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Q1 このデータには日本の苗字が全部載っていますか?
A とんでもありません! 日本の苗字を全部集めたウェブサイトも本も一つもありませんし、今後も出てこないと思います。それだけ日本の苗字は種類が多く、漢字表記の細かい違いや読み方の違いを無視しても十数万種もあり、表記と読みの双方が完全に一致して初めて1種類とすれば、何十万種あるか見当もつきません。それをすべて調べ上げることが出来るのは国家だけで、一個人にできることではありません。この点が広く知られていないことは、実に残念なことです。
Q2 それでは、ここに集められているのは、日本の苗字の何%ぐらいですか?
A 苗字の種類から言えば、第一表と第二表をあわせて、3分の1以上、半分未満というところと思います。しかし、これだけの苗字で日本人の99%前後をカバーしているものと思います。日本の苗字は、数少ない苗字が人口の多数をカバーし、残りをたくさんの苗字が分け合うという構造をしています。人口1万以上の苗字は1500ほどしかなく、種類からいえば全体のほんの1%程度に過ぎませんが、これだけで全国人口の7割前後をカバーしているものと思われます。
Q3 このデータは何に基づいているのですか?
A 3000万人近くもの人名が収められた電子電話帳「写録宝夢巣(シャーロック・ホームズ)Ver.8」で全国人口と分布を調べ、ウェブ検索で読み方を調べています。第一表では、写録宝夢巣でヒットした全国件数を4倍して推定全国人口とし、各都道府県の件数と全国件数を比べて分布やパーセンテージを示しています。20万以上は10万単位、1万以上は1万単位、千以上は千単位、百以上は百単位となっています。数字はやや控えめに出されており、少なくともこれぐらいはいるという数とお考え下さい。第二表では、写録宝夢巣でヒットする全国件数と都道府県の件数をそのまま表示していますが、一つの都道府県の件数が5件に達しないときはカットしてあります。
Q4 電話帳に載せていない人も多いのに電話帳は役に立つのでしょうか?
A 選挙の当落予測や、視聴率の調査などの元になるデータは、ほんの数%もあれば多いほうです。統計には抽出がつきもので、それで結構正確な結果が出ているのですから、日本の人口の4分の1近くを集めた電話帳のデータとしての有効性は抜群のものです。
すべての有権者や視聴者を調べあげなければ意味が無いなどと考えていたら、選挙予測や視聴率調査など成り立たず、統計学など不要ということになります。電話帳に載せていない人が多いことより、載せている人が多いことにこそ、まず注目すべきです。これほど多くの人を載せている名簿は他にはありません。
Q5 珍しい苗字の人は電話帳に載せたがらないという話を聞きますが‥‥?
A そういう人もいるかも知れませんが、電話帳に基づいた本データベースには珍しい苗字が満載です。御質問のような考えは実証をともなわない単なる思い込み(あるいは思い付き)に過ぎません。苗字によって電話帳の掲載率に差が出るということは無いものと思います。
Q6 電話帳に載っていない苗字は、実在しないということでしょうか?
A そんなことはありません。ごく稀な苗字の人が誰も電話帳に載せていなければゼロになります。本データベースの第二表には、ときどき件数ゼロという苗字が出てきますが、これはウェブ検索など、ほかの手段によって実在が確認できたものです。電話帳に載っていないからといって実在しないとまでは言えませんが、せいぜい全国に10人前後しかいない、ごく珍しい苗字だということは確かです。
Q7 電話帳というのは、一人がいくつも電話を持っていたり、本名ではなかったり、姓名の切れ目を間違えたり、文字を間違えたりしているなど、不正確な面が多いのではないでしょうか?
