12.5 ふたご便秘でなやむ


 

2002年 あけましておめでとうございます。

新年早々ですが、ふたごたちの「便秘」の話です。あしからず。

ふたごたちのうち、タイはうんちをほぼトイレでできる。何となく気持ち悪いのがわかるらしく、私の教えた通り「うんちん来た」といかにも気持ち悪そうな顔で言う。だが、トイレの戸を開け、電気をつけ、こども用くまさん便座をセットし、自分でそこに座るまでの作業を自分でやるので、その間に出てしまうこともある。

ものすごく急いでいる私がひょいと抱き上げて便座に座らせると、「できる!」とはっきり言い切り、最初から自分でやりなおすから、まったくご苦労様!

この点、リョウは完全に負けている。8割の確率でどこかに寄り掛かり、ひそかにきばっている。テレビ台が好みの高さらしく、何かをする振りをしてうんちをしていることが多い。

ふたごでなければ、食事の後に必ずトイレにすわらせるとか、家事をしながらででも気配を察知すべく目線を釘付けにしておいたり、金魚のフンのようにお尻についてまわっていたらいいのだが、ふたりが別の場所にいたり、同じ服装をしてからみあいながらケンカをしていたりすると、うんちをオムツにつけることになってもまあいいかって思ってしまい、私の怠慢として部屋に臭いにおいがただよう結果となる。

まあ、これは病気もせず、順調に便が出ているときの状態なので、今回の便秘の話にはあまり関係がない。

かくいう私は便秘とは無縁。

世の女性は便秘の人が多いらしいので「うらやましぃ」とおっしゃる方に弁解するが「今日1日出えへんかったわ!」という程度の便秘は1年に5日くらいはもちろんある。体調を崩して食事がきちんと摂れなかった日は軽い便秘になるが、翌日食欲が戻ったらお通じもちゃんと戻る。風邪をひいた時、総合感冒薬にお世話になると、なぜか食事を普通にしていても便秘になることがある。そんなこんなで1年に5日くらいは便秘女に変身する。

2日出なかったとか3日出なかった、4、5、6日なんてことは生まれてこのかた経験がない。そらおそろしくて想像もできない。

高校生の頃、そのたぐいの話題になった(女子校ではこういうのは日常茶飯事)時、「3日持ってる」「5日目でウサギのフン」という友人の経験談を聞いて、私の1日出えへんかった経験は言えずじまいだった。

出産のとき、マサミツを産んだ初産のときも、忘れ得ぬリョウとタイを産んだふたご出産のときも、看護婦さんや助産婦さんはいきみ方を伝授するために、

「下腹に力を入れてぇー。何日もたまってるうんこ出すみたいにきばってみてぇー」と言われたが、 「アタシィ、そんな何日も便秘したことないんですぅぅぅぅヒーヒーフー!」と上手にいきめない言い訳をしたもんだ。

そんな訳で、リョウとタイの便秘は私にとっては最大の関心事である。

便秘というのは食事内容に食物繊維が足りなかったり、体調が悪くて口から食べる物じたいが少量だったりすることが原因となることが多いので、同じ食事内容である兄弟姉妹で、年齢も体格もそう変わらないふたごの場合は、ひとりが快便だともうひとりも快便であることが多い。

我が家のふたごに限っていえば、リョウはこの便秘騒動が起こる前まで、絵に描いたような快便(絵に描いたような…は表現としてマズイ?)だった。

毎日出ないと気が済まない母親の私からすれば便秘の域に入るが、1日おきに少々堅くても出るタイも医学的には便秘とはいえなかった。

ところが突然、ふたごがふたりとも便秘になるっていう事態が同時に起きたのだ。

"あんかけうどん"がおいしい季節になると(私の作ったあんかけうどんは超おいしい!)おやかん一杯のお茶を二回わかしても足りなかった夏の日々が嘘のように、お茶は余りまくる。

ちょうどその頃リビングのパネルカーペットを全部はずした。リビングは寒さがどんどん増す中、フローリングになった。もちろん床暖房施設などない。

私は、はやくも腰に携帯カイロを貼り、ハイネックセーターの下にまだスカーフを巻いて毎日を過ごし始めた。スボンの下にタイツをはいてもまだ寒かった。隠しておいたスリッパを自分の分だけ出してきたが、案の定リョウとタイのえじきになった。

そんな思いをしてまでなぜパネルカーペットをはずしたのか?

