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かけ流し100%湯田中温泉と渋温泉 2泊3日

国登録有形文化財老舗旅館に泊る北信州の旅

2005(平成17)年5月30日 月曜日〜6月1日 水曜日


北信州にある湯田中渋温泉郷は、長野盆地の東端、志賀高原の西の入口に位置し、横湯川、角間川、夜間瀬川に沿った湯田中温泉と渋温泉を中心とする9つの温泉の総称です。
たまたま、この温泉郷をネットで検索していますと老舗で建物自慢の旅館を2軒見つけました。「よろづや」と「金具屋」です。これらの湯宿は内湯の数も豊富、しかも天然温泉かけ流し100%。そのうえ、それぞれの旅館街には個性的な外湯がよりどりみどりとありました。おまけに近くにはお猿が遊びに来る露天風呂まであるのです。温泉好きなわれわれのこと。もう、これは行くしかありません。久ひさしぶりに二人揃って出かけた今回の個人旅行でした。


尚、今回の旅行記は、「湯田中温泉の巻」「渋温泉の巻」「地獄谷野猿公苑と上林温泉の巻」の3ページからなっています。


湯田中温泉の巻


志賀高原を源とする二つの川が一体となり、夜間瀬川となるあたり。ここに集まる湯どころの中で、ひときわ大きな湯煙をあげ、こんこんとお湯が湧き出る湯の里が湯田中温泉です。「湯田中」という名前の由来は、田んぼの中から湧き出る湯ということからきているとか。
この温泉の開湯は約1300年前といわれ、江戸時代には松代藩主や俳人・小林一茶がたびたびここを訪れたそうです。

泉質:塩化物泉、硫黄泉など 効能:リウマチ、関節痛、骨折、胃腸病、糖尿病、神経痛、皮膚病、火傷、呼吸器系疾患、婦人病、冷え性、美肌作用など


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よろづや

江戸時代寛政年間創業という北信濃を代表する純和風の老舗旅館。昭和14年建築で離れ棟の「松籟荘」、さらに「桃山風呂」のふたつの建物が国の登録有形文化財に登録されています。特に「桃山風呂」は桃山時代の伽籃建築を取り入れた信州屈指の広さと風情ある庭園野天風呂がセット。また、広々とした清潔な「東雲(しののめ)風呂」、貸切の「黄鶴風呂」など、温泉三昧の宿です。お湯はすべてかけ流し、100%の天然温泉。泉質:弱食塩泉、源泉:93℃

桃山風呂(女性 14:00〜21:30 男性 22:00〜9:30)
東雲風呂(男性 14:00〜21:30 女性 22:00〜9:30)


長野県下高井郡山ノ内町大字平穏3137
長野電鉄湯田中駅から徒歩約7分。 送迎あり。湯田中駅へ。事前連絡要。
よろづや本館の玄関 よろづや本館ロビー
本館玄関 本館ロビー
桃山風呂 大野天風呂
国登録有形文化財 桃山風呂/
御殿を思わせる桃山風呂。浴槽は楕円形のタイル張り。
洗い場は花崗岩。格天井は松の一枚板。
大野天風呂/
桃山風呂を外に出ると壮大な野天風呂。
周囲は豪華な日本庭園。
東雲風呂 東雲露天風呂
東雲(しののめ)風呂 東雲(しののめ)露天風呂
部屋 その1 部屋 その2
私たちが宿泊した本館の広々としてゆったりくつろげる二間続きの部屋。食事は夕食、朝食ともに部屋食。

夕食のおしながき
[食前酒]自家製林檎酒 [先付]春野菜の和え物 [前菜]笹寿司・桜小鯛・桜餅・飯蛸・高原豆牛乳包み [吸い物]蟹身薯・白魚・山独活 [酢の物]アスパラ豆腐 [御造り]勘八・炙の鮭・馬刺し・妻いろいろ [焼き物]志賀鱒酒塩焼き・レモン・はじかみ [台の物]信州牛のしゃぶしゃぶ [お凌ぎ]手打蕎麦 [揚物]稚鮎・山菜 [お食事]五穀御飯 [留め碗]信州味噌仕立て [水菓子]パインシャーペッド 以上。