A おっしゃるようなことは重々承知しています。しかし、実際に電子電話帳を用いて調べてみると、御指摘のようなケースは全体からみればごく少なく、疑いを持ったときに気をつけさえすれば十分です。実際にじかに電話帳を用いて調べもせずに、めったにない事例を多いと思い込んでいるだけです。これだけの理由で、比類も無いほど膨大なデータ量を持つ電話帳を用いない人がいるとすれば、実証的な態度とはとてもいえません。電話帳が決して万能でないことは言うまでもありませんが、電話帳によって得られる数字は、他の手段で得られるものと比べると、抜群に正確なものといえます。
そもそもデータに完璧ということはありません。あればそれを丸写しすればいいだけで、研究の必要も生じません。歴史の一次資料の場合、筆者に都合よく書かれているのが普通ですから、「どこまで信用できるか、どの点に気をつけたらいいのか」を見極めた上で利用されます。問題のあるデータは一切使わないなどと言っていては、歴史学など成り立たず、歴史学者はみな失業してしまいます。
Q8 では、電話帳を利用するにあたって具体的にどのようなことに気をつけていますか。
A まず同じ人が複数の電話を持っている割合ですが、今までの経験からいえば、15〜20件の中に1組という程度です。全国人口を概数で表すのであれば、無視してよい程度の頻度です。ペンネームや芸名などの頻度は、それよりさらに低いもので、日本舞踊の「花柳」のようにかなりの数がある例は稀です。そもそも、電話帳に名前を載せるのは社会生活上必要だからで、そこに本名以外で載せる人は相当にその名で通っている人に限られます。
「三遊亭(落語)」や「一龍斎(講談)」といった芸名の場合、電話帳で何軒もヒットしますが、これはゼロとして扱っています。これほど有名でなく数も少ない場合は、逐一気をつけることが必要です。これまでに不掲載とした例として、芸名では「美鵬」「函青」、ペンネームでは「蜂飼」「魚柄」などがあります。また、写録宝夢巣は、オリジナリティを証明するため、ダミーのような人名をときどき入れているようです。とくに目立つのは全国ただ1件の「札幌花子」のような「花子」さんで、全国各地に出没します。しかし、これは住所も電話番号も実在しないダミーのようです。「中央区」という地名は全国各地にあり、写録宝夢巣では7件もの「中央花子」」さんが出ていますが、「中央」や「札幌」という苗字はゼロと見て載せていません。他にも、或る苗字が全国ただ1件出てくる例で、フルネームが有名漫画の主人公と同じなのをダミーとみなして掲載しなかったこともあります。
面白いのは、新潟県の一部で屋号を個人名として電話帳に載せる例がかなりあることです。屋号に切れ目を入れることはできませんが、写録宝夢巣ではこれを無理に姓名に切ってしまっているために、実在しない1字姓が載ることが時々あります。たとえば、「与(あたえ)」という苗字は、全国85件あります。最多は鹿児島の34件で、次に多いのが新潟の22件です。しかし、詳しく調べてみると、新潟の22件はすべて屋号の一部でしたので、これをカットして、第一表に載せています。姓名の切り間違いも時に見られますが、調べた件数全体からみると、ごく一部だと体験的に断ずることができます。
Q9 苗字の読み方はどうやって調べていますか?
A 電子電話帳では読み方が全く分かりませんが、一人一人住所が載っていますので、図書館などで紙の電話帳を調べるのが、いちばん確かと思います。全国の電話帳が閲覧できるところの一覧が下記にあります。
http://tpnet.nttds.co.jp/zenkoku/etsuran/index.html
しかし、この方法は人数の多い苗字の場合、大変な手間がかかります。そこで、ウェブ検索を利用して、どのような読み方が実在するか、どのような読み方が多いかを調べます。
ウェブ上にはさまざまな人名が載っています。別に有名人でもない普通の人でも、仕事や趣味、ボランティアなどで登場してきます。自治体の広報誌にいろいろな形で紹介される人もいれば、学校の生徒の名前も、競技会やさまざまなコンテストなどで出てきます。総じて、日本の人口の少なくとも1割がウェブ上に登場します。これは膨大な数です。そのすべてに読みが載っているわけではありませんが、載っている例も少なくありません。紙の電話帳の掲載位置で分からない清濁もウェブでは分かります。
なお、日本の戸籍は読み方を全く載せていませんので、すべての読み方を集めることは、個人や団体はもちろん、国家ですら不可能です。
Q10 しかし、ウェブ上の人名表記というものは、不正確な場合が多いのではありませんか?
A もちろん、その点では電話帳よりもさらに遥かに神経を使わなくてはなりません。まず、誤字がよく見られます。同じ人の名前が別々の表記で出てくるときは、どちらかが間違いですから、件数やサイトの信頼性により判断します。つぎにウェブ上にはおびただしい架空の人名が出てきます。自分の書いた小説などをペンネームで載せている人が多いのですが、ペンネームや登場人物の苗字に実在しないものも含めて珍しいものが好まれ、よく用いられる傾向があります。また、一人有名人がいると、一人だけでどっと件数を稼ぐので、画面の右肩に出る件数は何の役にも立ちません。手間でも検索ページの紹介文を一つ一つ読み、確かに実在の本名であろうと思われるものを探し出して掲載する読み方を決めています。この点は、掲示板に投稿される方々にもよく理解して頂けていますので、掲示板をお読みいただければ、いかに神経を使って読み方を探しているかがお分かりになる思います。
Q11 「東(ひがし)」「上村(うえむら)」という、いたってありふれた苗字が載っていません。どうしてですか?
