アジア・ヨーロッパ縦断ツーリング回顧録



 念願のアジア・ヨーロッパツーリングを無事終えることができました。
そして自分の人生のなかで とても大きな収穫のあった経験でした。
やっぱり無理をしてでも行ってよかったと思います。
 もし将来この種のツーリングを計画されるかたの参考になればと思い、
今回の
ツーリングのデータ・参考情報をお知らせいたします。



  パスポートに見る旅の記録

  インド入国VISAと車両持ちこみ審査
右側のページがインド入国VISA
インドのVISAは旅行代理店に依頼した。
左側のページには通関時(インドの場合はボンベイ港税関)に車両No フレームNo エンジンNoの確認がおこなわれ、カルネの入国確認部を切りとり、パスポートに記載される。出国時は入国時よりは簡単。カルネの出国部分を切り取りスタンプを押しておしまい。

*カルネ・・輸入一時許可書
持ちこむ車両はその国で売却しないことを証明する手続き⇒カルネ手帳ともいう。カルネがないとその国入国する毎に、時価総額あるいはその倍以上の税金を支払わなければならない。


 イランVISAとバイク持ちこみ手続き

イランVISAは日本では時間がかかりすぎてとれなかった。 仕方なくインド(デリー)で取得。但し一週間の通過VISA・・・。駐インド日本大使館に行って推薦状を交付してもらう。申請から一週間で交付。



右ページ上段にケルマン(イラン)で申請
した延長VISAのスタンプ。他はカルネ
不要の国でも押されたバイク持ちこみ
を記入した記録。
 VISA不要の国でも入国審査では
スタンプを押してくれます。
 イスラム圏ではイスラエル入国の
痕跡があると入国拒否にあう国が多
いから注意のこと
 左ページは通過国のスタンプ。
トルコ、ギリシャ、ユーゴスラビアの検印。
 右ページは日本出国、帰国の際の
スタンプ。ヨーロッパでは国境検問所すら
ないところがあるが、あった場合は記念に
スタンプ押してもらったらいいぞ。普通は
見るだけですぐ返してくれるから。




1 ツーリングデータ

バイク  ホンダ アフリカツイン。98年式 2年使用(17,000km走行後)

期間   2000年3月24日〜2000年5月27日

ルート  インド〜パキスタン〜イラン〜トルコ〜ギリシャ〜ブルガリア〜ハンガリー〜オーストリア〜ドイツ〜ベルギー
〜オランダ〜ドイツ〜デンマーク〜スエーデン
  

走行距離  15,346km

要した金額 90万円弱
         内訳:バイクの往復輸送20万円 自分の往復飛行機料金18万円  生活費用(ガソリン代・食費・ホテル代)35万円   その他(手数料、グリーンカード、バイクメインテナンス)15万円 
   

携行用 生活用品、野宿用品、VTR、カメラ、パソコン、バイクメインテナンス用具、

トラブル   パンク(5回) バイクの通関手続き(インド)

役だったもの クイックパンク修理剤、工具、デジカメ、パソコン、空気入れ

使わなかったもの 野宿用品、DC−ACコンバータ(DC12VーAC100V)


