虫日記 平成17年 前期





平成17年7月8日 18時頃 ポイントMH011606 採集

私が高校3年生になる春にオオクワガタ♂が死んでから、もう長いこと虫と関わることがなかった。このオオクワは何も高校3年生になる時に入手した訳ではなく、中学3年生の時に1時間の格闘の末やっと洞から取り出した野生のオオクワであった。今でこそ天然で70mm超えは珍しいと言われているが、私に当たった宝くじは72mmの大当たりであった。今考えると勿体ない話であるが、このオオクワを採った年を最後に採集活動は殆どしなくなって行った。せっかく見つけたオオクワ・ポイントにその後通うこともなかった。青年期を迎える為の少年期との訣別への思いと、まるでその餞(はなむけ)のようにオオクワという勲章が降って来たのであった。
勿論、累代する為に雌が欲しかったが、殆どやらない採集活動ではせいぜいコクワを採る位であった。また、昭和57年当時のオオクワ事情では購入するという手も諦めるしかなかった。「黒いダンヤモンド」なんて云うキャッチ・コピーなんぞは存在しない昔々の話である。一般でもマニアでも図鑑の中でしか見られない幻のクワガタであった時代だ。誰かから譲って貰うという手も当時の私の情報収集力では叶わなかった。そうこうしている内に月日は過ぎてオオクワは死んだ。私の少年時代もいつしかどこかへ消えた。
今年初カブトを手に笑顔の親子
3人目の子が今月生まれるという時期であった。長女が4歳になるのでそろそろカブトでも採ってやろうかという気持ちになって、数日前から通勤時に車窓から目星い木を探して見ていた。そして、そこそこ晴れて暑いこの日、「子供にカブトムシを採ってやるか。じゃ、行こう。」と妻に言い、まだ虫もいないのにホーム・センターでプラ・ケース大を買って一家で出発した。車で通勤路を10分程走ったところで、早速気になっていたポイントM 1本の栗に寄ってみた。娘と木を覗いてみると、あっさりカブト3♂を採集した。23年振りにして1発目の木で狙いのカブトを採集。我ながら自分の採集感覚に惚れ惚れ(笑)。即行で採集出来てしまった為、家族も余りにも呆気なく感じたろうが大変喜んでいた。帰りの車内で妻はカブトが捕まるとは思っていなかったので吃驚したということを話していた。まるでその後の採集熱復活を暗示しているかのような出来事であった。その後はもう暗くなるのでスーパーへの買い物に付き合った。

■今日の収穫
カブト 雄3 (持ち帰り)



平成17年7月9日 16時頃 ポイントYK090705他 採集

昨日採ったカブトを飼育ケースから取り出して子供と遊んだ後、また一家で採集に出た。殆ど初めての採集なのでポイント探しである。昨日とは違う所でクヌギの木にノコギリクワガタ1♂1♀が付いているのを見つけたが採集しなかった。(ポイントYK090705 道路脇藪中2 本のクヌギ) 子供が主役なので専らカブト狙いであると言いたいところだが、4m 程の高所で面倒だったからである。木を蹴飛ばせば良いと言う人がいるかもしれないが、つがいでお楽しみ中であったので邪魔する気にもなれない心情であった。実は恥ずかしながら、この時まで私にとってノコギリクワガタは幾分珍しい種だったので見られるだけでも嬉しかった。九十九里平野では海に近くなるとノコはいないでもないが、個体の比率は少なかったんであろう。昔はノコは山側に多かった気がする。
ここのクヌギには鉈か何かで樹皮に傷を付けた痕があるので、既に採集者がいるようである。こんなことをして樹液が出るようになるものなのか。木の根元も掘り返してそのまんまになっている。通りから入って直ぐの場所なので、近所の子供を含めて採集者は多いのだろう。
そこから更に車で数分の場所でカブト1♂をクヌギで見つけるが、周りがまるでジャングルになっていて近寄ることが出来なかった。(ポイントYM090705 ジャングル・クヌギ大木) と言うか、実は、カブト大のスズメバチが近くにいて怖かったので手を出せなかったというのが本当の理由である。

■今日の収穫
ノコギリ 雄1 雌1
カブト 雄1



平成17年7月14日 17時頃 ポイントHH092405 採集

また今日も一家で採集行。畑脇の栗の木で中歯型ノコギリクワガタ♂を見つけたが逃げられてしまった。私と目があった瞬間に地面に落ちて逆さまになっていた。赤茶っぽい色で脚を素早くバタバタさせており、腹の部分がまるでゴキブリそっくりで気持ち悪い。久し振りの採集で手先が鈍いというのもあるが、気色悪さに躊躇している間に落ち葉の下へ潜られて行方不明になってしまった。

■今日の収穫
ノコギリ 雄1 (逃げられる)



平成17年7月15日 14時、20時 ポイントHH092405他 採集

例によって一家で出動した。新規ポイントのS 栗林でカブト5♂2♀を採集した。同日夜に昨日の雪辱を果たそうと妻手製の弁当持参でポイントHH092405 畑脇の栗に向かった。ここで見事にノコをつがいで採集したが、車に着いてみると雄がいなくなっていた。おむすびを入れるパックに土を少し盛ったものだったので、パックの隙間から簡単に滑り出て逃げたようだった。幽霊が出そうな不気味で真っ暗な森だったので戻りたくなかったものの、悔しくて一応一通り懐中電灯を照らしながら歩いてみたが後の祭りであった。
次に昼間の状況から期待していたポイントS 栗林に再訪問した。夜であったにも拘らず収穫は少なく、ノコ小歯型1♂カブト1♀を採集した。ノコはつがいでいたが、雌はもう採ってあるのでここでは逃がすことにした。他に採集者はいなそうだが何故か少ない。全くの期待外れである。先に誰か来ていたのだろうか。

■今日の収穫
ノコギリ 雄2 雌2 (1つがい持ち帰り)
カブト 雄5 雌3 (全て持ち帰り)



