虫日記 平成18年 前期





平成18年1月1日 ポイントYT010106 探索

元旦は家族で初日の出を拝もうと早朝から繰り出したのだが、生憎の曇り空でこの日に太陽を見ることは一度もなかった。日の出時刻後も暫く車内でその場に留まっていたが8 時前には去ることになった。さて、早朝に出て明るくなったばかりである。折角なので、近場を探索することにした。日の出を見るのに混むであろう海は避けていたので、その丘から近場の虫採集場所を探すということである。なんと元旦から家族を連れてポイント探索(笑)である。私は随分と理解のある家族を持ったものだ。朝が早かったからか子供らは車内でもう寝てしまっている。妻は時々私に話しかけながら車窓から外を眺めている。

YU090705 田圃沿い雑木林 の近くにあるポイントYT010106 に行くことにした。広大な開発されてしまった土地が隣接しているのだが、ちょっとした広葉樹林帯があるようなので以前から気になっていたところである。YU090705 田圃沿い雑木林 でオオクワの実績があるので、躊躇わずに踏み込むことにした。
山の中に入り、目的の場所に近づくにつれてコナラが目立つようになってきた。しかし、大木までにもならない中程度のコナラで幹に人為的な傷のある木が見られた。傷の形と場所から察するに明らかに樹液を出させようとする行為である。既に採集者が出没する場所ということだ。やや意気消沈して妻に木に付いている傷の説明をしながら車を運転していた。
ところが、更に進むにつれ、目的の広葉樹林帯は頭から完全に消え去った。というのは、その一帯は見渡す限りコナラを中心とした里山であったからである。それも予想通り日当たり良好な場所で至極の境地である。写真で見る山梨の台場クヌギとまでは行かないが、それに近いなかなか良い雰囲気のクヌギも見られた。運転しながら林を眺めて「ここにオオクワがいないなんて嘘だよ。」を連発していた。里山の果てに辿り着くまで溜息の連続であった。

元旦から予想もしなかった収穫である。まるで今年の運を暗示しているかの如しである(笑)。九十九里平野では私の知る限り一番の有望なポイントとなろう。妻の言葉を借りれば、「また夏に通う場所が増えて忙しくなりそう。」である。このポイントで、ただ、ただ、唯一悔やまれるのは、例の隣接する広大な開発されてしまった土地のことである。このポイントの30 年前の姿を知りたいものだ。



平成18年1月3日 雑記

正月と言えば、例年通り三賀日の二日と三日に開催される箱根大学駅伝である。仕事柄、毎年のように正月は職場にいるのだが、患者が見ている駅伝のテレビ中継は、私の母校も参加していることから非常に楽しみにしている。しかし、母校は駅伝の名門と言われながら、今年もシード落ちであった。近年は全く振るわない。がっかりである。少子化が進んでいる時代の中、学術面で大して振るわない我が母校は、社会に示す売りがなくなってしまうと経営が危うくなるのではないかと、余計な危機感を抱いてしまう。
ところで、大学駅伝と虫に何の関係があるのかというと、それが私にとっては大いに関係があるのである(笑)。山梨学院大学(笑)。どうしても「山梨」という言葉を聞く度に、鼓膜から内耳を伝わって第8 神経を通った信号が私の脳をピクピクと刺激するのである。私は昆虫採集で山梨に行ったことはないが、「山梨学院大学の学生はいつでも近くで虫捕りが出来ていいなぁ。」と、多くの学生にとっては全く無関係で勝手なことを考えてしまうのである。山梨で虫捕りと言えば、勿論ヤマナシクワガタのことである(笑)。



平成18年1月9日 飼育 カブト幼虫、コクワ幼虫

11月8日以来でカブト幼虫の世話をした。どうせ極寒で幼虫の動きは鈍いし食欲も旺盛ではないので、餌交換はせずに古いマットの上に新しい腐葉土を追加するのみにした。春を見越して仕事帰りに腐葉土を沢山調達して来ていたが、流石に大食漢のカブト幼虫200 匹近くの世話となると、幾らあっても足りない位に思えて来るので怖い。裏庭の自家製堆肥は使える部分がまだ少ないので、こやつらを成虫にするにはまだまだ調達が必要である。
容器の蓋を開けてみると、どの容器も意外にもマットは一面を埋め尽くす程の糞だらけであった。12月は気象庁の観測史上最も寒い冬らしいのであるが、それでも毎日ちらりと室内飼育の衣装箱を見ていて、時々幼虫が腐葉土上で這っているのが見えていた。いくら室内といえども廊下なので摂氏10℃そこそこの寒さであるが、動きがとても鈍いながら餌を食べているのである。こんな時期にマット上に出て来るのは、どちらかというと特大ではない幼虫か孵化時期が遅くて未だに小型の幼虫である。どうやら、まだ成長余力のある個体が、遅れを挽回しようとせっせと過酷な環境下でも食べているのではないかと考えられる。

平成17年12月10日 14時 ポイントH で採集したコクワ幼虫の一匹に変化が起こっているようである。持ち帰った日から3 匹とも簡易温室に入れており、当初は不凍液化してゼリー様になっていた腹部は、1 週間程もすると食べられて消化途中のマットのような色になっていた。マットの中をよく移動するようになり、越冬状態からしっかり活動状態に戻ったと考えられた。
1 匹が2・3 日前から容器底の坑道と言うより繭状の場所1 箇所で留まるようになっている。今日容器を持って目を凝らしてよく見ると、その幼虫の腹部には食物残渣物があるようには全く見えず再びゼリー状となっているように見える。しかも表皮に何気に皺が寄って来ているようでもあるし、容器を持った時の刺激で少し身体を動かしたのだが、その動作も何気に前蛹の動きのようでもある。体色はまだ普通の幼虫の色である。もし、病気でなかったら蛹化準備のように見えるのだが、コクワだとしても小型個体にしかならない程度の成長具合である。何だか怪しいものである。
投入時に拒食になった訳でもなく、元気にマット中を活動した後の現象なので、病気なのか前蛹段階であるのか判断に困るところである。ヒトのような医療がある訳ではないので、病気だったところで治療する訳でもなく、唯時間のみが解決手段となるようだ。
めでたく蛹化する場合は、簡易温室の温度が20 〜27 ℃(稀に妻に部屋の暖房を切られて16 ℃まで下がる) なので今後2 〜3 週間で蛹になるのだろう。その場合、卵巣を確認してはいないのだが、小型個体ということから雌の期待が持てる。コクワは雌が欲しいので打ってつけだが、オオクワ雄との交配実験に使用したいので大型個体が欲しいものだ。折角だから、病気で死ぬのでなければ好しとしよう。



平成18年1月15日 飼育 コクワ幼虫

2 〜3 週間で蛹どころではなかった。たったの1 週間そこそこの今日0 時過ぎに雌の蛹(平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集) になった。1 月9 日の日記の翌日には、身体のくねらせ方で前蛹と確信していた。同じ日に同じ場所で採集したもう1 頭の終齢幼虫も時を同じくして容器内を動くのが見えなくなったので、死んでいなければ、恐らく見えない場所で蛹化しているのではないか。
その後も時々観察しいたが、身体の皺は次第に多くなっていたようである。又、頭部の色は日に日にに薄橙から白身掛かっていた。地面に対して水平に作った蛹室内で仰向けになって身体を棒のように伸ばしていたり、時にはまるで私の観察時の光が刺激になったが如く避けるように横になって身体を向こう側に向けたり、例のように身体をくねらせたりしているのを見ていた。
蛹化1 時間程前にも観察していたのだが外見に余り変化は見られなかったから、簡易温室を開けて蛹化直後の雌の蛹姿を見て吃驚した。瑞々しく白く固まっていない蛹姿は本当に美しいものだ。昆虫の変態の様子を見る時程に生命の神秘を感じることはないだろう。きっと何度見ても飽きないのではないか。因みに生命の神秘と云えば小生の仕事柄、我が子の時は自分も必死なので別であるが、ヒトの出産を何度か見ており、ヒトの方がどうもえげつなく身を引いてしまう。
野生のコクワとしてはありふれた大きさの雌だろうが、オオクワ雄との交雑実験には小さいので、この雌はアマミコクワ雄との実験に使うことになるだろう。元気な雌成虫になって欲しい。
コクワガタ雌の蛹



平成18年1月16日 飼育 サキシマヒラタ

12月19日に雄が後食しているのを観察して以来、雄(平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) は購入時に一緒に送られて入っていた餌ゼリーをよく食べていた。その餌ゼリーは1 週間程前になくなったので、我が家にあった餌ゼリーを与えたのだが最初の2・3 日は全く食べている様子がなかった。100 円均一店で買った安物だということが悟られたのか(笑)、或いは、味や匂いが変わったので餌として認識しなかっただけのか、全く無関心のようであった。姿が見えない時でも入れてある落ち葉や産卵木が動いているので、飼育容器内でよく活動しているのが分かった。時には観察されているのが分かると、歩いている途中のような姿勢の儘で静止していたり、産卵木の裏に逃げ込んだり、慌てるように落ち葉の下に隠れようとするのが観察された。なかなか可愛いもんである。
無視していた餌ゼリーを食べるようになると、ここ数日はゼリー容器に頭を入れた姿勢で動かずにじっとしているのをよく見る。ヒトに観察されることに慣れたのだろうか。それとも、頭隠して尻隠さずな状況でも、逃げる動作で存在を知られるよりは、静止している方が気付かれなくて安全だと判断しているのだろうか。
夜の観察時は部屋の明かりを消して赤ライトを使っているのだが、赤ライトでも数十秒から数分で隠れてしまっていた。どうも赤ライトは万能ではないようだ。虫にとって見え難いというだけで、何かがいるということは認識しているようだ。それとも赤ライトにではなく、暗がりの小生の些細な動きにも勘付いているのだろうか。

雌の方が羽化時期が早かっただけに後食の開始時期も早かったのだが、雄が後食するようになってからは、不思議なことにまだ一度も雌が活動しているのを見ていない。心配になって元旦に飼育容器を掘り起こしてみたが無事な様子を見て安心した。産卵木に接するようにその真下辺りで蛹室状の居所を作って休んでいるようだった。雄の雌殺し防止として餌は必ず2 ヶ所に配置しているのだが、雄の気配を感じて出て来ないのだろうか。それとも小生の見ていない時に餌を食べたり交尾を済ませたりしているのだろうか。迂闊に昆虫だと思っていても、案外恥しがり屋なのかも知れない(笑)。尤も野性でも採集されるのは殆どが雄で、稀に雌がいたとしても雄が活動する近くの樹洞の奥であったり、捕まるのは燈火に飛来する個体や材割採集個体であることが多い。飼育で観察される生態も、まるで雄しか見ない野生の有様を忠実に再現しているようである。
交尾済みかどうかは不明であるが、産卵活動をしていないことは予想している。産卵するのなら、もっと摂食する筈だからである。成熟し切っていない可能性もあるだろう。又、飼育温度は20 〜27 ℃であるが、産卵活動を促すにはもう少し平均温度を上げる必要があるのではないか。



平成18年1月17日 飼育 コクワ蛹

瓶底で蛹化するノコギリクワガタの羽化不全についてしばしば耳にするのだが、原因として考えられるのは以下の通りであろう。因みに野性のノコギリクワガタは、蛹化する時には朽木から土に移るのだそうだが、この性質が飼育時の瓶底の蛹化に結びつくのだろう。

@瓶底には酸素より重い二酸化炭素が溜まり易く、瓶底で蛹化した蛹は酸素不足により発育に支障を来たす可能性がある。
A羽化時には先ず上翅を蛹の殻から出す段階で逆さまの状態から起き上がる。そして、羽化直後の新成虫は、後翅を上翅裏に仕舞い込んだ後、時間を置いて逆さまになっていたり起き上がっていたりして、身体がある程度固まるまでこれらの動作を繰り返す。この時、蛹室が瓶底だと地面側が滑り易い瓶の壁面であることが多く、身体の向きを変える時の足場としての役目を果たさずに寝返れない。

対策としては、瓶底で蛹化した後数日経って蛹が白から褐色に色づいて安定したら、瓶を逆さまにひっくり返すのが有効であると考えられる。園芸で使われるオアシスで作った人工蛹室に移すのが手軽であるという話も聞くが、瓶を逆さにひっくり返す以上の手軽さに勝る手段はないだろう。又、ひっくり返された蛹室は人工ではなく、限りなく自然に近いクワガタ自前の繭状の場である。

一昨日蛹化した我が家のコクワ雌(平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集) の蛹も容器底に蛹室を作ってしまった。小さいコクワ雌であるし蛹室の底はつるつるではなそうだから、放っておいても大丈夫かとは思うが、念の為飼育容器をひっくり返しておくことにする。ひっくり返してみると、蛹室は完全には水平な繭状に作られていなかったようで、頭部の方が低くなってしまった。そこで、容器の下に紙を噛ませて、逆さまにした蛹室がほぼ水平な状態になるように調節した。元の蛹室を参考に頭部は若干高目である。



