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多くの人々同様、私は精神の昼の様式と夜の様式を交互に生きている。もちろん、精神活動のこの二つのカテゴリーは相互に依存し合っており、深い所では一つである。両方とも同じ「主題」──人間──を扱わねばならない。つまり、人間固有の世界内存在様式と、この存在様式を引き受ける人間の決断を扱わねばならないからである。 ミルチア・エリアーデ「文学的想像力と宗教的構造」 |
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ミルチア・エリアーデは、世界的宗教学者として膨大な業績を成した傍ら、幻想文学作家としていくつもの名高い作品を遺しています。研究者である昼の顔と、表現者である夜の顔。その二つの顔はどちらも、彼が意味ある世界を生き続けてゆく上で欠かすことのできないものだったのでしょう。
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「へるん離熊」
初出:『Griffon's Garden Offline』No.5 1999 |
←New Works!
2000.05.04掲載 |
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持ち前の癇癪から熊本を離れる決意をしたラフカディオ・ハーン。激しい感情の高ぶりを抱いたまま眠る彼は、自らの人生を辿り直す幻想的な夢を見る。/ハーンの生涯を幻想文学の手法で綴った作品。熊本県が主催する草枕文学賞に応募して、第一次選考(769編中80編)を通過することができました。 |
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「カラサデ幻燈」
初出:『山陰文芸』第四号 1996 |
「山へ」
初出:『ほうきぼし』第51号 1990 |
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サーカスが町を訪れた日に、少年は家出を決意した。神隠しの伝説のある神秘の山で、少年は謎めいた男と少女に出会う。神在月の出雲地方、神々の帰る印である神等去出(カラサデ)の風の吹く日にかいま見た、一夜の幻燈。/私の生まれ育った島根県安来市を舞台にした、少年の心の癒しを描く幻想小説。『文學界』(文藝春秋社)平成9年3月号の「同人雑誌評」で名前だけですが触れていただきました。 |
精通を迎え大人になる権利を認められた少年・ハルは、村のしきたりに従い、呪術師コノイに導かれて神話をたどる旅に出る。伝統文化と西洋文明の葛藤、性への憧れ、死の予感。聖なる山にたどり着いた二人を、突然の大噴火が襲う。/通過儀礼の中で様々な出来事に出会い成長する少年を描いたビルドゥングスロマン。 |
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「ピエタ」
初出:『りぶれびぶれ』 1994 |
「聖なる旅」
初出:『ほしみそう』第一集 1988 |
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今まさに死を迎えようとしている男の脳裏に、子供の頃に過ごした海辺の家の風景がよみがえる。病床に伏し混濁した意識の中で懐かしい母の姿を求める男に、幼い孫娘の歌声がもたらしたものは……。/「世界から意味を受け取り様々な情緒的反応を示す、その作用の網が人間の生の本質である」という根本的人間観をひそめた幻想掌編。 |
死んだ夫との再会を求めて、女は旅に出た。人間を漁る魚、死体と魂を分離する工場、石のペニスを持つ地蔵。奇妙な街々を経巡った果てに、死者を再生する術を知るという神に出会い、夫との再会を果たすが……。/シュールレアリスムを試みた実験的作品。 |
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「闇を穿て、光の弓よ」
初出:『島根文芸』第三十一号 1998 |
「知事決裁」
初出:『島根文芸』第三十号 1997 |
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流産した女に現れた光の幻視。荒んでゆく精神を持て余しながら、女は死を選ぶために「賽の河原」加賀潜戸を訪れた。闇を切り裂き神の生まれた神話の土地で、女は一人の少年に出会う。/出雲国風土記に伝わる神話の地・加賀潜戸を舞台にした作品。平成10年度島根県芸術文化祭文芸部門散文の部知事賞を受賞しました。 |