2 ご参考まで・・・の情報

ホテル

 どこの国でもホテル捜しで苦労することはさほどない。ホテル捜しで苦労するのは主に大都市と観光地。大都市は高級ホテルから安宿まであるが、高級と呼ばれるほどに満室のケースが多いし、安宿は見つけにくい場合が多い。中小の街はホテル探しは簡単。安宿は地元の人に聞くといい。したがって私の場合、宿泊地はできるだけ大都市は避けた。インド・パキスタンでは部屋をよくみてから値段交渉したほうがいい。あたりはずれが大きい。安宿は150円〜500円。中級クラスで1000円〜3000円(これでも結構グッド)。高級クラスは日本と同じくらいの値段。部屋の内容は中級と高級の違いは思った程の差はない。ヨーロッパの比較的リーズナブルな宿泊施設はガストフ、B&B、MOTELがある。朝食付きで4500円から6000円くらい。中級のホテルも値段は同程度。あとはユースホステルがあるがこれはなかなかみつけづらい、相部屋で1500円から2000円。個室で約4000円。ヨーロッパの安宿は「フォーミュラー1チェーン店」」を結構利用した。「Fー1」という派手な看板がでているので分かる。システムをかなり合理化しているので従業員は一人。午後5時にならないと受付しない。一泊2000円前後。部屋に洗面所はあるがトイレとシャワーは共同。市街地中心部から少し離れている幹線道路沿いにある。フォーミュラーというよりはフルムラと発音する人が多い。最初は日本人が経営する「古村ホテル」かと思った。 
食事・水
 インド・パキスタンの「食堂?」では見えるところで調理しているから、鍋のふたを開けて これとこれをくれ、と言えばわかる。水に関していえば誤解が多いと感じた。インドでお腹をこわす原因は現地の水事情だと聞かされたが実態は調理人だと思う。その不衛生さは口をはばかるぐらいにひどい。衛生知識の乏しい(と思われる)子供が調理しているのもザラ。手はもちろん衣服は車の修理工場の作業服のように汚れている・・・。熱を加えない料理は避けたほうがいい。現地の水は抵抗無く飲めた。ただ、現地の人でも飲まないような場合もあるそうなので確認してみること。ミネラルウオーターはどこでも売っている。暑い地域を旅行する場合、お腹の不調は旅行自体の成否にかかわってくるほど重要。私の場合は事前にお腹のトレーニング?をした。出国する半年ぐらい前から毎日ヨーグルトを食べ続け、風邪などにかかったときも抗生物質・抗菌剤の服用を避けた。これが結構良かったのかも・・・。
ガソリン
 値段の一番安い国イランが要注意。1リッター5円!程だが、商売気がないからスタンドが街以外には少ない。50km以上ガソリンスタンドのない区間はザラ。パキスタンでは軽油のみのスタンドが多い。インド〜東欧までは小排気量の2サイクル車が多いのでスタンドでは混合ガソリンの給油機がある。ガソリンスタンドが見つからない場合は道路にガソリンの入ったポリ容器を置いてある家で買う。ヨーロッパはセルフ給油が主だが、現金・プリベートカード仕様のものがあって困った(現地語表示・説明でよくわからんかった。金をいれてもガソリンが出てこない・・・)。
パンク修理
 ・・・・こんなところでパンク! と2度目のパンクに愕然とした。しかしインド・パキスタンでも10軒くらいしかない集落が10キロ毎にはある。そして簡単な車・修理をやるところがだいたい一軒はある。そこそこの集落になると車の修理屋があり、そこは車の簡単な修理からなんでもやるみたい。バイクのパンク修理なぞ朝飯前。これが判ったから以後 全部自分で修理するのはやめにして(慣れてないから半日かかる)、車輪をはずしてそこに持っていくことにした。ラクラク。これと正反対なのがヨーロッパ。バイク屋以外は断られる。そしてバイク屋がなかなかない・・・。瞬間パンク修理剤は便利。釘踏みパンクには最適。しかしあくまで一時的な修理だから(2千kmは走れた)あとでちゃんと修理すること。予備のチューブを持っていってよかった。
生活習慣・宗教
 インドの食事のカレー攻撃には正直参ったさん。食い物全部が辛い。露店のトウモロコシを食べようとしたらカラシを塗ってよこした。辛くないものは水だけといっていいぐらい。トイレはインド〜トルコまで多少の方法の違いはあるが「局部水洗方式」。でも慣れると不自由さはないね。パキスタン〜イランでは女性を外で見かけるのはバザールぐらい。外でたむろしているのはぜーんぶ男、男。家に訪問しても相手をするのは男。カミサンは出てこない。異性に触るのは社会的なご法度。握手もだめ(おばあさんはいいんだって)。
 イスラム世界でも国による違いが相当にある。イランは規制(酒・衣服)がハード。パキスタンも酒はダメだが隠れて飲んでいる人が結構いる。トルコでは自由。でもイラン国民は厳しい戒律には相当に飽き飽きしている印象。サラート(お祈り)にしても規定どうり?熱心にやっている人は5人に一人いるかいないかの印象。自由化推進のハタミ大統領はスゴイ人気。保守派のハメネイ、ラフサンジャニは人気がないね。
通貨・銀行
 インド〜東欧までは隣の国へいくと前の国の金はゴミ同然だがドル・マルクなどの主要通貨は別格。それでも硬貨はダメ(いくら高価でも)。また、いくらドルが使えるといっても中級ホテル以上の場所しか使えない。したがってある程度の現地通貨の両替は必要。国境通過前に残っている現地通貨は使いきること。ブルガリアでは残った金で全部酒を買ってもよかったかな、と後悔。東欧はドイツマルクが絶大。ユーゴ周辺はドイツマルクが普通通貨。ヨーロッパ(旧東欧以外)では現地通貨の両替は少量にして支払いはクレジットカードをを使うほうが良い。インド〜東欧は銀行によって取り扱い業務が限定されているから TC・USドルから現地通貨の両替は特定の銀行しか扱わないので面倒くさい。両替銀行が近くにない場合は地元の人に尋ねると 替えてくれる商店・バザールの店・貴金属店などを教えてくれる。こっちのほうが率が良い場合もある。
ガイドブック
 @ 「バイクで行く世界一周」:堀口誠 
 A(本の名前は忘れたが、バックパッカー向け中東旅行の本は途中の国で見せてもらったが、これがなかなかいい) 