平成18年1月23日 飼育 オオクワ幼虫


オオクワ終齢幼虫

12月20日に1 頭が死んだものの、その後その他の千葉県横芝産F2 オオクワ幼虫9 頭は問題なく生育している。堅く詰めたマットに坑道を掘ってあちこち活発に移動しながら餌をよく食べている。瓶の壁面に幼虫がいたり坑道があれば、温室の蓋を開けた時に直ぐに幼虫が観察出来るようにと、その場所が温室の蓋側に来るように各々の飼育瓶を設置するのだが、残念ながら定位置が決まっている幼虫は滅多にいない。定位置で過す幼虫がいたとして、続いたとしても僅か数日である。大抵はその日の内に他へ移動して、その坑道だった場所は糞か移動時に圧迫されて寄せられるマットで埋まっている。瓶をずらしたり持ったりすることで幼虫に刺激を与えたくないので、生態観察をするのは虫様に気を遣って結構面倒だ。
所謂、居食いをしている個体はいないので、その日に観察出来なくても数日の内に瓶の壁面から状態を確認することが可能となっている。皆元気な証拠だ。
只、何故か瓶底で過す個体が多いので、消費される餌も自ずと瓶底に集中するのが難点と言えば難点である。そこで1 月に入ってからは飼育瓶を逆さまにして様子を見ていた。瓶が逆さまになると、数日の内に瓶の中間辺りで過すようになった幼虫が何頭かいる。因みに逆さにした時に底に来るのは瓶の蓋なので、マットとの空間が2〜3cm あるからどんどん下に来ると終いには瓶の蓋に落ちることになる。幼虫が登って戻れない高さではないが、些か心配であった。しかし、予想に反して下の蓋に落ちる個体は1頭もいなかった。いないどころか瓶の上部(元底部 ) に居残っている個体の方が多い位であった。御蔭で今までと違って蓋が邪魔することなく透明な瓶底(以前の)を通して様子が観察され易いという、棚から牡丹餅な状況であった。但し、観察し易いという以外には、中間辺りまで降りてくれなければ、やはりまだ餌場の偏りの問題が解決されていない。恐らく、幼虫としては、木屑を噛み砕き廻ったり坑道に糞を撒いたりすることで、自分の持つバクテリアでを一旦餌を慣らすという作業をするのだろうが、幼虫が余り行かない場所はその「慣らし」作業が行き届いていないか、足りているのでまだ必要ないと考えているのだろう。
ところで、今日(1月23日) の本題に入ることにしよう。今日はオオクワ幼虫9 頭の餌交換をした。初齢か亜終齢初期で割り出されたのが8 月下旬〜9 月下旬の幼虫達なので、温室飼育で20 〜27 ℃恒温(温度差が大きい!) 管理だから、蛹化の目途は大体4 月か遅くとも6 月頃ではないかと予想している。従って、餌交換をするのなら、今を逃すと雌なら前蛹が近くなってしまうので、今やらないと意味がない。そういう言うことで1 月下旬の今日することにした。
二日前に降った雪がまだ何も解けておらず、外は一面雪景色である。通常なら虫の餌交換をする作業の場としては屋外が当たり前なのだが、大家さん(妻の母) が留守をいいことに堂々と居間で新聞紙を敷いて実施することにした。これで子供も廻りで遊んで泥だらけになることはなく虫を観察することが出来るので、一石二鳥である。(笑)
どこにいるのか分からない小さい虫を探すのとは話が違い、予め瓶の外からどの辺にいるのか検討がつくのでマットを穿るのは容易である。オオクワを抉り殺したくないので、それでも慎重に瓶の内側外周から匙で少しずつマットを除けていく。堀り進んで行くと幼虫が居る辺りでボコっと崩れる感じでマットが落ちて、芋虫の一部が露になる。何が起こったのかと危機感を抱くのだろう、芋虫はクネクネしてマット内に逃げようとする。瓶の外から見るのと、実際に外に出して見るのとでは、感覚として取り出した幼虫は小振りである。頭幅と身体の大きさから、雄確定というのは、小生の目では1頭しか見当たらなかった。それでも、カブト幼虫から比べれば間違いなく小振りである。今手持ちのオオクワ幼虫から格好良い雄の大歯型成虫が出るかは、残念ではあるが甚だ疑問である。
雌は腹部第3 節背面両側で橙色の卵巣を確認して区別すると聞いているのだが、雌雄判別は思った以上に捗らない。2・3 頭の雌は分かったものの、不甲斐ないことに前述の雄1頭以外の雄を確定するには至らなかった。一番の原因は、これと言った大きいのがいないことである。(うう〜、悲しい)
雌と確定した2・3 頭は、卵巣以外の特徴として体色は基本的にまだ殆ど白いのだが、所々に脂肪が載ったような黄色掛かっている部分が見受けられた。これらの個体は身体が大きくなる時期は終わったようで、前蛹段階に向かっていると考えられる。
餌の交換方法であるが、幼虫の活動パターンは水平方向が主体で、垂直方向の移動が少なく瓶底にいる傾向が多い。従って、新しいマットの混ぜ方は配置としては縦方向で揃えることにした。バクテリアで慣らされた古いマットを瓶底や上部のみに固めるのではなく、瓶を横にして瓶の約半分で縦方向に固めておいて、それから新しいマットをもう半分の縦方向に詰めて固めるようにした。こうすることで、飼育時は瓶を立てているが、幼虫は新しいマットと慣らされた古いマットの両方に水平で接しているので、水平方向で活動することの多い幼虫にとって、新しいマットによる環境の変化に困惑することが少なく過せるのではないかと考えた。
マットの表面に親指大の穴を開け、そこに幼虫の頭を持って行くとどの幼虫もそそくさと潜って行った。観察し易いように瓶壁に接する面に穴を開けたのだが、頭を持ち上げてなかなか潜ろうとしない幼虫もいる。壁面が明るくなっているのが原因のようで、光を遮断してやると壁面の穴でも関係なく潜って行った。
日々の観察の時も感じていたのだが、幼虫は盲目であると言われているが、明暗を感じることは出来るようだ。幼虫が備える主な感覚は、深部による振動(成虫は脚にあるので、幼虫も脚 ? )、皮膚から感じる圧迫と温度、触覚による匂い、口による味覚ではないかと考えていた。それにしても幼虫のどこに目があるのだろうか。

マットに潜るオオクワ終齢幼虫
縦方向に新しい餌を詰め足す



平成18年1月23日 飼育 カブト幼虫

裏庭の堆肥とカブト幼虫コンテナ
九十九里平野の海近くであるというのに、珍しく降雪後数日経ってもまだ雪が解けない。屋外コンテナで飼育中のカブト幼虫(横芝産F1 ) はいつ見ても腐葉土の奥で丸まっているようだが、この分だとまだ当分は越冬体勢であろう。
一方、屋内飼育のカブト(横芝産F1 ) は、衣装箱分を残してペットボトル飼育の幼虫は、寒い廊下から簡易温室も設置してある小生の部屋へ移動した。実はこれは家庭内の苦情への対処である。客の目に付き易い廊下が雑然として来るので、大家さん(妻の母) と妻から苦情が絶えなかったのだ。常識的には当然である。
温室に入れないまでも、当然、小生がいる時は暖房を入れているので暖かい。電気代が心配だが、不在でもエアコンを最弱に設定して維持しているので、妻が切ったりしなければ最低でも16℃は保たれている。計算する気もないが、暖房を完全に切ってまた入れる時に温度を戻すのに大変なエネルギーが要るので、入れっぱなしにした方がエネルギー消費が少ない場合もあるという話がある。全くの都合主義だが、小生はこの説を信じることにしよう。
ここへ連れて来たカブトが一番早い羽化組みになるだろう。他の場所で飼育している個体とどの程度の違いが出るだろうか。



平成18年1月24日 飼育 コクワ幼虫

平成17年12月10日 14時 ポイントH で採集したコクワ幼虫(横芝産 ) は、1 頭は雌の蛹となっている。蛹化して数日で少しずつ色付き始め、1 週間程度では目が黒くなっていた。コクワでは聞いたことがないが、巷ではホワイト・アイなんぞと呼ばれる白目個体が珍重されることがあるが、白目個体の蛹も目は黒っぽく色付くのだろうか。

コクワ終齢幼虫のもう1頭はまだ蛹化していなかった。容器の外から見えるようになったのだが、蛹化した雌個体と比べると同じ虫とは思えない位にかなり大きくなっていた。採集した時期と状況から、この個体は雄だろう。見えるようになったどころか容器内を縦横無尽に耕し廻っている。何故、温室に入れて1ヶ月以上経った今頃になって動き廻るようになったのだろうか。越冬から目を覚まして成長が再開されて大きくなった為、それに合わせて餌環境を探っているのだろうか。
初齢で採集したもう1頭も容器壁面近くに来るようになった。終齢になったのか見分けが付く角度ではなかったのだが、こちらも順調に成長しているようだ。



平成18年1月26日 飼育 ノコギリ幼虫 コクワ幼虫

先日はオオクワ幼虫の餌交換をしたので、仕事が連休ということもあって、今日はノコギリ幼虫(平成17年10月29日 飼育割り出し 横芝産) 2頭とコクワ幼虫(平成17年11月17日 亜終齢で採集 横芝産) 1頭の餌交換をすることにした。これらの幼虫も温室管理である。

孵りそうもなかったノコギリの卵は完全に消滅しているのを確認した。だから、雄1 頭、雌2 頭の成虫飼育で得られた幼虫は全部で3 頭だ。その内1 頭は去年の内に没し、現存2 頭である。今は2 頭共終齢で大きいのだが、まだ表皮にはそれ程脂肪が目立たないので成長期であると考えられる。この調子だと随分大きくなりそうなので、雌は居なそうだ。

コクワ幼虫の方も予想外に大きくなっている。実験の為に雌が欲しいのに、この個体も雄のようである。採集された材はカブト幼虫の餌に使おうとしていたように小さく、直径たったの6〜7cm 強、全長30cm 程度であり、この時余り大きくない亜終齢幼虫がこじんまりと入っていた。採集後、現在の700ml 容器に入れたのだが、直後からマットに坑道を掘ると云うよりも、あちこち活発に耕すような感じだった。新しい環境を豊富な餌場として悟ることで、途中から大きくなるような成長方針に変わったのだろうか。
簡易温室のダンボール蓋を開けたところ



平成18年1月31日 飼育 コクワ蛹

コクワ雌(横芝産 ) が無事に羽化した。昨日30 日の昼に見た時には脚や前胸周辺がかなり茶色付いていた。成長発達が早いようなので、夜勤が終わって帰宅する31 日夜には羽化が終わっているのではないかと予想していたが、その通りであった。
少年時代の話は別として、クワカブ飼育を始めて我が家での羽化1 号である。よく言われる格言だが、やはり、コクワに始まってコクワに終わるのだろうか。
全身はまだ赤茶色で腹部は上翅から大きくはみ出ている。数時間毎に温室を覗いていたが、時間を空けて横になったり逆さになったりしているようだ。
羽化数時間後のコクワ雌



平成18年2月1日 飼育 サキシマヒラタ

朝方4 時頃であるが、温室の中でガリガリと木を齧っているような音が続いていた。気になって中を覗くと数時間前には餌ゼリーに頭を入れていたサキシマヒラタ雄(平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) が、止まり木の上で静止している。この時、温室の蓋を開けた瞬間からガリガリ音は止まっていた。温室の蓋を閉じて数分すると、またガリガリ音が始まる。また温室を覗くのだが、ガリガリ音は止んで先程と同じようにサキシマヒラタ雄は止まり木の上で静止している。何度か同じことを繰り返してガリガリ音はしないようになった。
ひょっとしたら、雌が産卵するのに発している音だろうかとも考えたのだが、雌は冬眠しているようなので、やっぱり犯人は雄のようである。ヒメオオ、アカアシ、ノコギリの野生の雄は、吸汁するのに顋で細枝の樹皮を削ることがある事例を聞いている。対して、このサキシマヒラタ雄の行動は一体何を意味するものなのだろうか。

サキシマヒラタは昼夜を問わず活動すると聞いたが、我が家の個体を観察する限り、日中に活動しているのを見たことがない。例外として我が家での雌の最初の後食が正午過ぎであったのみである。雄が連日で活動している場合でも、活動開始は必ず決まって夜8 時を過ぎている。Dorcus 属らしくしっかり夜行性である。昼に活動する個体がいたとしたら、カブトのように本来の活動時間帯である夜間は、闘争心が薄いか喧嘩が弱いかで餌場を確保出来ずに、仕方なく補足的に昼間に活動している事例ではないだろうか。
ところで、サキシマヒラタの飼育容器は温室に入れてあり、ダンボールで覆っているので常時暗闇で、且つ温度管理がされている環境である。そんな状況でしっかり夜行性が保たれているのはどうしてだろうか。実際の昼と夜の区別をどうやって判断しているのだろうか。又、同じような現象として、一般にカブトやクワガタは羽化後の新成虫がまるっきり暗闇の蛹室から脱出して飛び立つ時も夜と決まっているようだ。完全な恒温管理下でない限りは、昼と夜とでは多少なりとも温度変化がある訳で、このことからどうやら微妙な温度変化を感じることで昼夜の周期を判断しているのではないか。

