神様、仏様、皆々様。我が家のふたごはめでたく2歳になりました。
とてつもなくやんちゃな2歳のふたごのできあがり!です。
"2歳"っていう響きが好きだった。マサミツの2歳を経験しているからなおさらのことだった。「ウンチ来た!」って教えてくれたし、ずっとすわって食事ができた。「カカおっちん、ボクおっちん(おかあさんのひざの上にすわりたい)」も言えたし、パズルも根気よくできた。
………ブツブツブツ。つまり、マサミツに比べてコイツらのときたら、途方もなくどうしようもない"2歳"なのだ。
いつもパワーがありあまっている。マサミツの2歳の頃に比べて私が年をとっているから(あたりまえ)余計にどうしようもない。それがちょっとくやしい。
とにかく、言葉が遅い。2語文(ワンワン来た、等)が出ない。もっとも、ふたごの場合、心配はないらしい。ふたりの間で意志疎通ができているので、どうしても口に出てくる言葉は遅くなりがちなので、親は待っていればいいそうである。たしかに、こっちの言うことはかなり理解できる。
しかし、態度で気持ちを現すことが専門である我がふたごは、すぐつかみあいになる。厳密に言うと、少しだけ体格のいいタイ(16分だけ弟)がリョウ(16分だけ兄)に乗りかかったり、首筋をつかんだりして欲しいものを手に入れる。欲しいものは、時にスーパーボールであり、りんごであり、フォークであり、パトカーである。リョウは、実はそれをタイがボーッとしているときにかすめとったものであることが多いので、取り返されても仕方がないのだが、体力でこられると負ける確率が高いので「キィーッ!」と奇声を発して逃げる。そして泣かされる。
この奇声は、上手く言葉をあやつれないリョウにとって、要求を通そうとするとき、相手に意志を伝えるとき、嫌悪感を表すときのすべてに共通して使う共通語で、タイの暴力も言葉で意志が伝えられないがゆえの行動なのである。
生まれた時から3人兄弟であり、争いも和解も経験しながら2歳まできた。3歳くらいまでには力を使わなくても意志疎通ができ、互いに会話らしきものでやりとりができるようにるのだろうな……とは思うけれど、先は遠そうだ。
食べることに関しては、見事なくらいに予想を裏切り、よく食べる。少食のマサミツに比べると毎食、勝っている。何よりも好きなのがきゅうりの塩もみ。「きゅーいぃ!」と、馴れない人には果物のキィウイに間違える発音で催促する。おみそ汁、スープ類は「ズズッ」と総称し、「おいちい」と隣のお椀を取りに行くからたまったもんではない。当然中身はお膳の上にジャー。ついでに服にもジャー。
台所の1番下の引き出しをひっくりかえすのが好きで(そこには高野豆腐やひじき、片栗粉やコンソメがはいっている)マカロニの袋を自力で破り、パリパリ音を立てて食べているのには参った。おいしいらしい。
音を聞きつけて、もう一人もやってきて、こういうときは仲良く分け合って食べている。だって、袋のマカロニはどっさりあるんだもの。物の総量に関しての推察はほぼ正しい。
おうどんの茹で上がるのが待てないらしいので、ためしにゆでる前の乾麺を渡してみたらリクエストがきた。当然のごとく、おそば、スパゲッテイもイケることが判明した。
そういえば、牛乳なしのコーンフレークも好きなんだ(これはあたりまえ?)と、いうことは、乾き物が好きってことか……と納得していると、夫は何を思ったか干ししいたけを与えた。「なんぼなんでもそれはないえ!」と言う間もなく、パリパリパリ。節操のないふたごの食事である。(一応弁解しておくが、ちゃんとした食事も与えている。)
今、恐れているのは、彼らがいつの日にかベビースターラーメンに出会うこと。きっと、その不健康そうなおいしさに魅了され、虜になり毎日食べ続けるのではないかと、決して口にしたり、名前を覚えたり、袋の柄を覚えたりしないように祈るばかりである。
マサミツひとりを育てていた時には考えられなかった事態は、毎日起こる。
その日、ふたりは白と黄色のズボンをはいていた。どちらもマサミツのお下がりで、丈も厚さもさほどかわらないような半ズボンだ。
同じ性別のこどもが上にいると、ふたごの着る服はお揃いばかりとは限らない。同じ型で違う色という合わせ方もなく、単に別々の服をお古の中から選んで着せることも大いにある。
前日もオールお下がりを着ていた日で、何の問題も起こらなかったのに、今日のこの瞬間から突然タイは黄色が好きになったらしく、リョウのズボンを降ろしているではないか。リョウは後ろからのタックルでズボンを脱がされているもんだから、「キィーィッ!!」とわめき怒りながら脱がされまいと必死になっている。タイは「コレチャン!(これ+ちょーだい)」と泣きながらズボンを離さない。
最初は何をしているのかわからなかったが、どうやら色に問題があるのだと分かった私は、なんとか言い聞かせようとしたけれど無駄で、最後には両脇にクマがししゅうしてある別のズボンを出してきて、何の非もないリョウに「クマさんのと交換して!お願い!」と頼み、黄色のズボンをタイにゆずってやることでその場を治めた。
ふたごならではの醍醐味ってこういうこと?なんか違うよなぁー。
性格の違いは、生まれた時からあったが、2歳にしてはっきりしてきた。
2卵性なので、兄弟よりよく似ているが1卵性双生児よりも似ていない(おわかり?)といわれたが、まったくそのとおりで、マサミツを含め時に三つ子か?と思うことがある中で、三人三様の性格を発揮している。