一茶の散歩道

湯田中温泉をこよなく愛した俳人小林一茶を偲ぶ散策路。一周約1.5時間。

この遊歩道のスタートは山道を上がる階段の途中にある延命煙草地蔵。禁煙祈願、肺ガン予防を祈願するスモーカーが、線香代わりにタバコを供えていく。つづいては高さ25mの世界平和観音、湯田中温泉のシンボルだ。石柱に書かれた一茶の句を読みながら木の生い茂る遊歩道をしばらく歩くと小林一茶を祀る一茶堂にたどり着く。一息つき、やがて坂道を下ると相生の松。そして枝ぶりも見事な雨含(うがん)の松に到着しゴール。すてきな散歩道でした。
延命煙草地蔵 世界平和観音 一茶句碑 一茶の散歩道
延命煙草地蔵 世界平和観音 一茶句碑 一茶の遊歩道
一茶の散歩道標識 一茶像 相生の松 雨含の松と座王神社
一茶堂
一茶堂 一茶像 相生の松 雨含の松と座王神社


湯田中大湯 湯田中大湯
湯田中温泉発祥の湯です。俳人小林一茶も親しんだ湯で、「雪ちるや わき捨ててある 湯のけぶり」と書いた句碑も残っています。かつては東の湯田中、西の道後と並び称された共同浴場です。この湯田中大湯はよろづや本館のすぐ隣りにあります。湯田中温泉にはいくつかの外湯がありますが、これらは地元住民の組合で管理され大湯(旅館の宿泊者のみ)以外一般客は利用できません。
楓の湯 湯田中駅前温泉・楓(かえで)の湯
湯田中駅の駅舎に隣接して2003年4月にオープンした公共の温泉。露天風呂、檜風呂、、無料の足湯などがあります。お湯は源泉100%。電車の待ち時間にさっと入れると好評。入湯料は300円。休みは第一火曜日。



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バリバリと音を立てトンネル内で列車が急停車、一瞬置石かと顔面蒼白
旅行初日、家を出たのは午前8時。岐阜駅から名古屋駅、名古屋駅から長野駅、長野駅から湯田中駅へと乗り継いでやってきました。湯田中駅に到着したのは午後2時過ぎ。6時間もかかりました。
実は中津川の駅の手前のトンネル内で思わぬ事故があり、予定よりも1時間も遅れてしまったのです。バリバリというものすごい音がしたかと思ったら列車は急停車、乗客は全員顔面蒼白!(これは想像です)一瞬静まり返った車内でしたが、しばらくすると今度は騒がしくなりました。とっさに頭をよぎったのは、もしかして列車の転覆を狙った置石ではないか。でも、そうではありませんでした。実は、鹿が私たちの列車に衝突したのでした。こんなこともあるのですね。8分後には列車は動き出し、やれやれ。はねられた鹿はかわいそうでしたが、「まあ、事故の相手が鹿だけに、しか(シカ)たないか」と、あらばあに言いましたら不謹慎だと叱られました。でも、途中反対側から来る列車の待ち時間もあり、長野駅には30分遅れで到着。だが、長野からの電車は1時間に1本、予定の電車は既に出た後、結局、1時間遅れで湯田中に到着と相成った次第です。
そんなことで、われわれの当日の行動予定も大幅な変更を余儀なくされました。天候が気になりましたが、結局、地獄谷の野猿公苑行きを翌日にし、急遽、湯田中温泉の裏山にある「一茶の散歩道」なるところを散策することにしました。