しかし、相変わらず雌が活動しているのを見掛けない。まるっきり完全に出て来ない。活動しないと云うよりまるで冬眠したように思える状況である。雌成虫は産卵するのが生涯最大の役目であろうから、不適切な季節と感じると、抜け目なく休眠するような性質を備えているのだろうか。



平成18年2月7日 飼育 コクワ

平成18年1月31日 に羽化したコクワ雌は、逆さまになっていたり横になっていたりしてじっとしている。体色は以前より濃くはなっているが相変わらず赤茶色である。観察時は、赤ライト以外の日中の明るさや差し込む蛍光灯があると、数秒で反応し始めてどこに行くでもない動き始めるので刺激になるようだ。



平成18年2月7日 飼育 カブト幼虫

平成18年1月23日 に小生の部屋へ移動したペットボトル飼育のカブト幼虫 (横芝産F1 ) らは、移動後2 日程度で活動が始まっていたようだ。物静かな深夜には朽木を齧る音が聞こえるし、ダンボールを開けてみると腐葉土上に幼虫が出ていることがあるのが観察される。春の到来と受け止めて成長が早まるだろうから、餌交換を急がねばならないだろう。しかし、ぬくぬくとした快適環境にいる幼虫の活動とは裏腹に、外はまだ真冬なので餌換えの場所と時間帯と天気に頭を悩ませてしまう。千葉県内でも温暖な九十九里ですら今日は雪がちらついている。近々晴れた日にダウンジャケットでも着込んで作業しようか。



平成18年2月9日 飼育 サキシマヒラタ

平成18年2月1日 飼育 の記事で我が家のサキシマヒラタ雄は、夜間のみ活動すると書いたが、その記事の翌日から小生の考察を非難するが如く、日中正午過ぎでもゼリーを食べているのが観察された。仕事が夜勤の日は別としてほぼ毎日、1 日最低でも1 回は飼育場を観察するのであるが、本日まで日中の食餌を3 回目撃している。
只、温室が蓋で光を遮蔽されているにも拘らず、概ね日中は休んでいることが多いし、夜間になって餌場にいない場合でも、飼育容器中の止まり木上で一番暖かい場所で休んでいることが多い。簡易温室は狭い空間の中心一箇所で暖をとっている構造なので、クワガタは容器内でその熱源に近い場所で背を向けるような格好をしている。体温調節をしているのだろう。
基本的には夜行性であるが、よく言われている通り環境温度次第で日中でも食餌をするのであろう。但し、どうやって昼夜を判断しているのかは疑問である。



平成18年2月9日 飼育 カブト幼虫

まるで子供部屋の大人版のような小生の書斎(笑) であるが、ここに置いているペットボトル飼育のカブト幼虫 (横芝産F1 ) の餌交換をした。マット上に追加したのを除けば、餌換えは平成17年11月8日以来となる。
朝から晴天だったので夜勤明けで帰宅して1 時間半の仮眠後にやろうと思っていたのだが、うっかり寝坊して3 時間も寝てしまった。御蔭で日が傾いて寒いのが更に寒くなった3 時から作業を始めることになった。天気予報では今日の最高気温は7 ℃だそうで、ダウンジャケットを着込んでの作業であった。
ペットボトル飼育分は1 頭減って34 頭になったので、カブト幼虫は全部で175 頭である。
気温が低くて分解が進まない為か、屍骸は殆どの皮膚を残した萎びれた身体に頭部が付いた状態で残っていた。皮膚の色からすると、極端に黒ずんで死んだのではなさそうだ。この幼虫がいたペットボトルでは、随分前から白い黴が蔓延っていたようで、底の隅が白くなっているのを容器の外から見ることが出来た。死んだ個体はこの黴に負けてしまったのか、腐葉土に埋めておいた朽木内で生き残っていた(使用前に電子レンジを掛けてある ) コメツキムシの幼虫にやられたのではないか。容器内に体長3cm 程度の焦茶色をしたコメツキムシの幼虫が1頭いたので捨てている。
同じペットボトルにいたもう1頭は生きているが、時期的に成長が遅いので判断出来ないが、餌の消費が遅いのか、或いは弱っているのかどうかは分からない。
腐葉土に蔓延った白い黴



平成18年2月18日 飼育 カブト幼虫

廊下に置いてある衣装箱飼育のカブト幼虫 (横芝産F1 ) の餌交換をした。衣装箱飼育分は去年の10月24日に餌を追加して以来の世話となる。
2月9日のペットボトル飼育分の餌交換時に白い黴にやられたと考えられる幼虫がいたが、衣装箱飼育分にも白い黴のような物が蔓延っている部分があり、元気で大きく太った個体に混じって、弱って異様に縮んでいる個体が1 頭見られた。脚の周囲が何気に薄い綿のように黴らしき物が見られるが、弱った原因は何であれこの個体に見込みはなさそうである。体色は他の元気な個体と大差なく、縮んだ分若干濃いような気がする。遅かれ早かれ土に帰るのだろうから、外の自家製堆肥に埋めてやった。
1 頭減ったので、カブト幼虫総数は174 頭となった。
大きく太ったカブト幼虫



平成18年2月18日 飼育 コクワ幼虫

1月31日に羽化したコクワ雌(横芝産 ) と同じ日に同じ倒木コナラで採集した雄と思われる幼虫が10 日程前から前蛹となっている。雌は繭状の蛹室を作ったのに対して、この雄と思しき幼虫は坑道の延長のような長い蛹室を作っていたので、前蛹と気付くのに数日掛かった。身体は雌よりも大きいのは勿論だが、蛹室は身体の差以上に全長が長いような気がする。雄は顋が長い分蛹室も長く作るのだろう。雌の時もそうだが、頭部側が若干高くなっている。
雌は前蛹になってから10 日程度で蛹化したが、雄は大きい分時間が掛かるのだろう。それでも後数日で蛹化となるか。



平成18年2月19日 飼育 カブト幼虫

ペットボトル飼育分のカブト幼虫 (横芝産F1 ) 6 頭が里子に貰われていった。カブト幼虫総数は168 頭となった。受け入れ先は、千葉県内で小生と妻共通の知人の宅である。小学校低学年の男の子がいて、虫に大変興味があるらしい。



平成18年2月20日 飼育 サキシマヒラタ

朝方3 時頃、温室の中でガリガリと木を齧っているような音が時折した。わざわざ確認しないが、2月1日と同じくサキシマヒラタ雄(平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) の仕業だろう。今日は何度か覗いたのだが、餌は食べておらず止まり木の上で静止していた。
ノコギリクワガタは飼育容器内を歩き廻ることがあって、歩行先にある落ち葉をまるで喧嘩相手のように挟んでいることがあった。ただの暴れん坊と言えなくもないが、虫同士の喧嘩時は挟み掬い投げを演じる巧妙さを備えるクワガタ界の闘士である。Dorcus 属に分類されているサキシマヒラタは、Dorcus の中でも気が荒いと言われているヒラタではあるが、無駄な喧嘩や運動は余りしない、やはり、Dorcus らしいクワガタであるように思う。それでも、雄1頭で退屈しているのか、それとも身体が鈍るのを防止しようと、いざという時の為に顋を鍛えているのかは定かでないが、餌場や縄張りの掃除といった目的以外にも時々木を齧るようである。



平成18年2月21日 飼育 コクワ幼虫

1月31日に羽化したコクワ雌(横芝産 ) と同じ日に同じ倒木コナラで採集(平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集) した幼虫が雄の蛹になった。21日深夜に夜勤から帰ると(22日早朝) 昼間はまだ前蛹だった幼虫が瓶壁に向けて大顋を晒していた。50 mm には程遠いだろうが、コクワとしては完全な野生と比べると大きい雄になりそうだ。蛹ながらも立派な大顋が誇らしい。
雌が前蛹期間が約10 日、蛹化から16 日で羽化した。それに対して雄は前蛹期間が約2 週間なので、単純に計算して羽化は約3 週間後の3月15日辺りだろうか。簡易温室20〜26℃の環境である。
コクワ雄の蛹 (2/28撮影)



平成18年2月22日 飼育 ヒラタ、アマミコクワ

ベランダで越冬させていた虫供を室内 (小生の部屋 ) に移した。
ヒラタつがい (千葉県産 WD 自己採集)
ヒラタつがい (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産 F1 雄 45mm 雌 32mm)
アマミコクワつがい (平成17年10月26日購入 奄美大島竜郷町産 F1 雄 33mm 雌 ?mm )

アマミコクワの飼育容器には雨水が流れ込んでいたようであった。幸いにして水没することはなくマットがビシャビシャになっていたのみであった。越冬の邪魔をしたようでマットの奥底ではなく、足場と隠れ場に置いてあった大き目の樹皮の裏に雌雄が寄り添うように張り付いていた。今日は昼の外気温が15℃程度と高かったので作業には打ってつけの日和だった。ダウンジャケットなんぞは勿論のこと、上着も不要で落ち着いて作業が出来た。



平成18年2月28日 飼育 オオクワ幼虫

10日程前から雌と思われる幼虫が瓶壁に沿って坑道が延長したような繭状の場所から移動しなくなっていた。それは水平ではなく約20度の角度がついている。高い方と低い方に頭と尻を数時間開けて入れ替えている。腹部はマットは入っていないような色になって成長期よりも萎んでいるし、少しずつ体表面全体の皺が増えている。以前は赤ライトでも避けるような動作があったが、昨日からは光を当ててもそれ程反応しなくなっている。前蛹になったようだ。
もう一匹、これも雌と思われる個体が数日前から移動せずに一箇所に留まって蛹室を作っているようである。近日中に雌の個体はどんどん蛹化しそうなので、他の飼育瓶も見てみることにした。そうしたら、なんともう既に雌蛹になっているものがあった。当たり前だが、コクワの雌蛹に比べたらかなり大きい。羽化したら40mm 位にはなるだろうか。蛹の色は薄褐色なので数日経っているようである。瓶を観察する側から見たら裏側の底だったので今まで全然気付かなかった。それ以外の6 頭はまだ蛹室のような掘り方はせずにマット中をよく移動している。
オオクワの前蛹



平成18年2月28日 飼育 コクワ幼虫

倒木コナラで採集(平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集) した3 頭の幼虫の中で唯一初齢だった個体が数日前から蛹室を作り始めたようである。その個体はそれ程大きくならない内に蛹化するのだろうから雌だろうか。
細いのでカブト幼虫餌用としていたコナラに入っていた幼虫も蛹室を作り始めたようだ。意外に大きくなると思っていたが、前蛹段階に向けて少し縮んでしまったから、やっぱりそんなに大きくはない。他の個体と比べると雄なのか雌なのか大きさによる判断には苦しむところだ。しかし、前回のコクワの雌雄それぞれの経過を元に考えると、蛹室が前後に長いので雄ではないかと予想している。
コクワ雄の前蛹



平成18年3月2日 飼育 コクワ

平成18年1月31日 に羽化したコクワ雌 (平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集 横芝産) が一昨日から蛹室を脱出している。マット上に這い出ても容器が狭いからかまたマット内に潜って坑道を掘って休んでいるようだ。簡易温室内であるから温度は20 〜 27 ℃ 下で、羽化後約1 ヶ月で蛹室を脱出したことになる。
羽化後の摂食をするだろうから、今日は、このコクワ雌を餌ゼリーを入れた小プラケースに移した。暫くそのまま簡易温室内で飼育するが、食餌するのを何度か見たら温室から出そうと思う。



平成18年3月3日 飼育 コクワ

平成18年1月31日 に羽化したコクワ雌 (平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集 横芝産) は、昨日の夜からずうっと餌ゼリーを貪っている。今日は夕方のみゼリーから離れてマットに潜ったようだが、今晩もまた餌を食べ続けている。餌に付きながら時々水鉄砲のように尿を斜め天井に排出することがある。



平成18年3月6日 飼育 サキシマヒラタ

今日は啓蟄であるが、正にこの日に相応しく日本列島に春一番の風が吹いた。東京の最高気温は17.6℃だったらしい。我が家の室内も暖かかったので、温室ヒーターの設定温度を少し下げることにした。
温室の中を覗くと、昼間なのにサキシマヒラタ雄 (平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) が止まり木上で静止している。よく見ると止まり木の下の方で、温室の蓋を開けて直ぐに雌の頭がひっこむのが見えた。雌雄が飼育容器内で同時に活動しているのを見たのはこれが初めてだ。雌も活動の季節を向かえたようだ。今年に入ってから雌が摂食しているのをまだ見ていないが、この様子だとひょっとしたらもう交尾を済ませているのかもしれない。初夏には産卵するのではないか。



平成18年3月7日 飼育 関東ヒラタ

本土ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産F1) の雄一匹のみであるが、活動し始めている。マット表面に顔を出している産卵木(のつもり) の脇から大顋だけ出していたり、何故か尻から半身だけ出していたりしている。非常に敏感で、観察しようと触れもせず静かに飼育容器を覗こうとしただけでもマットの穴に逃げ込んでしまう。尻だけしか出していなくても、どうやって人気を感じるのか、同じように穴に逃げ込んでいる。きっと極軽微な振動も拾うことが出来るのだろう。これだから野生ヒラタの採集も大変である。