言葉
 インド パキスタンは英語を話す人が多い。イラン、トルコでは英語を話せる人が少ないが困ることはない。言葉がまったく通じなくても日常生活に支障はないが複雑な交渉はだめ。最低限の現地語(コンニチワ、アリガトウ、サヨウナラ)を使えると、それだけでもコミュケーションはスムーズにいく。感情を入れて話すには日本語が一番、怒ったときなんかすぐ伝わるゾ。
交通事情・道路事情
 インド パキスタンは日本と同じ左側通行、イラン以降は右側通行。道路はパキスタンは良くない。パキスタンでは未舗装の区間や舗装のはげているところが多い。迂回路では川底みたいなところや、砂漠のフカフカの砂のところを走らされたりする。注意しなければならないのは道路上に規則的に置かれている石。これは迂回路を示したり工事中を示したりするサイン。走っていればわかってくるが絶対無視しないように。橋の途中でこの石のサインがあって、注意していたらその先に大きな穴があいていたことがあった。あとパキスタンでは走行中、砂嵐にあった。インド〜パキスタンでは交通モラルが希薄。ウインカーは出さないし イラン〜ヨーロッパまでは道路はよく整備されている。ヨーロッパのアウトバーンは複雑なので迷ったり、行きすぎたりすると元の所に戻るのが一苦労。町の出口表示は一度きりしかない場合もある。スムーズに走るのに 目的地の場所と通過する主な都市、走る路線名、路線チェンジ場所をメモしてタンクバックの透明ケースに入れ、それを見ながら走った。
バイク事情  

バイクの保管
 ホテルでは敷地内に置かせてもらえたり、ガードマンが24時間監視しているホテルが多いからそういうホテルを利用する。そういうホテルでないときは建物のなかに入れさせてもらった。また向こうでそう言ってくれる。裸で置くとなにやら人が集まってくるが、バイクカバーをかけて置くと不思議に人が近寄らない。  
危険情報
 外務省や他のところからそういう情報が提示されているが、古かったり その内容が正しくなかったりする。だいたい正確なのはそこから来る旅行者や手前の街の人の話。複数の人から聞いて情報を総合すると実態がつかめる。現地では自分の場所の悪い話はしたくないのが普通だろう。どうしてもその地域を通らねばならない時はその内容をよく確かめるのが肝心。危険なのか、危険ではないが評判が悪いのかなど。それによって対応も変わってくる。
ビザ
 日本はほとんどの世界中の国を問題無く入国できる数少ない国のひとつ。たいていの場合は隣国でVISAは取得可能だし、VISA不要の国さえある。しかし中近東は入国する国によってVISAの手続きが異なる場合があるから注意。一番ネックになるのはイランビザの場合だ。イランに入国できないとアジア横断が不可能だからここは慎重に。イラン入国VISAの取得法は複数の手段がある。
@イラン本国の知人に自分の入国希望の書類(複数)を送る⇒その知人がイラン外務省で書類審査を受け、OKの場合知人がリファレンスナンバーを通知される⇒リファレンスナンバーを日本(自分のところ)に通知⇒自分が在日イラン大使館にリファレンスナンバーを通知しイラン本国に照会⇒イランVISA発給。
A在日イラン観光局主催のイラン観光ツアーに参加してVISA発給を受ける。
B近隣国の大使館(インド、トルコ)からVISA発給をうける。
C日本の「ビザ宅配屋」から3万円払って買う。
この四つがある。@が正規といわれる手続きだが この場合は知人がイランに在住していないと不可能。Aは陸路国境通過だと受け付けてくれない。B発給までに1週間かかる。しかも1週間の通過VISAのみ。 C通常の申請料金の何倍で、しかもなにやら怪しげな匂いがするが正規の滞在VISA。私の場合は@の方法をとったが、うまくいかずにBで取得した。当然入国後はVISA延長手続きが必要になった。
 いずれにしろお金よりも時間がかかる問題なので、休暇をとって旅行をつづける場合は出国前に必要なVISAは日本でとっておいたほうが絶対によい。
パソコン・インターネット
 パソコン(バイオPCG−C1S)はEメール、HPの接続のほかに デジカメの写真ファイル、日々のツーリングの記録、などに毎日とても重宝した。ただ接続プロバイダーが日本なので電話料金が莫大! 今後海外ツーリングにパソコン持参の方は世界ネットのプロバイダーに契約しておくとよい。電話の接続コネクターは日本と同じものなので困らなかった。
電源事情
 インド〜スエーデンまで220V。コンセントは丸穴二つのタイプでほかのアダプターは使わなかった。パキスタンでは電源事情が悪く、停電がしょっちゅうあった。停電時間帯がある。懐中電灯は必需品。
バイクの輸送 
 東京からインド(ボンベイ)までの輸送は船便で2ヶ月弱。料金は10万ちょっと。インドで通関を受ける場合は問題が多い、インド輸入障壁・制限品目のせいで インドへのバイク持ちこみは難関がいくつもある。それ+インドの賄賂社会構造である。日本で通関手続・税金合わせて2万円前後なのがインドでは7万円かかった。貨幣価値の違いをいれると それはとんでもない金額だ。インドで個人での通関は絶対無理。タービュランス(千葉)提携のボンベイの会社に代行してもらってようやくバイクを受け取った。スエーデンからのバイク輸送は苦労してみつけた。ここは輸送のみの料金で7万円。最終目的地が決まっているのなら、出国前に日本で輸送会社決めて連絡をつけていったほうがよかったと思う。
バイクの整備・パーツ

