妊娠中は自分のからだ、胎児の成長が一番の関心事。
出産後はおっぱいの出、赤ちゃんの健康が第一になる。
少し大きくなると、心身の成長や言葉の発達に視点が変わる。
これはふたごであってもそうでなくても、ほとんどのおかあさんに共通するだろう。
そして、こどもが2歳前後になると「うちの子、いつになったらうんちやおしっこを教えてくれるようになるんやろう?」というのが最大の関心事になる。俗に言う"オムツはずれ"である。
"オムツをとる"という大人が何か働きかけをする言葉ではなく、"オムツはずれ"というらしい。大人があせらなくてもいつかは勝手にオムツがはずれるもんですよ!っていうお気楽な言葉だ。
我が家の場合、同性の上の子がいるので、トイレでうんちやおしっこをさせるためのグッズはすでにそろっていた。
- 洋式便器用子ども用便座(くまさんの形)
- お立ち台(立っておしっこをする時、便器に届くように乗る台。便座に座る時にもいったん台に昇ってから便座にすわるので必要。底にゴムのすべり止めがついているものがいい。)
- 子ども用スリッパ(ミッキーマウス)
- トイレ電気スイッチ用台(自分で電気をつける時ための踏み台)
- 普通のパンツ(綿100%)
- トレーニングパンツ(綿100%タオル地・股の所がぶ厚い)
お兄ちゃんであるマサミツ(10月生まれ)は2歳2ケ月頃に一旦おしっこが言えるようになった。しかし、季節が真冬に向かったのでまたオムツに逆戻りした。しかし、私は暖かくなればこの子は必ずおしっこを教えてくれると確信が持てたので、春を待つばかりであった。
オムツはずれに関しては、年頃の子どもを持つ親にしてみれば、本当はどうでもいいようなものだけれど、いつも心にひっかかっている、なんとなくすっきりしない……つまり、結構うっとうしい問題だ。
オムツが不必要になると、布派の親は洗濯にかかる一連の作業、水問題が一気に片付く。紙派の親はもちろん紙オムツ代、ゴミ問題がゼロになるのだ。こんなことを夢というには夢に申し訳ないが、"夢"の一瞬である。
その夢が現実になった。ふたごのリョウ、タイ完全なるオムツ卒業!初夏(2歳9ケ月)であった。
振り返ってみれば、ひとりとふたごのオムツはずしは違った。まあ、人それぞれ、オムツがはずれるのも個性だと考えれば、違って当たり前なのだが……。
ふたごのオムツはずしは、当然ながら手間がかかった。
たいていの親は、「おしっこはええから、うんちだけでもトイレでして!」と思うだろう。実際、うちのふたごたちもうんちが先に言えるようになった(このあたりは第12章第5節 ふたごの便秘 でも少し触れている)。
どちらかといえば、おしっこを言えるようになるのが難関である。しかし、ポイントをはずさなければ大丈夫。
- 1.寛大な心
- 性差、体格、膀胱の大きさ、食物摂取状況の把握により、あくまでひとりひとりのオムツに関心を持つ。
性差がなく、体格がほぼ同じであるならば、ひとり重点方式(どちらかひとりのオムツを先にとってしまおうと思う)よりもふたり並行方式(ふたりほぼ同時にオムツがとれるように気を配る)方がいい。もちろん子どもが失敗してもぐっとこらえる。
おしっこに関して、性差がある場合は、女の子が「私も立ってする!」などど言い出したりするので、少々てこずるかもしれない。
同性であっても体格に差がありすぎると、膀胱にためられる尿量にも差があると思われるので、トイレに誘うタイミングや「ナイッ!」という言葉を時には信じることも大切。
- 2.見学奨励キャンペーン
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とにかく、トイレで用を足しているのを見せる。つまり、自分の羞恥心を忘れる。「ほらな、おかあさんここでおしっこするねん、偉いやろー!!」と何度も自慢する。「おとうさんのおしっこは高いところからするねんで、すごいやろー!!」
特に効果的なのがお兄ちゃんのおしっこ。自分とあまりサイズの変わらないお兄ちゃんがおしっこしているのを見せて、「かっこいい!」とか「すごいやん!」とかさんざん言う。
忘れてはならないのは、ふたごの片方がおしっこをしている時(実際は便座にすわっているだけであったりもするけど)には、必ずもうひとりに見せることだ。そして、「○○もやってみる?」と誘う。だから、トイレの戸はほとんど開け放し状態。おほほー!
