはこの方が好きだ。
雄は平成18年4月羽化の43mm の1頭、雌は2月羽化の29mm と27mm で2 頭だ。吐喝喇列島は現在、採集禁止になってしまっているので、この虫は大変に貴重だ。飼育はコクワと殆ど同じで、とても繁殖能力は高いようなので、自称飼育下手な小生には打ってつけである。それに雌2 頭(笑) で安心だ。

トカラコクワはコクワガタ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) の亜種で、吐喝喇列島の中之島、諏訪瀬島、悪石島、臥蛇島に分布している。大顋の形が本土の亜種と違うと言うが、小生にはまだよく分からない。体色と艶が本土コクワに似てる個体は、見分けが付かない可能性があるので、飼育上両種が混入しないように十分な注意が必要だ。
小生は悪石島産に拘ったのだが、それはこの島がトカラコクワ分布の南限であるからだ。トカラコクワがコクワガタから分かれて進化した過程は凡そ理解出来るのだが、吐喝喇列島でどのように生き残ってこの4 島に分布したのかはかなり謎である。そこで、位置としては悪石島がトカラコクワ発祥の地のように見えるし、リュウキュウコクワガタではアマミコクワガタ Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) と互いに一番近い位置に分布しているのである。この両者の関係を調べてみたいと思っている。



平成18年6月7日 飼育 アマミコクワ 複数産地

両つがい共に遅くとも4 月には活動を開始していたようなので、5 月には産卵していた可能性があると考えられる。そこで、本日はアマミコクワの飼育容器を掘り返してみることにした。

■アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:平成17年9月中旬羽化 奄美大島竜郷町産 F1 ) つがい
雄は可愛い奴で、いつものように止まり木の洞の一番奥に潜っており、顋を出入り口に向けている。苦労して洞を作ってやった甲斐があったというものだ。そして、葉っぱやら樹皮やら置き木やらをどけて行くと、非常に厭な光景を目にしてしまった。大きめの樹皮の下で雌が力尽きていたのだ。また離島クワガタの雌を早い時期に失ってしまった。雌の屍骸を取り上げようとしたら、少し抵抗があって胴体が前胸と後胸の接合部で千切れてしまった。屍骸を全て取り出してみると、失われている部品がない。死んでしまったことは悔しいが、欠品がないし全体的に綺麗なので標本にすることにした。
まだ乾燥しておらず複眼も黒いので、死後それ程時間が経っていないものと考えられる。最後に観察したのは、5 月の22 日か23 日頃だったので、死後 1週間前後かもしれない。
アマミコクワ雌の屍骸
5月19日にこの雌の奇妙な行動を記していたが、最後に観察したのもその奇妙な行動の場面であった。考えてみれば、その時の動きはどことなく緩慢であったことを思い出す。今回の掘り出しで良く見てみたのだが、奇妙な行動をしていたその場所は、産卵木としては端の切り口側だったし、その周辺で特に何があるという訳でもなかった。従って、単にこの雌は産卵行動を執ろうとしていただけだったようだ。しかも、その後に死んでしまったことから、それが奇妙な行動に見える程、この雌は弱りきっていたということのようだ。
ところで、産卵行動を執っていたようだが、実際に産卵はしてくれたのだろうか。産卵木を1 本掘り出してみたのだが、一見、齧ったような痕や卵座と思しき箇所も見当たらない。しかし、3月27日につがいで飼育容器を替えた時には、雌は産卵木のどこかに穿孔して潜っていたし、4 月には何度か食餌行動が観察されていた。それ故、全く生んでいないということもないかもしれない。だから、この飼育容器も大事を取って、今はこれ以上マットの掘り出し、産卵木の割り出しをしないで1 ヶ月なり様子をみることにした。
そういうことで、雌が死んでしまって雄だけこの容器に住まわせておいても仕方がないので、雄を取り出したいところだが、雄は止まり木の洞に潜っていて捕まらない。暗くしておいて出て来た隙を狙ってスタック・ミニ (プラ・ケース小) へ移すことにした。
また離島クワガタの鰥夫(やもお、寡男、男やもめ ) を作ってしまった。溜息ばかり出てしまう。相変わらず小生は飼育下手だ。

■ アマミコクワガタ (平成17年11月17日購入 雄:平成16年12月羽化29mm、雌:平成16年12月羽化29mm 奄美大島名瀬朝戸産 F4 ) つがい
一番表面に近い産卵木を拾い上げると、その下に雌雄が元気でいるのを確認した。この産卵木には穿孔痕らしき場所や齧った痕らしき場所があるので、この雌が産卵している可能性は前の死んだ雌よりは高そうだ。しかもまだ生きているのが嬉しい。活動期間は前者と同じだろうから、この飼育容器も大事をとって掘り出し割り出しにはもう少し期間を空けることにした。卵や幼虫が雌に喰われるのは避けたいので、このつがいも別の飼育容器に移すことにした。
新しい飼育容器には二次醗酵マットを下に3 cm 程固く敷き詰め、その上にクヌギとコナラの産卵木の中位のやら細いのやら、固いのやら柔らかいのやらを沢山置いて、一次醗酵マットを被せておいた。アマミコクワの雌は1 頭だけになってしまったので、これからどうにかしてでも生んで欲しいものだ。産卵誘発の呪い(まじない) として(立派な根拠があるが省略)、後でコクワ幼虫の糞でも水に溶いて産卵木に塗(まぶ)しておこうかと思う。

■考察
何故、雌ばかりが死ぬのだろうか。先日のサキシマヒラタと云い、離島クワガタの雌ばっかり2 頭が立て続けに死んでいる。対する雄は皆元気にぴんぴんしているのにだ。不思議だ。
この両つがいを飼育観察していて共通していた事柄を挙げてみよう。
・両種ともDorcus 属で、他種と比べて人の気配や明かりにはより敏感か同等程度な反応のようだ。
・雄は雌より餌場に出ていることが多い。
・人の気配や明かりに対して、雌は雄より非常に敏感で、雄が続けて摂食しているような場合でも、雌は直ぐに隠れてしまう。
・最後に雌を観察した場面では、動作が緩慢ながら木を齧るといった産卵行動の一環のような動作をしていた。
・屍骸は、寿命やひっくり返ってしまったと言った事故ではないようで、力尽きたような姿勢で果てていた。
以上のことから、雌は摂食行動も見られて成熟し、交尾を済ませ、産卵の時期に丁度良いという時期に死んでいる。これは、産卵初めによる体力消耗が著しく、それを補う為の摂食行動が夜間の明かりや人の気配に因る警戒行動で阻害されて、遂には体力消耗により果ててしまった可能性が高いと考えられる。雄がまだ元気なのは、雌よりも餌場にいる時間が長く、摂食行動も頻繁で栄養補給が出来ているからであろう。更に、決定的な理由として、雌と違って産卵による体力消耗がないことが挙げられるのではないか。
対策としては、人の気配が少なく、夜は明かりで照らされないで、出来るだけ静かな場所に飼育容器を置くようにすることである。こうすることで、雌の摂食行動が阻害されることなく、体力消耗も最小に出来て寿命も延びるのではないかと考えられる。産卵云々以前に早死させないことである。誰でも最初は失敗が付き物だ。さぁ、次はどうやってそんな飼育場所を作るのか、又は確保するのかを考えねばならない。



平成18年6月10日 飼育 ツノボソオオ 臺灣新竹縣産 WD

6月9日の昨日、我が家にツノボソオオクワガタ(細角大鍬形 ) Dorcus gracilicornis Benesh, 1950 の雌がやって来た。某ショップでやっと探し当てて購入したものだ。昨日は夜勤だったので、1 日遅れて10 日の今日、彼女と初顔合わせをした訳だ。
この雌のぱっと見は、南西諸島の例のクワガタにそっくりだが、細部をよく見ていくと違う部分がある。これについてはここでは省略する。
台湾産はタイリクツノボソオオクワガタ Dorcus gracilicornis ssp. 程大きくならず、どの大きさでも全体的に身体は細身であるし、小型の雄でもタイリクツノボソオオと違って、大腮の内歯がはっきりと出現する。雌は見分けがつきにくいが、前翅の点刻列はタイリクツノボソオオより台湾産の方が全体ではっきりとしている。又、昔はタイリクツノボソオオと台湾産は同一種とされていたが、現在では区別されることが多い。基亜種は最初に記載された台湾産となる。形態の違いだけでなく、生態も若干異なることから、小生もこの両種は区別した方が良いと考えている。

小生が入手したこのツノボソオオの雌は今年燈火に飛来して採集された個体だ。足付節(ふせつ) 欠けや身体の傷はなく、刺激された時の脚の踏ん張りも良く、至って元気だ。野外活動をしていた個体なので、交尾済みの可能性が極めて高い。故に持ち腹での産卵に期待している。是非とも我が家に於けるツノボソオオのイヴとなって欲しいものだ。
ツノボソオオの飼育は一般的に困難とされており、なかなか産卵しない上に、方法を誤ると幼虫の落ちる率が非常に高いそうだ。オオクワ系のもはや確立された基本的な飼育方法とは異なっているようだ。そこで、小生は飼育方法の下調べには、多くの諸先輩方から直接に色々と御指南頂いた。とは言っても、実はネットでホームページをお持ちの方々であり、小生は以前から閲覧していたのだが、相手にとってみれば全く知らない人からの突然の質問電子メールであった筈だ。それにも拘らず、どの方々も大変丁寧にご相手して下さった。自分が直接関わる人々の中で、虫の話をする相手は殆どいないし、してもせいぜい子供時代の思い出話程度である。本当に有り難いし、インターネットの威力を享受出来た出来事である。クワガタ飼育は初心者で自称飼育下手であるが、皆様の御助言に従ってなんとか累代に挑戦しようと思っている。
産卵セットにはプラ・ケースの大を使用し、マルバネ・マットと硬めのクヌギ・カワラ材を奢った。小さいコクワの雌のような虫を相手に(30mm 以下)、完全にVIP 待遇だ。虫なのでVIP はVII (very important insect ) に訂正する。今まで菌床飼育は避けていたのだが、今回ばかりは逃れられなそうだ。飼育方法の開発なり、実験なりするにも、先ずはとにかく個体数を増やさねばならない。稀少種なので今度ばかりは失敗出来ない。
ツノボソオオクワガタの雌



