オオクワガタの飼育について
はじめに:

オオクワガタは、日本本土に生息するもっとも大きな Dorus属です。学名はいろいろな説がありますが、ここではポピュラーな Dorcus curvindens としておきましょう。この種は夜行性で潜洞性が強く、成虫は樹液を大量に出し、うろや洞があるクヌギ・アベマキ・ミズナラなどの巨木にしか住み着かない上、幼虫は電信柱より太い、特定のキノコがついた乾燥気味の立ち枯れにしか穿孔しないため、1980年代はじめにはその生態に精通している人しか採集することができないほとんど幻のクワガタでした。
ところが1986年に月刊むし「オオクワガタ特集号」が発売されるやいなや、このクワガタは日本で一番人気のあるクワガタになってしまい、おまけに冬季に立ち枯れを壊して簡単に採集できることが知れ渡ったため、日本各地に点在する有名産地で乱獲が始まり、生息地域の無秩序な開発と相まって現在では野生の個体群はありこちで絶滅の危機に瀕しています。いずれにしても素人にはとりにくいクワガタであったため、バブルの最中には百貨店などで数十万円もの正札がつけられる異常事態も起こりました。
なぜこんな人気のある「むし」になったのかはわかりませんが、本来クワガタに興味など失っていた、ふつうの大人までが自然破壊も省みず、このクワガタを採集しようと躍起になったのは確かです。本土産で80mm近い体長に達する数少ないクワガタであり、成虫が5年以上も生きる、また潜洞性が強いため逆に飼いやすいなどが人気を呼んだ原因かもしれません。
私は1986年の月刊むし「オオクワガタ特集号」に「オオクワガタの累代飼育」の詳細を、おそらく世界で初めて報告した張本人であり、この異常なオオクワガタブームの火付け役の一人であると長年責任を感じ続けて来ました。もしかしたら自分の報告論文がオオクワガタを絶滅に追いやりかけたのでは無いかという考えから、個人でできる種の保全として「オオクワガタ・スズムシ化プロジェクト」を推進しています。これはオオクワガタそのものを誰でもスズムシの様に簡単に飼える昆虫にしてしまえば、乱獲も少しはやむのではないか?仮に野生種が激減しても大量に巷間で飼育されていれば、種としての絶滅は免れるのではないか?という気持ちから進めているものです。このプロジェクトはニフティ・昆虫フォーラム【甲虫広場】(コマンド:GO FKONCHU)で行っています。菌糸瓶いりの幼虫や繁殖用の成虫を無料で配布して、常時飼育相談も受け付けていますので、是非昆虫フォーラムにおいでください。
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最終更新日 : 2000/01/14.