- 3.競争心の活用
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見学奨励キャンペーンに通ずるが、「○○もできるかなぁ」と軽くけしかけたり、「△△はできたやん!」と相手をほめたり、一緒に拍手をさせたり。相乗効果をうまく働かせるように仕向ける。このあたりはおかあさんやおとうさんの腕の見せ所。時々お兄ちゃんにも誉めてもらうと、ひそかにヤル気が湧いて出るようですぞ。
うんちをトイレでさせるのに、タイはだいたい2日に1回のペースだったので、出口のうんちが少々硬めだったため、きばる雰囲気を察知することができたので、楽だった。おっ!来たか!とこちらが思うのと、タイが「うんちん来た!」と難しい顔をして言い出すのがほぼ同時であったので、固まっている体をつり上げるように抱いてトイレに連れてゆき、すばやくズボンと紙パンツを脱がせて便座にすわらせた。
それでも最初の硬いうんちを出すのに時間がかかり、私は10分以上トイレにはりつけになり、ウーン!とエールを送り続けざるを得なかった。
リョウは無類の野菜好き(ほうれん草のゴマ和え、小松菜のいためもの、きんぴらごぼう等が大好物)なので、1日に1度以上はちゃんとうんちをしたが、一旦出ると決めたらすぐに出るうんちだったので、紙パンツを脱がせるのが間に合わないことが多かった。ホカホカのうんちで新しい紙パンツを、ほんの10秒の差で汚された時の敗北感たらありゃしない。
「うんちん来た!と言いたいんだけど、うんちの出るのがあまりにも速いのでアーと思っている間に出てしまうんだよ!かあちゃん!」
リョウの気持ちを大便、失礼!代弁すると、こんなところだろう。
タイがうんちを言えるようになってから1ケ月半も経って、やっとリョウはうんちを教えてくれるようになった。その間、私は「タイは言えるのに、なんであんたは言えへんの!」と怒っていた。申し訳なさそうな顔ひとつせず、出てしまってから「出た」と言われると、ため息と一緒に「ふたごなのに」と思ったもんだ。
しかし、リョウは必殺技をたずさえて「うんち来た!」を言えるようになった。便座に座らせると、ものの30秒くらいで仕事を終えるのだ。んー、これには参った。タイはうんちをしたいと感じてから出すまで10分の仕事なのに、リョウは30秒で片づける。
ここで、今までくよくよ悩んでいた私は吹っ切れた。やっぱり、ふたごはひとりとひとり!
こうして、ふたごたちは頻繁にトイレに行き来するようになった。もちろん空振り・おしっこ横飛ばし・上飛ばし・パンツぬらし・廊下洪水とあらゆる失敗を繰り返してくれる。当然ながら2人前である。
ミッキーマウスのスリッパは気に入った時にしか履かなかったし、履いている途中でジャーと出てしまうこともあった。裸足で入るので絶えずトイレはきれいにしておかなければならなかった。飛んでしまったおしっこをすぐに拭き取れるようにボロ布を小さく切って棚に置いておく妙案も、手間がかかって忙しい身には辛かった。
だけど、私は充分満足していた。マサミツよりも半年も余計に時間がかかったものの、ほぼふたり同時にオムツがはずれたという現実に酔いしれていた。自分への賞賛も手伝っていただろう。
私は今までの長く苦しい(?)道のりを思い返した。2週間に一度、自転車で紙オムツを2パックずつ買い出しに行った。おしりふきは1ケース買った。あのゴミの多さは、捨てに行くのが申し訳ないくらいだった。マサミツは布オムツを使っていたので、ふたごたちに紙オムツ使っていることで、私が環境破壊に協力しているような錯覚を覚えたこともある。
それも終わった。バンザーイ!
まだ、自分ではおしっこを積極的に言えないけれど、誘えばトイレ行って、少量でもおしっこを出せるようになった2歳7ケ月に初めて外出先での立ちションに挑戦してから、家でも立ちションができるようになった。
男の子用の小便器は、女性用トイレにも併設されている所が多くはなったが、まだまだ充分とは言えない。なにせ、おしっこ訓練中は誰かのおしっこが済むまで自分のおしっこをがまんすることが難しいから、ひとつくらい小便器があっても、ふたごの親はハラハラしっぱなしなのだ。
だから、外出時にはできるだけ夫と一緒に男性用トイレに行かせる。夫に続いて5歳のマサミツ、2歳のふたごのリョウとタイが我さきにとトイレに向かう様子はとても可愛らしい。
男性用トイレにはたいてい2つ以上の便器があるし、低いものであればふたごは並んで同時におしっこができるので万々歳である。
そう、この子たちが7ケ月くらいの頃、もう大きくなったふたごの男の子のおかあさんが声をかけてくれた。
「おまるいらん?2つあるねん。」
その時は、家事に育児に、幼稚園のお迎えに疲れ切っていた私は、ふたごのオムツはずしまで頭が回らず、
「家にトイレはひとつしかないし、うち、マンションで場所もないし……結構です」と断ってしまった。
今から思えば、置く場所に困っただろうけれど、おまるがあればよかったなと思う。大人でも誰かがトイレに行くと、自分も行きたくなったりするし、ちょっとガマンしてって言われても、そればっかりはできないでしょ!というときもある。
こども…オムツをはずすトレーニング中の、この前まで赤ちゃんだったこどもが「待て」と言って待てるわけがなかった。ひとりのうんちやおしっこを待っている最中に何度、残されたひとりが待てずに出してしまったことか。最悪なことに、夫やマサミツが出てくるのを待てなくてリョウもタイもアウトだったことも数知れず……。
最終的にトイレは一家にひとつの所が多いのだし、ひとつのトイレに慣れさせなければならないのだから、どうしても必要な理由はないが、おまるをくれるという人がいたら、断らないで仲良くふたごにおまるにすわらせるのもいいかも知れない。
そう、いつかはオムツにさよならするのだ。そしたらおまるにもさよならなのだ。
ああ、なんだか、ミルクを飲んではうんちを出し、寝ながらおしっこをしていた赤ちゃんの頃がなつかしいな。
こうやって成長し、こうやって独立していくんだ。
「おしっこ行って来まーす!」
ほら、お兄ちゃんのマネをしてトイレに走っていく。時々パンツがちょっと濡れていることもあるけどね、脱いだパンツも裏返ったままで、直すことができないけどね。
オムツはずれおめでとう。