 推定走行距離を最大限2万キロと予測した。逆算すると現用している消耗パーツのほとんどが旅行中に交換が考えられた。そのため寿命のまだあるパーツも出発前にそれを新品に交換した。@前後タイヤ Aエンジンオイル、 オイルフィルター B前後スプロケット Cチェーン Dエアフィルター Eケーブル類(ブレーキ・クラッチ・スピードメーター) F前・後ブレーキパッド。交換したブレーキパッド ケーブル類はまだ使えるので予備パーツにした。 その他用意したパーツは チェーン駒、ランプ球、タイヤチューブ、ブレーキ・クラッチレバー。しかし途中のパーツ交換・整備は結局オイル交換とオイルフィルターの交換だけだった。タイヤはヨーロッパでの交換を予想したが15,000km走ってもまだ少し余裕があった。


   

 あ と が き                         

「海外ツーリング」と聞くとそれだけで大変なこと、それも中近東界隈のルートはとっても危険だとの印象を持っておられる方が多いですね。行ってきたから言う訳でもないんですが、問題はなかったです。それも予備知識どうりです。本当に行ってみたいけど心配。と思う方に一言。 「東京〜北海道までソロ・ツーリングできる能力があれば大丈夫」。 国内ツーリングの経験を積み重ねていけば心配はありません。
 しかし、初めての経験でしたので反省点がいろいろありました。ルートの選択に関しては今回の西回りは問題が多かったですね。イランVISA取得とインドでのバイク通関です。このためにインドで都合2週間待たされ、行きたかったシリア、ヨルダン、イスラエルが行けなくなりました。それと通関でイチャモンつけられてJAFに助けを求めた時のJAFの対応がひどかった。日本大使館でさえ もっと親身だぞ。くっそー、カルネ処理が終わったら見てろよな。
 ツーリング費用は2ヶ月で90万円近くかかりましたが、インドで余分な金を随分使ったのと、ホテルをインターネット接続のために高いホテルをたびたび無理して利用したので結構高くついてしまったと思います。それがなかったら10万以上安く上がったかな・・と。
 バイクの輸送は日本では「タービュランス」、スエーデンでは現地で苦労して探したNOBATRANTにお世話になりました。両社ともお奨めできる会社です。
 バイクの選択に関してはこの種のツーリングには絶対と言っていい程アフリカツインは良かったと思います。走行性能、荷物の積載量、長時間運転の疲労の低さ、好メインテナンス、言うことなしです。ただ、度重なるパンクには参りました。野宿道具はいらんかった。荷物の中で一番重くて量があって毎日積み替えしなきゃならんのに一度も使う機会がなかったから、よほどの野宿好きでない限りいらないね。
 バイクツーリングの楽しみの他に、自分が知りたい事が他にいろいろありました。それらが納得できる形で経験できたのはバイクで行ったからだと思います。短期間の旅行会社のパック・ツアーじゃ絶対無理だね。
まだまだお話したいことがたくさんあるけど、キリがないから質問その他がありましたら伝言板・Eメールで遠慮無くどうぞ。お待ちしております。
では・・・・・・・・