平成18年6月11日 1時 ポイントYK090705 他 採集

九十九里平野の気温は5 月の初夏に入ってからというもの、連日の曇りか雨であり、大雑把に言って日照時間はたったの数日分しかなかったものと考えられる。その結果、平年より3 ℃程低い日々が続いている。お蔭で完全に初夏の虫が薄い状態でかなり参っている。関東地方では2 日前の6 月9 日に梅雨入り宣言が聞かれたが、その気象庁を嘲笑うかのように宣言された次の日には晴れとなった。その今日6 月10 日は夜になってもそこそこ気温が下がらずに23〜24 ℃ となっている。夜襲をかけない手はない。

■ポイントYM090705 外灯
外灯廻りは余りやらないのだが、様子見程度で足を踏み込んでみた。この外灯がある周辺はそれ程濃い木や林がある訳でもないが、外灯の明るさと高さの条件がとても良いので押えておきたい場所だ。去年はカブト程度ならぼちぼち飛来していたようだ。この時期にしては今日は虫の集まりが良い。小さい翅虫やブイブイのような小甲虫、カメムシ、蛾等が多数いた。

■ポイントYK090705 道路脇藪中2 本のクヌギ
この時期には珍しく、人の入った形跡が下草の状態から察することが出来る。それも1 回や2 回ではなさそうだ。舗装道路脇で目立つ為か相変わらず採集圧の高い場所だ。ひょっとして以前はこのクヌギの大きな洞で大物でも採れたのだろうか。
まだ純粋に樹液は出ていないのだが、打たれた枝の切り口から染み出ている部分にコクワの雄2 頭とオオスズメバチが付いていた。

■ポイントSI092405 田圃沿い雑木林
1 週間前の昼に来て大雑把に下見をしたのだが、樹液の出ている木を見つけることが出来なかった。まだ非常に綺麗なので最近出来たのだと思うが、近くに新しく大きな敷地と建物がある。今日はその建物の夜間の外灯の具合が気になって下見に来てみた。虫の集まりはまあまあである。田圃沿いの雑木林そのものはなかなかの規模なので、盛夏は翅虫やら大小の甲虫やらで凄まじいのではないかと予想している。カブト雌の屍骸を見つけたのだが、前胸から上の部分だけでへたりも強い。今年のこの気温でカブトが発生しているとは思えないので、去年の屍骸ではないかと考えている。

■ポイントHS090705 住宅地内の雑木林
クヌギで樹液を出している木はまだ1 本だけであったが、その木には蝶と蟻しか見当たらなかった。コナラの主に洞でコクワの雄ばかりを6 頭確認した。ここの林にあるコナラは洞を持っている木が何本かあり、なかなか良い雰囲気である。しかし、去年の雰囲気からヒラタは棲息していないようなので、そんな木がここにあるのは勿体ないし残念である。
厭な話であるが、中程度のクヌギが1 本であるが、根こそぎ跡形もなく伐られてしまっていた。林内に向かって小道が出来ているので、その邪魔になる場所であるし、杭を打ってあるのだが、土地の区切りから出たところに生えていたのが伐られた理由ではないだろうか。
ここは駅からそれ程遠くない住宅地内の雑木林であるので、世の中の景気が良くなると、真っ先に林が丸坊主にされて宅地化される未来が見え見えである。よくぞ今まで雑木林という形で残っていたと、それだけでも奇跡だと思っている。宅地化されるまでは小生の一番近場の気軽な遊び場である。


■今日の収穫
コクワ 雄8
カブト 雌1 (去年の屍骸 ?)



平成18年6月13日 1時 20℃ ポイントYYK041205 他 採集

新規開拓ポイントでどんな虫が出て来るのか興味が尽きないので、何となくであるがぶらぶら出てみた。

■ポイントYYK041206 ニレ
この地域には大物がいるという話であるが、不思議なことに林は濃くないし地域としては非常に狭い。また、クワガタやカブトを採集する時には当たり前のクヌギ、コナラが殆どなく、虫がいる木が民家の敷地内にあったりする。
ここを訪れるのは今年は今日が初めてだが、樹液場も見当たらないし何もいなかった。今日最初に来た場所で何となく寂しい気分になってしまった。

■ポイントMT111905 墓場のスーパー・コナラ
墓場なのに入り口から少し行くと民家があって、昼間は何をしても静かだが夜には必ず犬共が吠えて鬱陶しい。幸い犬共は家屋の中なのが救いだ。この辺は民家の隣に雑木林があったりして、そんな民家ではよく犬が飼われていたりする。只の虫愛好家なのに、いちいち犬に気を遣ってこそこそ歩かなければならないのが、本当に面倒だ。
ここには5 月から何度も足を運んでいるのだが、この場所に於ける今年初のクワガタを観察することが出来た。コクワでもここにクワガタがいることを確認出来て嬉しい。ここ界隈にはヒラタがいるんじゃないかと期待しているのだが、次回はもっと虫が増えていないかと楽しみである。

■ポイントNS031306 コナラの雑木林
ポイントMT111905 から近場なのだが、ここではクワガタを確認出来なかった。犬に吠えられただけだった。犬の聴覚の鋭さには全く感服する。小生は只虫を見たいだけで、怪しい者じゃないのに・・・。

■今日の収穫
コクワ 雄2



平成18年6月13日 雑記

春の芽吹きを過ぎてクヌギ Quercus acutissima の幼木が、狭い我が家の裏庭で茂り始めて来た。去年の秋に職場の裏で拾い集めて来たドングリから生えたのだ。まだ足で踏み潰せてしまう程度なのであるが、大家さん(妻の母 ) から苦情が出ているので、今日はクヌギの幼木を掘り出しすことにした。カブト幼虫に使っていたペットボトルを鉢代わりにして植木にしようと思う。ペットボトルの底には水抜き穴を何箇所か開けた。土は肥やしを兼ねて、これもまたカブト幼虫の糞である。カブトは成虫も幼虫も大食漢で餌やりが半端じゃなく大変だが、このように野良仕事やクワガタ飼育にも何かと役に立ってくれているので、カブト飼育も捨てたもんじゃない。
今日は8 本を掘り出したが、幼木の数にはまだ半分にもなっていない。カブト幼虫の糞が足りなくなったので止めることにした。糞は掘れば沢山あるのだが、屋外飼育幼虫はそろそろ蛹化の時期を迎えているだろうから、今月から来月に掛けてはカブト幼虫を触ることは避けねばならない。
裏庭は狭いのだが、クヌギ2 本とコナラ1 本を残そうと考えている。後の木はどうにかしなければならないのだが、まだどうするか決めていない。
クヌギ幼木を掘り出す



平成18年6月13日 13時 25℃ ポイントYT010106 他 採集

クヌギに仕掛けられたバナナ・トラップ
■ポイントYT010106 広葉樹林帯
ここはクヌギと特にコナラが熱い広葉樹林帯となっており、大いに期待している場所である。今日は昼の下見に行くことにした。まだ少ないが樹液場も見つけることが出来た。吃驚するような大木や凄まじい捲れのあるコナラがあるのだが、ぼちぼち樹液を出しているのは少数のクヌギのみであった。
冬に来た際には(1月 1 日 探索記事)、煙幕花火で傷つけられたクヌギの洞があったのだが、今はその洞は蟻の巣のようになっていた。また、この木は有望で且つ目立つ場所にある為か、樹洞の周りにバナナ・トラップが仕掛けられていた。小生が洞を覗くと、中には大腮の縁が赤くて新成虫と思われるコクワの雄がいた。匂いと滲みの少なさから、まだ仕掛けられたばかりだと考えられる。前述したような煙幕花火やいかにも捲れが剥がされたという痕、樹液を出させる為の人為的な傷つけが横行しているので、この地域は採集圧が甚だしく高い場所だと察することが出来る。それもなり振り構わない方法なので残念である。
■ポイントMY011606 里山
ここはクヌギだけでなくハルニレや栗も多数ある場所だ。特にクヌギは多い方なのだが、小から中程度の木が多い為か不思議なことに洞や捲れのある木が殆どない。農家にとっては全く以って逆であるが、大変勿体ない場所である。樹液場はちびちびで2 本のみしか確認出来ず、タテハチョウとスズメバチ以外何もいなかった。

■今日の収穫
コクワ 雄1
コクワ 雌1



平成18年6月14日 飼育 ツノボソオオ 臺灣南投縣合望山産 F2

また新たに購入したツノボソオオクワガタ(細角大鍬形 ) Dorcus gracilicornis Benesh, 1950 のつがいが我が家に来た。臺灣南投縣合望山産のF2 で、灯火による自己採集個体からの累代子孫ということだ。雄は体長34mm で羽化日は平成18 年5 月27 日ということで、ピカピカの若造だ。動作は早く羽化した雌よりもまだ鈍く、ぼってりした感じで、その証拠に腹部はまだ前翅に納まりきれていない。雌は体長31mm で羽化日は平成18 年4 月11 日ということだ。あんまりぴかぴかだと前翅の点刻列がそれ程目立たず、加えて前脚脛節が内側に湾曲しているので、ヒラタの雌のようにも見える。だが、全体的に細身だから、注意してみれば「ヒラタに似てるが違う。」といった感じで区別はつくだろう。困った場合は、更に脚部の棘や触覚先端の節の数、それに前胸背の形で判別出来るのではないだろうか。
このつがいが成熟して活動するにはまだまだ時間が掛かるだろう。早くても今年の秋頃ではないだろうか。機が熟する迄は仕切りを入れたスタック・ミニで飼うことにした。それまでに新竹縣産の天然雌が少しでも産卵してくれるとかなり安心するのだが、一体どうなることだろうか。

