物語032

 
僕の、私の、
車窓

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人生の意味が何であるかなんて誰も知らない。
ここにあるのはただガタゴト生きる人の、がたごと物語。

ライン1

母なる大地とライオン

じゅんな 女性 22才
檻で生まれ、檻で育った

サヴァン、メスライオン。

2歳になった春、

彼女は檻を飛び出した。

電流の流れる一つの柵と

その向こうのもう一つの柵を越えて。

そしてすぐに連れ戻された。



彼女は

何を考えたか。

何を思ったか。

脳か、心か。



本能?

檻に生まれ育った彼女にも、

広い大地を駆け回る

本来のライオンの記憶が残っていたのだろうか。



心?

閉じ込められて生きることを強いられた彼女は、

自由になることを

日々願っていたのだろうか。



彼女はきっと

彼女のどこかで

自らが帰る場所として

母なる大地を

知っていた。

そこで生きることを

求めていた。



コンクリートジャングルに生まれた

アンナ、人間の少女。

彼女は長い間、

自らの母なる大地を

見失っていた。

閉じ込められたままで、

自由になる力を忘れていた。



アンナの帰る場所はどこだろう。

母の腕?

父の背中?

それとももっと別の場所?



何かを手に入れるとき、

何かを手放さなければならないかもしれない。

自由を手に入れるとき、

サヴァンは、

アンナは、

何を手放すのだろうか。



安全、安心、安らぎ、信頼。

でもそれを捨てた先には、

自由が待っている。

自らの自由を差し置いて

守るべきものなんて、

あるだろうか。



逃げても連れ戻されるサヴァン、

逃げ切れるかもしれないアンナ。

母なる大地を知っているサヴァン、

自らが開放される場所を知らないアンナ。



二つの存在が、共に自由を手にする日はやって来るのだろうか?
2002/3/30記

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