ゴースト・ドッグ

 『葉隠』を愛読する殺し屋の物語。
 銃でやる時代劇、とでも言おうか。

 主人公のゴースト・ドッグ(フォレスト=ウィテカー)は『葉隠』の言葉通りに殺しを行い、それがもとでマフィアに狙われることになり、そして『見たいものはすべて見た(『見るべきほどのことは見つ』だろうか? 『平家物語』か)』と武士らしい言葉を残し、ストリートに倒れる。
 実にCOOLな映画だ。

 カンヌでは絶賛されたらしい。
 『銃でやる時代劇』、そして『銃を持つ武士』ゴースト・ドッグの立ち居振舞いは鮮やかで、ユニークな手法だと思った。

 が、しかし。

 映画を通して見た感想はどうか?
 何かゴースト・ドックが撃ちまくっていて、気がついたときには命の恩人で彼の『主』でもある人物に、撃たれて死んでいたような気がする。

 主人公が寡黙で哲学者風なタイプなら、身近に小悪党のおしゃべりとか、とにかく濃い人物を置いて対比させるのが、かつての時代劇の常道だったと思う。この映画はそうところだけは真似してくれてなくて、ゴースト・ドッグの印象が実に希薄だ。
 英語で話すゴースト・ドッグに対し、フランス語を話しているのに何故かわかり合えてしまう、ハイチからの密入国者だと言うアイスクリーム売りとの関わりもいまいち薄い。

 ともあれ、後味として残るものがないのが残念だが、独特の味付けは当節の日本映画では真似し得ないものだ。
 下手な邦画を見るよりは、この映画を見たほうがいい。

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