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心も風邪をひく


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虐待 1

虐待の形
 最近、虐待ということについてよく耳にするようになりました。しかし、虐待という言葉の響きが強烈なせいもあってか、これも何か非常に特別なことのように考えられ、実際に当事者の子供がひどいケガをするまで発見が遅れてしまうということが目立っています。虐待ということについてももっと知ってもらう必要があるでしょう。

 まず、虐待といわれ問題にはどんなことがあるのか見てみます。虐待といわれる行為は大きく分けて4つあると言われています。
身体的虐待
 子供を殴ったり、蹴ったり、叩いたりするほか、つねる、壁にたたきつける、裸にして外に出す、顔を水につける、熱湯をかける、たばこやコンロの火で焼く、首を絞める、ひもで縛り付けるなど、身体に直接攻撃をするもので、時にはひどい後遺症を残したり、生命の危険が伴うこともあります。

性的虐待
 子供への直接的なSEX、近親相姦のほか、性器をいじる、自分の性器を触らせるなどの性的ないたずらなども含まれます。女子に対するものだけでなく、男子に対しても起こります。また、金銭目的で写真を撮ったり、売春を強要するという場合もあります。

心理的虐待
 子供をバカにしたり、辱めたりして、子供を精神的に傷つけるような行為です。身体的な問題や行動上の失敗を攻撃したり、他方の親や兄弟と結びつけて子供を責めたりします。主に言葉が使われますが、逆に話をしなかったり、目でにらんだり、子供にしゃべらせないということも、これにあたります。

保護の怠慢・拒否
 食事をさせなかったり、着替え・入浴など生活に必要な親の責任を果たさず、子供を放置するようなことです。ネグレクトとも言われます。車の中に置き去りにしたり、家の中に閉じこめておくことも、そうです。また、子供を捨てたりすることも同様です。

 一般に虐待といわれると「身体的虐待」をイメージされる人が多いと思います。「性的虐待」も身体的・精神的に大きな傷を残すことは想像に難くありません。しかし、こうした見つけやすそうにみえるものさえも、家庭という密室のなかではなかなか発見することができません。身体的虐待の多くは、その傷が外にわからないように隠れた場所に向けられることが多いのです。虐待ということを意識していない親でも、傷を隠すという行為は無意識のうちにやっています。極端な例では学校の身体検査でもわからないように、脇の下や足の付け根、お尻、性器など、普通では考えられないようなことまでしてしまうこともあるのです。そして、親はその罪悪感を子供のせいに押しつけて、こうした傷は自分のせいだからそれを誰かに知られるのは良くないことだ、恥ずかしいことだと教えて、子供に沈黙を強いています。性的な虐待はどんなに小さな子供でも、それが表に出せないことだとわかっているようです。子供は  虐待を受けながら、同時に秘密を守ることも強要されているのです。
 こうして一見その問題が明らかであるような虐待であっても表に出てきません。運良く、外部の者がそれに気づいたときでさえ、当事者の子供のほとんどは親がケガを負わせたことを言ったりしません。中には自分でやったと言う子までいます。虐待という共有された親子の秘密を、その子供は最後まで守ろうとするのです。親子という関係の中で起こるこの悲しさが、虐待が単なる暴力を越えたものであることを示しています。

 「心理的虐待」や「保護の怠慢・拒否」は最近、その問題が注目されているものです。これらの行為には明確な実態がないために、問題があやふやにされがちです。言葉による虐待は子供の心をむしばむように広がっていきます。それは時に社会への不信や絶望であったり、他方の親への愚痴のはけ口であったり、本人への失望といった形で現われます。こうした言葉は子供への直接的な攻撃とは違いますが、人生への希望を失わせたり、親への信頼を低下させたり、本人の自己評価を下げてダメな人間であることを押しつけるのです。
 毎年のように夏になると車の中に長時間子供が放置され、時に命を失うといったニュースが流れますが、こうしたことが虐待という概念に当てはまっているとはなかなか言われません。しかし、子供が一人では生きてけない以上、その保護責任は親の持つ重要な義務に他ならないのです。アメリカでは不登校になる子供に対して、何もせずに様子を見ているだけの親も虐待をしていると考えられます。親というのは子供の成長のために果たすべき責任があるのであって、それを怠れば親としての責任を放棄していると考えているのです。自分が遊ぶために子供の食事を作らなかったり、夜泣きをする子供を押入れに閉じこめたり、おむつをいつまでも変えなかったりすれば、それらも当然虐待と言われるものです。

 このように虐待にはいろいろなパターンがあります。しかし、それがどこまでがしつけで、どうしたら虐待といえるのかというポイントも考える必要もあるでしょう。次回は虐待をする親の心理状態を考えてみます。
(2000/6/16記)
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