バナナマット(C)茗荷谷博士
ニフテイサーブ昆虫フォーラム【甲虫広場】でも紹介されたバナナマットは、全く新しいクワガタ幼虫の飼育手法です。この手法は昆虫フォーラム会員のみかんさんの情報(戦前南方ではバナナを使い糠味噌を漬けていた)を元に、茗荷谷博士が考案したものです。オオクワガタの繁殖飼育水槽に残されて痛んだバナナを、その水槽の中で孵化した幼虫がトンネルを伸ばして食べに来ている光景は、私も何度も見ていますが幼虫の単独飼育にバナナそのものを与えると言う発想はさすがにわきませんでした。
従来廃ホダを元にした添加物マットには、小麦粉添加法(1986小島)、小麦粉添加予備発酵(1987滝沢氏・小島)、コーランによる発酵マット(1989小島)、グルタミン酸ナトリウム添加マット(1992小島)、強力粉イースト発酵マット(1994小島)、米糠発酵マット(1998茗荷谷博士)、専増産フスマ発酵マット(1998矢内氏)などがありましたが、穀物系ないし市販の発酵剤を用いる他には、生き虫業者が構成を極秘にして販売している「添加剤」程度しか有効とされる手法がほとんどありませんでした。
これらの穀物系及び、発酵剤によるマットの欠点は、予備発酵を行わないと安定した効果が期待できないにも関わらず、安定した発酵を行う定量的な基準がまだ十分確立されていない事によるトラブルの発生である、と言えそうです。現にこのページで早くから紹介している「強力粉ドライイースト発酵マット」ですら、作り方を間違えて発酵を失敗すれば時として飼育中のクワガタ幼虫が全滅してしまう様な危険性さえあります。
初心者の方に向いているのは、このような添加物と不安定な発酵を用いなくても、常に安定した幼虫の成育が期待でき、その飼育材料を安価に誰でもどこでも入手でき、しかも誰でも間違いなく作成できる手法であるはずです。今までこういったニーズにもっとも向いているのは、味の素などを化学調味料を用いたグルタミン酸ナトリウム添加マットと考えて来ましたが、これすら容量比1%以下と言うレシピを無視して餌の腐敗を招くと言う事例が多数報告されています。そこで、全く別の視点から見直す意味もあって茗荷谷博士考案の「バナナマット」をご紹介する物です。なおここでご紹介する「バナナマット」のオリジネリティは茗荷谷博士にありますが、筆者は追試の結果、若干の変更を加えております。
ご紹介に先駆けてお断りしておきますが、この手法はかなり安定した効果が得られる安全確実な手法とはいえ、生物の飼育に絶対はありません。このサイトで紹介している手法は「オオクワガタ・スズムシ化プロジェクト」のために、どなたが用いても全く制限を設けませんが、実際にトライされる方は、あくまでご自分のリスクで実験を進める様にしてください。このサイトにあるあらゆる手法に関しては、オリジネーター並びにサイトの管理者はいっさいその責任を負いませんので十分ご注意ください。
バナナマットの材料(オオクワガタ亜終令幼虫5匹分):
1.市販のクヌギ廃ホダを原料にしたクワガタ・カブトの幼虫飼育用マット(ここではミタニ社製くぬぎ純太くん)4.5リットル
2.バナナ中くらいの物を5本
3.飼育瓶(ネスカフェ1リットル瓶など)
4.水少々
5.化学調味料(ここでは味の素):45cc相当

作成方法:
1.味の素45cc相当を4.5リットルのマットに混ぜ、良く攪拌してなじませて置く。(このまま幼虫に与えれば味の素マットになります)このときマットがからからに乾いているときだけ、容量比10%以下の水を加えてしばらく寝かせておきます。味の素はバナナの影響でマットの栄養価が上がるまでのつなぎとして入れるだけですので必須ではありません。

2.瓶の底に作成しておいたマットを少しいれ、瓶1本ごとに1本のバナナを壁に沿わせて立て、さらにマットを瓶口2cmほどを残して軽く詰め込みます。瓶の底から手のひらで振動を加え、バナナとマットが完全に密着するようにさらに詰め込みます。バナナの柄を残してマットが詰まったら、亜終令幼虫の中期以降の幼虫を1匹ずつ入れていきます。

3.幼虫が完全にマットに潜ったら、乾燥と防虫のためにコート紙を挟み、直径5mm以上の穴をあけたふたを閉めます。最後の写真は昨年の秋からバナナマットで飼育を続けたオオクワガタ幼虫が終令になった直後を撮影したものです。この幼虫はバナナがなくなる(食べ尽くされる?)ごとに、同じセットを繰り返し、二回の餌交換を経て今年の4月に終令に加齢しました。アワビタケなどの菌糸瓶飼育と遜色ない頭部の大きさの幼虫が得られましたので、65mm〜70mm前後の♂成虫がえられるのではないかと期待しております。茗荷谷博士のところでは、すでに1回程度の餌交換で68mm程度の♂成虫が複数羽化しているとの事です。

**バナナマット使用上の注意(暫定):
餌交換はバナナが外から見て見えなくなったら、その都度行う。
幼虫の加齢直後と蛹化直前はできるだけ餌交換を避ける。
夏場はバナナが傷みやすいので、できるだけマットに埋めきって与える。
使用するバナナは今のところ防かび剤添加の物を使用しているが、有意の問題は現れていない。防かび剤不添加の物はむしろ餌交換の頻度が早まる事がある。
蛹化が近づいたら、一度バナナを取り出すか、幼虫のうちに別に用意したマットだけの飼育容器に移した方が安全かもしれない。
バナナマットはオオクワガタだけでなく、コクワガタ・ヒラタクワガタでもかなり効果があります。現在ノコギリクワガタでも追試を行っていますが、こちらはまだ最終的な結果は得られていません。
著作権情報:copy right by Hiroshi Kojima(ただしバナナマットは茗荷谷博士の考案による)
最終更新日 : 1999/12/28.