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医学的な診断 |
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| 「PTSD」を1つの病気としてあつかう時、医学的にはどんな状態かをはっきりさせる必要があります。病気としての医学的な定義というのがきちんとあります。先にあげた「事件や事故のあと1か月以上経過していること」というのもそのひとつでした。 では、そのことをちょっと確認しておきます。これはアメリカの代表的な精神医学界の基準であり、世界的な標準基準とも言えるものです。 1、実際に危うく死ぬような、または重傷を負うような出来事を、1度または数度、自分または他人の身体保全に迫る危機を、その人が体験し、目撃し、直面した。 2、その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。 3、外傷的な出来事が再体験され続けている。例えば反復的で、侵入的で、苦痛な想起で、心像、思考、知覚も含む。例えば反復的で苦痛な夢。例えば外傷的な出来事が再び今起こっているかのような行動や感覚、錯覚幻覚。例えば外傷的な出来事の1つの側面を象徴し、類似しているようなことに触れることへの心理的苦痛。例えば、外傷的な出来事の1つの側面を象徴し、類似しているようなことに対する生理的な反応。 4、次のような状態が3つ以上ある。 ・外傷と関連した思考、感情または会話を回避しようとする努力。 ・外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力。 ・外傷の重要な側面の想起不能。 ・重要な活動への関心または参加の著しい減退。 ・他人から孤立している、または疎遠になっているという感覚 ・感情の範囲の縮小(楽しみの感情を持つことができないなど) ・未来が短縮したような感覚(結婚や子供など将来への期待が持てないなど) 5、持続的な覚醒亢進状態が2つ以上ある。 ・入眠または睡眠維持の困難 ・刺激を受けやすい、怒りの爆発。 ・集中困難 ・過度の警戒心 ・過剰な驚愕反応 6、これらの障害の持続期間が1か月以上 7、これらの障害によって、臨床上著しい苦痛または社会的、職業的、また は他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。 難しい言葉がたくさん出てきました。わかりにくいので、ちょっと確認しておく必要があるでしょうか。 「1」は外傷的な体験の確認についてです。つまり「死ぬような体験」か「身体的に重症を受けるような体験」に、自分があったか、ギリギリ合いそうになったか、あるいは誰かのそうした場面を直接目撃したかということを言っています。そうするとショックな体験といっても「死にそうな体験」というわけですから、「失恋」「友達の裏切り」「詐欺の被害」などはここには入らないことになります(ただし、先にあげたような「レイプ」などは入ります)。同じようにすごくショックな体験で、その人の人生を大きく変えたとしても「PTSD」に入らないものが実はたくさんというか、むしろ人生の出来事の多くは「PTSD」に入らないものが多いことがわかります。 「2」はPTSDという病気の性質を表わしています。基本が「死にまつわるような恐怖体験」であり、結果として生じるのはそうした状況での生理的、心理的反応にあるとしています。「3」「4」「5」はそれらをさらに詳しく分類しています。一般にPTSDと診断される場合、症状は大きく以下の3つに分けられます ・覚醒亢進 ・麻痺 ・侵入性の想起 恐怖状態になるとアドレナリンがあふれ、心臓がドキドキして頭の回転が上がり、身体が震えたり、声が大きくなったり、何かしらの思い切った行動に出たり、とにかく落ち着かない状態になります。それが「覚醒亢進」です。災害や事故が終ったあとも、これに近いような状態になってしまう。生活が落ち着かない、気持ちがイライラする、夜眠れないなどに始まり、そのために酒の量が増える、お金を無駄遣いしてしまう、仕事に集中できない、家族などに当たり散らす、怒りっぽくなるなどという形で出てきます。 恐ろしい体験の時は身体が固まるという状態になることもあります。これが「麻痺」です。楽しくない、元気がない、気力がない、ボーっとする、実感がない、何も感じないというふうになります。「覚醒亢進」とは逆みたいですが、これが行ったり来たりしたりします。 「侵入性想起」というのは災害や事故のことを生々しく思い出してしまうということです。「侵入性」というのは自分が思い出したくないのに、何かにつけて頭の中によぎり、残り、こびりついて頭から離れない状態にあるということを示しています。事故に関係のあるものを見たり聞いたりすると特にそれが急にその出来事が頭を支配して、今の現実感すら失ってしまうような状態を「フラッシュバック」といいます。例えば火事などではコンロの火とか、タバコの臭い、消防車の鐘のような物の当たる甲高い音などといったように、直接関係がないような物でも刺激になります。 これらの3つがからみ合っている状態を「PTSD」といいます。あとはこれが「1ヶ月以上」続き(事故後すぐにでなくてもかまいません、症状が出はじめてから「1ヶ月以上」続いているということです。事故後数ヶ月してから症状が出はじめたという人もいます)、普段の日常生活に影響が生じている場合に診断されると書いてあります。 |
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| (2006/5/15記) |