マサミツの風邪のひきはじめ。のどが痛いというので、おとうさんのいつもなめているVドロップをあげた。マサミツにとってもそれは初めてで特別のアメ。いままで憧れていたものをやっともらえたっていう満足感と嬉しさあふれる兄ちゃんの笑顔の源が、その黄色い包みであることをふたごは見逃すはずはなかった。
「コレチャン!」
タイの「これちょうだい」の言葉が連発される。リョウも必死に手を開いたり閉じたりして「欲しい!」と意思表示し、ついでに「キィーッ」と叫ぶ(リョウはカンがものすごく高い)。
別にふたごは風邪のひきはじめでもないのだが、仕方なくVドロップを与えた。これが彼らにとっての記念すべき初アメなのに。初アメがスーッとするレモン味ののど飴でいいのだろうか?という一抹の不安が頭をよぎったが、ふたごの場合、何でもいいだろう、とその不安はいとも簡単にぬぐいされた。
タイ 指でつまんで透き通った黄色の物体を、眺め+ちょっとなめる、を繰り返す。
リョウ もらったらすぐ口にほおり込んで食べる。
初めての物に対する取り組み方は一言でいうと、タイは慎重、リョウは大胆。
きっと、性格が違うから好きな女性のタイプも違うだろうってことを前提にして思うけれど、将来、好きな子に告白するのに、タイは考えすぎて好きだというタイミングを逃し他の子に先を越され、リョウは好きだと早く言い過ぎて相手がニューハーフだったってことが後でわかって大打撃を受けるというようなことがないか心配である。
タイのVドロップは、口を出たり入ったりしている間にリョウにかっさらわれ、あっという間にリョウの口の中へ消えた。
タイがグズグズしてるからやんアホやなあ、と思いながら、
「リョウ!1個はタイチャンに返してあげ、ほれ、出し!」と2個のうちの1個を口の中から出すように催促するやいなや……、
「バリバリバリガリガリ!!」
私はあっけに取られた。タイに返すもんか!とリョウは2個のドロップを一瞬でかみ砕き、飲み込んだのだ。私はここに、こどもの残酷さと野性をみた。
生まれる前から複数だったことに起因するのかも知れないが、生きていくための知恵をこんな形で身につけているなんて、あきれると同時に感嘆をも憶える。
お腹の中にいた時、リョウはタイよりも小さく、その推定体重の差は少しずつ開いた。2,312グラムでリョウが生まれ、次に2,970グラムでタイが生まれた。タイのへその緒は真ん中にデン!とついていて栄養をきっちり摂っていたのに比べ、リョウのははしっこに遠慮してついていたのが胎盤検査でわかった。
その分を取り返すかのようにリョウは競争をし、ドロップを勝ち取った。それでなくてもしょっちゅう取り合いをしている。ふたごって、共生しながら競争し、観察しあいながら牽制したり挑んだり譲歩したりしている。
ふたごってたくましいもんなんだ、って最近思う。もちろん"たくましい"には、厚かましいとか憎らしいとか恥ずかしいなんて意味もチラッと入っているけれどね。
砂遊びより砂かけが好きなふたごたち。気がつけばいつも小石を放り投げている危ないヤツら。お兄ちゃんのマネをするのがそんなに好きなら、おしっこも一人でしてごらんよ。掃除を手伝ってくれるのはいいんだけど、いつも掃除機の取り合いをして泣くのはやめて。
"ボクたちふたごなんだ"っていつごろわかるんだろう。ふたごに生まれてよかったって思うかな?
おかあさんはふたごを産んでよかったって思うよ。でもね、残念なことがあるねん。公園に行ってもすべり台をしてあげられへん。どっちかを連れて階段を昇っている間に、もう一人がボクも!って昇ってくるでしょ。ふたりをかかえての階段は危なくて昇れへん。そのうちにひとりですべり台をしても危険ではなくなるけど、ひとりで階段を昇るのをすぐ後でおかあさんが見守って、おかあさんと一緒にシューッっていうのは今だけしかできひんのにね。
ブランコだってそう。お兄ちゃんは、しっかり膝に座らせて、高い高〜い!って木の葉や空の近くまでこいであげた。キャッキャッって嬉しがってなんどもブランコに乗ったんや。もちろん、もう少し自分でしっかり乗れるようになってからなら、ふたり同時に膝に乗せてあげようね。でも、今、この時期に高い高〜い!をしてあげたら、どんなに喜ぶだろうかって、お兄ちゃんのあの頃の笑顔を思い出すと余計に残念。
"かわりばんこ"っていう言葉はもう覚えた?本当はかわりばんこは嫌やね。
"順番"っていう言葉も覚えた?本当は何でも一番がいいやんね。
5+2+2=9本のろうろくをケーキに立てて、お誕生日を祝った。前日からばばちゃんとじじちゃんからのプレゼントが散乱し、それがまた、3つとも音の鳴る物体で、やかましくて仕方がない。
お祝いのちらし寿司作りの間にも、台所を走り回り、あぶないったらありゃしない。マサミツはもう6歳の誕生日に何をもらうかで頭がいっぱいだし、リョウとタイは、そう聞こうと思ったらそう聞こえなくもないか、という程度の「2歳!」は言えるようになったが、指のVサインはできないし……。
思わず、「こどもの誕生会3回やる人の気がしれん」と口走ってしまった。
夫が一言「こども3人で誕生会が1回で済む方がめずらしい」。
2歳のふたご。お昼寝する時にはひとりをおんぶひもでくくりつけ、ひとりを抱っこして、大好きな"虹の向こうに"の歌を聞かせながらゆすり寝かしつける。
これができるの(しなければならない)もあと少しか……もうすぐおんぶひもが切れそうだし……。
もう少し、楽しむ(苦しむ?)か。