3.5inch フロッピーディスク10枚入りケースによる人工蛹室の実体

個人メールでお問い合わせの多かった、3.5inch FD10枚入りケースを用いた、簡単な人工蛹室と、その中での羽化の様子をご紹介いたします。この人工蛹室は昨年1999年に菌糸瓶による羽化不全が相次いだ時に、菌糸瓶内の酸欠が原因ではと考え、急遽考案したものです。真夏に空調の無い飼育場所で次々と死んでしまった菌糸瓶内の大型蛹をよそに、こんな簡単な人工蛹室に移された蛹は一応すべて無事に羽化してくれました。

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FDケースによる人工蛹室の作り方はごく簡単です。画像の様な3.5inch FD10枚入りケースに、縦半分に切ったトイレットペーパの芯にペーパータオルを巻き付けたものを詰め、さらに一度水を張って十分湿らせてやります。感じとしては紙でFDケースの中にU字溝を築くと考えれば良いでしょう。実際に蛹を入れてみて、幅で1.2〜1.5倍、長さで1.5倍以上あれば、だいたい寸法もOKです。実際に人工蛹室の中でオオクワガタがどのように羽化するかを以下に見てみましょう。

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蛹は最初仰向けになって静止している事が多いですが、羽化が近づき尾端のイルカ尾状の期間がしぼみ切ると、腹部を振り回して腹這いに体制を入れ替えます。このとき最初は中脚だけで身体を支える様です。

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前胸背の後部の膜質部の付近から亀裂が入り、蛹が空気を消化管に飲み込む事で膨らんだ腹部の働きにより、蛹の皮は縦横に裂け内部から新成虫が姿を現します。ついで足踏みするような各脚の動きによって蛹の殻はだんだん後方に押しやられます。

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脱皮が済む頃には鞘翅が中央で合わさり、頭部が下を向いたまま後翅が伸び始めます。このときよく観察していると前胸背側縁のえぐれに、触角の先端がうまく保護されている様子が観察できます。

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とりあえずは無事に羽化したオオクワガタの♂です。この個体は外から見えにくい位置で蛹化していたため、崩壊する菌床にしばらく放置される結果になってしまいました。そのため蛹の時期に極端な湿度変化を経験し、前胸背や鞘翅にかなり凹凸を生じています。この後活動を始めるまでの約1ヶ月間、不必要な温度変化や湿度の急激な変化を避ける様にすれば、ふつうは餌を食べ始め活動を開始します。新成虫が♀なら3ヶ月経った時点でまだ夏日であれば産卵する可能性もあります。ただし人工蛹室は緩衝剤が少ないため、温度湿度の急激な変化を招きやすく、無事に羽化したはずの新成虫を短期間で弱らせてしまうこともあります。このようにあくまで人工の環境でオオクワガタを育てる菌糸瓶と人工蛹室の組み合わせには諸刃の剣の一面もあります。

特に人工蛹室に関しては、羽化までは簡単に成功する確率が高いので、その後の乾燥によって弱らせる事が無いよう、十分留意して上手に活用したいものです。

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最終更新日 : 2000/01/14.