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心も風邪をひく


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神経症・心身症 2

 さまざまな形

 前回は神経症を説明するために自律神経失調症というものを取り上げましたが、この神経症という状態の中には非常にたくさんの形態が存在しています。今回からしばらくの間は、そうしたいろいろな状態を見ながら、心と身体の関係や「心の病」ということについても考えていくことにしたいと思います。
 まず、神経症と心身症ということについてもう少し触れていきましょう。神経症も心身症も心の問題が身体の症状として影響をおよぼしてくるという点では共通していますが、神経症は身体に特別な病的な変化がない状態を指し、心身症は実際に身体的にも病気の変化が起こっている状態を指します。同じようにおなかが痛いという症状があるとき、実際に胃が荒れてただれている状態であれば身体病としての胃潰瘍(いかいよう)、何を調べても身体的な問題がなくむしろ心因となるような原因が推測されるようなときは神経症、潰瘍が実際にもできているんだけれどその原因として何かのストレスが引き金になっていると考えられるときは心身症というふうに、わけていきます。心身症は基本的には身体病なのですが、それがストレスや心因によって引き起こされていると身体的な治療をしただけでは根本の問題が取り残されるので、再発を繰り返したり、治療に非常に時間がかかるということがあるのです。胃薬を常用しているなどという場合は、多分にその可能性が高いわけです。

 今回は症状があっても身体には異常が出ない病気、神経症のいろいろな形態というのを少し見ていきたいと思います。ちなみに神経症というのは昔ながらの呼び方で最近は不安障害・身体表現性障害などという言われ方をしたりするようです。ただ、まだ日本では神経症というのが一般的にもわかりやすいようなので、こちらを使ってきます。文献などを見られたり、診断名などが違うというときは注意してください。

 神経症として代表的な分類を上げると、
  ・不安神経症
  ・恐怖症
  ・強迫神経症
  ・心気症
  ・ヒステリー
  ・抑うつ神経症
 などになるでしょうか。実はここからさらに細かい分類というのが生じていきます。たとえば恐怖症などはわりとよく知られているもので、「赤面恐怖症」「高所恐怖症」「閉所恐怖症」といった名前はどこかで聞いたことはあると思います。これらについては次回から少しずつその特徴を見ていくつもりです。

 これから見ていく神経症という問題を考えるとき注意して欲しいのは、「身体の異常がない」ということにとらわれて、その人がその症状によって「ひどくつらい思い」をしているのだということを忘れがちになってしまうことです。これは実際ちゃんと教育を受けた内科や外科の医者や看護婦の方にも誤解があるようなので、確認しておきたいと思います。神経症によって起こる身体の痛さや気持ち悪さ、しんどさなどの症状は実際に非常に強く感じられるもので、「気のせい」ですまされるようなものではありません。「気のせい」ですむ人はそれこそ気にする必要がないのであって、もうそんなことでは解決できないくらい精神的な疲労が蓄積していて、身体的にも負担となって現れるほどのものが神経症と言われるものなのです。前回にも言いましたが身体と心は非常に密接に結びついています。そして、心というものは本人も気がつかないうちにいろいろな方法を駆使して、そのバランスを取ろうとするのです。神経症はその働きのために社会生活上の困難をかえって引き起こして(学校に行けないとか、飛行機に乗れないとか、痛くて動けないとか)、何らかの対処が必要になっている状態を指すのです。軽いものになりますとそれぞれの生活習慣や癖にもそれらは現れています。神経症という問題を考えるときはその人が現実に何を苦しんでいるのか、どういうことがストレスになってそうした状態を引き起こしているのかとちゃんと考えていくことが大事なのです。それを簡単に「気のせい」だとか、「気が弱い」とか言うのは間違った考え方です。

 先に見た統合失調症や躁うつ病が基本的には脳の働きが人間の精神に強い影響を与えている病気として理解できるのに対して、神経症は心の働きが身体に強い影響を与えると考えられる病気なのです。もちろん、いろんな要素があって一面的にこう言い切ることはできないのですが、特徴としてはこのように考えていただくと今後の話しもわかりやすいと思います。
(1999/7/23記)
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