平成17年7月20日 14時 飼育 ノコギリ

ノコギリクワガタのつがいは暫く小プラ・ケースで飼っていた。累代を試みたいのでカブトが入っていた大プラ・ケースに産卵セットなるものを組んで移してみた。セットなんて言ってもクワガタの累代は初めてだし、調べて分かっていることに対して揃えたセット内容が随分違うので少々不安である。産卵木は採集活動中に見つけたクヌギの朽木であるが恐らくノコにとっては軟らかくないし、マットは買って来たものではなく、これもやはり採集活動中に掻き集めて来た栗やコナラのおが屑である。よく幹がカミキリムシか何かの虫の幼虫に喰われて樹木下に落ちているやつで、目は細かくないしまばらで、これが少し発酵したやつである。一番下に土を約5cm 固く詰めた上に産卵木を置いてマットは8cm 程敷いて少し叩いておいた。



平成17年7月27日 12時 飼育 カブト

飼育頭数の整理すると、カブト3♂2♀、ノコ1♂1♀である。ポイントS栗林で採集したカブト1♂1♀は採集後数日で死んでしまった。一番大きい雄と雌であったのでとても残念だった。カブト4♂は私と妻それぞれの知人に貰われて行った。

時期的にまだ早いがマットに潜っている雌カブトがいるので卵を探してみた。マット下の土を掻き出して行くとポロポロと白い楕円の卵が出て来た。まさかそんなにあるとは思っていなかったので数えてなかったが30以上はあったと思う。早速小プラ・ケースに腐葉土を入れて卵を移しておいた。腐葉土は市販されているカブト・クワガタ成虫飼育用で幼虫にも使えるというものを水分を調節してそのまま使った。
裏庭で堆肥を作る
この時期にこれだけの数の卵であるから近い将来が心配になった。中学生の頃にカブトの累代に成功していたが、成虫に出来たのは皆コカブトみたいな小個体だった(勿論本物のコカブトよりは大きい)。早目にに準備しておかないとカブト幼虫の餌不足は目に見えている。ホームセンターのペット・コーナーで売ってる昆虫専用腐葉土なんて量が少ないから、とてもじゃないが大食漢のカブト幼虫には金銭的に与える余裕はない。園芸用腐葉土は安価なのでどうかというと、化学肥料や防腐剤が混ざっていたり、或いは広葉樹と謳っているのに針葉樹が混ざっていたり、ひどいものでは松ぼっくりなんかが入っているという話も聞く。下手をすると幼虫全滅という悲劇も在り得るという。従って市販のものは虫飼育には中身が信用出来ない。よって、裏庭の隅に自前で堆肥を作ることにした。早速ポイントH 雑木林でクヌギ落ち葉拾いをして来た。



平成17年7月28日 0時 ポイントHS090705他 採集

ポイントM 1本の栗でクワガタが大発生していた。今年の初カブト以来時々見に来ていたが、あれ以来カブトは一度も見ることはなくコクワの木となっていた。今日は栗たった1本で確認しただけでもコクワ多数、ノコギリ1♀、ヒラタ1♂というコクワ以外の種も見られた。ヒラタは手に捕って見た訳ではないので自信はないが、この辺でも棲息している可能性を感じさせた。

カブトの飼育頭数がやや少ないと感じていたこともあったので、ポイントHS090705 住宅地内の雑木林に行った時に赤カブトをつがいで見つけて採って来た。雄雌とも大きめの個体であったのも持ち帰る理由となった。定規で測ったら雄は丁度80mm だった。
子供の時から黒いカブトに混じって時々いた赤カブトにはなかなか魅力を感じていた。赤カブトは格好いい。幼少の頃によく見ていた昆虫図鑑にあったカブトは、赤というより橙に近い色であった。橙色のカブトは見たことがないので、今思うと印刷の具合で赤が橙に見えたのだと思う。この幼少の時の図鑑にあったカブトがいまだに私の記憶に深く刻み込まれており、赤カブトへの思い入れとなっている。
私の地域では小学生の時には赤カブトのことをアカバネと呼んでいたので、いまだにどこかで「赤羽さん」を見る度に心の中で赤カブトを思い出してしまう。
つがいで採って来たのには理由があって、赤カブトの累代を試みたかった。しかし、家の場所の都合上どうしても他の黒いカブトと雑居させざるを得なかったので、赤カブトだけの飼育場所の確保は後回しである。来年に沢山の成虫が得られたら、その中からまた赤カブトだけを取り出して血を濃くしてみようかなどと考えていた。数あるインターネット・サイトで探してみたところ、赤カブトの色はどうやら幼虫時代の環境や餌による色の変化ではなく、遺伝因子が大きいようである。橙カブトはないと思うが、赤の血を強くして行くと、橙に近い色になるのか ?

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 雌1
ヒラタ 雄1
カブト 数頭(赤カブ1つがい持ち帰り)
赤カブトのつがい



平成17年8月3日 15時 飼育 カブト

カブトの産卵が大爆発。初齢幼虫を含めて卵が183個。赤カブトの雌はいつも餌を食べていて土に潜っている時間は長くないので、他の2匹の雌でこの数を産んだと考えられる。前回のと併せて2♀で213個以上産卵していることになる。



平成17年8月15日 11時頃 ポイントOS092405 採集

21年振りにポイントOS092405 に行ってみた。採集で行くのは23年振りである。昼の下見である為カブトが何頭かいたが採集しなかった。クヌギの枝に縛って置き去りになったストッキングや下草の状態から他に採集者がいるようである。一番良さそうな洞の周りの樹皮がやや荒れているが、樹皮が無理矢理に剥がされたような痕はどこにも見られなかった。他に採集者がいるということだけでもかなりの焦りであるが、強引な採集者はいなそうなので少しホッとした。不幸中の幸いか。

何故23年振りにここを訪れたのかと言うと、ここは嘗てオオクワが採れた場所だったからなんである。当時は他に採集者は居ないクワカブの楽園であり、私にとって貴重な秘密の採集場所であったのだ。それに、この林と周囲の景色は当時と殆ど変わっておらず、今でも期待が持てそうなのだ。しかし、この林を少し離れた所では、雑木林の中や周りを切り刻むように宅地化が進んでいる。中学生の時には大型ヒラタを採った思い出のコナラは、下草は刈られて虫は発生しそうもなく、この地域の新住民の新車の頭上を覆って日差しから守る天然車庫と化しているのである。当時から雑木林が拓かれた場所が少しあったので厭な予感はしていたものの、虫好きとしては見たくない光景である。ずっと来さえしなければ、少年の頃の良い思い出だけが永遠に生き続けたのだろう。

