トピックス001

駅売りタブロイド


表紙へ 新着へ タプロイドバックへ

ここは「駅売りタブロイド」。心の話には不透明で不確かな話も、矛盾だらけの話もたくさんあります。
ここでは独断や偏見が混ざることを承知でそんな話をあつかっていきましょう。
よって、ここでの記事には特にご注意ください。読まれた方のご批判・ご意見・ご感想をお待ちしております。
ライン1

「心の病」って言われたくない

 「病気」か、それとも・・・

 本当のことを言うと僕は「心の病」という表現があまり好きではありません。できればこのページにもそんな言葉は使いたくないのです。僕は心が病気になるっていうのいったいはどういうことだろうとよく考えます。ふつう身体の病気というのは、身体の一部がうまく働かなくなったことによって起こります。原因はウィルスであったり、疲労や老化であったり、突然変異の細胞だったり、ときには事故でそうなることもあります。どの場合でも身体の働きの一部がふつうとは違う状態にあることで、とても明確に判断がつきます。

 しかし、「心の病」というのはそういうわけにはいきません。わかりやすい例をあげると、たとえば子供の頃に犬にかまれたことが原因で「犬恐怖症」になった人がいたとします。この人はふつうは犬を遠ざけて暮らしているので、明らかに困ることはありません。しかし、もし仕事の事情でどうしても犬を扱わなければならない事態になったとしたら、この人は他の人とは同じ精神状態ではいられないのです。毎日がハラハラドキドキの繰り返しになって、ダウンしてしまうかもしれません。この問題に対処する方法は3つです。上司に相談して仕事を変えてもらうか(会社を辞めるか)、とことん我慢してストレスによる不眠症や胃潰瘍(いかいよう)ができてもその仕事を続けていくか、どうにか自分の「犬恐怖症」を克服するかです。職場が変われればそのままでいいのですが、あとの二つは病院にかかったり、カウンセリングを受けたりする必要がでてきます。不眠症や胃潰瘍は自律神経失調症や心身症と言われるもので、ストレス時代を代表する「心の病」です。「犬恐怖症」を乗り越えるためにカウンセリングを受ける場合は、もちろん「犬恐怖症」そのものが「心の病」となります。実際には「犬恐怖症」という診断名はありませんし、こんなに単純な経過ではないのですが、「心の病」はこんなふうにして表に出てくるものです。しかし、さて、あなたはこの例のどこが病気なのだと思われますか。犬を怖いと思うことでしょうか、犬を怖がることで胃に潰瘍ができてしまうことでしょうか、それとも上司に仕事を変えてくれと言えない気の弱さなんでしょうか。

 僕たちはみんないろんなことを抱えて生きています。犬が怖い人もいれば、猫が怖い人もいるし、ゴキブリが怖い人もいる。それが当たり前なんです。誰にだっていろんなことがあって、いろんな現実の中で生きています。そうした人生を乗り切るために睡眠薬をもらったり、カウンセリングを受けたりしたらとたんに「心の病」になってしまうんでしょうか。
 僕は「心の病」という言葉の中に含まれている、どこかその人自身をおとしめるような暗い差別的なニュアンスがどうしても好きになれません。同じように「精神病」や「精神分裂病」などという言葉も好きになれません。これらの言葉は、言葉だけが一人歩きをして、真実を曇らせていると思うからです。
 もし、他に素敵な言葉があって、こうした問題を表現できるのであれば僕は喜んでそれを使いたいと思います。心の時代と言われるようになった今こそ、誰かが気のきいた言葉でもひねり出してくれないものでしょうか。

(1999/4/21記)
上へ

ライン2

表紙へ 1番ホーム 2番ホーム 待合室 伝言板
注意書 スタッフルーム

メールご意見・ご感想はこちらまで