ナクヨうぐいす平安京=平安京遷都794年。
いきなりなんのこっちゃ?でしょうが、平安京ができてから1200年(建都1200年)のイベントで1994年に初めて開催された京都シティハーフマラソンが恒例となり、毎年3月に行われているのである。フルマラソンの半分の距離だが、京都の歴史的建物や景色を巡るようにコースどりされており、ゲストの有名マラソンランナーと一緒に走れたり、日程の前後に観光案内もあったりして、全国からわざわざ走りに来られる。わりあい人気が高いので、希望しても全員が走れるとは限らないのだが、夫は勝率5割以上で抽選に当たり、都大路を花粉症にもめげず走っている。
そのハーフマラソンの前日に、私は出血した。
ふたご宣言をうけた4日後の土曜日だった。久しぶりの小春日和に誘われ、動物園に出かけたのが悪かったのだろうか。原因は不明だが、お風呂上がりに少量の出血(薄ピンク色)があり、慌てた。
すぐに、産院に電話をして指示を仰いだ。
- これ以上出血の色が濃くなったり、量が多くなったりしたらもう一度電話する。
- 腹痛があればすぐ電話する。
- 明日(日曜日)も安静にする。終日横になる。起きるのはトイレと食事のときのみ。
早速のトラブル発生だ。
この頃のマサミツは私が「やっと日曜日だ。あと30分でいいし寝たい!」と思っていても鬼のように「おかあさん!起ぉきぃよぉー!」コールの嵐でゆっくりできないわ、片手間に遊ぼうものなら、泣いて抗議するわ、の手のかかるガキで、“安静”を言い渡されても、ずっと寝たままでいるのは不可能だ。
夫は心配してマラソンに出るのを取りやめると言い出す。せっかく、体調を調えて自己ベスト記録を出そうとしているのに、もったいないので、その日のうちに母に電話をし、翌日長男の世話をしに来てもらうことにした。
一夜が明け、夫はハーフマラソンに出かけた。
「11時ごろムツミ堂(カメラ屋)の前らへん通るしな!」という予測だったので、歩いて5分ほどの約束の場所へはマサミツとばばちゃんとで応援に行ってもらった。
「おとうさんいはらへんかったわー」と、振ればものすごいバタバタと音のする紙の応援旗を3本も持ってふたりは帰ってきた。よそ見している間に走り抜けたのだろうか。とりあえず、応援には行った、ということでマサミツも気がすんだらしい。
ホッとしたところへ、また出血だ。今度は3ミリくらいの血の塊が出た。すぐに電話をする。
この出血は寝ていたとき溜まっていたものが出てきたのだろう。安静を続けて、心配であれば、明日(月曜日)受診してください。とのこと。
とにかく、まだ2.5センチたらずの小さい小さい命が元気であることを祈るだけだ。一度9週で流産を経験しているだけに、流産で流れてしまうものを止められはしないことは充分わかっているつもりだ。だが、どうにか子宮にしがみついていてほしい、元気に育って生まれてきてほしい、という思いでいっぱいだ。
昼には出血は茶褐色のおりものに変わり、夕方には出血は完全に止まった。
夫はハーフマラソンを完走して、くたびれて帰り、寝ている。マサミツは次々走ってくる人全部に「ガンバレ!」と声援し続けていたので、くたびれて昼寝をしている。ばばちゃんは食事のしたくをして帰った。
翌日、念のため午前中に受診する。
「ふたりとも元気」という先生の第一声を聞いて安心する。だが、
- 出血原因は不明
通常出血した場合は内診で出血場所が筋になって見えるのだが、どこから出血したのかが見えない。そのため、前置絨毛(ぜんちじゅうもう:胎盤が子宮の入り口近くについてしまったため、はがれやすくなる)の疑いがある。前置絨毛かそうでないかは5ケ月〜6ケ月にならないと判明しない。
- 繰り返し出血が続くのであれば入院して安静を保つ必要がある
今後鮮血が出る可能性もある。便の圧力で出血することもありうる。
- 長時間歩かない、立たない
とにかく子宮を休めることが第一。一週間の安静。
またしてもリスクが増えた。まだ9週目なのに何ということか。とにかく、今出血が止まっているのでできる限り安静にする。折り悪く、夫は明日から3日間出張で不在だ。夜中に出血して緊急入院てなことになったら大変だし、増してマサミツがいるので昼間も何かと相手をしてやらねばならない。安静が解けるまで実家に3泊させてもらうことにする。“ふたご”っていうのはやっぱり大変なんだ。思いに体はついていかない。
一週間後、安静も解けて久しぶりに外へ出た時、マンションの向かいに住むりなちゃんとママに久しぶりに会う。
「こないだ、ミッチャン(マサミッチャンの省略形)ずーっと写ってたえ!がんばって旗振ってたなぁ!!」
地元のテレビ中継があってニュースで映っていたそうだ。ばばちゃんに言うと、「なんべんもテレビの車(中継車)来てたわ」とのこと。そんなんやったら、早く言うてぇさぁ!映ってるかもしれへんかったら、録画しといたのにィー。自分の体調が悪かったくせにゲンキンなものだ。ともかく、とりあえず流産の危機を乗り越えた妊婦だった。