ツノボソオオクワガタという和名は、オオクワガタと付いているにも拘らずかなりか弱そうな印象で、よく聞く話であるが違和感があるように言われている。しかし、冒頭で記しているように学名はgracilicornis で響きはとても格好良く、台湾名は細角大鍬形である。学名の方は美しいという意味合いも含んでいるのだが、双方共に角のある細い虫ということが言いたいのだろう。和名は単純にこの双方からその儘取っているのであろうが、図らずも言葉の順序と響きから「角のある細い虫」から「角が細い虫」に聞こえてしまっていると考えられる。
小生としては、名称なんぞはどうでもよく、只々増えて欲しいという願いのみである。安産祈願に行こうかとすら、考えていたりする(笑)。
ツノボソオオクワガタの雄


ツノボソオオクワガタの雌



平成18年6月17日 飼育 ツノボソオオ 複数産地

6月9日に我が家に来たツノボソオオクワガタ(細角大鍬形 ) Dorcus gracilicornis Benesh, 1950 の雌は、プラ・ケース大でのVIP 待遇に不満足なのか、今の飼育容器に投入して以来、1 度も姿を見掛けない。樹皮や餌皿をどけてみても活動している形跡はなく、餌にも全く汚れがないことから完全に寝ているようだ。天然個体なので活動しているのかと思っていたが意外な展開だし、この儘産卵もせずに死んでしまうのではないかという一抹の不安が頭を過っている。
一方、臺灣南投縣合望山産のF2 の雌は、羽化後2 ヶ月が経っていて丁度良い時期なのか、我が家に来てからというもの毎日餌を食べている。ヒトに観察されても隠れないことがあり、警戒心はオオクワやアマミコクワ程は強くなく、コクワ程度かと考えられる。雄が活動していれば一緒にするのだが、雄は羽化後間もないのでまだ当分寝続けそうだ。

6月14日にツノボソオオクワガタの和名と学名について触れていたが、先日は逆のことを言っていたことに気付いた。学名のgracilicornis は、grace (細く美しい ) とcorn ( 角) なので、細い角の虫である。台湾名も細角大鍬形であるから、細い角の大鍬形だろう。だから、学名と台湾名を由来とするのなら和名も素直に角の細いオオクワガタということが言いたいのだろう。ツノボソオオクワガタは角が細いのだ。corn は角のある空想上の獣であるunicorn (united - corn ) のcorn と同じだ。
こんなか弱そうな名前を付けるのなら、最初からオオクワガタとせずにタイワンミヤマコクワガタとでもした方が良かったのではないだろうか。この場合、タイリクソノボソオオクワガタは、タイリクミヤマコクワガタとなるか。そもそも和名の付き方は国内産種を元にしている為か、外国産種には無理を感じることが少なからずある。



平成18年6月17日 飼育 サキシマヒラタ 西表島祖納岳産 F1

鰥夫になってしまったサキシマヒラタ Dorcus titanus sakishimanus (Nomura, 1964) (平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) の雄は、狭いスタック・ミニ(プラ・ケース小) の仕切り半分の中で相変わらず元気だ。雌を追加する予定はないので、この儘の状態で余生を送ることになるだろう。
5月26日に雌が死んでいるのを確認して、産卵木は割り出さずに置いておいたのだが、もう3 週間も経ったのでそろそろ中身を見ることにした。
結果は、不健康そうな色の卵が3 個であった。先月の関東ヒラタの卵とは違って薄黄緑っぽい色だ。それに少なくとも産卵されてから1 ヶ月は経っているだろうと云うのに、まだ孵っていないし、幼虫らしき物も透けて見える訳ではない。無精卵かどうかは分かりようがないが、兎に角、確実なのはこの儘幼虫に生ることなく土に帰る運命だということだ。だが、一応、卵は湿ったマットと一緒にプリンカップに入れてもう少し様子を見ようと思う。
今はもう雄1 頭しかいないので、サキシマヒラタの累代は失敗確定となった。鰥夫君、御免。狭い空間だけど、まだまだ元気に暮らしておくれ。冬の間にクワガタ鑑賞をさせてくれて有難う。



平成18年6月19日 23時 21℃ ポイントYK090705 他 採集

交尾産卵中のシロスジカミキリ
■ポイントYK090705 農家の雑木林
今日は今年初の訪問となったが、去年の晩夏には1 本のシラカシでカブトが大発生していた場所である。こんな時期でもシラカシが樹液を出しているのには驚いた。しかし、虫の数は薄く、コクワの雄が1 頭、洞から頭を出しているのに留まった。それ以外に黒光りする虫はゴキブリで、あちらこちらでひそひそと活動している。樹液場はオオスズメバチに占拠されていた。
コナラでシロスジカミキリ Batocera ineolata chavrolat が交尾産卵している場面を目撃したので、写真に収めた。東南アジアには比べ物にならない程の巨大なカミキリが棲息するが、シロスジカミキリは日本最大のカミキリである。大きくて格好いい虫だ。大きな複眼に覆われた頭部、ごつい前胸、灰色の身体に薄黄色い斑な線、手に持つとかりかりきりきり不気味な音を立てる等、地球上の生物らしからぬ魅力を備えた甲虫だ。一般的には生きた広葉樹を激しく食い荒らす害虫という扱いを受けているが、こやつらのお蔭で森の新陳代謝が促されて生物の多様性が維持されているのである。生態系に無駄はないのである。

■ポイントHS090705 住宅地内の雑木林
一番近場の雑木林である。今日は気温が低目の為か、クワガタの個体数が少なかった。

■今日の収穫
コクワ 雄5



平成18年6月20日 19時 24℃ ポイントMK051006 他 採集

九十九里平野のクワガタ・カブトの活動にエンジンが掛かり始めたようだ。地域や気温条件が異なるが、昨日の様子とは打って変わって虫が増えたような印象だ。だが、急に状況が一変したという訳ではなく、徐々に虫が増えて来て夏らしくなって来たという感じである。
沖縄はもう梅雨が明けたということだから、関東も7 月初旬中には梅雨明けと共に強い日差しを拝むことになり、青い空と熱の照り返しに囲まれて瞬く間に夏真っ盛りとなるのではないかと予想している。今日の虫の観察から、少なくとも小生の頭の中には、もう真夏の悶々として暑い、気だるい日々の感覚が芽生え始めている。
しかし、ヒラタがいない。ヒラタのいるポイントでもまだ会えていない。新規開拓場所のどこかで会えないものだろうか。今年の採集目標の一つは地元ヒラタの雌を娶ることである。赤い糸で結ばれた運命の彼女は一体何処なのだろうか。

■ポイントMK051006 お化けコナラ
新規開拓としてここを訪れたのは、ものの1 ヶ月と少し前の話である。その時には、「雑木林としては薄いのだが、季節になって樹液が出ればなかなか良さそうな木があるな。」と、何気に思って押えていた場所なのだが、今日ここへ来て吃驚してしまった。お化けコナラがあることが発覚した。1 本の木の洞や捲れに黒くて平べったい甲虫がわんさかといるのである。
今年初カブトの雄
選り取り緑で、まるで子供の頃に戻ったような気分で嬉しくて木の幹のあちこちを観察した。この中にヒラタの雌がいないかと1 匹ずつ丁寧に、捲れや洞を探っていったのだが、残念ながらヒラタは1 匹もいなかった。視点を変えて少し上を見上げてみると、明らかにコクワの雌ではない少し大きめの雌が木の裏の方から顔を出していたので、期待に胸を膨らませて鷲掴みで取ると、やっぱりコクワではなかったのが、頭部にドルクス・コブもなかった。今年初のノコギリであった。今年初なのでその雌は写真を撮った。
更に木の裏側の枝で細い蔦が沢山絡まっている場所に紛れて、ノコギリの雄も張り付いていたので捕まえた。精一杯威嚇しているかのように大腮を大きく開いているのだが、一目で普通ではないことが分かった。その雄の左大腮は根元から欠損している、まるで独眼龍正宗のような個体であった。頭楯から大腮欠損部分まで樹液か泥のような物でじくじくしたようになっていた。写真を撮ろうと思ってカメラに手をやった瞬間に落としてしまい、草叢の中へと消え、もう見つけることが出来なくなってしまった。ちょっと、残念である。
気を取り成して、更に上部を観察していると、大きな捲れから大きな甲虫と思しき尻が見えていた。大きな枝の下面なので懐中電灯で照らすとやはり黒光りする大きな甲虫の尻である。色々な角度で見てみると、尻だけでなく頭部も捲れの隙間から見えて、それはカブトの雄であることが分かった。今年の初カブトである。このカブトも今年初なので写真に収めることにした。
少し離れてもう1 本、大き目のコナラがあって、それも良い雰囲気である。ここにはカブトの雌が吸汁していた。これも初物なので写真に収めた。

■ポイントMK051006 コナラの大木2 本
先程のポイントに近い場所で、たったの2 本であるがコナラの大木がある。しかし、樹液が出ておらず虫も確認することが出来なかった。洞や捲れも今のところ見つけることが出来ていないのだが、大木ということで今後どういう発見があるのか分からないので、ここも押えておくことにする。キマダラカミキリが大きな枝下に張り付いていたので写真に収めた。

■ポイントOK043006 里山コナラ林
コクワの雄を5 頭確認した。雰囲気は下見の時とは激変して下草が高く茂っていて非常に歩き難くなっていた。林の中は杉に囲まれていて日当たりがよくないのだが、それでもささやかではあるが樹液場があるので虫はいるのだろう。

■ポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木
コクワガタの雄ばかり、9 頭を確認した。6月3日の前回は3 頭だったので着々と数は増えている。


■今日の収穫
カブト 雄1 雌1
ノコギリ 雄1(長歯型) 雌1
コクワ 雄20頭以上 雌 数頭



平成18年6月23日 飼育 関東ヒラタ幼虫 複数産地

関東ヒラタ(5月24日割り出し 神奈川県足柄産 F2、5月27日割り出し 九十九里平野産 F1) 幼虫共を割り出してからそろそろ1 ヶ月になるので、プリン・カップから大き目のまともな容器に移すことにした。
オオクワのようには大きくならないだろうが、コクワよりは大きくなって欲しいので、取り敢えず900ml のプラスチック容器に二次醗酵マットを詰めて放り込むことにした。併せてたったの5 頭であるが全個体が無事に加齢が進んでおり、終齢幼虫も2 頭いた。初夏である為か意外に加齢が早い。取り出す前には亜終齢かと思っていた個体が終齢だったりするので、どうも大き目のコクワ程度の成虫にしかならなそうな予感がする。900ml の容器では容器とマットが勿体ない気がするが、僅かでも期待を込めるということで、マットを詰めて用意した容器をその儘使用することにした。
飼育容器を移して1 ヶ月が経過している為か、神奈川県足柄産 F1 つがい (平成17年9月27日購入) の飼育容器の側面で初齢幼虫が観察された。今回はマットの底は4 cm 程度で固詰めしたのでマットにも産卵したようだ。またもう少ししたら容器を掘り返そうと思う。



平成18年6月25日 20時 23℃ ポイントMT090705 他 採集

ポイントMT090705 畑内クヌギ並木(仕事の合間で24日の深夜)、ポイントMK051006 お化けコナラ、ポイントOK043006 里山コナラ林、ポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木
以上を廻って来た。ポイントMT090705 畑内クヌギ並木でノコギリ 1つがいを観察した以外は、コクワばかりであった。北総でノコギリは今年初だ。24日(土) は珍しく昼に晴れたので気温が上がったから、24日の夜が採集絶好の日であったと思う。その反動か、25日はコクワは多数であったが、最近にしては虫の薄い日だったような気がする。概ね今年は千葉県の虫は薄くなりそうだ。7月の梅雨明け時期に状況が一変することに賭けるしかない。



平成18年6月26日 飼育 アマミコクワ 複数産地

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) の飼育容器を掘り返し、産卵木を割ってみた。産卵されていれば、時期的にもう良い頃だろう。
■奄美大島竜郷町産 F1 (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:死亡 )
何もいなかった。産卵せずに雌は逝ってしまっていたようだ。この雌の死以来、6月7日の記事内で記した「考察」を元に全ての飼育容器に暗幕を張るようにした。その後、効果は上々のようでクワガタ共の餌の喰いが良くなった気がする。部屋の蛍光灯を点けている時でも、暗幕内を覗くとクワガタが餌場にいることが多くなっている。小生が飼育下手から卒業する日は近いかもしれない。
■奄美大島名瀬朝戸産 F4 (平成17年11月17日購入 雄:平成16年12月羽化29mm、雌:平成16年12月羽化29mm )
半埋めで綺麗に白枯れて柔らか目、直径約10cm の産卵木で2 頭見つかった。雌の齧り痕を見るともう少しいそうだったが、初夏なのでこんなものだろう。1 頭が元気がないのが気に掛かる。腹部は木屑で満たされている色をしているが、動きがかなり鈍い。ひょっとしたら産卵木を指で崩している時に圧迫してしまったのかもしれない。そうだとしたら、もう駄目だろう。しかし、まだ分からないので、望みを込めてプリン・カップに投入した。幼虫は全て醗酵マット飼育の予定だ。
マット中に完全に埋没させていた産卵木では1 頭も見つけることが出来なかったし、産卵痕もないようだ。これからは、リュウキュウコクワ系の産卵木は、全て半埋めにしようと思う。



平成18年6月27日 22時 24℃ ポイントTT010106 他 採集

ヒラタ 36mm 雄
■ポイントTT010106 コナラ林
やっと九十九里平野でヒラタを観察した。それも、冬場に新規開拓していた場所なので、小生のヒラタ・ポイントの縄張りが増えたことになった。
昼間に下見した時には、少数のコクワとノコつがいを幾つかという感じだったが、夜間行ってみると小型ヒラタを2 頭見つけた。身体に欠損や傷はなくピカピカなので新成虫のようである。繁殖の為にヒラタの雌が欲しいので、雄を採集する心算はなかったが、計測の為に持ち帰ることにした。しかし、マメピカヒラタ 27mm はなかなかの珍品の部類なので、気が変わって飼育することにした。新成虫なので、これから我が家で長生きして貰いたいと思う。
今後盛夏までは短いが、それまでに雌の新成虫が出るのに期待したい。それが叶わなければ、雌の出現は晩夏から秋口になるのだろうか。雌を採集するまでは、ヒラタ狙いの採集を止める訳にはいかない。なにしろ、どこでも言えることだが、僅かにやっと残っている林もいつなくなるか分からないので、それまでに地元クワガタの累代に成功しておきたいところである。
昼の下見と夜間を合わせて正味5 時間以上は林の中を歩き続けたことになる。足が棒状態でくたくただが、充実感満点な日であった。

■ポイントKT111305 ニレとクヌギ数本
30分程周辺を歩いたが、樹液場は1 箇所のみでカナブンが数匹集っていた。小さい洞のあるクヌギの開店はまだのようだ。

■今日の収穫
ヒラタ雄 2 (27mm、36mm 計測の為持ち帰り)
ノコギリ 雄多数、雌数頭 (2 頭を計測の為持ち帰り)
コクワ 雄多数、雌数頭
ヒラタ 27mm 雄



平成18年6月28日 飼育 ツノボソオオ 臺灣新竹縣産 WD

ツノボソオオクワガタ(細角大鍬形 ) Dorcus gracilicornis Benesh, 1950 (臺灣新竹縣産 WD 雌 体長未計測 ) の雌は、6月10日にプラ・ケース大の産卵セットに投入してから、一度も摂食行動が見られる訳でもなく、産卵木周辺のマットを掘り進んでいる様子がある訳でもなく、はたまた徘徊する姿もなく、まったく生きている気配がない。産卵どころか生死の心配もある有様である。投入から1ヶ月後に掘り出そうと考えていたが、生死を確かめるべく思いきって今日掘り出してみることにした。
クヌギ・カワラ材と椎の2 本の産卵木を持ち上げてみると、表裏どこを見ても産卵木を齧った痕がない。それに周辺のマットを掘り進んだ痕もない。マットのカスを退けてみると、椎の産卵木があった真下で丸くなるように脚を縮めている状態(死んだ振り ) の雌をみつけた。手に取ってみると、顋を開いて両前脚を踏ん張るように力んでおり、弱っている様子ではない。完全に寝ていたようだ。野生個体で夏の時期にも拘らず活動しないというのは全く不思議な状況だ。ヒトも虫も女心は理解に苦しむものだ。
VIP(VII) 産卵セットに住まわせておいても勿体ないので、様子を観察するということでスタックミニ(プラ・ケース小 ) で飼うことにした。



平成18年6月28日 20時 27℃ ポイントTT010106 採集

40mm に満たないヒラタ 雄
昨日(6/27 ) 採集したヒラタ 36mm を林に戻そうと、今日もポイントTT010106 コナラ林に出向いた。実はもっとヒラタを探したいだけなので、「林に戻す。」というのは只の口実に過ぎない。
以下は本日の採集における或る場面での小生の心の叫び。

(巨大なDorcus が素早く洞に潜って行くのを目撃) オオがいる! オオがいる! オオがいる! やったぁ、俺の睨んだ通りここにオオがいたかぁ (自惚れるのも程々にするように )
早くピンセットを、早くピンセットを、早くピンセットを! どこだ。どこだ。(いつものポケットにない ) あったぁ。
あぁぁ、もう潜られた。
(同じ木の他の場所も懐中電灯で照らす ) おぉぉ、まだ他にもオオがいるぅ! こっちは中歯か。まだ捕まえられるかもしれない。
(大きめのDorcus が洞に潜りきれずに捲れで固まっているので、写真を撮る ) うぁ、駄目か、くそぉ。 (掴んでみたものの余りの強さに洞に逃げ込まれる )

結局、2頭ともヒラタだった。巨大でない方は53mm ヒラタで、身体に欠損や傷はなく、概ね綺麗なのでこの個体も新成虫だろう。但し、幾らか活動したようで、口から頭部前面にかけて擦ったような汚れが染み付いている。巨大な方は、最初の目撃から2時間以上張り込んだのだが、ピンセットで一度挟んだのが失敗して、その後は顋の先端を覗かせるだけで二度と洞から出て来ることはなかった。
持ち帰った個体が53mm だから、巨大な方を今後採集出来れば、今まで小生が採集した九十九里ヒラタでは最大個体になるのではないか。

22mm (上翅に穴が開いてる方) と22.5mm のチビコクワと、コカブト雌も持ち帰った。コカブトは産卵・累代に挑戦してみようと思う。


■今日の収穫
ヒラタ 雄 3 (53mm 持ち帰り、巨大個体は逃げられる)
ノコギリ 雄多数、雌数頭
コクワ 雄多数、雌数頭 (雄 22mm、22.5mm 持ち帰り)
コカブト 雌 1 (持ち帰り)
樹洞に逃げ込むヒラタ 53mm 雄
今日の収穫



