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心も風邪をひく


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神経症・心身症 12

生活とストレス(ライフイベント)

 ストレスという言葉も一般的に広く聞かれるようになりました。もしかしたら言葉が普及する方が、医学の進歩より早いのではないかと思えるほどです。「ちょっとストレスがたまって…」などという会話は今や日常のあいさつのようでもあります。
 しかし、医学的に見るとやはりこの「ストレス」という言葉も、日常で使われる意味とは少し違っているようです。今回はそのストレスということについて考えようと思います。

 下にアメリカのホルムズとレイという人が1967年に調査した日常のストレスについての研究結果をのせてみました。それぞれの出来事とそのストレス強度が書いてあります。これは「配偶者(夫・妻)の死」を100として、その他の出来事にそれぞれ得点を付けていったものです。
順位 日常の出来事 ストレス強度 順位 日常の出来事 ストレス強度
1 配偶者の死 100 22 仕事の地位の変化 29
2 離婚 73 23 子女の結婚 29
3 夫婦別居 65 24 親戚関係でのトラブル 29
4 刑務所への収容 63 25 個人的な成功 28
5 近親者の死亡 63 26 妻の就職・退職 26
6 本人の大きなけがや病気 53 27 進学・卒業 26
7 結婚 50 28 生活環境の変化 25
8 失業 47 29 個人的習慣の変更 24
9 夫婦の和解 45 30 上司とのトラブル 23
10 退職・引退 45 31 労働時間や労働条件の変化 20
11 家族の健康の変化 44 32 転居 20
12 妊娠 40 33 転校 20
13 性生活の困難 39 34 レクリエーションの変化 19
14 新しい家族メンバーの加入 39 35 社会活動の変化 19
15 仕事上の変化 39 36 宗教活動の変化 18
16 家系上の変化 38 37 一万ドル以下の借金 17
17 親友の死 37 38 睡眠習慣の変化 16
18 配置転換・転勤 36 39 家族の数の変化 15
19 夫婦ゲンカの回数の変化 35 40 食習慣の変化 15
20 一万ドル以上の借金 31 41 長期休暇 13
21 借金やローンの抵当流れ 30 42 クリスマス 12
(Holmes&Rahe 1967)
 調査は30年前のアメリカの物なので、現在の私たちの感覚とは少しズレたものもいくつかあるかもしれません。しかし、それ以外にもよく見ると「おや?」と思われるものもあるのではないでしょうか。
 そうです、「結婚」や「妊娠」「地位の変化(昇進)」「進学」、さらには「クリスマス」まで、この中には数えられています。めでたくうれしいはずのこれらの出来事がストレスになるというのはどういうことなのでしょう。アメリカ人にとって結婚することは「人生の墓場」に行くような出来事なのでしょうか。いいえ、もちろんそんなことはありません。結婚は誰にとっても喜び合える幸せな出来事です。

 実はストレスというものを考えるときに大事なことは、それにかかるエネルギーがどれぐらいのものなのかということです。ストレスの重さは出来事の良し悪しという一般的な価値観で決められるわけではないのです。ですから、結婚という人生の一大イベントを行うことはものすごいエネルギーがいりますので、ストレス度もそれだけ高いというわけです。ストレスというのは平静の安定した生活を基準にして、良いことでも、悪いことでも、それによって身体的にも精神的にも動く変化の度合いによって、その強さが決まってくるというふうに考えていくものなのです。人生の出来事はどんなことでもエネルギーが必要で、ストレスと言えることなのです。

 次回はそのストレスと健康との関係についてもう少し見ていくことにします。

(1999/10/23記)
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