■今日の収穫
コクワ 数頭
カブト 数頭



平成17年8月16日 13時頃 飼育 ノコギリ

ノコギリクワガタの産卵セットを組んでからそろそろ1ヶ月が経とうとしているので中を暴いてみた。マットにも産卵木にも卵は見当たらない。雌がマットに潜って何日も出て来ないということは余りなかったし、寧ろ夜間に行き場を探しているのか歩き回っているということもよくあったので、こんな結果になることは何となく想像出来ていた。雄雌仲が良く、よく交尾をしているのも見たので、条件さえ整えば産卵しそうだ。用意しておいたもっと軟らかい産卵木と2次発酵クヌギ・マットに腐葉土を混ぜて水分を大目にして組み直した。クヌギ・マットは目が細かくないのが多少の不安要素となっている。ノコギリの累代はそんなに難しくないと聞いているが、なかなか産卵してくれない。もうお盆も終わる頃なのでノコの累代失敗の予感に焦りを感じた。



平成17年8月17日 21時 ポイントOS092405 採集

仕事帰りにポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木に寄った。クヌギの上部約3.5m にヒラタ1♂がいた。7月28日 ポイントM 1本の栗以来のヒラタである。あの時はカブト以外に採集する気がなかったので逃がすにしても捕獲を試みることはなかったが、今日この場所に来ているのは紛れもなくオオクワ探しが目的となっている。ヒラタも珍しいので見つけると嬉しかったが、飼育種を増やすと後が大変なのでそれ程採集意欲がある訳でもなかった。それにしても、一旦捕ろうとしたものの逃げられたので悔しかった。高所なので先ずは捕虫網で捕らえようとして上からすっぽり被せたが、幹に付いたまま大顋を開いて威嚇の体勢を続けており全く動く気配がない。片手は懐中電灯を持っているので木を揺るなり何かでクワガタに触れるにしても腕がもう一本足りない。捕虫網を離して気を許した瞬間ヒラタは落下して草と落ち葉の中へ見事に逃走完結した。落ち葉を除けて数分間捜したが見つからず。

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 数頭
ヒラタ 雄1 (逃げられる)
カブト 多数



平成17年8月17日 23時 ポイントYK090705 採集

ポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木 の帰り道、ポイントYK090705 農家の雑木林を覗いてみた。元々良い感じの栗とコナラが何本かあったのだが、前回まで見逃していた1本のシラカシでカブトが大発生していた。根元から幹の上部、大きめの枝に至るまで樹液が何箇所からも出ていた。よく見ると捲れや小さい洞もある。ただ、カブトにとっては時期が後半ということもあり、草臥れの目立つ個体が多かった。木の幹下にはぼちぼち屍骸も見つかるようになっている。

■今日の収穫
カブト 多数



平成17年8月22日 19時 ポイントOS092405 採集

ポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木に行ってみた。カブトとコクワばかりであるが、ノコギリもちらほらいるようである。先日と違う木でヒラタ♂のようなものを見たが手に取って見た訳ではないので断定は出来ない。少し奥まったクヌギであるが、目の高さ位の所の樹液場にはノコ中歯型がいて当てられていた電灯が他を向いた瞬間にポロっと落ちて落ち葉の下へ潜って行った。ノコはつがいで飼っているので採集する気はなかったから追わなかった。
高さ4m の所では幹が盛り上がったようになっていてその中心に洞があるようである。下見の時はこの木は樹液を出していなかったのでこんな魅力的な木であることに気付かずに見逃していた。懐中電灯を当ててみると、この洞から半身乗り出したようにして大顋を大きく開いた威嚇の体勢を執っているDorcus 属のクワガタがいた。ヒラタではないだろうか。洞から顔を出している状態なので捕虫網では無理と判断した。高所なので木登りをしようと脚立を広げて掛けたが、旨い具合に足場になる枝がなく断念せざるを得なかった。

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 数頭
ヒラタ? 雄1
カブト 多数



平成17年9月2日 ポイントYU090705 探索

数年前までオオクワが採れたらしいのでポイントYU090705 を探索してみた。田圃沿いが雑木林になっていてクヌギやコナラもちらほらとある典型的な千葉の景色である。目星い場所で一般種は採れるだろうが、オオクワならこれと言った良さ気な木はない。家族も同行しており、車でゆっくり走りながら車内で虫が付く木の説明をしていた。「ほら、こういう木にカブトムシがいたりするんだよ。」と、初めてみる景色の中でクヌギらしい木の幹を指差したところ、丁度その指差した場所に樹液を舐めているカブトがいたんである。新規ポイント探しはいつも楽しい。
この時期は、もうカブトを見つけても雌ばかりである。



平成17年9月3日 19時 ポイントMT090705 採集

以前から仕事帰りの車内から遠目で有望と思しき林が見えていたので行ってみた。遠目でも期待を持たせてくれる雰囲気であったが、近づくと畑内にクヌギが並木状で大量にある場所と分かり、目から鱗が落ちる程であった。殆どの木が樹液を出しており、一本一本丁寧に見ていて半分近くに来ると「もう十分。」と音を上げたくなる心境になってしまった。只、だからと言って稀少種がいるとも限らず、順番にコクワ、カブト、ノコギリの順で見られるが、ヒラタなんかはいないようである。一般種の採集はここへ来れば困ることはないという感じであった。例によって簡単に人の手の届く場所では樹皮捲れは悉く剥がされているようで残念であった。程良い樹洞も数箇所で見られるだけに惜しい場所である。