平成18年3月8日 雑記

キマダラカミキリ
クワカブ用にクヌギやコナラの資材を調達するとよくキマダラカミキリ Aeolesthes chrysothrix が入っていることがある。先日ベランダで越冬させていたクワガタ共を室内に入れたのだが、暖かくなって出て来たのはクワガタではなく、材の中で夏を待って潜んでいたキマダラカミキリの新成虫であった。夜行性なのか昼は余り動かないが、夜は活発に飼育容器の中を歩いている。
町内と隣町で新規ポイント開拓をしたついでに雑木林内にキマダラカミキリを逃がして来た。活動するのは6〜8月 ということだが、まだ随分早くて夜は温度が低いのでどこかでまた休むことだろう。



平成18年3月9日 飼育 オオクワ

2月28日に前蛹となっていたオオクワ2 頭は両方とも雌の蛹になった。1 頭は一昨日、もう1 頭は今日である。オオクワとしては小さい幼虫だと思っていたが、雌だからコクワなんかと比べれば前胸と頭の幅があってかなりデカイ。
他の6 頭は相変わらず蛹室を作っている気配がないから、全部雄なのだろうか。そうだったとしたら、1月23日に於ける餌交換時の瓶の選別は完全に失敗だった。1.1 リットル瓶を4 本用意したのだが、その内の2 本は既に蛹化した雌に充ててしまった。後の瓶は700 ml なので、瓶内を縦横無尽に食べて移動している雄幼虫には狭過ぎる事例が出て来るかもしれない。そんな個体には近日中にもう一度餌交換が必要になるのだろうか。



平成18年3月9日 飼育 サキシマヒラタ

サキシマヒラタ Dorcus titanus sakishimanus (Nomura, 1964) (平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1 つがい) の雌は、3 月 6 日に活動を始めてから、飼育容器の中を歩き廻っているのは見たが食餌はまだしていないようであった。一方、雄はまるで雌を待っているかのように、餌場近くの止まり木上で静止していることが多かった。しかし、今朝、やっと雌が摂食しているのが観察された。越冬後、今年初の雌の食餌である。しかも雌雄仲良く並んで餌場に付いていた。交尾を済ませているかどうかはこれで確定したようなものだ。一先ず安心。
サキシマヒラタつがい



平成18年3月9日 23時 飼育 ノコギリ幼虫

約2 週間前から前蛹と考えられたノコギリクワガタ Prosopocoils inclinatus inclinatus (Motschulsky, 1857) の幼虫(平成17年7月15日 採集 千葉県芝山産の子 F1) が蛹化している。平成17年10月29日に幼虫2 頭を掘り出した時、先に亜終齢になっていた個体の方である。まだ脱皮しきっておらず、雄の証である大顋は伸びきっていないにも拘らずそこそこ長さがあって湾曲しているのが分かる。前蛹となってから全体が大分縮んで雌ではないかと思っていたが、身体が中型の長歯型になりそうだ。ノコギリは蛹化するにあたって、蛹室を作るというよりも幼虫の時に掘っていた坑道の壁を滑らかに整えたという感じの場所で前蛹・蛹化の変態を遂げている。だから、前蛹のような雰囲気になり始めた時には蛹室を作っているという確信を持ち難かった。
もう1頭は蛹化した個体よりも終齢になる時期も遅かったが、大きさは先に蛹化した個体とほぼ同じになっている。まだ前蛹になる気配を見せていないので、もう少し大きくなりそうだ。この個体も大きいので多分雄だろう。



平成18年3月11日 飼育 コクワ蛹

2月21日に蛹化したコクワ雄 (平成17年12月10日 14時 ポイントH 採集 横芝産) が羽化した。仕事から帰宅して覗いてみると、もう無事に羽化が終わって橙色の上翅に後翅がしまわれていた。蛹化から羽化までの日数は予想より4 日早くて18 日だった。雌の16 日に対して僅か2 日の遅れというのは少ないのではないか。啓蟄を過ぎてから温暖な日が多く、簡易温室は21〜27℃ で平均的に1〜2 ℃高かったのが影響しているのだろう。



平成18年3月13日 ポイントNS031306 探索

九十九里平野の新規ポイント開拓を続けている。夜勤明けの今日は、今まで近くに来たのにまだ途中までしか入らずに気になっていたポイントを洗ってみることにした。午前中は突然に湿地から雉の雄が飛び立って吃驚させられた。かなり広いコナラ林に近付いたのだが、古い奥山で人為的な手入れがない場所の為か、クワカブに目星い木を発見出来なかった。

正午過ぎは他の地域に移動した。林に入るといきなり狸が逃げるのを見た。とても濃い場所だ。足音しか聞こえなかったのだが大きな哺乳類が歩くような音だった。九十九里には猪は棲息しないし、飼い犬は餌を得るのにこんな林には入って来ないと思うので狸かと考えられる。
ここは珍しく広いコナラ林が残されていて、下草や竹が足場もない程に繁茂している訳ではないので、定期的に地主の手入れがあるようだ。コナラ90%、残りはシラカシと小生の知らないブナ科常緑広葉樹の林になっていて、1.5時間では半分しか回りきれない広さだった。林内にはシロスジカミキリによる倒木が多く、3月でも樹液場の痕跡が多く見らた。
倒木や立ち枯れ、樹液痕のある木を1本1本丁寧に観察した。すると気になるコナラの立ち枯れがあった。太さは電柱程度で高さ凡そ2.5m の立ち枯れだ。直径約2.5〜3.5(4)cmの長楕円形の昆虫の脱出口と考えられる穴が10箇所以上、立ち枯れの主に中間部から上部にかけて見られた。コクワなら穴はもっと小さいだろうし、ヒラタやノコギリなら脱出口はあったとしても下部だろうし、それに彼らは主に根のある土の方から出て来るだろうと考えられる。残るはオオクワ? オオクワの発生する林を見つけたんじゃないだろうか。しかし、オオクワがいると分かっていたとしても、小生はオオクワ採集で材割はしない。初夏の樹液採集を楽しみにしよう。



平成18年3月13日 飼育 オオクワ蛹

3月7日に蛹化したオオクワ雌蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産F2 ) が死んでしまった。容器を手に持って揺らして刺激しても全く腹部を動かすことがない。数日前から寝返りしていないようだったし、前胸から頭部にかけて小さな水滴が付いているようだったので怪しいと思っていた。幼虫時代から同じ環境で育てていたのに一体何が起こったのだろう ?
蛹化したのに気付いた時から観察し易いように飼育瓶の蛹室側を温室の蓋側に近い方に移動させていた。そうした為に温室の構造上、蛹が熱源から熱を直接身体に受け易い状態になったかもしれず、それが災いして脱水を起こしたのだろうか。蛹が脱水を起こしたとしたら飲食出来ないのは当たり前だし、ヒトのように点滴をする訳でもないから復活させられようがないだろう。瓶が極度に蒸れた様子もないのに蛹表面に水滴が付いていたのは、熱により蛹体内から水分が奪われて気化した後、温度差で結露が付着した証拠ではないだろうか。
また、温室の構造上、蛹室内が蒸れ易くて密閉状態になって酸欠を起こす可能性もある。酸欠が原因なら、蛹室が瓶の底に近いのにひっくり返す等の対策をせずに其の儘にしておいたのも原因かもしれない。極端な温度差も出来るだけ避ける必要がある。
以上、考えられる原因は、脱水、酸欠の2 点である。
オオクワは他に2 頭の雌蛹がいるので、蛹室は温室の蓋側から見て遠目にして、温室ヒーターの設定温度も落としておいた。更に他種ではコクワの蛹が2 頭いるが、コクワは同じ環境で2 頭羽化済みなので少しは安心だし、実際2 頭とも生きている。但し、蛹室は容器の底にあるから念の為蛹室が上に来るように容器を調節しておいた。千葉県横芝産F2 オオクワは、今のところ死んだのは2 頭目なので全部で8 頭となった。今日は気持ちが非常に沈んでしまった。



平成18年3月14日 飼育 ノコギリ蛹

3月9日に蛹化したノコギリの雄蛹(平成17年7月15日 採集 千葉県芝山産の子 F1) が、もう死んでしまった。昨日に続いてまた蛹が死んだ。昨日オオクワ雌蛹が死んでしまったので、他種も含めて他の蛹になっている全ての個体を確認したのだが、このノコギリ雄蛹も腹部の動きが頗る緩慢でその儘では死にそうに思えたので、温室(21〜26℃ )から出して瓶を逆さまにし、普通の室内飼育(19〜 21℃ ) にしていた。だが、もう遅かったようである。原因は昨日死んだオオクワ雌蛹と同じ 2 点だろう。
コクワは無事に2 頭羽化しているのだが、一体どうしてこうなってしまったのだろう ? 今日も気持ちが大変落ち込んでしまった。蛹を見るのが厭になってしまう。



平成18年3月15日 飼育 オオクワ蛹

3月7日に蛹化したオオクワ雌蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産F2 ) が死んだと思っていたから、どっこい生きていた。腹部を元気良くくねらせている。ひょっとしたら仮死状態で原因が酸欠なら酸素が供給されれば復活するのではないかと、一縷の望みを託していた。黒くなったり青くなったり、体色に腐ったような兆候が出るまでは置いておこうと、飼育瓶は昨日死んだノコギリ雄蛹と同じように温室(21〜26℃ )から出して蛹室が瓶の上部になるように瓶の向きを調節し、普通の室内飼育(19〜 21℃ ) にしていた。
発達過程において蛹であるということは卵から孵化後、その虫の生涯で唯一自らの意思で移動したり摂食することが出来ない時期である。温度や湿度等の変化で環境条件が悪化した場合、他の時期と違って悪条件から移動して逃れることも、摂食して栄養を補給することも出来ない。従って、環境が改善されるまで、可能な限り一時的にも仮死状態になるという適応を示すのかもしれない。仮死状態になって基礎代謝を下げることでエネルギーと酸素の消費を抑えて時間を稼ぎ、環境が改善するまで凌ごうという戦略を執っているのかもしれない。
現に昆虫の幼虫の多くは、温度や餌の状況が悪化した不適な環境下では発育休止となる。そして、その環境が改善されれば直ちに発育を再開するのである。

余りの嬉しさに内心小躍りしながら2 階の小生の部屋から飛び出して、夕食の準備をしている1 階の妻の所へ駆け寄ってクワガタが生きていたことを直ぐに伝えた。まるで子供みたいだったが、本当に嬉しい。
もしかしたら、昨日死んだと思ったノコギリ雄蛹も生きているのかもしれない。この儘観察を続けることにする。生きていてくれ!



平成18年3月18日 雑記

コブスジコガネの一種
3月8日 雑記 のキマダラカミキリに続いてこんな虫が出て来た。体長5mm 前後で、夜になって蛍光灯を点けると明かりに向かおうとするのか、室内のクワガタ飼育容器内で小さい虫がゴソゴソ動いている。コブスジコガネ科 Trogidae の虫かと思われるが、種は不明。コブスジコガネ科は種が多いようだが、その反面情報が少なく、調べたがよく分からなかった。種の特定にはカラー図説甲虫大辞典のような物がないと難しいだろう。
生態も碌に分からずに飼っていても仕方がないので、ピンセットでそっと摘まんで裏庭の自家製堆肥の上に逃がした。



平成18年3月19日 飼育 ノコギリ蛹 千葉県芝山産 F1

3月14日に死んだと思っていたノコギリの雄蛹(平成17年7月15日 採集 千葉県芝山産の子 F1) は、小生の完全な早とちりだったようだ。生きていた。身体の向きが変わっているので、知らぬ間に寝返りをしている。死んだように見えたのは、先日のオオクワ雌蛹と同じ理由だろう。カブト幼虫のように数がわんさといる訳じゃないから、飼育の失敗を恐れて不安になり易いのか。とにかく良かった。



平成18年3月20日 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 WD

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS産) の雌が活動を始めた。18時前後、飼育容器内を徘徊していると云った感じで、置いてある餌に寄り付く気配はない。餌を追加しようと、容器の蓋を開けると、樹皮の裏に隠れたきりになった。室温は21℃〜24℃である。



平成18年3月21日 飼育 コクワ蛹 千葉県横芝産 WD

コクワの雌蛹 (平成17年12月10日 初齢で採集 ポイントH 横芝産 ) が羽化した。蛹室がかなり寸詰まりであったが、不全なく無事に羽化した。17時頃、まだ翅も腹部も白い。



平成18年3月21日 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 WD

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS産) の雌に続いて雄も活動を開始した。17時頃である。暫く飼育容器内を徘徊していたが、餌場を発見したようだ。しかし、ゼリー・カップの位置が高い為か、上手く頭部を入れられず苦労しているようである。止まり木に洞とゼリーを置ける餌場の穴を作ったのだが、意図したようには使って貰えなかったので残念だ。改良が必要のようである。
22時頃。その内に雄は餌場近くの止まり木上で静止するようになった。雌も徘徊している。ゼリー・カップを食べ易い位置に移動させようと飼育容器の蓋を開けると、雌はどこかに隠れたきり出て来なくなった。雄は止まり木上で静止を続けている。2〜3数時間経っても食べようとする気配がないので、今日は観察を止めた。