旅館の暖かいもてなしに感激!
湯田中駅に到着するや、宿泊予定の「よろずや」に迎えの電話をしました。早い早い、数分後には迎えに来てくれました。旅館に着くと従業員の皆さんがにこやかな笑顔でお出迎え。それにしても豪華なロビーでした。ベテランの客室係の女性が私たちの大きなかばんをいとも軽そうに持ちながら6階の部屋まで案内してくれました。駅まで迎えに来てくれた人も部屋に案内してくれた人もとても感じがよく、1時間も遅れて到着したことに多少いらついていた気分もいつの間にかふっとんでいました。
係りの女性に、これから「一茶の散歩道」でも歩いてくると話をしましたら、パンフに載っているコースと逆に回ると良いとのこと。なぜなら、パンフのコースだと、道は上り坂をずーと歩かねばならずしんどい。それを逆に回ればはじめしばらくは急な坂道を登らなくてはいけないが、あとは下り坂、そのほうが楽ではないかと言うのです。約1時間半歩いてみて分かりました。やはりそれが正解でした。また、2日目の地獄谷のお猿さん見学に行くコースについてもいろいろに親切に相談に乗ってくれました。床の間に飾られた立派な季節の花も勿論結構ですが、こういう親切が旅人には嬉しいのです。高度成長期に旅館はどんどん大きくなり、それと歩調をあわせて、入れ物が巨大化した分、人をもてなす心が希薄になったと思っていましたのに。夕食が終わると、更にもう一組、替えの浴衣が届きました。翌朝には朝刊も部屋に入っていました。
帰りの朝、ロビーで私達がコーヒーを飲んでいると、この旅館に年に1度は訪れ必ず2泊するという東京からきた老夫婦とお話しする機会がありました。「どうして毎年同じ旅館に来るのですか」と訊ねると、「ここへ来るととても優しくもてなしてくださいますので、ついつい来てしまうのです」と笑顔で応えて下さったのが印象的でした。

旅館の主が自慢する桃山風呂に入る
散策から帰ってしばらくして、この旅館、自慢の桃山風呂に入り汗を流しました。
脱衣場には佐久間象山の「酒心」と書いた大きな額がかかっていました。門下に勝海舟・吉田松陰らがいた佐久間象山は江戸末期の学者。彼はここ信濃松代の藩士だったのです。床はというと欅の寄木細工、欄間にはみごとな雉の木彫り。源泉はというと93℃、いかも、すべてかけ流しの天然温泉。浴室は兎に角、広々としていて天井も高く国登録有形文化財の建築であることに納得しました。一歩外へ出ると日本庭園に囲まれた大野天風呂。とても筆舌には尽せません。こんな素晴らしいお風呂は生まれて初めて。旅の疲れも吹っ飛びました。
お風呂の後は夕食。勿論、部屋食です。こちらも言うことなし、選りすぐられた食材と料理人の腕の素晴らしさを感じ思わず舌鼓を打ちました。寝る前にもうひとつのお風呂、温泉蒸し風呂も併設された東雲風呂、なみなみとあふれるお湯に心がなごみました。

しびれるほどの熱さにびっくり、外湯・湯田中大湯
翌朝は楽しみにしていたよろづやのすぐ近くにある外湯の「大湯」に入りました。ここは湯田中温泉発祥の湯だそうです。旅館のフロントに申し出ると一緒についてきて入口の鍵をあけてくれました。既に地元の若者がひとり入っていました。この若者の話ですと、湯田中ではほとんど家には風呂がなく、そのかわり昔から地域ごとに銭湯の組合を作り共同で利用しているのだそうです。彼の話ですと1ヶ月に4回も掃除当番場が回ってくるといっていました。私のような観光客が利用するのはどうかと聞きましたら、「大歓迎です。でも、酔っ払って入ってきたり、大勢で入ってきて馬鹿騒ぎしたり、濡れたままで床を歩いたりはしないでほしい」と一言釘を刺されました。湯船は木で出来ていて、二槽並んでいました。源泉のお湯のほうは足を入れたとたん、しびれるほどの熱さ、とても入れませんでした。地元の人は平気で入るのですから驚きです。一方は水でうめてありこちらは私には丁度いい温度でした。また、駄洒落かといわれそうですが、「いい湯だな(いい湯田中)、アハハン!」と鼻歌がでそうでした。


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