2006年の旅


山あいの閑静な一軒宿(民宿)

くつかけの湯温泉


2006(平成18)年11月21日(火)〜22日(水)


中津川駅
中津川駅
中津川駅バス停
中津川駅前
中津駅前通
中津川市内
小野沢バス停
小野沢


中津川駅前から坂下駅経由の下呂駅前行きの山里を走る(県道3号坂下福岡線)濃飛バスに揺られながら約50分、小野沢バス停にて下車。ここから旧飛騨街道といわれているひっそりとした紅葉盛んな山道へ入り、山際にぽつりぽつりと点在する民家を眺めながら、急な登り坂を歩くこと約300m、やがて峠近くに一軒家が見えてくる。ここが今回お世話になる民宿の”くつかけの湯”。
この鉱泉は江戸時代、苗木藩の山廻りの侍が発見したと伝えられていて、”くつかけの湯(沓掛乃湯)”は江戸末期に創業、来年還暦を迎えるご主人は4代目。
湯元は宿から約500mほど坂を登った鹿峰山の麓の区有地にあり、昔はご先祖が重たいお湯の入った木桶を天秤棒で担ぎ、えっちらおっちらと獣道(けものみち)を通り宿まで運んでいたとか。その後は竹樋で、時には一輪車で。今では直径2cmのビニール管を使って引っ張ってきているそうです。
くつかけの湯の看板 一軒宿 民宿のくつかけの湯 玄関にかかっているくつかけの湯の立て札


美しいヒノキや杉の森に囲まれた普通の農家を思わせる山あいのこの宿では、放し飼いの烏骨鶏がのびのびと庭を走りまわり回り、大きな池には沢山の鯉が元気よく泳いでいました。
料理はこの池で飼っている鯉をじっくりと時間をかけて煮込んだ伝統の郷土料理・鯉の甘煮(うまに)や、自家製のプリプリこんにゃく、大根・赤カブ・セロリーを使った漬物「みどりさ漬け」、それに自宅の畑でとれたばかりの新鮮な野菜の味をそのまま生かした女将さん(林節子さん)の家庭料理が中心です。お酒も地元の造り酒屋の清酒です。
この民宿、戸などはサッシになっていましたが、なんといっても築100年、ピッカピカに黒光りする太い柱や梁や床、しかも釘が1本も使っていない建物は長い歴史を感じさせてくれました。


それでは、”くつかけの湯”のお風呂についてもう少し詳しくお話しましょう。

■五右衛門風呂の湯沸かし名人はおばあちゃん
浴槽は小さな五右衛門風呂、源泉は11℃の冷泉ですから、焚きつけは火力の強い薪木を使っています。沸き上がるまでに約2時間かかるそうで、この係りは84歳になる”湯沸し名人”のおばあちゃん。とても元気でした。
泉質は放射能泉(ラジウム鉱泉)浴室の戸を開けて入ると一瞬、独特のにおいがし、風呂の表面には小さい湯の花が浮かんでいました。こぼれんばかりの湯船に浸かるとみるみるうちに肌が赤く染まってゆきました。
■嘘のように痛みが消えた!
嬉しいことがありました。私の持病であるリウマチ、いつも指の関節が痛く辛い思いをしています。それが、風呂に入ってしばらくたつと不思議というか魔法にかかったかのように痛みがすっかり消えてしまったのです。風呂から上がってこのことを話すとご主人は、自分が中学生のとき、四つんばいでしか動けなかったお年寄りが、この温泉に1週間宿泊した結果、帰る時には嘘のように元気よく坂道を歩いて帰っていったことを今もはっきりと覚えているとおっしゃっていました。ここの温泉は薪でお湯を沸かすため肌に優しく、いつまでも湯冷めもしない上、確かに優れた温泉効果があるようです。
■ユニークな輸送菅の掃除
ご主人から面白い話を聞きました。湯元からこの宿まで湯を送っているパイプは2ヶ月に1度くらい内部を掃除をするのですが、その清掃方法は上流からパイプにピー玉を10個ほど入れ圧をかけて流すと、内部に湯の花などのくっついた垢が下流のパイプから流れ出てくるのだそうです。最後にビー玉がでてきたら掃除はジ・エンド。これは工場などで配管内清掃をする方法を応用したもののようです。


中央線が開通し坂下駅が出来た明治の終り頃になると、飛騨街道の往来はたちまち盛んなり、このあたりには当時4、5軒の木賃宿があったそうです。残念ながらいまではこの”くつかけの湯”一軒になってしまいましたが、もてなしの心を常に忘れず、気持ちのふれあいを大切にする宿のご家族、それに静かで素朴な環境、田舎への郷愁などにより訪れる客も復活の兆し、嬉しいことに近頃ではいろんな本にも紹介されるようになり、宣伝は一切しないのに、かなり先まで予約が入っているようでした。これからもこの山あいの一軒宿”くつかけの湯”が、旅人の心の宿としてあり続けてほしいものです。