平成18年6月29日 21時 25℃ ポイントTT010106 他 採集

ヒラタ 50mm 雄


ヒラタ 33mm 雌
■ポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木 (時間の都合で2/3 のみ廻る)
カブト雌雄3 頭ずつを確認した。それ以外にはコクワの雄が数頭で、ノコギリは原歯の雄1 を観察したのみに留まった。ここは昔もそうだったが、ノコギリもヒラタも棲息しているのだが、個体数は元々薄いようだ。しかしながら、昆虫相に対して樹液場の方が余っている状態が続いている感じで、発生場所の減少と不足を色濃く匂わせている。餓鬼の頃を除いて去年の晩夏からしか見ていないのだが、ヒラタは大きくても40mm 台前半、ノコギリは中歯型が多かったのも、棲息環境の悪化による発生場所の減少と不足を示唆しているものと考えられる。周辺を幾らか歩いてみても、この林自体は昔と変わらないのだが、林内に朽木は多くはないし、宅地化が目前まで迫っているのは確かだ。
クヌギの5〜6 m 高所に赤ライトを当てたら、そそくさと太枝の影に隠れた虫がいた。高所を見上げる状態なので何の種なのかは特定が出来なかった。動作パターンからカブトではなさそうだから、多分クワガタではないかと思う。もし、その太枝の場所に下からは見えない洞か捲れがあるのら、大物の可能性もあるのではないかと期待している。忘れなければ、その内に機会を見つけて木登りでも楽しもうかと考えている。

■ポイントTT010106 コナラ林 (時間の都合で1/3 のみ廻る)
今日も同じ場所に3日連続で行ってしまった。涙が出る程の物好きであるが、遂にヒラタ雌 33mm の採集という成果が上がった。感無量である。
今日は幸先が良くて、この林で一番最初に観察したクワガタは、無数にいるコクワではなく、何とヒラタの雄だった。車から降りて林内に向かおうとしたところ、通り過ぎてしまった木があったので、少し戻って観察してみたところ小型ヒラタの雄がいた。
その後、別の木で直ぐに50mm ヒラタ雄を採集した。15cm 離れたところにいる中型カブト雄を押し退けて居座るように、捲れに頭部を突っ込んで吸汁していた。胸腹部だけを見た時には大きいと思ったのだが、鷲掴みで採集して実際に手に取ってみると、それ程大きくもないように思えた。だが、なかなかの大きさに見えたので、昨日の53 mm と比べる目的で持ち帰ることにした。大きい方を手元に残して、また元の林に戻す予定だ。
ひょっとしたら、この木の他の場所に雌がいるのではないかと、洞や捲れを隅々まで観察した。しかし、他には交尾中のカブトつがいと雄1、コクワ雄1、捲れ奥に不明の小型Dorcus がいるのみであった。
その後、林の中を観察しながら昨日逃したこの林の主に挑もうと向かった。元々の今日の目的は、ヒラタの雌を探すのは勿論のこと、昨日逃した大物を手にすることだ。
しかし、その主は相変わらず同じ洞中にいるのは観察出来たのだが、顋すら覗かせることはなかった。数分間、「動かざること山の如し」と、木の横で張り込んだのだが、林の主は一向に隙を見せる気配がなかった。時間が勿体ないし、状況の変化を期待するには、また間を置かざるを得ないと考え、また林内を歩くことにした。
3日間でヒラタ雄を重複なしに7個体は活動していることを確認したので、もういい加減に雌1個体位、間違いでもいてくれてもいいんじゃないかと、林の中を観察しながら考えていた。
40分後、先程採集した大き目のヒラタ雄のいた木に戻ってみると、雄がいた捲れ近くでノコギリ大歯型とその脇に大き目のクワガタの雌がいるのを観察した。2 匹とも採集者が来たことに感付いているようで、完全に静止して固まっていた。ノコギリの雌雄が一緒にいるように見えるのだが、雄が警護行動を執っていないので怪しいと感じ、間髪入れずに雌を鷲掴みした。しかし、立っていた位置からやや遠くて手がやっと届くような状態だったので、雌の抵抗に負けて手が離れてしまった。雌は落下したのかと思って、木の裏側に廻って下を見るがいないので見失ったのかと思っていた。ところが、木の上の方を照らしてみると、その雌は木の幹を上に向かって歩いていた。
雌を手に取って頭部をみるとドルクス瘤があるではないか! 前脚脛節も内側に湾曲している。「やった〜!」と何度心の中で叫んだことか。(笑) クワガタ採集でこんなに喜んだのはオオ以来24年振りだ。林の主は気になるが、今日はこれで引き揚げることにした。今年の採集目標の一つを達成したので、暫くここに通わずに過せそうだ。

■今日の収穫
ヒラタ 雄 5 (未採集で重複個体あり) (計測の為持ち帰った個体は50mm)
    雌 1 (33mm 累代目的で持ち帰り)
ノコギリ 雄多数、雌多数
コクワ 雄多数(数え切れない)、雌数頭
カブト 雌雄 約10頭ずつ



平成18年7月3日 沖縄 採集

3泊4日で沖縄に昆虫採集も兼ねた家族旅行へ行った。全く初めての離島採集であり、そこでの土地勘もなく短期勝負でもあり、家族旅行に於ける父親としての役割も果たさねばならない。期待と不安の入り乱れた旅行である。
関東は未だに梅雨であるが、沖縄は先月下旬に梅雨が明けて以来、毎日灼熱の真夏日のようだ。狙っているリュウキュウコクワガタ Dorcus amamianus nomurai Mizunuma, 1994 は、7月から個体数が増え始めるとのことなので、天候も時期も悪くはない筈だ。情報は少なく、リュウキュウコクワガタそのものも個体数が多い訳でもなく、実際のポイントも要領も分からずに手探り状態であるが、初めてなりにも当たって砕けろだ。

果実トラップを自宅から作って持って来た。バナナを真ん中で切って焼酎に3日以上漬けたのだが、熟れ過ぎて沖縄に着いた時には不安になる程匂いが強くなっていた。要はアルコール漬けなので、そう簡単には腐らないだろうと、引くに引けない状況下でもあってゴリ押し決行だ。これを百円均一で購入したストッキング状台所流し用ごみ受け網1 当たりに、バナナ2本分を詰めたものである。これを36 個用意した。元々スーパーの買物台車1 台分であった為、大きめの手提げに入れて持った場合、かなり重くてやっと持って歩ける量だ。1箇所に3 トラップを仕掛けるとすると、ポイントとしては12箇所となる計算だ。最初はトラップをもっと分散させてポイントを増やそうと考えていたが、虫が集まる場所ならそこに餌を集中させた方が良いと考えた。それになによりも、家族を連れて観光をするのが本命なので、時間との勝負であり、可能な限り行動範囲を絞って時間を節約する必要があるというのが本音だ。
これで十分だろうか。勝手が分からないので、幾らバナナが沢山あっても不安である。当初はこの2倍は持って行こうとしていたが、家族旅行なので家族の荷物を持った上で可能な範囲の量に収めることにした。それでも移動時は重くて大変だ。何度も離島採集に行ける身分ではないので仕方がない。虫が採れるか採れないかは、先ずは行動してみてから祈るのみである。

初日は羽田での離陸が12:00 で那覇への到着が14:30 の予定であった。予想では15:00 頃にはレンタカーに乗っているのではないかと思っていたが、実際にレンタカーで走り始めた時点で16時を廻っていた。気持ちがかなり焦っていたようで、何かと易怒的になっており、妻に車内で諭された。家族旅行なので楽しくなければならない。予約を入れた妻もこんなに遅くなるとは思っていなかったようで、出発時間については反省していたようだ。
那覇から山原(ヤンバル ) までは沖縄本島の端から端までを縦断する形になるので、かなり時間が掛かってしまう。出来るだけ早く今日の内にバナナ・トラップを仕掛けて来ないと、今回の旅行の目的が果たせなくなってしまう。行ったこともない場所で何がどの程度時間が掛かるのかということが全く見当がつかない。そういうことで妻の許可を得て有料の沖縄自動車道を疾駆することになった。

何とか17:30頃には目的の林道入り口に来ることが出来た。レンタカーに搭載されていた高性能なカーナビの御蔭でもある。しかし、このレンタカーもカーナビも古くはないにも拘らず、沖縄の林道は半分程度しか表示されていないようだ。沖縄の亜熱帯原生林のジャングルを通る林道なので、致し方のないことで部分的にも表示されるだけまだましだろう。
結局、この日は大宜味村(オオギミムラ ) の林道沿いにトラップを3箇所に仕掛けて終わった。林道から少し奥へ入れて風通しの良さそうな場所を探して仕掛けて行った。大宜味村を出て国頭村(クニガミムラ ) に向かっていたのだが、今月3 歳になる長男が発熱したようだ。倅は活気はあるのだが、無理をして暗闇まで残り僅かな時間を使うよりも宿に行くことにした。残りは明日に持ち越しだ。

宿は本部町備瀬(モトブチョウビセ)にあるゆがふいんBISEというホテルだ。本部町備瀬は沖縄の中心辺りにあり、観光と山原での採集を両立するには絶好の位置である。熱が38℃を超えながらも倅は元気なので、夕食は本部町にある居酒屋海鮮亭で摂ることにした。帰り際、自炊するのにスーパーに寄った。夜の22時を過ぎても開いているのは、観光地だからなのか。妻が買物をしている間、車で待っていると、スーパー駐車場の灯火がなかなか明るいことに気付いた。そこで、見廻ってみたが、不思議なことに余り虫は来ていなかった。月齢は良くないのだが、少し曇っていてそんなに明るくもないので良さそうだが、何故か虫が薄い。関東ならこの周辺位に林があってこれだけの暑さなら、虫が沢山来る筈である。クワガタの屍骸は1 匹も落ちていなかった。


