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(C) Fuji Evening News

軍用地料をエサにした巨額詐欺が横行

 東京相和銀行(東京)の破たんで資金難に陥った消費者金融などをターゲットにした“巨額詐欺疑惑”が昨年秋ごろから、東京都内などで頻繁に起きている。「国から沖縄・米軍基地の地主に支払われる軍用地料(賃借料)を融通する」と架空の融資話を持ちかけ、実行前に、出させた融資の保証金を持ち逃げしてしまうという手口。「国民の税金」を道具に使った詐欺疑惑の被害総額は、すでに10億円以上に上るとみられている。

 融資話を持ちかけていたのは、沖縄・那覇市の金融業者(38)。

 「監査法人幹部から、資金難の企業を紹介してもらって融資話を持ちかけ、融資の保証金と称して引き出したカネを持ち逃げしている」(被害企業)という。

 都内の中堅消費者金融も“被害企業”のひとつ。同社のメーンバンクは、昨年6月に経営破たんした東京相和銀で、破たん後、運転資金の調達に窮するようになった。そんな折に飛び込んできたのが、金融業者による融資話だった。

 この消費者金融が、監査法人幹部の紹介で金融業者と会ったのは、昨年10月のこと。その際、金融業者は「私は、沖縄の米軍基地に土地を貸している地主の息子。こうした地主には、国から総額年700億円ものカネが『軍用地料』として入っており、地主はカネが余っている。私が地主を取りまとめ、200億円を融資しましょう」と持ちかけてきたという。

 軍用地料とは、米軍基地に土地を貸している地主に対し、国から支払われる土地の賃借料。沖縄県内の米軍基地の面積は、国内の同基地の約4分の3にあたる約2万3000ヘクタールあり、約3万人の地主がいる。地主には自衛隊関連も含め、年間計約740億円が支払われており、貸している土地の面積などによって各地主に振り分けられる。

 金融業者は、複数の地主と交渉して200億円をかき集め、融資すると持ちかけてきたわけだ。ただ、その際、「地主に融資の保証金を渡さなくてはいけない」と条件を提示。話し合いの結果、「保証金の額は融資額の1%、つまり2億円に決まった」(消費者金融関係者)といい、消費者金融側は、業者から指定された第一勧銀那覇支店の口座に2億円を振り込んだ。

 しかし、融資はいっこうに実行されず、金融業者を問い詰めても「地主の1人が海外に行っていて、つかまらない。もう少し時間がほしい」などとノラリクラリ。保証金についても「地主団体である社団法人・沖縄県軍用地等地主連合会に預けてある」とウソの説明をし、行方をくらましてしまった。

 唯一の連絡手段だった金融業者の携帯電話も、他人名義で購入されたものだったことが判明。現在は不通となっており、連絡も取れない状態という。

 「行方が分からなくなってから、沖縄の金融業者周辺を調べたが、地主連合会に保証金が預けられた事実はなかった。資金的に困っている企業に融資話を持ちかけ、保証金をだまし取る“詐欺”だったことはほぼ間違いない」(消費者金融関係者)

 また、調査の結果、この金融業者の父親は地元で農業を営んでおり、米軍基地に土地を貸している地主であることも判明。しかし父親は「息子の融資話については、まったく知らなかった。それどころか、息子のおかげで手形にまつわるトラブルに巻き込まれているとのことだった」(同)という。

 地元の知人が金融業者の経歴について、こう説明する。

 「彼(金融業者)は5人兄弟の長男。地元の高校を卒業後、不動産投資でもうけるノウハウを書いた本を出したこともあった。海外投資か何かに失敗して相当な借金を抱え、追い込まれていると聞いている」

 一方、この疑惑では、金融業者に“融資先企業”を紹介した監査法人も頭を抱えている。

 「金融業者と監査法人幹部は、共通の知人を通して知り合った。幹部のほうは『何百億円ものカネを都合できる男がいて、融資先を探している』との知人の説明を真に受けてしまい、悪気なく、資金繰りに困っている企業に融資話をセッティングしていった」(監査法人関係者)

 融資話にひっかかった企業の中には、監査法人側に保証金を保証させたところもある。監査法人にしてもこのまま融資が実行されないと、“破たん”の危機に追い込まれそうな気配なのだ。

 この監査法人の紹介で融資話に乗った企業は、消費者金融を中心に5社ほどあり、だまし取られたとみられる保証金の被害総額は10億円を超えるとされる。

 それにしても、こうした話になぜ、簡単に引っ掛かってしまったのか。ある被害企業の関係者はこう指摘する。

 「“消費者金融のメーンバンク”といわれた東京相和銀の破たん以降、消費者金融業界は『武富士』などの一部大手を除き、運転資金に窮している。それだけにこの業界も、外資から資金を導入するか、今回のような資金話に乗るしかないのが実情なんです」

 銀行の破たんが、とんでもない方向に“飛び火”した格好だ。

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