トピックス005

駅売りタブロイド


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ここは「駅売りタブロイド」。心の話には不透明で不確かな話も、矛盾だらけの話もたくさんあります。
ここでは独断や偏見が混ざることを承知でそんな話をあつかっていきましょう。
よって、ここでの記事には特にご注意ください。読まれた方のご批判・ご意見・ご感想をお待ちしております。
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鉄格子が無くなる日

 世の中は不景気である。どこの会社もお店もやりくりに追われ、銀行までが倒産している現代。病院はどうかというと、病気になれば誰でも病院にかかるのだから、あまり影響がない…かと思えば、そうとばかりは言ってらなれない。病院がたくさんできて、昔ほどに医者のありがたさも無くなってきた最近では、病院を選ぶ自由はますます広がってきている。歯医者なら今はどんな町でも二つや三つは選択肢があるはずだ。都会に出ればもうよりどりみどりだし、歯医者ほどその良し悪しが評判になる医者はないと思う。医療の世界でも競争は起こっているわけだ。他に見ても最近の病院は多角経営が進んでいるので、実際にバブルのあおりを受けている病院が少なからずあったりする。厚生省が薬代を分割して自己負担が増えたことも病院から足を遠ざけさせる原因でもある。私たちはお金の話しを敬遠しがちだが、所詮、医者も看護婦も心理屋さんも、かすみを食べて生きていけるはずもなく、お金抜きの話しはかえって嘘臭いものになることも事実だと思う。

 税収が減って国や地方自治体の財政が苦しくなって、医療費も圧力を受けるようになった。高齢化社会を向かえ、これからも確実に増え続けるのは医療費だからである。厚生省はこれを少しずつでも抑制していかなければならないと考えている。病院に勤めるものにとってはありがたくない話しだ。あまり知られていないが、精神科の医療費は内科や外科よりも、もともとが安く設定されている。同じように入院しても精神科の入院費の方が支払いは安くなるのだ。最近は入院の期間が伸びるにつれて入院費そのものが安くなるように移行するので、長期入院の多い精神科では同じように一つのベッドを使い、看護婦が世話をしても、それで取れる医療費は外科や内科に比べてかなり安くなってしまう。もちろん治療を受ける側にはよい話しであるのだが、勤めるものの不公平感は大きい。
 逆に外科などで手術後にすぐに退院になるのは、短期の入院がもっとも割高の入院費になるという理由もそこにはあるのである。長く入院させることにメリットがない以上、病院は一日でも早く治療を済ます必要が出てくる(さすがに治療を投げ出すわけにはいかない)。つまり、治療技術のない病院ほど損をするようになっている。厚生省もよくよく考えたものである。

 しかし、この不景気は一方でおもしろいことも生んだ。景気対策である。政府は去年から大盤振る舞いで景気対策を行っているが、この景気対策は福祉や環境問題に力のはいったものとなった。政府は「障害者の社会参加の促進」のために96億円の予算を組み、その中で「鉄格子の撤去等精神病院の療養環境改善整備」に対して12億円をつぎ込むことにした。簡単にいうと精神病院が従来からある鉄格子を取り除き、それに合わせて必要な改修などをするのなら、それには補助金を出しましょうということである。景気対策全体の予算から見れば微々たるものだが、当の病院からしてみればこうした機会は滅多にあるものではない。私たちの病院でも急遽、改修工事にはいることになった。おそらく現在、日本の多くの精神病院で、同じような工事が進んでいることだろう。
鉄格子1
これがふつうの鉄格子。直線。
鉄格子2
こちらは丸い飾り付き。でも、鉄格子であることに変わりはない。
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