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小選挙区制で
格差2倍以内は可能か?
現行選挙制度での最初の選挙では、小選挙区での当選者一人あたりの得票数は、自民党が13万票、新進党が16.5万票、民主党は候補者を立てていない選挙区が多いのにもかかわらず35万票、共産党は355万票でした。2000年の2回目の選挙を例にとれば、共産党の場合、小選挙区での当選者がゼロだったので、無限大というほかはありません。小選挙区制の不公平さは、このように政党への議席配分において最もはなはだしくあらわれるのですが、小選挙区制にはさらにもう一つの不公平があります。それは、選挙区間での1票の重みの不公平です。小選挙区間の人口格差は、最初の区割りの段階からすでに2倍を超えていました。これは区割りが下手だったからではなく、定数を一律に1とするという小選挙区制の硬直性から、必然的、原理的に生じた矛盾です。これに対し、定数に3〜5という幅のある中選挙区制では、最大でも1.5倍以内に格差を抑えることが可能です。公平という観点からは、2倍でも大きすぎると、私は考えます。
| 1議席当り人口 |
20万〜 30万 |
| 3 人 区 |
60万〜 90万 |
| 4 人 区 |
80万〜120万 |
| 5 人 区 |
100万〜150万 |
いま、1議席あたりの人口基準を日本の人口を衆議院定数で割った数に近い25万とします。すると、1.2÷0.8=1.5ですから、1議席あたりの人口を25万の上下2割以内の20万から30万の範囲におさめれば、格差1.5倍以内は実現します。すると、右の表のように選挙区の人口を設定すれば、格差1.5倍以内は実現します。3人区と4人区、4人区と5人区の間には、重なりこそあれ、すき間はありません。つまり、中選挙区制では、格差1.5倍以内を保ちながら、60万〜150万という広い範囲で、自然な区割りをすることが可能なのです。小選挙区制のように、大きな市区を分割したり、飛び地を設けたりといった無理をする必要は、まったくどこにもありません。
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| いろいろな候補者が自由に主張をし、その中から自由に選べる選挙であってこそ、有権者の政治への関心は高まり、投票率もあがる。政党間の取引の事後承認の儀式に過ぎない小選挙区制のどこがいいのかと思う。大阪なんばの吉本会館の地下にある「吉本笑店街」の展示より。筆者撮影。 |
いっぽう、小選挙区制では、最も人口の少ない選挙区の人口を1としたとき、2となった選挙区は分区しなければなりません。しかし、市区町村の人口はまちまちですから、その境界を無視しない限り、1と1とにきっちり分けることは不可能で、どちらかの選挙区は1を下回ります。一方には2に近い選挙区も他にあるはずですから、格差はこの段階で2倍を超えます。さらに、定数を是正することと最初に区割りをすることとは実は同じことですから、格差が2倍を超えるのは最初の区割りの時からということになり、増減員という手段のない小選挙区制では、区割りの困難さから是正が先延ばしにされますから、格差は天井知らずに拡大してゆきます。分区によらず、境界変更をすればいいではないかというかも知れませんが、頻繁に境界変更をするのなら、選挙区は、地域代表の意味などまるでないただの仕切りになってしまいます。政治家の利害による恣意的な区割り(ゲリマンダリング)も日常化します。
定数是正が容易な中選挙区制で格差が拡大したのは、単に党利党略、私利私欲によるサボタージュが原因です。最高裁が3倍以内という歯止めをかけたために、ようやく是正を迫られたとき、減員される地域の自民党議員の不安を払拭するために唱えられたのが小選挙区制であり、それ以外の理由は後付けではないのかという疑いを私は持っています。小選挙区制なら、減員される地域は自民党の金城湯池であることが多いのですから、どの選挙区でも自民党は議席を減らさないですみます。「中選挙区制では格差是正ができない」というのが正しいとすれば、それは、こういう意味でしかありません。いわゆる「同士討ち」は、多く人口の減少している地域で起こっていました。地縁血縁の多い地域に、不当に多くの議席が配分されていたことが、「同士討ち」の激化の重要な一因であることを見逃してはなりません。単純小選挙区制論者でも、選挙区間の格差の是正は一応唱えるのですが、自分たちの主張が原理的な矛盾を含んでいることには、全然気がついてはいないようです。
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