物語001

 
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私の心は娘を亡くしたときのままだ。

いつまでも立ち直れずにいる自分に罪悪感すら感じた。

出来る限り明るく振舞おうとし、他に興味をそらそうとして、

働くことを考えたりした。

結局は自分を追い詰めただけだった。



そして一番大切なことさえ見失っていた。

不安と寂しさのなかで、何も見えなくなってしまった。



ある日、自分の腕に爪を立てていた。腕は赤くなり、皮が剥けていた。

自分でさえも忘れていた、自傷の再発。

抑えようの無い感情を向ける先が無く、自分を落ち着けるために

自分の体を傷つける日々が始まった。



腕を切る。スーっと軽く線を引くように。少しすると血が滲んでくる。

それで何とか気持ちを静めていた。

最初は5センチ足らずだったものが、だんだん長くなり、数が増えていった。

左腕には赤い筋が何本も出来た。



年が明けて、私は再び妊娠した。

と同時に切迫流産と言われる。

妊娠の喜びよりも、また流産するという諦めの方が強かった。



そして、入院してから1ヵ月半が過ぎ、出血が止まった。

でも、まだ私の心は亡くなった娘に向いている。

新しい命が芽生えたことすら、上手く受け止められない。

入院しているため腕を切ることも出来ず、余計に鬱積していくものがあった。

生きていることすら煩わしく思えた。

気が付くと手首に噛み付いていた。

次第に目に付かないところに、傷をつけるようになっていった。



私の心は今でも暗闇を彷徨っている。

でも、出口を探している。

どのくらいの時間がかかるかわからないけれど、

失いたくないものがあることを思い出した。

自分との戦いはまだこれからだ。

(2000/3/31記)

<駅長より・・・追記>
 作者のyukiさんは2000年9月25日の朝、無事に赤ちゃんを出産なさいました。
 これからも平坦な道ではないかと思いますが、
 yukiさんにも、生まれた赤ちゃんにも素敵な未来が訪れることを祈っております。

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