自らの不注意により一人息子を亡くした男。書類を抱えて巨大な迷宮の如き県庁をさまよいながら、悪夢のような心象風景に彼は没入してゆく。モノクロームの幻想世界で絶望の淵から男を救ったのは……。/情緒描写の一手法としての幻想表現を試みた前衛的短編。平成9年度島根県芸術文化祭文芸部門散文の部銅賞受賞作品。 |
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「素足デ渡レ」
初出:『島根文芸』第二八号 1995 |
「はじまり」
初出:『りぶれびぶれ』Vol.9 1997 |
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病の影におびえる男の最後の救いは、幼い日に祖母に聞かされた宍道湖の伝説だった。ろうそくを消さずに、湖上の嫁が島まで裸足で渡る事ができたなら、願いが叶う……。神々の国・出雲で起きた奇跡とは。/島根県松江市の宍道湖にまつわる話に想を得て、アンドレイ・タルコフスキー『ノスタルジア』にも材を借りて描いた短編。平成7年度島根県芸術文化祭文芸部門散文の部金賞受賞作品。 |
核シェルターの中でたった一人で生き続けた男は、幼い日の家族の思い出を抱えながら死を迎えた。それを看取ったアンドロイドは、不安定な知能回路を暴走させながら、ある決意を抱く。/人間の感情が悪意にも善意にも揺れ動く様を描いたSF短編。 |
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「夕闇に」
初出:『りぶれびぶれ』Vol.2 1993 |
「葡萄」
初出:『別冊ほしみそう』第六集 1992 |
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幼い娘の立居振舞に神経をいらだたせる母親。彼女が娘を殺そうと思い立った時、娘を救ったのは、絵本の中の奇妙な妖精だった……。/児童虐待の心理的病を描いた掌編。 |
近未来、核の落ちた日に男と女は精神病院を抜け出した。誰にも理解されない心の病は、癒される事を激しく求めながら、世界と共に破滅を迎える。/メラネシアの神話に想を得た散文詩的作品。 |
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「少年兵士の見る夢」
初出:『ほうきぼし』第四十三号 1988 |
「髑髏」
初出:『ほうきぼし』第四十二号 1988 |
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少年兵が処刑執行を命ぜられたのは、軍の倉庫からパンを盗んだ、同じ年頃の少年だった。ライフルを発射した瞬間、少年兵の意識は弾丸に移入した。ゆっくりと流れる時間の中で、弾丸になった少年は不思議な少女と出会う。/通過儀礼に直面した少年の姿を描く短編。 |
戦場を逃れ、友の髑髏を携えて砂漠を歩く一人の兵士。ある夜、死を予感する男に向かって、ふいに髑髏が口を開き語り出したことから、男の運命は急転する。/私の実質的な処女作で、第二回幻想文学新人賞最終候補作。 |
【執筆途上のものなど】
| 「月の輪」 掲載:『山陰文芸』第七号(前編)、第9号(中編)、以下連載中 |
| 不安神経症の発作に怯える青山和二は、ヤクザに命を狙われて逃亡し、14年ぶりに安来に帰郷した。兄との不和。うち解けることのない同窓会。失われたタイムカプセル。時に暖かで時に残酷な故郷の記憶に直面しながら、和二は次第に自分の生きる道を見いだしてゆく。月の輪神事の喧噪の中、ついに追っ手が和二の前に現れた時……。/出雲国風土記に記載された伝承を元とする島根県安来市の月の輪神事。その神話イメージを現代の物語に織り上げる試みとして『山陰文芸』誌に連載中です。 |
| 「書店をめぐる冒険」 掲載:Griffon's Garden Online |
| 読書に沈潜する男はある日、書店の中で不思議な少女と出会い、書物の迷宮に踏み込む。少しずつ少しずつずれてゆく人生の可能性。やがて男は、記憶の底に封じ込めていたひとつの風景にたどり着く。/Webマガジン・Griffon's Garden Onlineにて連載中。とはいえ、じつはまだほとんど物語の中身を考えていない状態なので、果たしてどうなることやら作者にも分かりません(^_^;。 |
【掲載紙について】『ほうきぼし』 |