この時期になるとカブトやノコギリの屍骸をよく目にするが、そのような秋の気配を暗示するかのように肉食のコカブトムシ Eophileurus chinensis chinensis (Faldermann, 1835) がクヌギの幹にいるのを見た。コカブトムシを見るのは20年以上振りであったので思わず写真を撮った。子供の頃はどこで捕ったのか忘れたが、少数ながらコカブトムシもカブトと一緒に雑居飼育していたことがあった。何を喰ってるのか知らなかったが、コヤツラは自分と似たような虫の屍を喰っていたんである。外見は小さいカブトの雌のようであるのに。
県によってはコカブトムシは絶滅危惧種のようである。しかし、ヒラタのようにいるところにはいるんじゃないだろうか。

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 数頭
カブト 数頭
コカブト 雌1
Eophileurus chinensis
コカブトムシ



ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer

私はヒラタクワガタが大変好きである。正直な話、昆虫熱が再来する前からどこかしこで「平田さん」を見る度に心の中で「ヒラタクワガタ」と呟いているのである。特に短い大顋に幅広な身体のヒラタが好きである。九州北部〜山口県北部〜日本海側に見られる大顋が長くて全体的に細身な個体よりも、東海〜関東地方に特徴的な大顋が短くて重量感のあるヒラタクワガタが断然格好良いと思う。日本のクワガタでは中〜大型種が幾つかあるが、同じ寸法ならヒラタクワガタが一番の幅広で実質的な最大個体となる筈である。オオクワガタは顋の先から翅先まで均整が取れていて格好良いが、ヒラタクワガタの重量感はそれを凌いでいる。
Dorcus titanus という学名にも惹かれる。titanus の語源であるtitan とは、ギリシア神話でゼウスと戦って地下界に落ちた巨神族のタイタンに由来する。詰り、ヒラタクワガタは「大きくて強い」 Dorcus 属のクワガタという事である。由緒あるなんとも格好良い名前ではないか。レイ・ハリーハウゼンの特撮による「タイタンの戦い (Clash of the Titans) 」(1981年) なんて云うギリシャ神話の映画もある。悲劇を生んだ巨大豪華客船はタイタニック (Titanic) である。硬くて強い金属にチタン(Titanium) がある。Titan は強くて大きい物の代名詞である。この神聖なるtitan の名が、オオクワガタではなく、ヒラタクワガタに与えられているところがまた興味を引くところである。因みにオオクワガタのbinodulosus はbi-nodule が語源と考えられるが、「動作が少し遅い」か「2つの塊」のどちらを意味して付けられたのかは不明。どちらにしても、さほどの印象を受ける名前ではない。
※bi-nodule は、眼上突起と言われる両複眼の上にある瘤状の出っ張りのことを指していることが分かりました。(平成18年春吉日)

ヒラタクワガタは越冬出来るので、成虫の寿命が半年〜3 年と、コクワガタと共にオオクワガタに次いで長寿な甲虫であるというのも魅力である。ノコギリクワガタやミヤマクワガタは、折角手塩に掛けて育てて次の夏迄動かずじっとして、挙句にやっと活動したと思ったら、その夏ポッキリで死んでしまう。それに比べて長生きするヒラタクワガタはペットとしての飼い甲斐があって愛着も湧くというものだ。勘違いして貰いたくないので断っとくと、幼虫が大きくなるのを見ながら育てるのも楽しみと言えなくもないし、ノコギリクワガタは採集し易く身近であるということとは関係なく、大型個体の大歯型はとても格好良いと思う。ミヤマクワガタだって見た目が恐竜の骸骨みたいで格好良い。私の生まれ育った千葉県では房総にしか棲息していないので、はっきり言って自己採集の経験なんてない。ミヤマクワガタは殆ど幻に近い憧れのクワガタである。でも、「格好良い」、「長生き」という観点から、飼うならヒラタクワガタである。

ヒラタクワガタの幼虫期間は、半年から1年という短期間であることもそんなに気が長くない私には向いている。餌は面倒臭そうな菌糸瓶よりも醗酵マットの方が良いというのも好きなんである。是非とも短期マット飼育で格好良い大型個体を楽しみたいものだ。
しかし、よく調べてみると、どのクワガタにも当て嵌まることであるようだが、飼育温度を上げ過ぎず幼虫期間を長くした方が大型化する傾向があるらしい。また逆に小型化したいのなら、死なない程度に飼育温度を上げて積算温度を早く達成させる方法が有効のようだ。小型化しようとは思わないが。
どの点を取ってもヒラタクワガタは興味をそそる虫だ。飼育、累代はヒラタクワガタを外せない。



平成17年9月4日 ポイントYU090705 探索

今は採れなくても過去にどの木で採れたのかを知りたいという興味が尽きず、再度ポイントYU090705 田圃沿い雑木林を探索してみた。直ぐに見つかった。よく見える場所だった。最初に訪れた時にはありそうもないと感じていた場所にその木はあった。意外にも民家に近い方向である。酷く荒された挙句に枯れ果てた姿が特に周囲の雰囲気と違って目立っていた。樹皮から想像するにコナラの大木のようであるが、クヌギだったのではないか。樹種も分からない程になっている。立枯れているが、大木で洞が下から上まで沢山あるので、今でも生前は大いに有望な木であったことを窺わせている。こんな有望な木は他になかなか見つからないであろう。
しかし、余りにも酷い。根元近くは何かの機械で大きく抉られている。オオクワが潜む洞があったのだろうか。やや高い場所で手の届きそうな洞には煙幕を張られた痕なのだろうか、樹皮が剥がれた幹に焦げている部分がある。土手を登って立枯れた大樹の裏に周ってみると、なんと、なんと、足場を作る為であろう、幹に釘が並び打たれているのである。話では聞いたことがあるが、足場の釘を打たれた木なんぞは、天然記念物ヤンバルテナガコガネの密猟だけかと思っていた。ここの地主がやったことだと思うことにしよう。オオクワが高く売れる時に自分の土地で地主が採集して売っていたと考えることにしよう。決して、どこかから来た只の虫採り人がやった仕業ではないと考えることにしよう。こんなに有望な木を見るのは初めてだが、こんなに荒された木を見るのも初めてである。