■今日の収穫
なし
林道入り口


本州にいる似た甲虫とちょっと違う


こんな綺麗な蛾は初めて見た



平成18年7月4日 沖縄 採集

妻の了解を得て、旅行2日目の今日の午前中は昨日の続きでバナナ・トラップを仕掛けに山原へ行った。長男は昨日の発熱はすっかりどこかへ消えたように良くなっており、その間に家族は本部町備瀬にある宿の直ぐ近くにある美ら海水族館(チュラカイスイゾクカン ) に行くことになった。大人だけの旅行とは異なり、3人の幼子の世話もせねばならず、衣食住の何をするにも倍以上の時間が掛かる。昨日から早くも予定がずれ込んでおり、出発時間は余裕で9:00 を過ぎていた。妻には大変に負担を掛けている。待ち合わせをするにも何時頃どこと聞かれても、全く見当がつかずに答えられないのも辛いところだが仕方がない。折角沖縄に来たのに、目的の為に何も出来ないというのは不甲斐ない話であるから、断行である。その後、最悪遅くとも14:00 には落ち合う予定である。
当初の目星として場所は大宜味村と国頭村と決めていたのだが、昨日の大宜味村ではポイント3 箇所に仕掛けたのみと物足りない結果であった。しかし、あちこち廻るには時間がないのは明白で、今日は国頭村のみに絞ることにした。途中、ノグチゲラとヤンバルクイナが棲息するという国頭村森林公園を通ったのだが、動植物の採取は禁止されているということなので、道程中暫くはトラップを仕掛けることが出来なかった。ひたすら林道が続いているのみなので、森林公園の区切りがどこにあるのか全く分からないのが難点であるが、豊かな自然が残る山原で区切りをはっきりさせるような人為的な機材を置くのも問題があるのだろう。
或る程度の標高のある尾根が続くような地形であるが、更に少し標高が上がって林道の分岐点に差し掛かった。この辺りからトラップを仕掛ける場所を物色し始めた。似たような尾根が永遠に続いており、沖縄の最高峰で最高点の場所がはっきりしない与那覇岳が503m なので、小生が活動していた一帯の標高は300〜400m であったと考えられる。車で少し走っては林道から少し歩いて奥に入り込める場所を見つけてバナナ・トラップを仕掛けて行った。時間の制約に対してバナナの減りが一向に進まないので焦りながらの作業で、常に時間との戦いであるのが辛い。それでも、亜熱帯原生林の山原の豊かな自然を初めて目の前にして、あちらこちらで新鮮な気分になりながらの作業である。将来いつかはゆっくりのんびり山原を満喫したいものである。人里も原生林内も、どこも蝉の鳴声が聞こえないところはなく、晴天の真夏日下での活動だ。家族旅行という名目ではあるが、家族の理解もあり、本当に良い時期に来れたものだ。
沖縄で極普通に見られる景色


湧き水を汲みに常に人がいる場所

クワガタ特売の看板


原生林内のどこにでもいた蛾
バナナ・トラップを全て仕掛け終わると、やはり時間を目一杯に使ってしまっており、備瀬で家族と落ち合えたのは予定では一番遅い14時頃であった。幸い美ら海水族館見物が終わったのも丁度良い時間だったようだ。
家族と合流してから南部へ向かう途中直ぐに、「特売 クワガタ」の看板を道の脇に発見した。クワガタ自己採集がならない時の保険にならないかと偵察してみることにした。妻に断って車を停めて店の中を覗くと、普通のおばさんが2人で喋っている。「クワガタを売ってるんですね。」と言って入って行くと、一人は小生を案内するように立ち上がったが、もう一人は「え、クワガタって虫でしょ。」と身体を身震いさせている。「虫なんですけどね。ちょっと見せて貰うだけですよ。どうも、失礼します。」と言って、何故か客である筈の小生がそのおばさんを宥めていたりする。プラスチックの衣装箱で多頭飼育しているようだ。
店主らしきおばさん「ヒラタクワガタは売れちゃったから何匹もいないのよ。」
艶のある褐色〜黒の中歯型ノコギリの雄ばかりだ。
小生「コクワガタはいないですか ? 」
店主らしきおばさん「コクワガタは沖縄にはいないわよ。」
小生「リュウキュウコクワガタっていう、この位の黒くてちっちゃいやつです。」指で大きさを示しながら説明。
店主らしきおばさん「あ、それなら後1ヶ月位しないと出て来ないわよ。」
(それ程興味のない一般の人は8月になると見ることがあるということ ? )
小生「雌はいないんですか ? 」 と累代目的なので訊いてみる。
店主らしきおばさん「雌は採っちゃ駄目よ。増えなくなっちゃうから。」
一瞬、意表を突かれたように「ドキッ!」としたが、相手に悟られないように瞬時に笑顔を作って答えた。
小生「そうですよね。分かりました。クワガタ採集も旅行の目的なんですけども、もし、採れなかったら買いにまた来ますね。」
そう言って立ち去った。

昨日発熱した長男はもう問題ないようなので、それからは家族全員で観光を続けることになった。時間の都合で、沖縄の中部を目指すことにした。恩納村(オンナムラ ) にある沖縄海岸国定公園である万座毛(マンザモウ )と、太平洋戦争 米軍沖縄上陸戦に於ける民間人を巻き添えにした集団自決で有名なチビチリガマ(尻切れ洞 ) を訪れた。
どちらも観光客で賑わっており、特にチビチリガマでは丁度現地ガイドが住職様ら観光客に説明中で、一言断ると一緒に説明を聞かせて貰えたので、当時の状況が良く理解出来た。懐中電灯を持って壕の中に入れると思っていたのだが、壕入り口に進入禁止の立て札があり、仕方なく入るのを止めた。ガイドの話によると、数年前にNHKドラマでここが取り上げられたのを契機に、ここが墓であるにも拘らず多くの観光客が入って中が荒れてしまったのが、進入禁止となった原因らしい。旅行前から子供専用に懐中電灯を用意して与えており、沖縄に着くなり懐中電灯をいじくり回して遊んでいる始末であったが、餓鬼どもには懐中電灯を使える機会がなくなったのには、納得がいかなかったようだった。長女はホテルに着いても文句を言っていた。餓鬼どもにとっては遊園地感覚であろうが、彼の地の尊さが分かった頃にまた考えて欲しいものだ。

原生林内の至る所にいたホタル

サイカブト
巨大なカタツムリ

夜になり、時間の都合で夕食は家族と別に摂ることにした。家族は自炊の後、妻が子供を連れて近くの大浴場へ行き、小生は山原へ独りで向うことにかった。
真夜中の原生林は暗黒で不気味だが、ふと空を見上げると星空が綺麗だ。それに至る所で蛍が舞っている。写真を撮ろうと、手近の草を見ると、光っているのは成虫だけではないことに気付いた。草上にいる幼虫も同じように光っているのだ。沢山の蛍が舞う景観は幻想的で、子供の時以来の体験である。ヘリコプターで農薬を散布するようになってからというもの、地元で蛍が乱舞するのを見ることが無くなって久しい。本州の殆どの地域ではそうではないだろうか。
昼間でも樹木が茂っていて薄暗い場所があったのだが、まるでジュラシック・パークの様であった。それを思い出してしまって一瞬怖くなった場所があった。九十九里平野で夜中に採集している時にも、独りで暗黒の林を歩いている最中に突然怖くなることがしばしばあるのだが、今歩いているここは山原の原生林で、絶対に近くにヒトが住んでいることはない。泣いても喚いても独りきりなのである。気を取り直して虫のことを考えるようにして、得体の知れない恐怖を忘れることにした。
昨日か今日に仕掛けたばかりというのもあるが、当然のようにバナナ・トラップにクワガタが付いていることはない。大丈夫だろうか。昨日仕掛けた大宜味村もボーズだ。先が思いやられる。代わりにバナナを喰いに来ているお客さんは、蛾、蟻、コメツキムシ、ナメクジ、ゴキブリ、カタツムリ、キリギリスであった。色や形状はどれも本州の個体にはない独特の外観を持っており、概ね本州の種類よりも大きいようだ。特に或る同じ種類の蛾が多く来ていることがあり、トラップを覗く為に追い払う際に、鱗粉を撒き散らすので気持ちが悪かった。コメツキも蛾も懐中電灯目掛けて飛んで来る性質が強いようだ。

帰り際に仕方なく外灯廻りをしてみたのだが、昨日と同じくどこも虫が薄い。道路際の灯火は殆どが橙色になっているのだが、中には水銀灯と思しき電灯が学校の校庭や校舎に使われていることがある。ヒラタ雌の古い屍骸を幾つかみただけであった。
沖縄でのクワガタ自己採集には縁遠いように思われ、やや意気消沈しかけた帰り、ホテルのエレベーター自室の階でサイカブト(タイワンカブト) Oryctes rhinoceros が出迎えてくれた。黄色っぽいのだが、ここの電灯に誘引されたのだろう。サトウキビやヤシの害虫とされているが、紛れも無くこれはカブトムシである。疲れて帰った小生を癒してくれるような出来事であった。

■今日の収穫
オキナワヒラタ 雌の屍骸 数頭
サイカブト 1



平成18年7月5日 沖縄 採集

旅行3 日目は朝からまるまる家族で観光の予定だったので、南部を目指して一路沖縄自動車道を走った。ところが、南部に着いたとたんに、今まで後部座席ですやすや眠っていた今月1 歳になる次女が嘔吐し始めた。最初に目についた病院へ行くと、そこは精神専門病院であった。そこで聞いたというのもあるが、ひめゆり平和祈念資料館へ向かっていたところだったので、ひめゆりクリニックという医院でお世話になった。今日は不調の次女をこれ以上連れまわせないことを悟り、ホテルへ帰ることにした。
帰る途中に寄った食堂でも次女が嘔吐してしまい、食事も儘ならなかった。コンビニで食料を買ってホテルへ帰ると、今度は今年5 歳になった長女も何やら雲行きが怪しくなっている。長男と遊んでいて活気はあるのだが身体がやけに熱い。今日吐いていた次女はホテルの部屋に着くと顔色がよく我が家に帰ったかのように元気になっている。
今日は観光は駄目だったがせめて虫採りでもということで、妻の方から小生に外出を許可してくれた。明日19:30 の飛行機までにバナナ・トラップを回収しに1 回は山に行かなければならない。こんな状況の中、後ろ髪を引かれる思いであるが、最後の夜ということもあり、妻の言葉を有り難く受け取って沖縄最後の採集に出ることにした。