答えは結構深刻。タイに喘息が出たのである。

さかのぼること1ケ月半、5歳を目前にしてマサミツに喘息との診断が下り、軽いショックを受けていた私だが、11月半ば、タイにも喘息の診断が下った際、本格的に腹をくくった。お布団に掃除機をかけ、ダニやほこりのたまり場であるカーペットははずすべし!というのが喘息児を持つ親に求められることなのだ。

ダブル便秘にたどりつくまでにはもうすこしがまん。

こどもたちは冷たいフローリングにおしりをペタッとつけたり寝転んだりして遊び、ふたごたちの紙オムツはおしっこですぐにタプタプ。冷めたお茶を見ても首をブンブン横に振る。熱いお茶は飲めないし、微妙なぬるさのお茶はもうひとつ好かんらしい。だからと言って甘いジュースを飲ませても限度がある。その結果、体に取り入れる水分はめっきり減った。それが便秘の原因1。

便秘原因2はふたごでも異なるところがミソ。ここが、2卵性のふたごらしいところ。

リョウの場合、この頃から食事にめちゃめちゃ時間がかかるようになった。

いつまでもダラダラと食べる。途中で立つ、ぬいぐるみにも食べさせてあげる。向かいにすわっているタイの横に行って、彼のフォークを手にとりシューマイをエイッ!と突き刺して渡してやる。おかあさんのおはしを貸して欲しいとねだる……。もう、ありとあらゆる自分の食事以外のことに手を出す。

だから、ほおっておけばリョウの前に(正確にはリョウのすわるべき椅子の前)お皿が2時間並ぶ。途中で下げると「それはリョウのだ!まだ食べるんだ!」と言わんばかりに「あー!あっ!あっ!あっ!ごはん」と抗議して涙を流す。

夫はリョウの食事を目にするたび 「お前はイタリア人か?いつまでもダラダラ食うてるんとちゃう!」と怒鳴る。

私としても、ぐちゃぐちゃになったお皿の中身をもう一度口に運んでやる気も失せ、2時間も食べているのに満腹でないリョウに果物を与えたり、少々のクッキーを与えたりしてやっとお皿を洗ったりしていた。

かくしてリョウの快食快便は返上。

タイはというと、完全なる野菜嫌い。特に葉物の野菜をことごとく嫌った。

チャーハンの具、スープの具、煮物、炊き合わせ、ことごとく野菜を探しては……リョウに「ハイ!」と元気よくあげる。タイのお皿が空になっていてもそれはタイが全部食べたのではないから、タイの食事には目を光らせて何と何を食べているかを見張っていなければならない。やきいもは大好きだが続くといやになりやがる!(まぁー、京おんなにしてはお下品な言葉。失礼。でもこれくらいタイの野菜嫌いに怒っている!)炭水化物のみで生きようというのかタイよ!食物繊維は野菜ジュースと果物でしか摂取できない状態。

かくしてタイの一日おきにでも出ていたうんちは完全にストライキを起こした。

かくも悲惨なる便秘条件の満場一致。

こうしてふたごのふたりともが便秘になり、おとといの物までまだお腹に持っている状態で遊ぶようになった。

私はといえば、こういうリョウとタイの状態がどれくらいツライことなのか想像できないでいた。反対に前日、前々日のものを持っていると想像するのは容易で、それが気持ち悪くて仕方がなかった。

便秘の解消法として、まず第一の水分補給や食物繊維摂取に失敗した私は、次の手に移らねばならなかった。

  1. マルツエキス (和光堂)の登場

    水あめ状で甘い。そのままでペロッとなめてもいいし、溶かして飲ましてもいい。ジュースに混ぜると甘すぎる。お風呂上がりや寝る前、お昼寝の前など1日3回くらい飲ますことができる。缶タイプとスティックタイプがある。