平成18年3月24日 6時頃 飼育 コクワ 羽化 千葉県横芝産 WD

細いのでカブト幼虫餌用としていたコナラに入っていたコクワ Dorcus rectus rectus (Motschulsky, 1857) (千葉県横芝産 ) が羽化した。大顋〜胸部、脚が一昨日(3 月22日) から急に色付き始めていた。昨日の晩(3 月23日 21時頃 ) は腹部を規則的に伸縮させていたので羽化が始まっていたと考えられる。2 回伸縮させて3 秒休むという動作であった。朝6 時頃には写真のように羽化はほぼ終わっていた。これから屈曲している頭部を持ち上げた後、後翅を前翅下にしまうという動作になるのだろう。
前蛹期には余計に長いように見えた蛹室であったが、こうして見ると羽化個体の大きさに丁度良い具合である。
コクワ雄の羽化



平成18年3月26日 8時 飼育 オオクワ 羽化 千葉県横芝産 F2

2月28日に気付かない内に蛹化して数日経っていたオオクワの雌蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産F2 ) が、今日羽化した。我が家のオオクワ羽化第一号である。観察した時にはもう既に後翅は前翅下に仕舞われていた。身体は瑞々しくまだ全体的に茶、橙、白色が混じっている。最近はコクワの羽化ばかり見ていたので、とても大きくて太い虫に見える。



平成18年3月26日 9時頃 飼育 関東ヒラタ 複数産地

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産) (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産F1) 2 つがいが交尾をしている。1 時間程前はそれぞれ雄だけが餌場で食餌をしていたのだが、雌も餌場に出て来たようだ。
九十九里平野産の方は雌がとても敏感なようで、小生が観察しようと覗いた瞬間、驚いてマット中に隠れてしまった。雌が逃げようとしている時、雄は顋を雌の進行方向前に下ろして雌を引き止めようと追い掛けていたが駄目だったので、今回の交尾は残念ながら不成立に終わったのではないか。その後雄のみ数分間食餌を続けていた。
神奈川県足柄産の方は、小生が気付いた時には既に雌雄でVの字になっており、観察とストロボ撮影後にも体勢を崩さずに交尾は成立したようだ。気付いてから30 分程度はこの状態が続いていた。神奈川県足柄産つがいの雌は、活動しているのが初めて観察された日である。従って、羽化後そのまま越冬して、摂食はまだ一度もしていないのではないか。大変精力的だ。
ヒラタクワガタの交尾



平成18年3月27日 飼育 アマミコクワ 奄美大島竜郷町産 F1

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:平成17年9月中旬羽化 奄美大島竜郷町産F1 ) つがいを別の容器に移すことにした。
2月22日 にベランダで越冬させていたものを室内へ持ち込んだのだが、この時、飼育容器内が雨水の流入で水浸しになっていた。飼育容器蓋に挟んでおいたビニールを取り払って乾燥を試みていたのだが、容器の底部〜中部の湿気を取り除くのはどうもそう簡単には無理なようで、どぶのような匂いになってしまった。一旦出来上がった飼育環境を崩すのは気が引けるが、仕方なく飼育容器を変更することにした。但し、不本意な放虫を避ける為、上部のマットや産卵木等の飼育材は基本的に生体と一緒にそのまま移すことにした。余った飼育材は暫く別の容器内で保管しておくことにする。乾燥させてもう一度全体を確認してみようと思う。
コナラの止まり木にクワガタの棲家用に洞を作っておいたのだが、雄がそこに入ってくれていた。野生でDorcus 属を観察する時のように、頭部を外に向けてしっかり奥まで潜っていたのが何やら嬉しくて堪らない。採集しているのではないから、洞からこのまま引っ張り出す必要もない訳で、只観察するだけである。
しかし、雌が見つからない。どこにもいない。多分、産卵木に穿孔して潜っているのだろう。代わりにクワガタの幼虫が出て来た。産卵木を固まったマットから引き抜くと底の方から幼虫がぽろりと転がった。そのクワガタの幼虫は、間もなく怒ったように6 本の脚を拡げて顋を開いて睨んでいるような体勢を執っている。しかし、口から黒い液を吐くと同時に脱糞もしている。人間の感覚で云うと、便失禁だし、間違いなくこういうのは情けない部類である。
初齢ではないというのは分かるのだが、種類が分からないので亜終齢なのか終齢なのかは不明である。アマミコクワの幼虫なのか、それとも産卵木に紛れ込んでいたコクワ Dorcus rectus rectus の幼虫なのかも勿論不明。飼育材を新規に飼育に使う時には、電子レンジで加熱してから使うようにしていたので、恐らくクワガタの幼虫が生き長らえて混入していることはないと考える。従って、羽化後の摂食も確認していないアマミコクワのつがいは、いつの間にか交尾して産卵していた可能性が高い。それも越冬前に ? 見当が付かない。現時点で確かなのは、この幼虫が孵化したのは年末から遅くとも1 月までだということ位だ。結果は成虫になってからの楽しみということだ。



平成18年4月1日 21時頃 飼育 関東ヒラタ 神奈川県足柄産 F1

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産F1) つがいが交尾しているのを3月26日に続いて再び観察した。交尾をしている場所も前回と同じくマットから表面が覗いている産卵木上である。2 本並んで埋め込んである産卵木の間に雄が穴を掘って、ここがヒラタ雄の縄張りになっている。この穴の脇にゼリーを置くようにしてある。
最初の交尾後、その日の内に雌は羽化後の摂食行動が見られるようになった。その後ほぼ毎日食餌をしている。仲が良さそうに2 頭一緒にゼリーに頭を入れていたり、雌だけが食餌している場合は、必ずと言っていい程、雄が見張るように直ぐ近くでじっとしている。
神奈川県足柄産ヒラタつがいの雌は無駄な動きがとても少ない。雌は交尾と食餌以外に飼育容器内をうろうろすることは殆どないようだ。一方、雄はほぼ1 日中縄張りを守っているように見える。休んでいる時でさえ穴から大顋を少しでも覗かせているように見える。



平成18年4月1日 飼育 サキシマヒラタ 西表島祖納岳産 F1

サキシマヒラタ Dorcus titanus sakishimanus (Nomura, 1964) (平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1) つがいは、3月27日に温室(3 月に入ってからはほぼ25℃ 恒温 ) からただの室内飼育(18℃〜23℃ ) に切り替えている。こちらのヒラタも雄が2 本並べてマットに埋めてあった産卵木の間に穴を掘って縄張りを作っていたのだが、その内1 本の方はマットを除け過ぎて全体が露出してしまっていた。産卵木としての意味がなくなりつつあったので、飼育容器を温室から出す時に埋め直した。代わりに洞付きの止まり木を1 本追加したのだが、余り人気がないようで、殆ど使ってくれていない。それだけでなく、ヒラタにとって環境が激変したせいか、餌を全く食べず、又、滅多に活動もしなくなった。雄は、小生が不在で部屋が真っ暗な夜中なら飼育容器内をただ徘徊している時があるようだ。新しい環境が気に入らないようだ。雌に至っては温室から出してから一度も姿を見せなくなっている。



平成18年4月1日 飼育 オオクワ幼虫 千葉県横芝産 F2

オオクワ幼虫 (11月3日購入 千葉県横芝産F2 ) は、まだ幼虫で摂食している1 個体を除いて、残りの4 個体は全て雌のようである。1 頭は完全な前蛹、3 頭はつい先日に餌交換をしてその数日後から蛹室を作り始めて現在に至っている。後の個体は、3月26日に羽化した雌成虫が1 頭と、雌蛹が3 頭である。
1月23日の餌交換で雌雄同定に自信をなくしていたのだが、どっこい、あの時に小生が観察した通りに雄は1 頭であった。残念だがオオクワ全9 頭中、雄はたったの1 頭である。全く意外な誤算だ。累代には問題ないだろうが、雄が1 頭しかいないのは面白くない。虫の世界で雌ばっかりというのは華がない。それに雌が8 頭いても仕方がないのだが、さてどうしよう。



平成18年4月2日 13時頃 飼育 関東ヒラタ 九十九里平野産 WD

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産 WD) つがいの方も、神奈川県足柄産と行動様式は変わらない。しかし、雌だけは昼間には摂食行動が見られるものの、夜間活動する時は、飼育容器内をただ徘徊するだけということが度々観察される。餌に付いている時には、雄と仲良く一緒に食餌の時もあれば、近くで雄が護衛するように見守っていることもあり、普通のつがいと変わらないように見える。しかし、実はまだ交尾が成立しておらず、雌はこの環境に不満足という可能性もあるのだろうか。それとも、夜間は本能的に行動が活発になるので、只単に歩き廻っているだけなのだろうか。そうだとしたら、種としては、この行動は棲息範囲を広げる目的の本能的な行動なのだろうか。
実際、野生では、雄は気に入った餌場があった場合、縄張りとして守り抜くことが出来るのなら、そこに定着しているのであろう。雌は餌場で交尾を済ませ、十分に餌を得た後は、産卵に専念出来る場所を捜し求めて移動するのであろう。



平成18年4月4日 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワ雌蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産F2 ) が、1頭羽化した。3月7日に蛹化したので、蛹化から27日で羽化したことになる。我が家でのオオクワ雌の羽化は3月26日に続いて2 頭目である。昨日の深夜には腹部を伸縮していたので、朝には羽化が終わっているだろうと予測していたのだが、問題なくいつも通りの結果であった。
蛹化日と羽化日の個体間での逆転が起こった。今日羽化した個体は、実はその個体よりも2 日前に蛹化した個体を抜かして先に羽化することになった。羽化が遅れている個体は、腹部の動きがなくなったように見えて死んだのではないかと思ったので、蛹化後6 日で温室から出して只の室内飼育にして観察していた。温室は3 月頃からほぼ25℃恒温状態であったが、室内飼育の方は、18〜25℃の範囲で温度はまちまちであった。大雑把に言って、室内飼育での平均温度は20℃位ではないか。この温度差が蛹の発育の差となったものと考えられる。所謂、積算温度の違いという奴だ。我が家の簡易温室も捨てた物ではないという事だ。
色付いて羽化が近いオオクワ雌蛹



平成18年4月4日 飼育 ノコギリ蛹 千葉県芝山産 F1

ノコギリの雄蛹(平成17年7月15日 採集 千葉県芝山産の子 F1) は、3月9日に蛹化してからもう直ぐ1ヶ月になる。蛹表面は大分色付いて、頭部から胸部、脚は赤茶色になった。他のクワガタの羽化の様子を見る限り、このノコギリもそろそろ数日の内に羽化するだろう。
一方、もう1 頭のノコギリ幼虫はまだ前蛹にもなっておらず、マット内をよく移動しながら摂食を続けている。時期的にみてマット交換をするとその刺激で直ぐに蛹化してしまうだろう。従って、700ml でやや心細い大きさの瓶での飼育であるが、蛹化までこれで行って貰うことにする。それにノコギリはそれ程大食漢でもないらしいし、マットに水分が多目ならズボラ飼育でも十分と聞いている。
色付いて羽化が近いノコギリ雄蛹



平成18年4月6日 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワ雌蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) が羽化した。仕事から帰宅した20時に覗いた時に羽化を確認した。経験的に変態が見られるのは深夜から早朝に掛けてが多いように思うのだが、今回は珍しく夕方から夜半に掛けての時間帯である。
我が家のオオクワ雌では4月4日の個体に続いて3 頭目の羽化となる。4月4日の個体は蛹化から27日で羽化したが、今日羽化した個体は温室から室内飼育に移していたことが原因と考えられるが、3月5日に蛹化して4月6日の羽化なので、31日で羽化したことになる。温室飼育と室内飼育の比較を数字にすると、意外にもそれ程劇的な差でもないようだが、確かな違いとなってはいる。
羽化中のオオクワ雌



平成18年4月7日 飼育 カブト幼虫 千葉県横芝産 F1

蛹室を作っているカブト幼虫

黒くなって死んでいるカブト幼虫
里子で4 頭が貰われることになったのと、ペットボトル飼育の個体は廊下よりもよっぽど暖かい小生の部屋での飼育であるので、蛹化前最後の餌換えということで、今日実施することにした。本当はもっと早くやりたかったのだが、風邪を引いたり、通勤の足にする中古車を探したり、自作デスク・トップPCがぶっ壊れたりと、なかなか虫の世話に時間を当てる暇がなかった。そんな小生の生活とは無関係に虫はどんどん育っており、「待ってはいられないよ。」と、言わんばかりに蛹室を作り始めている個体がいた。まるで示唆するが如く一番最初に暴いたペットボトルの個体であったので、その後の作業では注意が促された。衣装箱やコンテナ飼育では飼育環境を組む時に土を底に固めてしまうのだが、ペットボトル飼育では餌交換の都合があるので最初から土を入れていない。前回(2月9日 ) の餌交換時に、蛹化を見越してペットボトル飼育分は、底約8cm で土を固めておいていた。
しかし、蛹室を作り始めていたのは、幸いにしてまだこの1 頭のみであった。不用意に掘った為に蛹室の中に土塊が少し落ちてしまったのだが、恐らく蛹室を作り始めて直ぐに出すよりも、その儘にしてそうっとしておいた方が良いと考えて、コナラの枯葉で蓋をして土をかけて軽く圧しておいた。やや不安が残るものの、無事に蛹化・羽化して欲しいものである。この幼虫には、もう少し蛹室作りを続けてくれないものかと勝手に期待している。

