物語059

 
僕の、私の、
車窓

表紙へ 待合室へ 目次

人生の意味が何であるかなんて誰も知らない。
ここにあるのはただガタゴト生きる人の、がたごと物語。

ライン1

死ぬって何ですか?

瑞癒 12才 女性

私は今年、初めて親戚の「自殺」を体験した。

夏、母に電話がかかってきた。そして、母は漠然と、つぶやくように私に言った。「Nさん、自殺したって」

Nさん、自殺したって。

この言葉が、ずっと私の中で、何か苦しめていた。Nさんは、母のいとこの夫。私も、何度か会ったことがある。

次の日、父と母がNさんの通夜・葬式に行った。ひとりでいるとき、考えた。

自殺って何だろう。死ぬってなんだろう。

今まで、親戚が病気などで、曾祖母は末期がんで亡くなった。

けれど、そのときは、こんな衝撃は受けなかった。ああ、そうなんだ、と、現実として受け入れられた。

だけれど、Nさんは。

このことを知ってからは、一人でいるのが怖かった。一人でお風呂に入るのが怖かった。トイレに行くのも怖かった。ひとりになるのが怖かった。

でも、このことは母に話す気分じゃなかった。だから、ひとりで溜め込んだ。

理解できなかった。私が会ったNさんは、もういないんだ、と思うと……。

信じられなかった。苦しくて、怖かった。

私には、遠い親戚かもしれない。けれど、痛みは大きかった。

世の中には、家族を失ったりしている人もいるんだよね。

そう考えると、なんだかもう嫌になった。

ベッドの中にもぐって、考えた。自殺――神様がNさんに与えてくれた命を、Nさんは自ら殺してしまった。

それは、神様に対して一番いけない罪だ、と聞いたことを思い出す。Nさんは、天国にいけたのかな?それを考えた。ベッドの中で祈った。神様、Nさんを天国に送ってください。お願いします。

あれから5ヶ月くらい経った今。久しぶりにこのことを書きながら、あの時の気持ちを少し思い出した。

今、Nさんは何をしているんだろう。

死ぬって何ですか?

もし叶うなら、それを聞きたい。この世に生きている人すべて、皆死を知らない。

死んだら、ここには帰ってこないから。

じゃあ、どこへ行くの?

知りたくて、知りたくない。

2005/12/19記

上へ

ライン2


表紙へ 1番ホーム 2番ホーム 待合室へ 伝言板 タブロイド
注意書 スタッフルーム

メールご意見・ご感想はこちらまで