2番ホーム004

精神病院なんて怖くない


表紙へ 新着へ バックナンバー 病院について

ここで紹介される医療の取り組みはある病院の一例をあげたものです。
また、紹介する病院と「待合室」の物語に直接的な関係はありません。

ライン1

心理士のお仕事

 心理士・カウンセラーという仕事も世間ではこれまで一般的ではありませんでしたが、最近になって阪神大震災や地下鉄サリン事件、不登校や学級崩壊などのニュースが新聞やテレビを騒がせるようになって、より身近な存在として知られるようになってきたようです。基本的には傷ついた心のケアが私たちの仕事であると思っていただいてよいと思います。

 一口に「心のケア」といっても実際には様々な方法や立場があるわけですが、その話をするとかなり複雑になりますので、今回は心理士のその中でも病院の中で行われている仕事にどんなものがあるかということだけを簡単にご紹介していきたいと思います。
 実を言いますと残念なことに心理士というのは現在の日本では法的な規定を持った明確な存在として認められておりません。ここに医者や看護婦、検査技師、放射線技師などとの違いが生じています。そのため精神科の病院でも心理士のいない病院はたくさんあります。病院に勤める心理士の数を一病院で見ると、だいたい一人か二人程度というものが多いようです。私の住む県の精神病院で心理士がいるのは約半分ほどです。最初にあげたような事件が起こるようになったり、「心の時代だ」と新聞や何かで書かれているわりには少ないと思われませんか。心の問題へ取り組みは、まだまだ社会機能の一部には取り入れられていないというのが現状と言えます。

 その中でこれまでの私の経験から、病院での心理士の仕事というものをいくつかあげてみると、以下のようなものになるでしょうか。

 ・個人を対象としたカウンセリング、精神療法
 ・小グループで行われる集団精神療法
 ・言葉以外の方法で行われる精神療法(遊戯療法や箱庭療法など)
 ・自律訓練法などの行動療法や認知療法
 ・その人の精神状態や病状を判断するための心理・性格検査
 ・社会生活技能訓練(SST)やロールプレイ
 ・初診時などに行われる予診、相談窓口としての仕事
 ・デイケアやナイトケアのスタッフ
 ・病棟その他施設・作業療法等での補助スタッフ
 ・痴呆老人を対象とした集団精神療法
 
 などでしょうか(それぞれの内容についてはまた機会をあらためて話します)。たくさんありますが、上から半分くらいは心の病を治療するための専門的な技法であって、同じ心理士でもそれぞれが受けてきた教育や訓練によって得意としているものが違っています。現実の仕事だけを見れば中にはケースワーカーの福祉業務とまたがって年金や生活保護の手続きをしたり、実際の生活の援助などをやられている方も少なくありません。また、上記の中で現在のところ実際に法的な規定が明確に決められているものは、集団精神療法と社会生活技能訓練(SST)、デイケアスタッフ、痴呆老人の集団精神療法だけです。一見当たり前に見える個人のカウンセリングや心理検査は、この中に入っていないのです(実際には医者の指示を受けて心理士の人が行っている例というのが多いと思いますが)。
 よって、これら全部が心理士の仕事ということはなくて、病院ごとの事情に合わせて、これらのいくつかを仕事をしているというのが、本当のところです。つまり病院によっては個人のカウンセリングだけを仕事としている方もいれば、先の福祉業務だけが仕事になっている方、心理検査だけが仕事になっている方もおられるということです。

 もし、カウンセリングなどを希望されて精神病院やクリニックに受診されたいという方はあらかじめそういうことについて尋ねられることが必要です。心理士がいなくても精神科の医者がカウンセリングをされるところもありますし、状態によってはカウンセリングの必要がそもそもないということもあるでしょう。「日本臨床心理士会」のHPに受診の仕方や窓口についての情報がありますので参考にしてください。

 また、現在勉強中の方や将来こうした仕事に就こうと思われている方は、心理士の仕事について国家資格化を目指していろいろな調整が行われている段階です。そうした詳しい情報のHPもありますので、探してみてはいかがでしょうか。
(1999/7/2記)
上へ

ライン2

表紙へ 1番ホーム 待合室 伝言板 タブロイド
注意書 スタッフルーム

メールご意見・ご感想はこちらまで