トピックス012

駅売りタブロイド


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ここは「駅売りタブロイド」。心の話には不透明で不確かな話も、矛盾だらけの話もたくさんあります。
ここでは独断や偏見が混ざることを承知でそんな話をあつかっていきましょう。
よって、ここでの記事には特にご注意ください。読まれた方のご批判・ご意見・ご感想をお待ちしております。
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心理士の資格と医療制度の狭間

 「心のケア」が大きく注目される現代において、心理士やカウンセラーもその存在が注目されていますが、現代の日本ではまだ国家資格としての取り決めがなく、このため社会における存在や立場というものがあいまいな現状にあるということは以前書きました。病院というのはどの職種も国家資格を持った専門家の集団なわけですが、そこで働くことを考えると資格の規定を持たない心理士やカウンセラーは、心の存在と同様にあいまいで、つかみ所のない存在となるわけです。前回は、こうしたことを社会や医療の仕組みの中でお話ししましたが、今回はもう少し別な角度で、資格制度そのものの問題と絡めて整理しておきたいと思います。

 病院にいる専門家というと、まずは医師と看護師というものが浮かんできますが、その他にも薬の調合をする薬剤師、子供の出産を助ける助産師、リハビリを行う理学療法士や作業療法士、言葉や耳の障害の訓練などを行う言語聴覚士などが一緒に働いています。最近、精神科では福祉的な相談の重要性が増しており、専門のケースワーカーも必要だということで、精神保健福祉士という方も加わるようになりました。実はこうしたさまざまな職種の人が病院で働くようになるまでにはいろいろと紆余曲折があるようです。

 もともと病院というのは医師と看護師の二つの職種でほとんどをまかなってきました。法律もこの二つの職種を基準にできあがっています。簡単にいうと医療という仕事は医師と看護師の独占的な職域であって、それ以外の人が医療行為を行うことはできないというのが、基本的な法律のスタイルなのです。この法律の中で先にあげたさまざまな職種がどうできあがってきたかということですが、ここでちょっとした工夫をしました。看護師のしている仕事というのは「診療補助行為」と言われるのですが、これを看護師の独占業務から、一部の職種にはその独占を解除して特殊な仕事はその専門家が行ってもいいですよ、という抜け道の条文を盛り込むという形で、それを実現したわけです。こうした経緯にはまず医師の優位性を守るということが根本にあります。これは看護師といえども独自性を持つことを許されず、何事にも常に医師の指示のもとで行わねばならないという病院の構造を規定してきた上下関係の仕組みを表してもいます。その上で特別な職種を作るのであれば、看護師の業務を分担するという形でなら認めますよ、ということなのです。

 このことで思い出された人もいるかもしれませんが、救急車に乗っている救急救命士も今この壁にぶち当たっています。現在のこうした法律の中では「医師の指示がない」状況では、医療行為に当たることを行ってはならないわけです。救急車に医師が同乗していない以上、医師の指示は当然でませんので、救急救命士は医療活動ができません。救急救命士がその場で独自の判断で処置を行うことができないわけです(ちなみに、これは看護師でも同様で医師の指示のない状況では、看護師といえども医療行為はできません)。

 看護師の独自性ということに触れましたが、最近になってようやく看護独自の技術や特異性ということが注目されるようになってきました。これまでは看護師は医師の助手であり、極端な所では医師の雑用係というような面さえもあったわけです。それが最近は「医師の指示のもと」の解釈がだいぶゆるくなってきて、看護師も自分の意見を言ってもいい、医師より職業的に地位が低いというような一方的な関係を見直しましょうという方向に進みつつあります。日常の看護には看護師なりの経験や知識、技術が反映しているのであり、医師とはまた違う面を持って、違う仕事もしているのだという認識が広まりつつあるのです。看護師と同様の状況にある職種としては理学療法士、作業療法士がこれに当たります。どちらも看護師の独占業務から一部解除してもらって、特別な仕事に当たる職種です。こちらは解除してもらった一部の仕事が規定されていて、それ以外の仕事はできないことになっています。

 言語聴覚士は若干違う経路がありまして、先の二つと同様に看護師の業務独占を一部解除した形ではありますが、常に「医師の指示のもと」におかれるわけではなく、一部には独自の判断が許されています。どうしてそうなったかというと、言語聴覚士は病院で働く方よりも、実際には聾唖学校で障害児の指導に当たる方が多いわけです。特に補聴器の装着や訓練などはこうした学校の中で、日常の訓練として行われています。「医師の指示のもと」でなければいけないという法律が生まれると、医師のいない聾唖学校ではこうしたことができなくなるわけです。医療についての法律を管理しているのは厚生労働省(旧厚生省)ですが、ここで文部科学省(旧文部省)との兼ね合いが問題になりました。実際には文部科学省(旧文部省)より特別な法案が提出されて、独自に言語聴覚士が学校で働いても法に触れないという規定が生まれることになりました(厚生労働省は平成15年度から、脳性麻痺などの重度障害児の通う養護学校に対して看護士を派遣しようという計画を立てています。現在、チューブを使って食事をさせるなどの医療行為に当たる部分を、医師のいない養護学校で看護師がすれば違法行為に当たるために、医療者ではない家族が責任を負う形で独自に行うことしか許されていません。こうした法案が成立すれば医療知識のある看護師がきちんと子供たちの対応に当たることが法的に許されるようになります)。

 精神保健福祉士はこうした医療関係の職種というよりは福祉関係の職種であることで、先のようないくつかの問題を回避しています。看護師やその他の職種が「医師の指示のもと」という規定がある中で、精神保健福祉士は「医師の指導を受ける」という規定になりました。言葉の中では違いがわかりにくいですが、法的な意味としては「指示のもと」という場合は、指示がなければ法に触れる、どのような状況でも法的には「指示が優先する」ということです。「医師の指導を受ける」という場合は、これほど強いものではありません。医師の指導があっても、精神保健福祉士は独自の判断を優先して仕事をしても法には触れないのです。これには精神科の医療では病院の役割が大きすぎていて、病院とは切り離された、中立な存在として働いてくれないと、現状の施設入所型の精神科医療を打破できないという思いも隠れているかもしれません。いずれにしても、精神保健福祉士はその独自性が、他の職種より認められています。

 もう一つ特殊な例は「医療類似行為」を行う人たちです。どういう仕事かというと「あんま」「マッサージ」「指圧」「針」「灸」「柔道整復」といった仕事です。これらの仕事は「医療行為」ではなくて「類似行為」なので、「医師の指示のもと」である必要がないとされました。理学療法同様のリハビリ訓練をする場合も、こちらは特に医師の指示の必要はないわけです。療法によっては通常の医療同様に保険点数を請求でき、その職種独自で「開業」することも認められています。「開業」については医者以外のその他の職種では認められていません。これらはそれぞれの職種の免許書が必要であり、もちろんその仕事についての独占業務となっています。ちなみに、この免許は医師以外の人が取得することを求められているものですが、逆に言うと医師ならこれらの仕事をしてもよいことが法的には認められています。

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