残念ながら、ペットボトル飼育の幼虫が6 頭も死んでいた。前回の餌交換時にボトル数本分の集団(9 月孵化の幼虫達 ) が弱っていたのを知っていたのだが、対処が遅かったようだ。理由は恐らく、前々回(平成17年11月8日 ) の餌交換時の餌(腐葉土) が水分不足であったのではないかと考えている。この集団は孵化時期が遅かったので元々小さ目であったのだが、弱ってしまって縮んでいたので輪を掛けたように小さくなっていた。粗悪な環境で死んでしまった幼虫の割合が高いのだが、それでも同じ環境下で生き延びている幼虫が4 頭いる。これらの幼虫は孵化時期が遅かったのを差し引いても若干小さいと考えられるのだが、今のところ弱っている様子はなく、死なずに済みそうである。生き延びている幼虫がいるのは、小生にとって精神的な救いとなっている。
ペットボトル飼育の主な利点は、整理し易く飼育場所を有効に使えることと、餌の消費も効率的で無駄が少ないことである。反面、不利益としては、ペットボトルという小さくて狭い環境であるから、周囲の温度変化に弱いことと、餌の適合・不適合に対して幼虫に選択と逃げ場の余地がないことであろう。死んでしまった幼虫には、管理不行きで大変可哀想な事をしてしまった。

里子の先であるが、幼稚園に通っている長女の男友達の宅と、長女のいる幼稚園の組へ進呈することになっている。虫飼育を通して生き物と触れ合うことを学んで、環境について理解あるヒトが増えてくれることを祈っている。

ペットボトル飼育分は6頭が死んで、4 頭が里子で貰われるので、全部で18 頭となった。我が家のカブト幼虫総数は158 頭である。



平成18年4月9日 飼育 ノコギリ 千葉県芝山産 F1

ノコギリ Prosopocoils inclinatus inclinatus (Motschulsky, 1857) の雄(平成17年7月15日 採集 千葉県芝山産の子 F1) が羽化した。昨日の朝は色付いて顋や脚は蛹の殻の中でしっかり出来上がって殻と分離しており、羽化寸前のような蛹であった。足掛け2 日の仕事から今日の正午に帰宅するとトカラノコギリのように燃えるような橙色のノコギリ雄の成虫が迎えてくれていた。大顋が大きく湾曲して発達している格好良い長歯型である。ノコギリは余りにもありふれて見られるクワガタだが、好戦的で且つ戦上手だし、この見た目の格好良さも捨て難い。
前翅は顋よりも色濃くなっているし、腹部ももう大分前翅に納まっている。全体の体色からして昨日の夕方辺りに羽化したのではないだろうか。3月9日に蛹化してから蛹の期間は丁度1ヶ月だったことになる。ノコギリは羽化した年には活動しないので、来年の夏まではこの儘休眠することになるだろう。飼育瓶がもったいないので、1ヶ月程度の期間で見計らって別の容器に移すことにしよう。
羽化後半日経ったノコギリ雄



平成18年4月14日 飼育 オオクワ蛹化 千葉県横芝産 F2

オオクワ雄の前蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) が、1頭蛹化した。蛹への変態はもう完全に終わっていたが、体色はまだ新鮮な濃黄色をしている。大顋は出来立てほやほやの飴のように透き通っている。仕事から帰宅し、家の用事を済ませた後、21:00 頃の観察である。
別段に大きくないので雌ではないかと予想していた個体だ。予想が外れたし、少しだけ期待が裏切られたし、雌雄同定の目も全く当てにならなかった。経験も飼育技術もこれからだ。経験がないのだから当たり前の話か。

嬉しいような、嬉しくないような奇妙な気分だ。しかし、小生の普通の感覚なら絶対に嬉しい筈なのである。オオクワ雄の蛹の実物を見るのはこれが初めてだからだ。しかも、手塩にかけて自分で育てているのだ。それは、恐らく、オオクワ雄の蛹や新成虫を見る前から、ありとあらゆるところで豊富な情報が得られていたので、実際に見る前から真新しさがなくなっていたからだろう。大きくないから嬉しくないなんて、本当に贅沢な要求だし、生物としては順調に育っているのだから、オオクワ本人(本虫? ) にとってはどうでもいいことであるし、飼育者の全く身勝手な期待と先入観に過ぎないということだ。オオクワ飼育はいかに大きくて綺麗な個体を羽化させるか( 「大型個体作出」というへんてこな日本語が当たり前のようにまかり通るようになってる ) ということが最大の目的という、先入観を潜在意識に刷り込まれているのが原因であろう。とても珍しい虫が我が家で蛹に変態している。格好良いクワガタだ。嬉しくない訳がないのだ。
随分と便利な世の中になったのだから、必要な情報も沢山得られるし、そうでない情報や好ましくない情報も沢山あるものだ。当たり前の話だ。その情報を受け取る主体は、便利になった世の中の利益と弊害をしっかり認識するべきである。
今現在溢れている情報は、昆虫ブームに乗ってメディアにかなり歪曲させられているのである。飼育のみでなく、採集方法についても材割採集が社会的に問題視される流れが起こりつつあるのも、本はと言えばブームによる商業主義が発端で、間違った情報か、或いは不完全な情報の氾濫により、全くモラルに欠ける集団が発生してしまったことが原因であったりする。情報が正しくても受け取る側の絶対数が増えたのだろうし、受け取る主体も千差万別なことも原因だろう。

何はともあれ、大きいクワガタが育つということは嬉しい。小さいより大きい方が、やっぱり嬉しいな。単純に個人が個人の範囲でやる分には、その人なりの楽しみ方で良いのだと思う。
オオクワ雄の蛹



平成18年4月15日 飼育 雑記

早朝の3 時頃、部屋の中を飛び回っている非常に小さな虫を発見した。数日前から夜になるとヒラタの飼育容器内で小さい虫が飛んでいたのに気付いていたのだが、多分それと同一個体である。何となく気持ち悪い虫じゃないかと思って、放っておいたのだが首尾よく脱走出来たようだ。
脱走したのなら仕方がない。気持ち悪い虫だったら厭なので捕まえてよく見てみると、1cm あるかないかの甲虫であった。調べた結果、種の同定に些か自信がないのだが、フトカミキリ亜科のナガゴマフカミキリ Mesosa longipennis Bates, 1873 ではないかと思う。とても小さいので雄だろう。ヒラタの飼育環境までは電子レンジを使っていなかったので、水没のみでは朽木内で生き長らえていたのだろう。
そうっとちり紙に掴まらせて外へ逃がした。野生での活動開始と比べてまだ1 ヶ月程度早いので、またどこかで休眠することになるだろう。
ナガゴマフカミキリの雄



平成18年4月15日 飼育 アマミコクワ 奄美大島竜郷町産 F1

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:平成17年9月中旬羽化 奄美大島竜郷町産 F1 ) つがいが活動している。
雄は3 月下旬になって度々止まり木の洞内にいるのが観察された。餌にマットが掛かっているので摂食行動はあるのだと思っていたが、一昨日に初めてゼリーに付いているのを見ることが出来た。
3月27日につがいを別の飼育容器に移した際に雌が見つからずに心配していたのだが、産卵木に潜っていたようで、本日初めて雌が活動して食餌をしているのが観察された。日没後に出て来たようだが、小生が静かに赤ライトを照らして観察後、数十秒の内に雄のいる洞に逃げ込んでしまったようだった。
今のところアマミコクワが暗闇以外で活動しているのを見たことがない。ヒラタやコクワとは大違いである。餌の減りも異様に少ない。
ところで、もう一方のつがい (平成17年11月17日購入 雄:平成16年12月羽化29mm、雌:平成16年12月羽化29mm 奄美大島名瀬朝戸産 F4 ) は、全く活動する気配がない。やる気があるのだろうか(何の?笑)。雄は先日、産卵木をどけたら下にいたのだが、雌は生きているのだろうか。



平成18年4月15日 飼育 オオクワ蛹化 千葉県横芝産 F2

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 雄の前蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) 2 頭目が蛹化した。蛹への変態の様子を時間を追って観察出来たので、定点連続写真風に記録してみた。

昨日蛹化した個体もそうだが、蛹の様子から70mm にはならないだろうが一応大歯型になりそうだ。無事に羽化して欲しいものだ。
オオクワは前蛹があと2 頭いる。確定している雄が1 頭、昨日と今日の蛹化した雄の状況から、もう1 頭の未確定の雌じゃないかと思っていた個体は、多分、雄だろう。そうすると、我が家のオオクワは雌5 頭、雄4 頭だった訳だ。
15:52 脚が広がって身体がずんぐりしている。蛹化が近づくと仰臥位の儘頭部を時々挙上させる。
19:23 幼虫の頭が割れた。頭部の膨張と共に幼虫の顋には不釣合いな大きな雄蛹の顋も膨れて露出し始める。
19:41 脱皮が始まると変化が早い。数分おきに腹部を挙げるような動作をしている。
20:39 脱皮が終わった。長い腹部を数分おきにゆっくりと伸縮させている。まだ柔らかい全身に体液を送って膨張を促しているようだ。



平成18年4月16日 飼育 オオクワ蛹化 千葉県横芝産 F2

今日もオオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 の前蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) が雄の蛹になった。早朝に蛹化していたようだ。昨日蛹化した雄の方が若干大きいような気がする。
雄の蛹化が14、15、16日と綺麗に並んだ。同じ温室飼育下で、雌の前蛹期間が約20日、蛹期間が約30日である。雄の前蛹期間も20日程度だったが、蛹期間は何日になるだろうか。この3 頭の雄の羽化時期は5月下旬頃だろう。そうすると、これらの雄は7 月初旬から中旬には活動を開始するのではないだろうか。雌は雄に比べて羽化日が早かったので、温度と湿度次第では随分早くから活動を開始しそうだ。

我が家のオオクワは1 産地のみで、まだ幼虫をやっているのは1 個体だけとなった。その幼虫も1 週間程前から蛹室を作って前蛹となっている。一番大きかった幼虫で唯一雄と分かっていた個体だ。



平成18年4月17日 飼育 カブト幼虫 千葉県横芝産 F1

小生の部屋に置いてあるペットボトル飼育の個体群は半数近くが蛹室を作り始めているようだ。ボトル壁面に沿って蛹室を作る個体はないし、容器を暴く訳でもないので正確な数は分からない。壁面から見えるのは、底に固めた土や腐葉土が、カブト幼虫が蛹室を作った場合に丁度良い具合に楕円状に変色している状態だ。
ペットボトル飼育分は、9 月孵化の4 頭を除いた14 頭全てが今月中には前蛹か蛹になるのではないか。そうすると、早い個体は6 月初旬には成虫として活動を始めることだろう。



平成18年4月20日 飼育 オオクワ蛹化 千葉県横芝産 F2

正午頃に夜勤の仕事から帰ると最後のオオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 前蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) が雄の蛹になっていた。これで我が家ではオオクワ幼虫はもういない。昨日の朝以来の観察である。蛹化は蛹の色からすると今日の早朝ではなさそうで、昨日の夕方頃ではないだろうか。蛹化日は4月19日ということになる。一番大きな幼虫だっただけに、我が家では一番大きな雄成虫となるだろう。
大きいにも拘らず意外に前蛹期間が短かったように感じられた。10 日程だった筈で、我が家のオオクワでは一番短かったのではないだろうか。最近は暖かいので室内暖房を使わないのだが、最低温度が上がった分、積算温度も高いのだろう。70mm を超える雄になるだろうか。羽化がとても楽しみだ。



平成18年4月24日 飼育 カブト蛹化 千葉県横芝産 F1

小生部屋内ペットボトル飼育の個体群は、9 月孵化の4 頭を除いた14 頭全てが蛹室を作っている。そして、今日は1 頭のみ蛹になっているのを確認した。ペットボトル壁面から蛹室がほんの1 cm 程の隙間から覗けるだけなので、蛹腹部の色が見えるだけで雌雄の判別までには至っていない。たまたま覗ける個体が蛹になっているのが見えただけなので、他にも観察出来ない個体が蛹化していても不思議ではない。今蛹になっている個体は、5 月下旬から6 月初旬には成虫として活動を開始しそうだ。



平成18年4月26日 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) の雌蛹が羽化した。我が家のオオクワ雌の羽化では4 頭目である。
朝6 時に見た時は羽化の途中といった感じで、頭部や胸部、脚部の全てが白く、腹部はまだ蛹のように長かった。脚には蛹の殻が被っている部分も見られた。
正午には、蛹の殻が被っている部分はなく、後翅は前翅下に仕舞われ、頭部や胸部、脚部は全体が薄茶色で縁が茶色、前翅は橙色になっていた。腹部は蛹の様ではないが、まだ長かった。温室の蓋を開けた瞬間、光に反応したのか、一瞬、後退するような動きをしていた。