平成17年9月8日 17時頃 飼育 カブト

7月15日 14時、20時 ポイントS 栗林で採集した内の最後の雌カブトが死んだので飼育容器を暴いてみた。初齢幼虫と卵を併せて83個を採取した。相変わらず赤カブトの雌はそんなに何日も土に潜っていないようなので、大雑把に言えば殆ど2頭で296個以上を産卵したことになる。約150個を産卵した雌が2頭もいたことになる。図鑑だと雌1頭で50個位ではなかったか。しっかりとお勤めを果たして往った家の雌カブトは大したもんだ。
しかし、全てが孵化して更に生き延びているかというとそうでもなさそうで、63+衣装箱1つに数えてない幼虫多数という状況になっている。多分全部で100頭位か。100頭だったとすると無精卵が入っていたり卵の内にダニに食われたり、何かしらの理由で初齢でコケた幼虫もいたとして、卵からの生存率は3割強程度か。これで無事に孵化した幼虫の数が、図鑑に載ってる産卵数に大体近くなって来るという訳か。
卵を掘り返していて気付いたのだが、結構ダニが集(たか)っている卵があって、そのダニは卵と同じような白い色をしていた。保護色としての白なのか、それとも卵の中身を吸ったから白なのかは知らないが、昔犬の血を吸って赤黒く1cm位に太ったダニを沢山見ていたことから後者の可能性が高いような気がする。集られている卵にはダニが沢山いるが、そうでない卵は大丈夫だったりするから、少数の集られている卵が犠牲になる御蔭で他の兄弟達は生き残るのだろう。
8月3日までに初齢か卵で採取した幼虫は殆ど終齢幼虫になっていた。カブトは終齢で冬を越すので、11月までが巨大化する為の勝負時期であろう。我が家は大きい芋虫がうじゃうじゃ状態となっている。餌の確保を怠らないようにする必要がある。
カブトムシ終齢幼虫



平成17年9月9日 19時半 ポイントMT090705 採集

洞に潜む黒いクワガタ
ポイントMT090705 畑内クヌギ並木に行って来た。8月下旬になってから、採集熱が上がって来たので、時期が遅くて焦っているだけに9月の活動は大変に活発となっている。越冬個体ではなく、今夏発生のクワガタを狙うしかないか。大物を狙うのには活動開始が3箇月近くも遅い。1季節は4箇月であるから、もう遅いどころではなく終わりというのが正確か。最近、少なくなったカブトを見る度に秋を感じながらそう考えている。
目的の林に着くといつもの儀式を始める。順番に一本一本、幹の下から上へとライトを当てて丁寧に見て行く。5本目のクヌギに差し掛かってライトを当てようとした時、大きな黒いクワガタがボトッと落ちた。大きな黒いクワガタであるので、期待しない訳がない。ここの畑はよく整備されていてクヌギ並木の下にも良く手が入っていて見つけるのに苦労はなさそうである。急いで落ちた辺りを探すと直ぐに見つかった。ノコギリ大歯型の黒味の強い個体であった。ノコギリはカブト同様に好きであるが、勿論、採集しない。がっかりである。
何本かを過ぎて、ここの林で一番有望な大きさの洞がある。洞を覗く時にはいつもワクワクするものである。前回来た時には樹液は出ていたが、いるのは蟻かゴキブリ程度の洞であった。今日はというと、いたいた黒いDorcus クワガタ。しかし、顋の形からコクワ♂のようである。がっかりである。
やっぱりこの林にはヒラタやオオクワはいないのか。環境としては抜群な場所なので、目指す獲物は棲息していない可能性が非常に高いと考えられる。とても残念。

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 数頭
カブト 数頭



平成17年9月12日 21時頃 27℃ ポイントOS092405 採集

091205211622binodulosus
高所の小さい洞から尻を出している♀クワガタ
目の前の樹液場にノコギリ♂がいるのを確認する。このクヌギには目線の高さになかなか良い感じの洞があって目を付けていた木である。8月18日の昼に下見で来た時には樹液が出ておらず、この木は今年はもう駄目かと思っていた。「今年は」と言うと、毎年ここに来ているような言い方であるが、実はここのポイントに来たのは21年振りなんである。最後に来た時は、カブトをあげる為に8月の或る昼間に当時9歳の妹を連れて立ち寄っただけである。従って、本当の採集目的で来たのは凡そ23年振りだったと思う。

他の木と同じように儀式的に下の方から樹上へ向かってゆっくり見上げて行くと、高さ3.5m 程辺りでも樹液が出ていて虫が集まっている。その樹液場から約5cm 上方で洞か捲れに徐に潜ろうとする黒い虫が居るのに気が付いた。真っ黒で艶があり、懐中電灯の光に強く反射している。大顋は目立たなかったので、なかなか大きいメスのようである。「コクワじゃないよな。・・・もしや・・・」と、心の中で呟く。そのクワガタは潜り切れずにいるようで尻だけ出して止まっている。急いで車に戻り、脚立を持って来て広げて木に掛けて登ってみる。しかし、場所が高過ぎて片手に懐中電灯、もう片手は枝に掴まって足は爪先立ち状態でやっとその洞に目線を持って行けるという具合である。まだ洞から尻だけ出しているそのクワガタを今度は目の前で観察してみる。「前翅の艶からしてコクワじゃない ! 黒光りしてるからノコギリでもない ! それならオオクワじゃないのか !」と、興奮気味となる。そのクワガタの脇から針金を入れてみたが、クワガタの体が洞にぎりぎりで入れる位の大きさであるのと、片手は枝に掴まってやっと目線を持って行ける状態なので、引っ掻き出すにはまるで程遠かった。そうこうしている内にクワガタは脚を動かして少しずつ潜って行っている。仕方がないので一時退散して、また樹液を求めて出て来るであろう数十分後に仕切り直しをしようと考えた。
しかし、30分後も洞から尻を出しているだけで、後退して出ようとしているが、まだ警戒しているという感じ。人気と光を感じるとまた奥に潜って行っているようである。だんだんと尻が見えなくなっている。それから20分後もまた同じである。体と穴がぎりぎりなので、警戒している限りは、どうやらクワガタはこの洞からなかなか出られないようである。それでももう随分と時間が経ったので今日は止めにして明日にしようと、その場を引き揚げて帰路に就いた。捕まえられないでこの洞に雌がいる間に雄がここに飛来しないかという期待を込めていた。いや、本音では只の負け惜しみである。ところで、今日はこの夏で初、いや、23年振りのヒラタクワガタの収穫があったので大変満足であった。オオクワの樹液採集は古今東西における夢に近いものと考えよう。

