トピックス014

駅売りタブロイド


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 次に入院者が減るとどうなるかということが問題になります。まず、長期入院してきた人の行き先がないわけです。理屈はともかく、現実的に住む場所がない。親は高齢化したり、既に亡くなっていて、兄弟だって今さら本人を引き取れる状況でもない。さて、どうするかということが問題になります。そこで厚生労働省の考えていることの一つは、高齢となり生活のお世話をするということにあまり違いのない状態の人は一般の老人福祉施設で引き取れないかということです。薬の管理以外に問題がないような人なら老人向けのグループホームでもかまわないわけです。もう、差別なく一緒に暮らしてもらいましょうというものです。車椅子状態になってきていれば、なおさらそれでよいということになります。次に考えているのは福祉向けの共同住宅、つまり援護寮とか精神障害者向けの福祉ホームやグループホームなどを各地に増やしていこうというものです。お世話係の人がいくらかいても、病院のように全て看護師である必要はないので経費が安く上がります。収入や蓄えのない人は生活保護の方が入る福祉施設も候補に入ります。逆にまだ元気で自分で暮らせるという人は、積極的に自らアパートを借りて暮らしてもらってもかまいません。家賃や障害の関係からいえば公営住宅を借りたいという希望を持っている人は、一般の人と同じようにたくさんいます。そういうところで暮らしてもらおうというのが、厚生労働省の考え方です。

 家が見つかったら、生活の具合はどうなるのかというのが次に出てきます。なんせ今まで入院してきて、いわば上げ膳据え膳の生活をしてきたのです。どうしたら暮らせるか。これにはまずホームヘルパーを活用しましょうと言っています。要は老人の問題と同じです。家庭で生活しづらい人には必要に応じた援助を行えばよいわけですから、ヘルパーさんに活躍してもらえればよいことになります。医療的な面で心配なら訪問看護もいいでしょう。ときどき看護師やケースワーカーさんが家庭訪問してあげればよい。本人の自立の力を向上させるためにデイケアや地域生活支援センターももう少し増やしましょう。こうしたところで生活技能を向上させたり、友達作りやストレス発散、生活を充実させる場所をつくって暮らしにメリハリを持たせましょう。さらに、目標の高い人には就労支援もします。授産施設や福祉工場はもう少し増やしましょう。しっかり働いてもらえば生活保護費もいらなくなるし、税金も入ります。社会人として仕事ができれば何も言うことはありません。そういう人が増えるように対策を考えましょうと、言います。

 こうして福祉のビジョンを厚生労働省は建てました。今後10年の間に精神科医療は大きく変わるのだと言っています。こうした流れを見るとこれまで大きな偏見の元に特別扱いされてきた精神科医療が他の医療や福祉の問題と同じように扱われてきていることがわかります。サービスの統合によって無駄な経費や労働を削減するという意味もあります。そこで登場したのが「グランドデザイン」というものです。昨年の段階ではこれまでバラバラだった身体・知的・精神の3障害を一つの枠にまとめて、同じサービスの中に統合するという方針を決めました。そして、方向性としては脱施設化をかかげ、どの障害の方もできる限り自立的に自ら生活が行えるような方向で福祉計画を立てると決めたのです。精神科で言えば病院からの脱却ですが、他の障害はもう少し進んでいて、福祉施設からの脱却を目指しています。こちらはもう新しい施設は作らないことになりました。実は老人施設にしても今後新しい施設を作らない方向にあり、できるだけ在宅でヘルパーを使うようになっていきます。そういう意味で去年は見送られましたが、高齢者を対象とした介護保険とこうした福祉の統合は、事実上避けられないものになってきています。障害については病気や事故に付随して起こるものですから、国民全てにいつでも可能性がありますので、保険機能としての介護保険料の徴収も20歳以上からにしようとも言われているのです。福祉政策を統合し、新たな総合的なビジョンを持ってすすめようとしているのが「グランドデザイン」だということです。

夏の木
(2005/2/26記)
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