まだ明るい内に出られたので、暗くなるまで狙っていた近辺の木で樹液採集でもしようかと考えていたのだが、激しい睡魔に襲われたので車を停めて1 時間程度仮眠をとってしてしまった。
ヒラタが採れた場所
今日の目的はバナナ・トラップを残さず漏らさず全て回収することである。他の余計なことには時間を掛けられない。林道の道順がよく分からないので、仕掛けた通りの順で回収して行くことにする。先ずは大宜味村からである。最初の2 箇所はボーズであった。仕掛けていた初日には、小生の前にバナナ・トラップが仕掛けられていたので、何かいるのではないかと予想していたのだが甘かった。大宜味村最後の1 箇所で一番期待していなかった場所なのだが、意外にもヒラタ Dorcus titanus okinawanus (Krieshe, 1922) の雌1 頭がバナナに食い入っていた。何故期待していなかったのかというと、リュウキュウコクワを狙うには標高が低いのではないかということと、日中でも樹木の茂りで暗めだからである。何はともあれこのヒラタ雌は、沖縄での自己採集第一号という栄誉ある記念すべきクワガタである。当初はリュウキュウコクワ以外は持ち帰らない心算であったのだが、何も持ち帰らないというのも寂しいので、ヒラタ雌は千葉県まで同行して貰うことにした。ピッカピカの新成虫でもないし、この時期の天然個体なので当然の如く交尾済みと考えられ、累代には全く問題ないことだろう。
続いて国頭村へ入り、最初の場所でまたもやヒラタ雌を採集した。ヒラタはもういらないのだが、昨日の状況から考えるとこれで最後という可能性も在り得るので、この個体も迷った末に持ち帰ることにした。
クワガタの姿がなく数箇所を過ぎて、この旅行の本命であるリュウキュウコクワガタがつがいでバナナに付いていた。最初は雄しか見えなかったのだが、雌は内側に隠れるように付いていた。採集の成果としては、一気に薔薇色の気分となった。普段の縄張り内での採集なら、ちょっとした虫や気になる状態が見られれば、ほぼ全て写真を撮るようにしている。失敗して逃がしてしまっても、後でまた来ればその時に採れる可能性があるからだ。だが、旅行中での一発勝負の採集では、失敗が許されないので写真を撮る余裕など全く無い。故に採集時の記録は小生の記憶だけである。
さて、次の収穫は近くの次の場所でオキナワノコ Prosopocoilus dissimilis okinawanus Nomura, 1962 の雌が1 頭採れた。リュウキュウコクワの追加はもうなさそうなので、このノコも持ち帰ることにした。全身がなかなか綺麗な艶のある赤褐色で子孫の色に期待が持てる色だ。
バナナ・トラップを全て回収するのには、仕掛けた場所を忘れていた事例もさることながら、元々カーナビにはない道を走っていることもあり、場所が今一つ分からずに、通り過ぎてからまた戻って探すという行動を何度かせねばならなかった。それも真夜中の作業である。この作業は、時間に余裕があれば、最終日の日中にしても良いであろう。そんな時には案外に見逃していた思わぬ虫が、バナナの中や下にいることもあるかもしれない。仕掛ける時は場所探しで時間が掛かるのだが、回収する時も忘れた場所を探し出すのに時間が掛かるものだ。最初も最後も出来れば余裕を持って望むに越したことはない。
ノコギリが採れた場所
沖縄での採集は、本州の里山を主体とした採集とは全くの異質であった。里山で樹液採集をすることに対して、沖縄ではバナナ・トラップを仕掛けて待つという採集方法が先ず違う。これはどちらも相互に方法を入れ替えて実施することも、勿論、可能であるが、どの場所にどの方法が一番適しているのかという話である。
その上、狙っている獲物が棲んでいる環境が大分違う。ヒラタとノコギリに関しては、本州の里山に当たる人里にある比較的平地の畑脇の林でも採れるだろうが、こいつらは標高400m の原生林内でも大昔から脈々と息衝いているのである。ヒラタが採れた所は、2 箇所とも昼間でも薄暗いジュラシック・パークのような場所である。これは、ヒラタの湿気を好むという性質が、反映されているのではないかと考えている。ノコギリが採れた所は、林の中でもやや開けて椎が多いような雰囲気の場所である。リュウキュウコクワがつがいでいた場所は、それよりも更に開けたような場所という感じであった。全てに共通している要素は、本州の里山に於けるクワガタ採集と基本的には同じことで、風通しが良いということである。これは、木が樹液を出すこと、多様な昆虫や小動物らが集まることと、更にクワガタにとっては、他の小動物や昆虫と同様に雌雄が出会う為にも必須の要素であり、且つそんな条件を探せるという能力が代々受け継がれて組み込まれているということではないだろうか。どこまで続くのか分からないような広大なジャングルの中で、同じ一つのバナナ・トラップに一晩でリュウキュウコクワがつがいでいたのは、全くの偶然ではないと考える。まさか一旦つがいになったら、トンボのように繋がって飛翔する訳でもあるまい。

沖縄での採集で気付いたことで、まだ述べていなかった内容を簡単に挙げておこう。
蜘蛛の巣があるにはあるが、本州と比べて極端に少ない。地元で採集となると、木を1 本見る度に蜘蛛の巣を1 回は頭から被る程で、これは不注意だからというのではなく、蜘蛛の巣は本当に多い。ところが、沖縄では、この3 日間で蜘蛛の巣を被ったことは1 度もない程に少ない。本州では、カブトやクワガタが里山での生活に適応して馴染んでいるが、それは他の昆虫や小動物でも同じことが言えるという意味だろう。
外灯に虫が余り来ない。本州なら小甲虫やら羽虫やら蛾やらがうじゃうじゃであろう条件の場所でも、沖縄では虫がいるにはいるが異様な位に少ない。地元の人のみが知るような相当な秘蔵の場所でも知らない限り、外灯廻りで探している虫が拾えるなどと期待しない方が良いだろう。橙色の灯火がよく使われていることもあるが、そうではなく尚且つ明るくても何故か虫が少ない。虫や小動物が集まらないように何か特別な波長でも使っているのだろうか。調べてないのでちょっと分からない。

■今日の収穫
全て累代目的で生きたまま持ち帰り
リュウキュウコクワ つがい
オキナワヒラタ 雌2
オキナワノコギリ 雌1
今日の収穫



平成18年7月7日 飼育 ツノボソオオ 臺灣新竹縣産 WD

ツノボソオオクワガタ(細角大鍬形 ) Dorcus gracilicornis Benesh, 1950 (臺灣新竹縣産 WD 雌 体長未計測 ) の雌は何日も寝ているだけだったので、6月28日からスタックミニ(プラ・ケース小 ) での生活をさせていた。その間は、身体の大きさに見合った量の餌を食べていたし、よく徘徊もしていた。それなりに活動意欲があるようなので、再びプラ・ケース大の産卵セットであるVIP(VII) 生活に戻すことにした。沖縄で採集して来たクワガタ共の飼育セット作りのついでにこの虫もやることにした。コクワ幼虫の糞を産卵木に擦り付けるという御呪いも一応施しておいた。今度は只寝続けてるだけじゃなくて、ちょっとでも何か行動を起こして欲しいものだ。何しろVII な訳だし、義理でも良いから最低限累代出来る数の子孫は残してくれないと、諦めがつかない。



平成18年7月10日 雑感

やっと九十九里平野でも局地的にアブラゼミの鳴声が聞こえるようになった。ヒラタの観察もセミの鳴き始めも、通常の平均的時期に比べると凡そ揃って1 ヶ月程度は遅い。5月、6月の曇り続きの日照不足の影響であろう。



平成18年7月10日 飼育 トカラコクワガタ 悪石島産 F3

トカラコクワガタ Dorcus rectus kobayashii (Fujita et Ichikawa, 1985) (吐喝喇列島・悪石島産 F3 雄H18.4羽化43mm、雌H18.2羽化29mm、27mm ) が雌雄共に餌の喰いがまずまず良くなったようなので、プラ・ケース中に同居させることにした。



平成18年7月10日 飼育 ノコギリ 千葉県芝山産 F1

ノコギリ Prosopocoils inclinatus inclinatus (Motschulsky, 1857) の雄(平成17年7月15日 採集 千葉県芝山産の子 F1) 2 頭目が羽化した。4月9日に羽化した個体よりも3 ヶ月遅れである。幼虫で取り出した時には初齢と亜終齢の初期という違いがあったのだが、羽化日はその違いを差し引いて有り余る開きがある。勿論、この個体の方が大型になった。ノコギリなので来年の夏まで休眠するだろう。



平成18年7月10日 飼育 関東ヒラタ 複数産地

今日は以下の両産地併せて、個人で飼育するには十分な数の卵と幼虫が採れたので、この両産地の産卵セットは休止することにした。気が変わらない限りは、この親虫達は小プラ・ケースでの生活を長らく続けることになるだろう。ヒラタについては、今後は、6月29日にポイントTT010106 で採集した雌を中心に、大宜味村産と国頭村産のオキナワヒラタ雌に産卵させて子孫を増やすことに専念しようと思う。

■ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産 F1) つがい
5月24日以来で2 回目の掘り出し・割り出しを行った。二次醗酵マットを底に固く詰めて産卵木を埋め込んだ状態だったので、容器底で腐葉土状になった部分にもカブトのように産卵されていた。

■ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産) つがい
5月27日以来で2 回目の掘り出し・割り出しを行った。前回の作業時には、雄がかなり弱っている雰囲気で、その数日後には、右後脚が欠損して木には登れず地面を這い蹲るだけになっているようだった。今日までにその雄は、止まり木の下で死んだ後ばらばらになっていたようだ。
腐葉土に産卵木を沢山埋め込んでおいたのだが、全体が程好い醗酵マットのようになる感じで、母虫が産卵木を齧りまくっていた。しかし、卵で見つかった個体は産卵木内であったし、幼虫も全て産卵木内に入っていた。
母虫が木を齧るのは、産卵目的もあるだろうが、幼虫の餌を作る意味もあるのではないだろうか。幼虫が棲むに足る太い木がない場合、産卵場所周辺のマットを食べて育った後、土の中で蛹化する個体もいるのだろうか。ノコギリやミヤマは深い土の中で蛹化・羽化出来るので、ヒラタも土の中で変態出来ても良い気がする。
又、見たくないものを見てしまった。母虫が我が子を食べている場面を目撃してしまった。初齢幼虫の腹部に顋を食い入れているような状態で母虫を発見した。余りにもえげつない描写に写真撮影を忘れてしまった。産卵木内でしか幼虫が見当たらないのは、母虫の幼虫捕食が関係しているかもしれない。

■今日の収穫
神奈川県足柄産 F2
 卵 8
 初齢幼虫 2
 亜終齢幼虫 2
九十九里平野産 F1
 卵 2
 初齢幼虫 8



平成18年7月10日 飼育 ツノボソオオ 臺灣南投縣合望山産 F2

初めて同居となったツノボソオオつがい
ツノボソオオクワガタ(細角大鍬形 ) Dorcus gracilicornis Benesh, 1950 (臺灣南投縣合望山産 F2 雄34mm H18.5.27羽化、雌31mm H18.4.11羽化 ) のつがいが、雌雄共に羽化日からは想像もつかない早い時期に餌食いが良くなっている。別居させておく意味がなくなっているので、一緒にすることにした。虫にとって互いに選択の余地はないが、各々相手の異性を気に入るだろうか。末永く仲良くして欲しいものである。



平成18年7月21日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

明日は、長女と長男の通う幼稚園で夕涼み会という行事が開催される。近所の子供やお年寄りも来るので、結構毎年賑わっている。飼育カブト Allomyrina dichotoma septentrionalis 雄14 頭、雌17 頭の合計31 頭を幼稚園に進呈した。ペットボトル飼育の数頭と室内衣装箱飼育の個体群である。活動開始から2ヶ月経ってもまだまだ元気な5 月21 日第一号カブトも含まれている。先日、妻の友人にも雌雄それぞれ2 頭ずつの4 頭を里子に出したばかりだ。蛹化出来ずに死んだ個体や、ペットボトル飼育では多数の羽化不全を出したが、まずまずの数ではないだろうか。
残念ながら、屋外飼育分が80頭以上いるのだが、活動し始めた個体はまだ1 頭もおらず、夕涼み会には間に合わなかった。この時期になってもまだ屋外カブトが出て来ないというのは、5 月からの日照不足による冷夏はかなり深刻だ。



平成18年7月21日 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 WD

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (H18.6.29 採集 ポイントTT010106 九十九里平野産 雌33mm) 雌の飼育容器底面で卵が3 個確認された。本当は53 mm 雄と掛け合わせたいのだが、事故防止の為に大事を取って、持ち腹での産卵で様子を見ることにしていた。この調子で沢山産んで貰いたいものだ。卵が潰されたり幼虫が捕食されたりするのを防止したいので、後10 日程経ったら雌を別の飼育容器に移そうと思う。
飼育容器底面で観察された卵



平成18年7月21日 飼育 オキナワノコギリ 沖縄本島産 WD

オキナワノコギリ Prosopocoilus dissimilis okinawanus Nomura, 1962 (H18.7.5 採集 沖縄本島国頭村産 雌 体長未計測 ) の飼育容器下面で卵が1 個確認された。活動しているのを滅多に見ないし餌喰いも良くないが、ぼちぼち産卵しているようだ。後、2 週間程したら雌を別の容器に移そうと思う。



平成18年7月21日 飼育 リュウキュウコクワ 沖縄本島産 WF1

リュウキュウコクワガタ 雄

リュウキュウコクワガタ 雌
リュウキュウコクワガタ Dorcus amamianus nomurai Mizunuma, 1994 (H18.5羽化 沖縄本島国頭村産 雄25mm 雌23mm )をつがいで購入した。長期に累代を続けるには、1系統では心許ないので、7月5日に自己採集したつがいの系統以外にもう1 系統を追加したという訳だ。
雄は少し赤味があるようだが、まだ成熟していないということなのか。それとも赤味のある個体ということなのだろうか。リュウキュウコクワの系統は、ヤエヤマコクワガタ以外は皆真っ黒かと思っていた。小型個体だと赤味を帯び易いのだろうか。それとも大小に関わらず、赤味を帯びる血統なのだろうか。もし、赤味を帯びる血統なら、この血統の累代も面白いかもしれない。もし、まだ成熟しきっていないのなら、どうか、この色の儘で行って欲しいものだ。
雌雄共に同種の中でも小型個体の部類なので、動きがちょこまかと素早く脚が異様に長く感じる。皆が同意見だと全く詰まらないので、一時は否定論を考えていたのだが、系統的に、このクワガタはやはりヒメオオの特徴を継承しているコクワという線が強いようだ。



平成18年7月22日 21時頃 飼育 オオクワ 千葉県横芝産 F2

4 月6 日に羽化したオオクワ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) 雌が活動を開始したようだ。蛹室を壊して脱出するのに、背の高い1 リットル瓶の上面迄はかなりの距離があるので、掘り出してやることにした。取り敢えずはプラ・ケース小に餌を入れて、当面はここに住んで貰うことにしよう。一応、体長を計測したところ40mm 丁度であった。



平成18年7月22日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

今日は、長女と長男の通う幼稚園で夕涼み会という行事が開催された。例年の如く、近所の子供やお年寄り、卒園生も来て、幼稚園の行事としては結構賑わった。カブトは1 匹で100円、つがいで200円で販売されていた。出店の中では最初から一番長い行列が出来ており、売れ行きはなかなかのものだったようだ。今の時代でもカブトムシは子供達にとって夏の遊びの王様だ。しかし、元の数が多かったせいか、売れ残りも幾らか出たようだ。100 匹も進呈しなくて良かった。
飼育カブトを進呈してからというもの、子供達にカブトの累代方法を教えるカブト飼育教室をやって欲しいと、園長先生から度々お願いされている。虫の飼育が上手な人は小生以外に世の中に沢山いると思うのだが、小生にとしては身近な事で役に立てるのなら幸いである。子供にとって、カブトムシを飼うことから地元や日本の環境を考えたり、理科への興味を育むきっかけ作りになるので、了解することにした。来月の予定が立ったら園長先生に連絡することになっている。全く、小生は物好きなおやじだ。
販売されるカブト



平成18年7月23日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

平成17年7月28日にポイントHS090705 住宅地内の雑木林で採集した赤カブトつがいの子孫と思われる個体で、特に赤い個体を選りすぐって2つがいを交配させることにした。去年は飼育環境の問題で赤カブトだけに絞ることが出来ず、体色に関係なしに黒も赤も雑居させていたが、今年からは完全に赤で統一して飼育することが可能となりそうだ。
今のところ、今年羽化した成虫で確実に赤カブト雌の子孫として分けて飼育していた個体群では、主観的に赤カブトと思われる個体の比率は雄で1/2、雌で1/3であった。当然、去年の赤カブト雌の環境は、交尾する相手が赤だろうと黒だろうと関係はなかった。しかし、今年は新成虫の時期から完全に赤カブトは赤カブトで隔離している。来年に羽化してくる子孫は、どんな色の組み合わせと比率になるのだろうか。楽しみに累代してみようと思う。

裏庭コンテナ2 つで屋外飼育していた個体群から、1 頭の雄が活動を開始した。80 頭以上いる筈なので、これからどんどん新成虫が出て来ることになるだろう。
赤カブト2つがい



平成18年7月24日 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 F1

裏庭コンテナで屋外飼育しているカブトが80 頭以上おり、これからどんどん羽化して来るので、新成虫カブトの当面の飼育容器と場所の確保の問題が頭を悩ませていた。半端な数ではないので、早い内にいずれは親のいた環境に戻す心算である。それまで住まわせておく容器を空けておく必要があるので、今日は取りこぼし幼虫がいる筈で、7月10日から2 週間放っておいた関東ヒラタの飼育容器を暴くことにした。今日の作業は、夕方に仕事から帰宅して日が暮れるまでの短時間勝負である。

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産) つがいで、雄は6 月中に死亡。
朽木の中、及び腐葉土状になっている部分で主に初齢幼虫が何頭か出て来た。前回の掘り出し時には殆どの個体は卵であったと考えられるので、卵は見つけ難くて見逃し易い状態で朽木内に産卵されていることが多いようだ。
時間がなくて焦っていたのと暗くなり始めて視界が悪くなっていたので、見つけた幼虫6 頭中2 頭も潰してしまった。早々と作業を切り上げる必要があったので、全ての朽木を割ることが出来なかった。マットや朽木はビニール袋に入れて、残りの作業は後日ということにして、取り敢えずカブトの為にプラ・ケース大を一つ空けられるようになった。

■今日の収穫
九十九里平野産 F1
 初齢幼虫 5(1頭圧死)
 亜終齢幼虫 1(圧死の可能性)
 4頭増えて累計16頭



平成18年7月26日 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 F1

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産) つがいで、雄は6 月中に死亡。
残っている朽木を割ってみたが、初齢幼虫1 頭と比較的新しい亜終齢幼虫の屍骸1 頭を見つけたのみであった。

■今日の収穫
九十九里平野産 F1
 初齢幼虫 1
 累計17頭





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