ミヤマクワガタの採集

ミヤマクワガタは近年採集できる場所が極端に減ったクワガタだと思います。かつては横浜の市街地や林間の車道沿いにもたくさん見られたクワガタですが、乱獲と地域開発、そして何より、地球温暖化の影響で気温上昇と乾燥が進んだ森林からは一気に姿を消してしまいました。今ミヤマクワガタがなんとか見られるのは、自然が豊かに残った山中か、一風変わった場所だけになりつつあるように感じます。近年筆者は以下の様な場所でミヤマを見つけています。

1.水没するヤナギ林

標高の比較的高い場所にある河畔林やダム湖の周辺に、時々水没する様な高湿度の林があったら、ヤナギやハンノキの枝先を根気よく探して見ましょう。もちろんこうした場所は立ち入り禁止の危険区域だったり、一つ間違えば湖に転落する様な危険な場所です。しかしミヤマクワガタは乾燥と高温に弱いので、意外にもこうした人間が近づきがたい様な場所に住み替えているのです。写真は某ダム湖上流のヤナギ林をボートの上から撮影したものです。この林の中に危険を顧みず入ってみると・・・

こんな風にミヤマクワガタの♂が♀をメートガードしているのが観察出来ました。この写真はストロボを焚いているので明るく見えますが、実際には、ミヤマたちはすべて太陽の日差しを避ける様に斜めになった木の幹の上の方の下側についていました。

同じような場所で、低い位置の樹液を探すと、そこについていたのはノコギリクワガタやカブトムシばかりでした。ミヤマクワガタは暑さを嫌い、木陰で風通しの良い場所の樹液だけについている様でした。しかし、下の様なかわいそうな個体もいました。

この大きな雄は、下半身がありませんでした。どうやらカラスに食われたあとの様です。下半身を喰いきられながらも、まだこの雄は生きていました。同じようなに下半身を喰われたカブトやクワガタの死骸がたくさん落ちていましたので、この林のムシたちはカラスの補食圧に、常に晒されているようです。

この水没林で採集できたのは、ミヤマのサト型が数匹と、ノコギリクワガタの小型〜大型個体でした。体長をはかり、どんな形態か確認したら、繁殖の為に持ち帰る個体をのぞき、すべてもといた場所に放して帰ります。ミヤマクワガタの飼育は困難なので、必要以上の個体は持ち帰らない事にしているのです。もう一カ所、やはり意外な場所にミヤマがいました。それは田んぼの真ん中の入会地です。

2.水田の中の入会地

いわゆる里山環境ですが、田んぼをわたる風のおかげで、クヌギやコナラの雑木林の中は湿度が保たれ、比較的涼しい環境でした。ただしこういう場所のクワガタは、あまり昼間は活動していません。写真の様に夕方涼しくなってからが観察の好機です。

この田んぼの中の雑木林にはたくさんのノコギリとコクワに混じって、ミヤマクワガタがすこしだけ見られました。そこでこの入会地から山の中に続く林道を歩いて探してみると、下の様な大きなミヤマも見ることが出来ました。

上のミヤマはサト型ですが、ちょうど70mmありました、同じ林道沿いの木には、わずかな樹液を取り合って闘うミヤマの姿も見られました。

この雑木林は、入会地で雑木そのものの伐採が禁止されているため、クヌギやコナラの大木が多く、田んぼからの湿気を含んだ風のおかげで、林内はほどよい湿度と低めの気温が保たれていました。もう一つ、今ミヤマが見られるのは、標高1000mを超す山地の環境です。

3.高標高地の水辺の林

この環境は標高1200mに広がる、高層湿原の回りの自然林です。こうした場所では、樹液を出す木を探す事自体が大変ですが、うまく樹液を出す木を見つける事が出来ると、エゾ型のミヤマがいるかも知れません。

ミヤマクワガタが今でも見られる場所は、この様に、湿度が常に保たれ、気温が真夏でも25℃〜30℃くらいに保たれる環境です。この様な場所で、開発が行われておらず、乱獲されるほど採集者が入っていない場所なら、ミヤマクワガタは何とか生き延びていけるのです。この文章を読んでミヤマのたくさんいる場所を見つける事ができても、どうぞ乱獲だけはしないでくださいね。

ミヤマクワガタのトップへ ミヤマクワガタの飼育へ


著作権者 情報:copy right by K.Fumishima
最終更新日 : 2005/10/15..