■今日の収穫
オオクワ? ヒラタ? 雌1(逃げられる)
コクワ 多数
ノコギリ 数頭
カブト 雄1 雌1
ヒラタ 雄1 (持ち帰り)



平成17年9月13日、14日 20時頃 約26℃ ポイントOS092405 採集

09130522allomyrina_dichotoma_septentrionalis
今年最後の目撃となったカブト
9月13日も昨日と同じように逃げられた。予想した通り同じ木で全く同じ樹液場と洞の条件である。懐中電灯を照らした次の瞬間には、もう洞に頭を突っ込みに行っている。昨日と比べてとても素早く巧みに逃げるようになっている。虫ながら天晴れな学習能力である。昨日と違って洞にすっぽり尻まで潜り込むのに大して時間が掛からなかった。
掻き出すのは無駄であるのを承知で脚立を広げて登ってみると、意外にも洞が深いことが分かった。或いは昨日の刺激で、雌が産卵する時に朽木に坑道を掘るが如く、自前で洞を深くしたのかも知れない。オオクワは棲家が決まるとその洞を掃除すると言われているので、快適な居住空間の確保には掃除の延長線上として掘削拡張もあるのだろう。又、その洞は深いだけでなく、奥に行くにしたがって樹皮下に沿って曲がっているようである。コクワではないというのは確定出来る位置にいたが、間もなく更に奥に潜って完全に見えなくなってしまった。40分後も1時間後も昨日と同じであった。
またこの日は今年最後のカブトを目撃した日である。昨日は雌雄1ずつ別の木で観察出来たが、今日は雌1である。体が土だらけで産卵後の栄養補給であろうが、時期的に考えてその後何日生きたのだろうか。
9月14日もまた同じで3度目の正直とはならなかった。目当ての木に着いたら間髪入れずに捕虫網で洞を塞ぐような被せ方で捕まえようと考えていたが、何故か着いた時には既に洞から尻だけ出している状態であった。もう完全にお手上げ。自宅から往復56km もあるこのポイントに毎日来ている私は一体何者 ? 笑いが止まらない。恐らく蒸し暑い日は今日が最後だろう。今シーズンの採集はもう完全に終わりか。

■今日の収穫
オオクワ? ヒラタ? 雌 1(逃げられる)
コクワ 多数
ノコギリ 数頭
カブト 雌1



平成17年9月16日 20時頃 23℃ ポイントOS092405 採集

私が求める虫は特に懐中電灯による光の刺激に敏感なクワガタが多いので、今日は工夫を凝らして懐中電灯に赤セロファンを奢ってみた。視認性がガタ落ちなのが難点であるが、こちらが気付く前に木から落ちてどこかへ消えたり、洞や捲れに潜られたりするよりはましではないかと考えた。
昨日15日は日中曇りが多くてお盆過ぎでは最も気温が上がらなかった。生き残っているカブトは全滅であろう。あの雌クワもまだあの木にいるのだろうが洞から出て来るかは疑問であった。

結果を言うと、例の木であの雌クワガタの姿を見ることは出来なかった。コクワしかいなかったので、赤色光の威力は判らずじまいである。矢張り今年の採集はもう終わりか。

■今日の収穫
コクワ 数頭



平成17年9月16日 飼育 ノコギリ

ノコギリクワガタの卵3つをコーヒー瓶に移しておいたものが、1つだけ孵化して2週間程度経っていた。あとの卵は茶色くなって腐ってしまった。勿論、直接手で触れることなどしなかったのだが、何が原因なんだろうか。無事に孵化したと思われる幼虫は外側からは全く見えたことがない。コーヒー瓶のガラスから見えるように外側に空洞を作って卵をそっと置いておいたのだが、採卵してから2〜3週間経った或る日突然居なくなったという感じである。少々不安になっていたし、最近になってマットの2次発酵も上手くいってなかったことに気付いて更に不安になっていた。よって、マットを発酵が上手くいったものに交換することにした。
ピンセットを使ってマットを少しずつ優しく穿って幼虫を出した。初齢幼虫であった。幼虫は吃驚したのか尻から糞を出しているようである。コーヒー瓶の中身に新しいマットを詰めて真ん中に窪みを作り、その上に幼虫の喰いかすを乗せてから幼虫を置いた。幼虫に直接手を触れないように、匙を使って大事にやった。しかし、幾ら時間が経っても幼虫はマットに潜って行かず、どうも元気がないようである。半日経って分かったが、穿った時に幼虫を圧迫し過ぎて潰したようである。取り出した時に吃驚して脱糞していたのではなく、致死的圧迫で体液が流れていたのであろう。幼虫は死んだ。もう動かない。大失敗。たった1頭の幼虫だったのに。あ〜ごめん。そして、悔しい。
ノコギリの雌がまだ1頭いるし、もう半月以上も飼育容器の中身を見ていないので、また産卵されていることに望みを託すしかない。



平成17年9月18日 15時頃 ポイントSI092405 探索

昼間は来年の為に新規開拓ということで、家族も一緒にポイントSI092405 田圃沿い雑木林 に行ってみた。田圃沿いに多数のクヌギとコナラがあり、中には台場クヌギと台場コナラが密集する場所も見られた。しかし、もうこの時期の昼間となるとコクワすら見ることが出来ず、樹液場もあまり見つからない。仕方がないので林の中で見つけたイトトンボを写真に収めた。イトトンボをまじまじと見るのは小学生以来であった。



