2.2 行けるうちに行ってしまえ!


 

「何回もビデオを見せて予習しといたし、ボクも行きたい!とかゆうてたくせに、ホンモノ見たら、ワーワー泣いて、 もう!全然楽しめへんかったわー!消化不良!!」

友人が3歳になったばかりの子を連れて家族でディズニーランドへ行った時の感想。ホンモノってのはミッキーマウス のこと。

我が家はマサミツが1歳半の時に、じじちゃん、ばばちゃん、あーちゃん、と一緒に1泊2日で芦原温泉へ出かけた。 お天気には恵まれたし、何といっても子守り役が3人も来てくれたので、夫と私は久しぶりの旅行を楽しんだ。

小さい子を連れての旅行が楽しくなるポイント(我が家に車はなく、皆、電車好き)

  1. こどもの数以上のおとなが同伴する
  2. 滞在型の旅にする(宿泊先を1日ごとに変えたりしない)
  3. 防寒着・おやつ類・おもちゃ類等こどものためのものを持参するために自分のための荷物を減らす
  4. 観光したいところ、立ち寄りたいところの地図は早めに入手し下調べしておく
  5. 母子手帳・保険証・常備薬の持参
  6. 宿泊先の選定(子供料金が設定されているぐらいの方が安心)

 それでも、「抱っこ!」攻撃に参り、便秘で心配させられた。旅館では飾ってある花や、置いてある灰皿を全部上の棚 に上げ、食事の際は食器を触らせないようにし、温泉に入るときには中でおしっこ(ましてやウンチ!)が出たらどうし よう、とヒヤヒヤし……結構気疲れしたが満足度100%。

 それに味をしめて、半年後、海外旅行までしてしまった。マサミツは2歳になっていたこともあったので、家族3人の みでオーストラリアのシドニーへ。夫の出張に妻と息子が勝手に着いて行く一都市滞在型の旅で、これまた大成功。満足 度200%。

だが、一番下のこどもがふたごの場合、旅行はぐっと困難になりそうな気配がした。考えても見ろ!

ふたご1が走る → ふたご2が追いかける → 父がふたご1を追う → 母がふたご2を追う → マサミツがひ とり残される → 母はふたご1・2とも父に任せる →父ふたご1・2を抱っこで連れ戻す → 父ぐったり

かと思えば……

マサミツ面白いものを見つける → マサミツ走り出す → 父マサミツを追いかける → 母ふたご1を右手に2を 左手につかんでおく → ふたご1・2ともにマサミツを追いかけたくて泣き出す → 母しゃがんでふたご1・2をな ぐさめる → 父とマサミツ戻る → むりやり連れ戻されたのでマサミツ泣く → 父母ぐったり

しまいには……

ふたご1ねむくなる → 父ふたご1おんぶ → 当然ふたご2もねむくなる → 母ふたご2おんぶ → マサミツ だけ元気で走りまわる → 勝手に先へひとりで行かせると危ないので父ふたご1をおんぶしたまま走る → 宿泊先へ 着く → マサミツ疲れて寝る → 父母も疲れて寝る → そのとたんふたご1・2復活する → 父母ぐったり

ああ、見るも無残な旅行風景ではないか。

毎回じじちゃんとばばちゃんがついてきてくれるとは限らないのだ。(ちなみに、ばばちゃんは芦原温泉旅行のとき、 “マサミッチャンのために”とバスタオル、菓子パン、プリン、ゼリー、ジュース、着替え一式、を持参し人一倍重い荷 物を持っていた。嗚呼!)

悲惨な旅行をする前に「行けるうちに行ってしまえ!」ともうすっかり目立ったお腹を抱えて1泊2日旅行に繰り出す ことにした。子守り役はじじちゃん、ばばちゃんである。(ばばちゃんには今回はいらないものは絶対持ってきてくれる なと念を押した、がやっぱりおやつは持ってきた。それもビンに入ったアメ。嗚呼!)

先生には14週の検診の際に「行くなら今のうち、疲れたらすぐ休憩できるところ」と許可をいただいた。マサミツは 2歳7ケ月、私のお腹は17週だった。

背中に大きなリュックを担いで山登りはしたことがあるものの、お腹にふたごをかかえて旅行をしたことはなく、少々 不安だったが、「今しかない」と軽い悲壮感も手伝って実行に移した。

行き先としては、

  1. 新幹線でサッと行けてあちこちにベンチがあって休める「倉敷チボリ公園」
  2. 行ったことがなくて前から行ってみたかった、電車からの景色もよい「飛騨高山」
  3. エビ、貝、お刺し身、あー食べたい「伊勢志摩」
が候補に挙がったが、「2」を採用。

普段は旅行先ではわざと遠回りしたり、寄り道したりが大好きな夫と私だが、散策している途中でしんどくなったら、 ひとりでも旅館に戻って休むことを誓って出発した。

心配するほどのこともなく、すこし肌寒かったので、もう一枚羽織るものを持ってくればよかったと後悔はしたもの の、少し歩いては休憩、ベンチを見つけては座る、を繰り返して楽しい旅行となった。

マサミツが途中で欲しいといったときのためのおやつやジュース、上着やカメラはすべて夫が大きなリュックに詰めて かついでくれた。私は、小さなかばんをひとつ肩から斜めにかけてトロトロ歩いた。

旅の最後に立ち寄ったJR飛騨古川駅の裏にある飛騨の木樵館では、イベントとして“丸太切り”が体験できるとあっ た。いろんな歯の大きなノコギリが並んでいる。

「……やってみたいっ。」

こういうことはやってみたい性分である。会館の人にノコギリのひきかたを教えてもらって直径20センチの杉の木を 切りはじめた。

「妊婦……丸太を切ってもいいのでしょうか?」先生には聞いてこなかった。

予想外にシャッツシャッツと切れる。素直に嬉しい。あんまり一生懸命に切って疲れるといけないので中心まで5セン チのところで夫に交代した。

会館の人も「妊婦の丸太切り」はめったに見られないとあって、カメラを取り出すありさま。

切った丸太は記念に持ってかえってもよいということで、厚さ5センチの輪切りを自分へのお土産にした。丸太にはマ ジックでこう書いてある。

「1999年5月16日 もうすぐふたごが生まれます!」





                 

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