平成18年4月26日 飼育 カブト幼虫 千葉県横芝産 F1

長女が幼虫の心臓の場所と動作について質問して来たので、説明するのにペットボトル飼育の幼虫を見せようとしていたら、偶然にも9 月孵化の個体群にも前蛹がいることが分かった。4 頭中2 頭で、それぞれペットボトルの底部と中間部に蛹室を作っていた。しかも動きが完全に前蛹の動きであった。ペットボトルを持った際の刺激で、身体を前後にピョコピョコ伸縮するのみの動作だ。
中間部で蛹室を作るのは珍しいのではないか。極悪環境下で小さくて弱っていたので、固く詰めていない場所でも蛹室に十分な場所と判断したのだろう。孵化時期が遅くて発育も遅いと思っていたのだが、遅れを挽回することなく小さい儘で蛹化してしまったので極小カブトになりそうだ。どの位小さいカブトになるだろうか。



平成18年4月27日 飼育 関東ヒラタ 複数産地

ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月12日自己採集 ポイントS 九十九里平野産) (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産F1) 2 つがいの行動パターンは殆ど同じようだ。
雄は基本的に食餌をしなくても餌場周辺でじっとしていることが多く、飼育容器内を徘徊することは稀である。室温が18℃位から昼夜問わずに餌場で見ることが出来る。25℃位になると動きが異様に機敏になる。雌が食餌をしている時は、見守るように近くでじっとしているか、雌の前翅に頭部を寄せていることが多い。
雌は温度が20℃あれば、昼夜関係なく行動しているようだ。最近は特に飼育容器内を徘徊していることが多い。ひっくり返ることも珍しくないが、直ぐに起き上がっている。10 日程前から、産卵木や湿気多目の止まり木に齧った痕が見られるようになっている。産卵可能な状態になると、幼虫が生活するのに適切な場所を求めて徘徊するのだろう。6 月初旬には関東ヒラタの幼虫がちらほら観察出来るようになるのではないか。



平成18年4月29日 ポイントOK042906 探索

千葉県九十九里平野のクワガタ・カブト探索を続けている。今のところ総面積の50% 程度を調べ終わった。GPS とその地域の植生の分かる武器を使用しているので探索の精度はまあまあじゃないだろうか。そろそろ樹液採集の時期が来るので、気が変わらなければ今年の新規開拓はこれで終わりにしようかと思う。

結論として、採集実績(他人のも)のある場所を含めて、オオクワの棲息していそうな場所は10 箇所程度は確保したんじゃないだろうか。小生が観察又は採集が出来なくても、きっとそれらのどこかに居る筈だ。
九十九里平野で共通していることは、雑木林といえば農業縁の里山で、残念ながらどの場所もオオクワに限って言えば、絶滅寸前ではないか。
雑木林が残っている場所を大まかに説明すると、平らな水田地帯では、それ程広くない林が、主に小さい河川沿いで所々に残っているという感じだ。そして、雑木林を求めて行ってみると、いつも必ず目にする光景があります。僅かにやっと残っている雑木林は、どこもかしこも見事に新興宅地に侵食されており、その息の根が止まるのはそう遠くない将来であることをひしひしと予感させてくれる。概ね、杉の植林や田畑に比べれると元々雑木林は少ないのに、わざわざ雑木林を狙ったように宅地化が進んでいる。目の前に雑木林の残骸と新しい宅地があって、「銃猟禁止区域」の赤い立て札が目に入る光景がよくあるのだが、「そこにヒトが住んでてどこの誰がここで銃をぶっ放すんだよ!」と言うのが、小生の口癖となっている。クワガタを探していてとても虚しい気持ちなる。

現在小生が住んでいる町は今年に入って隣町と合併したが、近年になって九十九里平野の市町村は離合集散が進んでいる。千葉市には加曾利貝塚を始めとして緑地保全区域が設けられており、その周辺も含めて開発が控えられている(加曾利貝塚周辺は開発されている)。千葉市においては雑木林の数と量では九十九里平野を凌いでいるのではないかと考える。九十九里平野の自治体にも是非とも見習って頂きたいものだ。電柱程太さの立ち枯れや大木の朽木がある環境、即ちオオクワが発生出来るような環境を知るのも自然環境の深さを計れる一種の指標ではないだろうか。ヒトはヒトという種だけで生きている訳ではないし、また生きられる訳でもない。



平成18年5月1日 飼育 アマミコクワ 複数産地

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:平成17年9月中旬羽化 奄美大島竜郷町産 F1 ) つがいは、雌雄共に摂食行動が観察されており、時々洞の中で休んでいることもある。非常に敏感で、人気があると暗闇であっても直ぐに姿を消してしまう。
昨日から夏日になっており、日中は日陰の室内で昨日が26℃、今日は28℃、今日の晩は21時になっても27℃の熱帯夜である。日中に吸汁している姿を見たのは今日が初めてであるし、夜は蛍光灯を点けていても人気がなければ雄が吸汁している。

もう一方のつがい (平成17年11月17日購入 雄:平成16年12月羽化29mm、雌:平成16年12月羽化29mm 奄美大島名瀬朝戸産 F4 ) は、まだ活動しているのかどうか微妙なところだ。これだけ暖かくなったのだから、もう出て来ても良いだろうに、摂食活動をしている場面を見たことがない。餌が減っているのかも分からない。今日、底面のみが埋まっている一番大きな産卵木を除けてみると、つがいで産卵木下にいるのを確認した。取り敢えず生きているようだ。



平成18年5月1日 15時 ポイントNS031306 採集

初夏のコナラ樹液場
夏日になって2 日目、新緑が青々となり始めて3 日と云った感じである。クワガタが観察されるにはあと1 週間は必要かと考えていたが、他の用事もあってついででもあり、我慢しきれずに山へ行ってみた。最初から期待はしていなかったが、やっぱり結果は惨敗。
樹液場を幾つか見つけたが、染み出るまでもなく湿っている程度が精一杯であった。ヨツボシケシキスイ Nitidulidae Librodor japonicus とゴキブリの天下である。

去年、飼育ヒラタをカブト飼育中の衣装箱に退避させてその後見つからなくなった個体がいたのだが、今日見つけられた。どうやら、朽木内に穿孔して越冬していたようだ。
こんなことがあったので、天候が悪くならなければ、野生でもあと1 週間以内には越冬個体が活動を開始するのではないだろうか。

■今日の収穫
空振り三振



平成18年5月3日 飼育 カブト幼虫 千葉県横芝産 F1

ペットボトル飼育分は外から見えない個体もいるが、ほぼ全て蛹になっている。
職場で仕事をご一緒させて頂いている方に2 頭が里子で貰われた。差し上げる幼虫は、蛹化まで今しばらく期間のある個体を選ぶのに屋外飼育分から取り出した。体色は薄黄色まで行かない丸々と太った個体である。蛹化まで少なくとも1 ヶ月はあるだろう。餌換え不要なように2 リットルのペットボトルに入れて渡した。
孫か何かに見せる為であろうが、女性で年齢に触れると気に障るかもしれないので、彼女との会話時は目的は特に伺わないように心掛けた。
我が家のカブト幼虫総数は156 頭となった。



平成18年5月5日 11時頃 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) の雌蛹が羽化した。我が家のオオクワ雌の羽化は5 頭目で、雌はこれで全て無事に羽化したことになる。11時の時点で腹部が蛹の様に巨大であるものの羽化しきっていたので、羽化開始時期は早朝だろう。一昨日から羽化の連続写真を撮ろうと頻繁に観察しており、最後に見たのは深夜の3 時頃だったのだが、その間隙を縫われるように逃してしまった。最後だけあって、雌の中では一番大きな個体のようだ。
雄はまだ1頭も羽化していないが、4月16日に蛹化した個体が最小の雄でこれが一番早く羽化しそうな雰囲気だ。先月中旬頃から温室底の電気アンカは切ってペットボトルを利用したヒーターだけにしてある。日中晴れれば室内は窓を開けていても28℃前後になっている。気温次第だろうが、雄の羽化時期は早目であと1 週間程かもしれない。



平成18年5月5日 ポイントOK043006 他 探索

先日、今年の新規開拓は止めると言いながら、早くも嘘となった。今日も探索に行って来た。採集と新規開拓は双方が兼ねられていることもあるので、多かれ少なかれ開拓が止まるということはなさそうだ。
そして、新規開拓はいつも同じ厭な気分になって帰って来ることになる。なんとか部分的に残っている里山縁の雑木林と「銃猟禁止区域」の赤い立て札、そして、それらを制圧する寸前の新興宅地群を見て来た。
小生は断言する。九十九里平野に新興宅地のない里山や雑木林はもはや一つもない。鉄砲で狩猟出来るような場所ももはやどこにもない。肥沃な雑木林を生活環境として必要とする動植物の絶滅は目前だ。たったの25年で半減したので、このままでは20 年以内に確実にそうなるだろう。

生物の多様性と地域特性という観点から、そこで生態系を維持している彼らは、その地史に於いてその土地の生き証人である。生物の遺伝子を調べることでその地域の生い立ちを知る手掛かりになり得る。「DNA 系統と遺伝子時計を組み合わせて研究すれば、その地域で地質年代に起こったイベントを特定出来た可能性があったのに、その機会が永久に失われてしまう。」(小島啓史、くわがたマガジン No.10 オオクワガタという世界 その9、2003.3.5)
ヒトが住み着く前から多くの野生動植物達は永らくその土地の環境に適応して住んでいたのである。そんな彼らを追いやるのは一体どういうものなのか。一旦、壊れて無くなった生態系を全く同じように復活させることは不可能なのだ。
それに世間では地球温暖化とその対策を騒ぎ始めているが、二酸化炭素の削減ばかりが取り沙汰されているように思える。二酸化炭素の削減は、それそのものが温室効果の犯人であるから最も効果があるだろうし、最初にやらねばならないことだろう。そして、その削減活動そのものは、製品装置の買い替えに繋がるので、産業と経済の発展に寄与することにもなる。しかし、二酸化炭素が増えてしまうのは、何も排出が増加したことによる原因だけではなく、二酸化炭素を吸収して酸素に変える最も重要な役割を担っている森林が、世界的に激減していることにもよるのである。
それに、恐らく、森林といっても、針葉樹林ばかりを残しても全く意味がないだろうと考えられる。光合成を活発に行う広葉樹林を残さねばならない。動物にとっても針葉樹林は不毛の地であるが、広葉樹林は多様な生物が循環する生態系の宝庫となるのである。
故に、その土地に元々あった生態系は、少なからずも温存しておくのが温室効果には最も効果的であるのだ。
植林された針葉樹林ばかりを残して自然度の高い広葉樹林や二次林としての広葉樹林が徹底的に潰されて宅地化されているが、この現象は地球の温暖化の縮図を表しているのである。広葉樹林が無くなるとそこの生態系が崩れるだけでなく、土地の地盤も悪くなって水も失われるのである。生物がいなくなり、水が失われ、地盤が悪化し、二酸化炭素は増え、酸素は減る。そして、温室効果と砂漠化が進む。更に温暖化が始まると人為的で急である為、各地域の植生が気候の変化に対応しきれずに枯れてしまう。その結果、温暖化は加速度的に進むのである。
何も宅地化がいけないと言っているのではない。無計画な開発がいけないのだ。日本は島国で山地や丘陵地帯が多く、1億3千万人という人口に対して国土が狭く人口が集中する平野部は決まっている。その為、純粋にヒトの手の入っていない野生は自ずと少なく、元々農耕活動を主体としたヒトと自然は共生して来たのではないか。その舞台が里山なのであるが、近代化による農業形態の変化で里山が荒廃し続けている。つまり、狭い国土の中で、ヒトと関わり続けていた限られた自然が荒廃し続けていると言えるのではないか。今のままでは、最終的には碌な未来がないのは明白なのだ。私的な活動と対策で済む規模ではないので、行政が介入する必要があるのだ。もう、そうしなければならない時代になったのだ。



平成18年5月8日 雑記

先日、衣装箱飼育のカブト幼虫に餌を足していたのだが、その中の食べ尽くされてほぼ樹皮しか残っていない程崩れた朽木内で、カミキリのような虫の蛹を見つけた。そのままでは死んでしまうだろうと、プリンカップに大鋸屑を詰めて指で圧して蛹室のような窪みを作って入れといた。
数日経った今日、その蛹はカミキリではない虫に羽化した。羽化してみると、体躯はカミキリよりもよっぽどずんぐりしていてコガネムシ類にも似ているのだが、それにしても脚が長い。調べたところ、甲虫目ゴミムシダマシ科のキマワリ Plesiophthalmus nigrocyaneus だということが確定した。このキマワリは羽化後間もない為か、それとも実はこういう色だったのか分からないが、黒というよりも光沢のある暗紫色だ。野外でキマワリを見る時にはそんなに注意していなかったので、光沢のある黒かと思っていた。
キマワリはクワガタやカブトを採りに林に入ると、木の幹の比較的下部によくいる甲虫だ。時には、クワガタじゃないかと、勘違いされてまじまじと見ると違うことが分かってがっかりさせられる甲虫だ。キマワリは成虫も幼虫も朽木を食べるようだが、幼虫は非常にコメツキムシの幼虫と形態も生態も似ていて厄介だ。これらの幼虫はクワガタやカブトの幼虫を飼育していると、必ず朽木内で発見される。キマワリの幼虫もコメツキのようにクワガタの幼虫を食べるのではないかという話を聞くことがある。
キマワリの蛹と成虫