平成17年9月18日 20時頃 23℃ ポイントOS092405 採集

夕方からも家族同伴でポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木へ採集に出かけた。ヒラタ♂2 を見たが、一匹は高所で採集は厳しく、もう一匹は一度完全に掴みながらも洞に逃げられた。子供の時のように思いっきりガバッと行きたいものだが、怪我をさせたくないのでどうしても手加減してしまう。両方共50mm はないか。赤色懐中電灯の威力はどうか。普通ので照らしてもヒラタはこんなもんじゃないだろうか。だったら、オオクワがいないのなら普通の懐中電灯で視界が良好の方が断然良い。こちらが見る前に落下するコクワもいるし、どうもセロファンの赤が今ひとつなのだろうか。
悔しいのでノコギリクワガタ中歯型♂1を採集。娘4歳と息子2歳に車内で見せたら喜んでいた。妻は「ノコギリクワガタが採れて好かったね。」と言っていたが、ノコギリはいつも捕まえないだけなんである。初めて累代を試みているノコギリクワガタであるが、♂1♀2で飼っていたのが、1週間位前に雄が死んでしまっていた。符節欠けもなく死ぬ前日まで餌を食っていたし、動きも良かったので全く意外であった。雌もとっくに残り1匹である。野生のノコギリももう終わりの時期であるから採集しても影響はないであろうし、これからは寧ろ飼われた方が長生きしそうであるから採ることにした。片方の後脚の符節が欠損していたが、まあまあ元気である。

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 数頭 (中歯型♂1 持ち帰り)
ヒラタ 雄2 (逃げられる)



平成17年9月19日 13時頃 ポイントYYK041206 探索

ポイントYYK041206 を一家で探索する。ポイントYU090705 田圃沿い雑木林と並んで昔からオオクワが棲息しているという場所である。また、ポイントYYK041206 はオオクワ以外にヒラタも棲息しているらしい。8 月中に一度見に行ってみたのだが、今ひとつ目的の場所が掴めていなかった。ここは一般的にお馴染みのクヌギ・コナラの雑木林がある訳ではなく、少々マイナーなクワカブの好む木があるらしい。
一通り周ったが、やはりなかなか見つからない。昔ながらの民家がある場所と小さい畑がそれ程広くない区域に密集しており、それ以外は広大な田圃が続いているという感じである。クワカブ採集で行くなら、普通なら間違いなく無視して良いような地域である。民家に挟まれていて空き地になっている敷地にクヌギ2 本を見つけたが、目的の木はクヌギではないので除外。畑脇の空き地のような所にカブトの屍骸が数頭落ちていた木があった。洞もあるが今はもう樹液は出ておらず、虫も来ていないようである。樹種は不明。ブナ科ではないようだ。しかし、ここでもなさそうだ。仕方がないので一緒に来た子供と空き地で少し鬼ごっこをして遊んだ。
目的の木は生垣や民家の敷地内の木であろうか。いそうな木が見つからない。自分の不甲斐ない採集感覚に苛立って来る。それにしても分からない。
空き地で遊ぶ親子



平成17年9月20日 19時 ポイントMT090705 採集

ヨコヅナサシガメ
仕事が夜勤であるが合間にポイントMT090705 畑内クヌギ並木を見て来た。オオクワ、ヒラタがいないと分かっていてもこれが虫好きの性である。1本のクヌギで上方約5m の所でノコが交尾しており、その2m 下で大歯型が1 頭樹液もないのにじっとしていた。これを捕まえようかと考えて、近辺から枝を拾って振り回してみたが届かない。それでも不思議とこのノコは同じ場所でじっとしており逃げる気配がないが、結局、高所なので諦めた。こういう場合には幹に蹴りを入れるというのが一般的な方法であるが、取り込み中のノコを邪魔するのには気が引けたのである。また、ここは畑内なので車を停めてから5分程歩く場所であったので、脚立か捕虫網を取ってくるのも面倒であった。ヒラタなら話は別であったが、ここにはいないし。

クヌギの幹にある窪みにヨコヅナサシガメ Agriosphodrus dohrni (Signoret, 1862) が密集しているのを見た。最初はアブラムシの一種かと思っていたが、後に聞いた話で外来種であるヨコヅナサシガメということが分かった。他の昆虫を捕まえて体液を吸う肉食昆虫であるそうだ。外来種であるということから、確かに子供の時にこの虫を見たことはなかったと思う。在来のヤニサシガメの棲息を脅かしながら、種としては順調に勢力範囲を伸ばしているようである。幼虫は幹に密集して越冬するそうである。密集している様子は決して気持ちの良い光景ではない。

■今日の収穫
コクワ 多数
ノコギリ 数頭



平成17年9月21日 飼育 カブト

裏庭の自家製堆肥
クヌギの枝葉
今年最後のカブト♀が死んだ。昨日出勤前に見た時に動作がややおかしいので、そろそろお迎えかと予想は出来ていた。珍しい赤カブトの雌であったので、この雌の子が飼育箱で湧いていることを祈っている。まだ赤カブトの雄一匹がヨレヨレながらも生きており、年寄りの生活場を荒したくないので暴かないことにする。

9月8日に採取したカブトの卵は小プラ・ケースに細目の腐葉土と一緒に入れておいた。初齢幼虫にはあまり高湿度の環境は良くないと聞いていたので、水分はほどほどにしていた。だからと言って乾燥させては死んでしまうので注意が必要だ。小さい容器なので食品用ラップを被せて乾燥防止としていた。
時々ケース外から小さい幼虫が見えていたので順調に孵化していることに満足していた。ところが数日前から特に夜になるとマットの上に出て来る幼虫が目立つようになっていた。最初の何日かは酸欠の可能性を考えてラップを数分間外して様子をみていた。だが、最近はマット上に糞が目立つようになったので理由はほぼ確定した。そろそろ別の容器に移す時期である。
今日はこの小プラ・ケースから初齢と亜終齢幼虫を併せて29頭採取した。これでカブト幼虫92頭が確定と、これ以外にまだ数えてない衣装箱1つに多数である。推定130頭程度か。