  2. 綿棒浣腸の出動

    大人用の普通の綿棒(ベビー用綿棒は柄が細くしなるので適さない)にベビーオイルをつけて、仰向けに寝かせたこどものお尻の穴から硬いコロコロの便を出す。これには何かを飲ませた後や、食べさせた後で少しでも便意をもよおした時にするのが効果的。ただ、リョウとタイのように言い聞かせても言葉がまだ理解できないけれど、体つきは結構大きくなってきたこどもの場合、お尻担当の大人と頭や肩を押さえる担当の大人ふたりがかりで取り組むのがベスト。

  3. 母親にしかできないコロコロうんち掻き出し

    トイレに座らせ、なかば押さえつけるようにして、ベビーオイルをぬった私の右手中指を肛門に入れ、直腸のどこまで便が下りてきているかを探り、できればコロコロうんちを1個でも2個でも掻き出してやる。これはタイによくやった。泣きわめきながら便座から必死に降りようとするのを押さえつけてやるので、親の方も気が引ける。「やる!」と決めたら即実行するために、ベビーオイルをトイレの棚に常備していた。一番肛門に近い2個くらいのうんちを出してやると、あとは自力で出してくれることが多い。はっきり言ってそれにかけている。自力で続きを出せなかった時には4.にうつる。とにかく、終わったら、すぐに抱きしめて「ごめんな×10回」を言ってあやまる。一応「もうしいひんしな」とこれが最後のように言っておくことも大事。

  4. 最後の切り札イチジク浣腸

    これは、文字どおり最後の切り札。仰向けに寝させて浣腸をつっこんでもいいが、ある程度大きくなると、抵抗されて上手くいかないことが多い。とりあえず、仰向けか横向けに寝かせて浣腸をつっこみ、すぐにトイレに座らせてまたしても頭を押さえつけるやり方が成功率が高いように思う。

食事内容や水分摂取方法もいろいろと試し、1〜4を何度もトライして悪戦苦闘でうんちを何とか出すことを繰り返した結果、このままでは親子ともつらく、うんちを出すということは、あたりまえですっきり爽快であることを本能に訴えるべく、インフルエンザの予防接種に行った際に小児科の先生に相談してみた。

そうしたら番外でうんちを出す方法が見つかった。ゆるい下剤を毎晩飲ませるのだ。

こどもからおとなまで使える薬らしく、それは目薬ににた容器に入っており、年齢や体重によって内服する滴数が違った。

とりあえず、毎晩お風呂上がりにジュースに5滴を混ぜてみる。

翌昼。出たぁ!

しかし、相当な下痢。本人も辛そう。だって、今までの3日分くらいが一気に下痢となって出たんだもん。あー、かわいそ。でも私としてはスッキリ。

で、その日は下痢になった分、ジュースでもポカリスエットでも甘さに関係なく、とにかく水分を補給して、寝る前のジュースに4滴の例の下剤。

そして、めでたくちょっと軟らか目のいいうんちが翌朝にでた。軟らか目なので、タイはせっかく覚えた「うんち来た」感覚が、実際の「うんち来た」に間に合わず、オムツでしてしまうこともあったが、とりあえず、バンザイ。

こうして、便秘は解消した。

私はものすごく嬉しい。だって、彼らが便秘の時には、一日中彼らのうんちのことばかり考えていなければならないのだもの。

夫がよく言う。

「おかあさんは、お前らのうんちのことが何より大事なんや!」

そうでもないけど、そうかも知れん……と思う10日間だった。

母親としてまだ、課題は残されている。野菜をいかに食べさせるか。

実は便秘解消とほぼ同時に、レタスにマヨネーズをちょっとつけてパリパリ!って食べるのをやらせてみたら、喜んで「チョッ!チョッ!チョッ!」と言いながらベトベトにマヨネーズをつけて食べてくれた。

生のレタスなど、食べられる量は知れている。が、手で葉っぱを持って、自分でマヨネーズをつけるっていう動作が気に入ったらしく、まあ、野菜嫌い解消の第1歩かな、と思う次第だ。

2歳にして、マヨラーにしてしまうかも。でも、うんちが出ないよりはマシだろう。 野菜を食べるようになってもうんちのことばかり考えている私である。





                 

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