平成18年5月11日 17時 ポイントNS031306 採集

日中は20℃以上ある暖かい日が続いている。昨日は雨か曇天だったのだが、昼だけでなく夜も外気温が22℃ 程度ある温暖な日だった。そこで今日は、今年の樹液採集で初コクワかヒラタを求めて、頼もしい我が援軍を得て出撃したのだが、本日も玉砕した。本日も雨降りの日である。
灯火採集では月齢と風が問題であるが、雨にはそれ程影響されないことが多いと言われている。しかし、初夏の樹液採集の場合は状況が大分違うようだ。元々少ない樹液が洗い流されてしまうのと、気温が高くない上に雨に打たれると昆虫にとっては体温調節が尚更上手く行かないというのが原因ではないか。クワガタどころかゴキブリやヨツボシケシキスイまでもが退散してしまうようだ。樹液場には何もいなかった。理由を考えると当然と言えなくもないだろう。
外気温を考えるともう活動していても不思議ではないかと考えていたのだが、やはり甘かった。樹液場で今年の初クワを拝めるのはいつになるのか。

■今日の収穫
空振り三振
林の中でも動じずについて来る頼もしい援軍



平成18年5月11日 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 雄の蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) が羽化した。4月14日に雄で最初に蛹化した個体である。記念すべき我が家のオオクワ雄の羽化、第一号である。
蛹から成虫への変態の様子を時間を追って観察出来たので、定点連続写真風に記録してみた。

腹部がまだ膨らんでいるし前翅も固まっていないのだが、瓶の外から定規を当てて目分量で体長を測ってみた。顋先から前翅後端までで、60mm 台前半の大歯型のようだ。自家醗酵マットの飼育なので、この大きさでもまずまずではないだろうか。無事に羽化して良かった。
02:05 顋から頭部、胸部、脚部が色付いて、蛹の表皮に皺が目立ってきた。仰臥位の儘である。
12:11 姿勢が腹臥位になった。
13:31 腹臥位の儘、蛹の表皮が剥がれて前翅と後翅が伸び始めた。
16:39 蛹の時から永らく前屈させていた頭部を起こした。後翅が伸びて瑞々しい成虫となった。
21:11 後翅を前翅に仕舞い込んだ後は、身体を横にしている。この後は日毎に仰臥位になっていたり、側臥位になったり、体勢を日々変えることになる。



平成18年5月12日 飼育 アマミコクワ 奄美大島名瀬朝戸産 F4

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) のつがい (平成17年11月17日購入 雄:平成16年12月羽化29mm、雌:平成16年12月羽化29mm 奄美大島名瀬朝戸産 F4 ) が、活動しているようだ。5 月になってからの室温は22〜26℃ で、暗がりになっている時に雄が餌場周辺にいるのを何度か観察している。人の気配があったり明かりを点けたりすると直ぐに隠れてしまい、次に観察するのはいつになるのか分からない感じだ。竜郷町産 F1 もそうだが、行動はとても用心深く餌の減りも少ない。



平成18年5月13日 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 雄の蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) 2 頭目が羽化した。朝 7:20 の時点で後翅はまだ伸びきっておらず、頭部を起こしたばかりのような体勢だったので、羽化開始時間は5:00〜6:00 の間だろう。
4月16日に蛹化した個体で、羽化日は4月15日に蛹化した個体を抜いた。我が家のオオクワ雄の中では最小個体なので、羽化日は一番早いのではないかと予想していた個体だ。大顋は大歯型と中歯型の中間のような形をしている。自家醗酵マットの飼育なのでこの位の大きさでも良しとして、無事に羽化した事を喜ぼう。



平成18年5月14日 飼育 オオクワ羽化 千葉県横芝産 F2

オオクワガタ Dorcus hopei binodulosus Waterhouse, 1874 雄の蛹 (11月3日購入 千葉県横芝産 F2 ) 3 頭目と4 頭目が羽化した。これで我が家で飼っているオオクワ9 頭が全てが無事に羽化したことになる。
夜勤から帰宅して11 時に観察した時は、4月20日に蛹化の我が家で最大個体が羽化を済ませていたところだった。4月15日に蛹化した個体の羽化は、他の2 頭に抜かれてとうとう最後になってしまった。温室底に敷いてある電気アンカは切ってあり、熱源は中心辺りに置いてある2 リットルのペットボトルのみなので、温室内の温度差が原因だろう。高い場所程温度が高いので、成長も早いという訳だ。この個体は正午過ぎになってから羽化したので、定点連続写真を残すことが出来た。
しかし、まだ取り出してみないと分からないのだが、64mm のサキシマヒラタが同等か又は大きく見えてしまうのは何故だろう(笑)。我が家のオオクワは皆小粒だ。菌床でなく自家製醗酵マットでの飼育なので、無事に羽化しただけでも好しとして喜ぼう。



平成18年5月16日 飼育 アマミコクワ 複数産地

洞を住み家にするアマミコクワの雄
■アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:平成17年9月中旬羽化 奄美大島竜郷町産 F1 ) つがい
雄は昼夜関係なく殆どの時間を洞内で過している。洞をライトで照らして中を覗いてみると大抵はクワガタが入っている。時々洞を空けているのだが、1 日も経たずにまた戻って来る。夜間観察する時には洞から尻だけ出していることがあるのだが、そういう時は餌を食べていて人の気配に気付いて慌てて洞に逃げ込もうとしている場面ではないだろうか。頗る敏感で、且つ、逃げ足も速い虫だ。暗がりの部屋に入る際は蛍光灯を点けずにこっそりと忍び寄って、先ずは赤ライトで瞬時にアマミコクワのところを見るのだが、滅多にアマミコクワの無防備な状態を観察することが出来ない ( 野生だったら鷲掴みで採集可能な状態ということ )。完全に洞を住み家にしているようだが、その様はまるで野生のDorcus 属そのもののようだ。Dorcus 属の中でも特に樹液採集が困難な種の生態であろう。
雌も洞にいることがあるが、虫も洞も小さいので雄と一緒に洞内にいることがあるかどうかは分からない。雌はどちらかというと餌場近くに置いてある樹皮下に潜んでいることが多いようだ。注意して観察していると、樹皮下に前胸部や尻だけが見えることがある。

■ (平成17年11月17日購入 雄:平成16年12月羽化29mm、雌:平成16年12月羽化29mm 奄美大島名瀬朝戸産 F4 ) つがい
度々ゼリー容器の向きが変わっているので餌を食べているようだ。しかし、活動を直接観察することはない。



平成18年5月17日 飼育 関東ヒラタ サキシマヒラタ

餌皿を縄張りにするサキシマヒラタの雄
ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer Vollenhoven, 1861 (平成17年9月27日購入 神奈川県足柄産F1) の雌は、特に今月に入ってからは毎日のように徘徊を続けている。徘徊の合間に餌を食べていることがあるので、飼育容器内の環境が産卵に適さずに気に入らないことが原因ではないかと考えた。この儘ではいたずらに体力を消耗してしまい、無駄に寿命を縮めてしまう。そこで、飼育容器ごと変えることにした。新しい環境には、腐朽が進んでいて柔らか目のクヌギとコナラを産卵用にそれぞれ2 本ずつ、直径は8 cm程度、クヌギ 1 次醗酵マットに埋め込んだ。深さはほぼ全体が埋まっているが、少し表面が見える程度である。一番底には腐葉土を3 cm で固詰めした。
意外にも当日から効果覿面のようだった。雌は短時間ではあるがまだ徘徊していたが、食餌してからマットに潜っていることが多くなった。初日にも拘らず、22時〜23時頃には雄と1 時間たっぷりと交尾もした。飼育容器変更後の徘徊は、単に新しい環境に慣れる為の見廻り程度のように見えた。
交尾の場面であるが、最初は雌が摂食しているところに雄が頭部を雌の尻に付けてじっとしていた。いつもの警護行動である。その内に、雄が口と顋を使って雌の尾部から背部に向かって、まるで雌を挟むような勢いで4・5 回激しく擦る動作を反復した。そうしたと思ったら、空かさずV の字になって交尾が成立した。その後1 時間に渡ってV の字を保っていた。

サキシマヒラタ Dorcus titanus sakishimanus (Nomura, 1964) (平成17年12月15日購入 西表島祖納岳産 F1 ) もそうであるが、3月27日に温室から室内飼育に切り替え、産卵木をマットに埋め直していた。平均温度の低下と環境の激変という要因もあったろうが、それからというもの、雌は滅多に姿を見せなくなっている。雄に挟み殺されたのなら屍骸がある筈だが見当たらないので、産卵に専念しているのではないだろうか。最後に見掛けた時は、止まり木に使っている腐朽の進んでいない木を表面で言えば3 cm の範囲で齧っていた。生きているのなら産卵しているのは間違いないだろうから、子が亜終齢幼虫になっている頃を見計らって、6 月になったら掘り出してみようかと思っている。
餌管理が容易になるので、今月から成虫飼育には餌皿を使うようにしている。面白いことに、サキシマヒラタも本土ヒラタも餌皿を入れたとたんに、餌皿の木そのものを直接縄張りにしている。特にサキシマヒラタの雄はそこが観察者に一番露出される場所であるにも拘らず、いつも同じ位置で休んでおり、小生や餓鬼どもが近くを通ろうがまるでお構いなしに動じる気配がない。本来なら僅かな振動や影の動きにはとても敏感で、威嚇の体勢を執るなり物陰に隠れるなりすると思うのだが、これは本当に奇妙な現象だ。それにこのサキシマヒラタも以前はそうだったのだ。一体どうしたのだろうか。身体的に弱っているとも考えられないので、学習で云う感覚の鈍化を示す慣れの状態になったのだろうか。



平成18年5月19日 飼育 アマミコクワ 奄美大島竜郷町産 F1

アマミコクワガタ (原名亜種) Dorcus amamianus amamianus (Nomura, 1964) (平成17年10月26日購入 雄:平成17年9月下旬羽化33mm、雌:平成17年9月中旬羽化 奄美大島竜郷町産 F1 ) の雌が同じ場所で同じ姿勢でいる場面を最近何度が観察している。
最初はただマットに潜ろうとしているところかと思って気にも留めていなかったが、何度か見ている内に場所も体勢もいつも同じであることに気付いた。奇妙な現象だ。マットに頭部を沈ませているように見えるのだが、頭部は細いクヌギの朽木表面に付いている感じだ。今日はこの行動を30 分も続けていた。夜間22 時頃だったので蛍光灯に照らされた環境である。
産卵しようとして齧っているのだったら、余りにも無防備でなんとも無様な格好を長時間続け過ぎているのではないか。それに毎回同じ場所に来るのも不思議である。それとも、朽木の表面に附着している何かを食べているのだろうか。例えば、産卵行動が旺盛なクワガタの雌が、自分以外の小動物を蛋白質補給の目的で捕食するような行為である。忘れなければ、その内にこの雌がいなくなった時にでも、この場所のマットをどけて何か手掛かりでもないか調べてみようと思う。
アマミコクワの雌



平成18年5月19日 飼育 カブト 千葉県横芝産 F1

人口蛹室に入ったカブトの雌蛹
先ずは良い知らせから。ペットボトル飼育の個体の中で、本日、2 頭の雄で羽化を確認した。2 頭共体色からして羽化から幾らか時間が経っているようだ。予想通り今月下旬から来月初旬には活動を開始しそうだ。

次に悪い知らせ。蛹化不全の個体がいた。4月26日に9 月孵化の個体群の中で2 頭の前蛹がいたが、背部のみペットボトル壁面から見えている個体の色が何やら怪しかったし、もう1頭は前蛹の時には見えていたのに何故か見えなくなっていた。そこで、今日はその容器を暴いてみることにした。
4月26日には「中間部で蛹室を作るのは珍しいのではないか。極悪環境下で小さくて弱っていたので、固く詰めていない場所でも蛹室に十分な場所と判断したのだろう。」と、解釈していたのだが間違いだった。実際、この個体は蛹室を作れずに蛹化してしまったのだ。中間部の腐葉土が固くない場所で蛹化したからか、蛹化そのものは問題なく完了していた。色からしても羽化日は近いと考えられる。但し、蛹室を作っていなかったので、放っておけば無事に羽化することなく死ぬ運命だっただろう。それでもまだ体力不足で羽化不全の可能性は残されていると考えられる。この蛹は土を固めた人工蛹室に入れておいた。
一方、背中が見えていたもう1頭の方は蛹化不全で死んでいた。容器底の土の固い場所まで来て蛹化しようとしたところまでは前者よりは正常であったが、それが徒となった。この個体も蛹室を作れずに蛹化に至っていたが、周りの土が固かった為か、身体が前後のみでなく不自然に横に弓なりになって、脱皮も完了せずに死んでいた。直接の死因は、底の固い場所で蛹室を作らずに変態の途中で死んでいたので酸欠ではないかと考えている。
蛹化不全で死んでいるカブトの雌蛹





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