カブト幼虫は虫としては大きいのでそれだけに代表的な大食漢ではなかろうか。1頭の幼虫が成虫になるまでに3リットルの餌を食べるらしい。ふむふむ。1頭なら3リットル。これだけなら、ただ感心するのみであるが、我が家の幼虫はどうか。推定130頭に3リットルをかけると390リットルである。餌を食べるのが3リットルであったから、衣食住の全てが同じ腐葉土で賄われる幼虫には3リットルよりもう少し量が必要な筈である。390リットルを喰うとして、単純に安全値を取ったとして500リットルの腐葉土が必要か。500リットルというと、1リットルのペットボトルが500本 ? 冬に灯油を入れるポリ缶は20リットルだったから、あのポリ缶が25缶分 ? これはかなり厳しい問題である。
焼け石に水かもしれないが、狭い我が家の裏庭に自前で堆肥を作ることにしたのである。7月27日の日記にある写真と今日の写真を見比べると、堆肥の規模は着々と拡大してるのがよく分かる。落ち葉を一枚一枚拾っていては幾ら時間があっても足りない。きりがない。そこで、お盆過ぎに台風が上陸したのでこれを狙うことにした。まさに好機である。台風の後にクヌギのある雑木林に行くと、林の中や外周は勿論、隣接する道路までにもクヌギの枝葉が大小さまざま沢山落ちているのである。これを拾うのが楽で大変能率が良い。我が家の堆肥は見る見る大きく立派になったのである。そして、我が家のカブト幼虫も大きく立派になっておくれ。



平成17年9月23日 20時頃 ポイントOS092405 採集

敵が少ないので我が物顔のコクワ
仕事帰りにポイントOS092405 田圃脇クヌギ並木へ寄ってみた。狙っている獲物はもう出ないだろうとは分かっていても、今日も行ってしまう虫好きの性である。
ここのところ台風の影響で日照時間が短いせいで気温が上がらず秋が深まっている。カブトは勿論のこと、ノコでさえ姿を見かけなくなってきた。少なくなった樹液場ではよくオオカマキリが獲物を待ち構えている。スズメバチも少ない。こうなるともうコクワの天国である。オオクワの入れそうな洞や捲れにはヒラタもいないのでコクワが居座っている。あちこちでコクワの雄雌が冬までの残り少ない時間を惜しむように寄り添っている。真夏では樹液も出ない幹の影や、雀の涙程の樹液に集っているコクワは、我が物顔で自分の季節を謳歌している。コクワは全く逞しいDorcus である。

■今日の収穫
コクワ 多数



平成17年9月24日 20時 飼育 カブト

仕事から帰ると今年最後のカブトが死んでいた。7月28日 0時 ポイントHS090705 住宅地内の雑木林 で採集した赤カブトの雄である。よく長生きしたものである。両前脚が全く動かなくなって10日近くも経っている。符節はとうの昔に全てなくなっていた。最近は気温が低めであったし、転倒防止の枝葉に頭から突っ込んで動けなくなっていた日もあったので、もうそろそろかとは思っていた。両前脚が動かなくてもしっかりと移動して毎晩餌を頬張っていたが、流石にここ数日は雌もいなくなってたった1 匹であったし、気温が上がらなくて動作が緩慢であったりと、見ていて大変気の毒に思えていたのである。同じ日に採集した雌よりも長生きしたのは、雌は先に産卵を終えたからであろう。真夏の夜にはあれだけガサゴソ賑やかだったカブトがいなくなるのは、やはり寂しいものである。赤カブトの子が湧いていることを祈るのみである。



平成17年9月27日 飼育 ヒラタ

Bidders オークションで落札購入した神奈川県足柄産のF1 ヒラタ 2♂ 2♀ が我が家に到着した。宅配便の箱を開けると1 頭ずつそれぞれプリンカップに入っており、中に詰めてある湿り気のあるオガ屑に潜って隠れようとするものや、ただ生きていることを示すように動いているだけの個体もいる。梱包が丁寧である。売主の虫への気持ちが伝わってくるようである。我が家の一員となったからには大切に育てて行きたいと思う。
カップから取り出してみると逃げようとはするがまだそれ程力強くも俊敏でもないようだ。成熟しきっていないのであろう。8 月上旬に羽化した新成虫で後食を開始しているということである。♂ 45mm、44mm、♀32mm が2頭である。羽化時期からして本格的な活動開始時期は来春となるであろうから、ヒラタの幼虫を拝めるのも来年ということになる。来年はヒラタの幼虫を何頭採れるだろうか。先ずは累代で50mm 超えの雄成虫を得たい。更に将来は70mm 超え、大顋の長くない関東マッチョ・ヒラタが得られたら言う事なしである。今年の採集の季節も終わりだし、来年が実に待ち遠しい限りである。
神奈川県足柄産ヒラタ 雄 45mm

神奈川県足柄産ヒラタ 雌 32mm



平成17年9月28日 飼育 ヒラタ

昨日家族となった神奈川県足柄産のF1 ヒラタの為に飼育環境を整えることにした。用意した物は、プラ・ケース大、土、腐葉土、クヌギ1 次発酵マット、止まり木2 本、クヌギ枝葉・小、クヌギ樹皮多数、クヌギ産卵木1 、コナラ産卵木1 である。
産卵木はどれも採集時に拾ってあったものであり、昨日の内に適当な大きさに切断して水没させておいた。丁度良い堅さと太さのクヌギが直ぐに見当たらなかったので、クヌギが1 本なのが気掛かりである。しかし、産卵は来年になるであろうから来春に1 本入っているコナラをクヌギと交換しようかと思う。只、コナラを取り出す際に幼虫や成虫も一緒に紛れて出してしまわないように、時期と状態を勘案しなければならないのが面倒だ。
止まり木にはドリルで樹洞を掘った。洞の大きさと深さは大きめの雄と雌が一緒に入れることを想定して作ったので、電気ドリルといえども刃はネジ穴程度用なので少々手間取った。また、止まり木の上には窪みを作って餌が置けるようにした。
出来上がった直後に玄関の靴箱の上に飾っておいたのだが、「このままセットで売ってるみたい。」と、妻に褒められたのがとても嬉しかった。しかし、同居の妻の母がこの場所に置くのを承諾しないだろうから、それが残念でならない。我が家のクワカブはまだまだ市民権を得ることが出来ていないようだ。鈴虫はここに置いていたのにな〜。
止まり木に洞を制作







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