くつかけの湯の女将さん 玄関 休憩の間
食事処 五右衛門風呂
横から見たくつかけの湯 風呂の薪を燃やすところ ウコッケイ 鯉のいる池


夕食 朝食
夕食 朝食


温泉名 くつかけの湯鉱泉 民宿くつかけの湯
住 所 岐阜県中津川市上野141−1 電話:0573-75-4866
公共交通 濃飛バスにてJR中津川駅前バス停から約50分(JR坂下駅前バス停からなら15分)JR下呂駅前行き小野沢バス停下車徒歩10分 
建 物 木造2階建、和4室
湯 量 3リットル/1分間 湯量が少ないためタンクに溜めてから使用しています
泉 質 放射能泉(ラジウム鉱泉) 11.0℃ 薪で沸かしています
効 能 神経痛、リウマチ、胃病、痔、神経痛、老衰現象、動脈硬化症など
宿泊料金 1泊2食 6000円 チェックイン 適宜、チェックアウト 適宜
備 考 長期滞在は不可 内湯/石鹸/シャンプー/ドライヤー/バスタオル/タオル/歯ブラシ等あり 



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・・・旅を終えて・・・

あらじい11月初旬、2度目のCT検査の結果、嬉しいことに陰性。肺癌の疑いが消えました。結果が出るまでは夜も眠れない苦しい毎日が続きましたが、それだけに医師から結果を告げられたときは天にも昇る気持ちでした。勿論、あらばあ(私のかみさん)とて同じ気持ちだったに違いありません。やっと気持ちが晴れた私たちでしたが、今までふさぎこんでいた気持ちをいっきにフッ飛ばしたいと1泊でいいからと旅に出ることを思い立ちました。
話は早い、行き先は私が前から行きたいと思っていた岐阜県と長野県との県境、山あいの一軒宿”くつかけの湯”と決めました。この温泉の歴史は結構古いのですが、地図にも載っていないほどの知る人ぞ知る温泉でした。

私達の岐阜から妻籠宿や馬籠宿にもほど近いこの山あいの温泉に来るまでに、電車、バスを乗りついで3時間半ほどかかりました。
午後4時頃、小野沢のバス停で下車したのは私たちと2人の小学生の女の子の4人でした。子供たちのランドセルには熊よけの鈴がついていました。山の中の夕暮れは早く、少し薄暗くなっていました。女将さんが心配してか宿の近くの道まで迎えに来てくれていました。「遠いとこ、よう来てくれたね」と美濃と信州と尾張の言葉が混ざりあったような親しみのある独特の東濃弁に長旅の疲れも消えました。

電話で予約をしたとき、私はずうずうしくもとろろ汁を食べたいと言いましたら、よく覚えていて、近くの建設会社に勤めておられるご主人が会社から帰ってから、わざわざ芋を掘りにでかけ夕食に出してくださいました。御飯にかけて食べたとろろ汁のそれはそれは美味しかったこと、最高でした。これも小さな民宿ならではできない思いやり、優しい気配りに感激でいっぱいになりました。
夕食後は女将さんやご主人やおばあさんと、まめたんで温められた櫓炬燵に入り美味しいお茶をいただきながら長い間話をしました。嬉しい経験でした。(あらじい)


あらばあ朝、目を覚ますと、雨戸は開けられお土産に頂いた毛糸のワンチャン、爽やかな風と太陽の光が射し込み、どこからともなく小鳥のさえずりが聴こえてきました。帰りには女将さんから、畑から取ってきたばかりの野菜や、私たちが寝てから作ったというこんな可愛い毛糸のワンチャンまで土産にと頂きました。
帰りはおばあちゃんが散歩のついでだからといって、私たちをバス停まで送ってくれました。
今回の旅で、有難かったのは宿泊料がひとり6000円ぽっきりだったことです。随分、安かったので申し訳ない気持ちでした。民宿では安い代わりに、布団は自分で敷なくてはならないところや、洗面具が置いてないところなどいろいろですが、こちらの民宿はその点、至れり尽くせりでした。
それに、山あいの一軒宿の温泉ということもあり、私達は近くを流れる谷川のせせらぎを聞きながら、森のマイナスイオンも体いっぱいに浴び本当にのんびりと過ごすことができました。勿論、気分転換もしっかりできたように思いました。
いつまでもこころに残る素朴で人情味あふれる素敵な宿でした。(あらばあ)


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旅         程 食事
1121
(火)
天気 晴れ JR岐阜駅快速12:22発---(JR東海道本線)---12:40着JR名古屋駅快速13:03発---(JR中央本線)---14:14着JR中津川駅---★中津川駅前散策---JR中津川駅前バス停15:10発---(濃飛バス下呂駅前行き)---16.00着小野沢バス停---(徒歩10分)---民宿(泊) 
宿泊/くつかけの湯温泉 


11/22
(水)
天気 曇り 民宿---(徒歩10分)---小野沢バス停10:23発---(濃飛バス中津川駅前行き)---11:16着中津川駅前バス停---JR中津川駅快速11:40発---(JR中央本線)---12:58着JR名古屋駅(JR東海道本線)普通13:06発---13:30着JR岐阜駅

1人当たりの費用 10320円
内訳:JR 岐阜〜中津川(片路110.2km)ジパング会員価格往復2640円(片路1890円×2×会員割引0.7)、濃飛バス( 下呂駅前行き) 中津川駅前〜小野沢往復(片路840円×2)、 宿泊料金 1泊2食付き 6000円



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