2番ホーム007

精神病院なんて怖くない


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ここで紹介される医療の取り組みはある病院の一例をあげたものです。
また、紹介する病院と「待合室」の物語に直接的な関係はありません。

院長室 これが新外来だ!

 2001年9月8日
 院長室もお引っ越し。本が積んであるが、ごく一部。ナイショの撮影。
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精神病院と関連の施設

 2番ホームでは、病院に付帯する施設としてデイケアというものを紹介しましたが、実はこの他にもいくつかの施設が徐々に増えております。私が勤める病院もここ数年でいくつかの施設が新たに誕生しました。今回は大まかにですが、精神科に関連する施設の紹介をしたいと思います。

まず、病院に付帯する施設としてどんなものがあるかということですが・・・
 ・デイケア
 ・デイナイトケア
 ・援護寮
 ・グループホーム
 ・福祉工場
 ・障害者生活支援センター
 ・訪問看護ステーション
などというようなものがあります。

 タブロイドの「温室の花」で紹介したようにこれまで日本の精神科医療の歴史は収容施設型の病院作りに重点が置かれがちでした。そのため身体障害者の社会復帰支援政策に比べこうした面がずっと遅れているのです。厚生労働省は治療的な意味合いが薄いのに社会復帰が難しいという理由で入院が長期化している患者を退院させることと、今後精神障害があってもできる限り社会の一部をになってもらうために、最近になってようやく社会復帰のための施設作りに力を入れはじめたわけです。

 デイケアは以前にも紹介しましたが、これは日中の時間帯に利用してもらう場所でした。しかし、中には仕事や学校に行き始めたけれどもまだ生活に不安がある人や一人暮らしで日中だけでなく夕方の時間までもう少し長くみんなと過ごしたいという要望も出てきました。現実的には夕食を作る自信がなかったり、金銭感覚がまだ弱く自分で買い物をするとすぐにお金がなくなってしまうという方もいて、こうした施設で食事の世話をしてくれれば、何とか退院して新しい生活につながりそうだという人が少なくないのです。こうしたことからデイケアよりも時間を延長して夕方から夜の時間まで利用でき、食事の援助もしようということでナイトケアと呼ばれる形態も出てきました。基本的にはデイケアと一緒ですが、より遅くの時間まで利用できるということです。

 何とかアパートなどを借りて暮らせるという人はよいのですが、まだそこまでの自信もない。食事だけでなく日常生活がまだ十分できるかわからないという人もいます。社会での生活では近所との付き合いや身だしなみ、ゴミ出しなどの地域ルールの修得、外来への通院や服薬の自己管理など、病院生活が長ければ長いほど自分で本当にできるのかあいまいになっているという場合が多くあります。最近、私の勤める病院で入院患者の平均入院年数を調べたところ9年にもなるそうです。私の勤める病院は決して特殊な例ではありません。こうなるとやはり急に退院して暮らしていくということできません。そこで考えられたのが援護寮やグループホームという施設です。
 援護寮はその名の通り「寮」で、10名から20名ほどの方たちが共同で寮生活をしながら基本的な生活力を身につけていく場所です。食事は施設によって病院の給食が出るところや自炊するところといろいろですが、まず社会での生活を自立的に行えることが目的になります。
 援護寮は寮ですのでそれなりのスタッフがつきます。調子が悪くなったり、生活のバランスが崩れてきたりしたらスタッフから援助を受けたり、指導があったり、実際の生活上の相談に乗ってくれたりします。
 グループホームは援護寮と同じように共同生活をするところですが、特にスタッフが常駐しているわけではなく管理人程度の人がいて必要に応じて援助が受けられるというものです。基本的にはより自主的・主体的に相互で助け合って生活をしていきます。最近では高齢者の方で一人暮らしでは不安だけれど、それぞれの生活は大事にしたいという方が、共同でアパートなどを借りてまとまって暮らすというグループホームの形も注目されています。

 福祉工場は障害者の方に仕事をしてもらうための場所です。仕事の内容は施設ごとでかなり差がありますが、やはり仕事ですからそれなりの厳しさをともなっています。逆に賃金も払われます。こうしたところで手に職をつけるなり、働くという作業を体験してみるなり、それぞれの目標を持って仕事の取り組む場所です。最近は家族会やボランティアの活動で、障害者の方が働ける場所を作ろうという動きも目立つようになってきました。実際にパン屋、ラーメン屋、クリーニング店、リサイクルショップなどを運営してなんとか独立採算を取れているところもあります。働くということはただお金を得るというだけでなく、生活のメリハリをつけたり、人としての存在感や責任をもって人生に取り組むという意味があります。社会の中で自分にも分担できる役割があるということは、とても意味のあることです。病院での生活で一番かけているのはこうしたことかもしれません。

 障害者生活支援センターは福祉的な情報の提供や援助をする場所です。日本の福祉制度はほとんどが申告制で、本人から申し出ない限り福祉的な援助は受けられないのです。そのため制度があるのに、それを知らないばっかりに援助が受けられず、困り果てている人というのはとても多いのです。病院によっては相談室というものを作って福祉に詳しいケースワーカーを置いているところもありますが、これを独立させてより積極的に利用してもらおうというのが障害者生活支援センターです。医療費や生活費などの相談の他、生活の悩み、家族間の問題など気軽るに相談できます。精神科の病気は多くの場合、どうしても家族や生活のことと関係が深くなります。これは内科や外科と一番大きな違いです。この問題を解決することが治療にもつながるという場合も少なくないのです。

 訪問看護ステーションはその名の通り看護婦などが自宅を定期的に訪問して、本人や家族の相談を受けたり、生活の様子を確認したりするところです。当たり前の生活をするということは、実際にはいろいろ気の使うところも多いですし、一人暮らしや高齢の家族と暮らすのもなかなか大変なことが多いものです。自分ではできるつもりでいても、「つもり」だけではいけないのです。また、精神科では薬を自分勝手にやめてしまって調子がまた悪くなるという方が非常に沢山おられます。こうしたところを防いで、地域での社会生活をより長く持続してもらうことを考えて、看護婦や福祉に詳しいケースワーカーなどが定期的に家庭訪問をしていこうということで生まれました。訪問の回数は施設によって違いますが、高齢者の介護保険のヘルパーさんとは違うので、だいたい月に一回程度、様子を見に来てくれるというものです。

 簡単にいくつかの施設を紹介しました。こうした施設は病院によってあったりなかったりしますし、地域によっては病院でなく家族会やその他の団体などが運営しているところもあります。厚生労働省は各県を何地域かに分けてこうした施設を一定数作るように指導していますが、まだまだ目標には足りませんし、目標を達成したとしても十分な数とは言えないようです。もし、ご自分の近くでこうした施設があるようでしたら、遠慮せずに目的を持ってどんどん利用されるのがよいと思います。
(2001/8/17記)
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