A 本サイトでは、同じ漢字表記の苗字は、最も多い読み方のところだけに載せています。読み方ごとに別々に載せていたのでは、全体の情報量が膨大になりますし、読み方別の人口や分布も十分には分かりませんが、「東(ひがし)」や「上村(うえむら)」のように、数の多い少数派の場合は、→でどの読み方で載せているかを示してあります。しかし、すべての読み方についてこのようにすることは出来ませんので、求める読み方で出ないときや、読み方が分からないときには、表紙にある「読み方検索」を活用されるよう、お勧めします。なお、有名人の読み方だからといって多いとは限りません。「二岡」「堂上」「川藤」「掛布」「江夏」「相武」「上戸」「上地」など、→で別の読み方が指示してあります。→の先が世間に知られている読み方より遥かに多い一般的な読み方です。
Q12 「都道府県の特徴的苗字一覧」に載っている苗字ですが、同じ県に住んでいる者からみても、聞いたことがないというものが、けっこうあります。本当に我が県にあるのですか?
A 苗字の中には特定の都道府県どころか、特定の市町村、さらには特定の字(あざ)に分布が局限されるものも珍しくありません。しかし、そこで目立って多ければ、第一表に載るには十分です。
Q13 全国人口が概数では、苗字を比べてどちらが多いか分かりません。第一表も件数表示にしてはどうですか?
A 電話帳を元にしていますから、多少の誤差はあります。その点を少しぼかすほうがむしろ正確だと考えて概数表示にしています。そもそも日本の苗字は、少ない苗字になるほど種類が雪だるま式に増え、電話帳への掲載件数もだんご状態になっていますから、ランキングというものが意味を持つのは、ごく一部の上位の苗字までと考えます。
なお、ランキングといえば、1972年に故佐久間英氏が出した「佐久間ランキング」が権威あるものとされていますが、各地を歩き回って資料を集め、当時としては精一杯の調査をした労苦と先駆性と、そこそこの正確さは認めるとしても、コンピュータ時代の現代では、残念ながらもう権威として顧みる価値はまったくないと私は感じています。
Q14 「宇都宮」という苗字で首都圏に住んでいます。「宇都宮」は愛媛の苗字となっていますが、親は東北の出身で愛媛とは何のつながりもありません。それに先祖は栃木の宇都宮に住んでいたと聞いたことがあります。
A 「宇都宮」という苗字が栃木の宇都宮に由来することは確かですが、それは苗字の由来であって、御先祖が栃木に住んでいたということには直結しません。関東の地名を元にした苗字の中には武士団の移動にともなって全国に拡散したものがあります。「宇都宮」は西方に多くひろがり、とくに愛媛に目立つことになりましたが、それがすべてというわけではありません。
「菅原」という苗字は奈良県の地名がもとですが、苗字としては天神(=菅原道真)信仰が特に広まった遠方の東北地方に多いなど、発祥地は必ずしも、いま多いところとは一致しません。
Q15 先祖調べに興味があるのですが、こちらのサイトにはその方面の情報があまりありませんね。
A 管理人の関心は苗字の現在(分布、読み方)にあり、歴史的な情報への関心は苗字の現在を説明する上で有用なときにほぼ限られています。しかも、それは一族の起源ではなく、苗字の起源と考えています。苗字が盛んに創られた室町初期から国民皆姓の明治までの間には五百年あまりの月日が流れ、二十以上もの世代が交代しています。その間直系でありつづけたことを実証するのは、ほとんどの場合、まず無理でしょう。
もちろん、苗字というものが生活の単位としての一族と密接につながっていた時代の歴史を調べることは必要なことです。しかし、それを無理やり現代に結び付けようとすると、いろいろおかしなことが生じてしまいます。
ただ、誰でも戸籍をたどれば、6世代くらい前の先祖にたどりつきます。6世代もあれば64人にもなります。64人もいれば、さまざまに興味を惹かれる先祖がいるのですから、たまたま自分がいま名のっている苗字の人だけを先祖と限定しないほうが生産的であると考えます。
苗字をあまりに先祖調べということと直結させると、苗字への関心の広まりが少数の人に局限されてしまうような気もします。苗字は、たまたまそれを名乗る人だけのものではなく、日本の文化を受け継ぐ人が、みんなで共有する文化遺産だと考えたほうがいいのではないでしょうか?
日本の苗字は、所属する家を示すものです。そのため、男性でも養子縁組などで苗字を変える人もいますし、管理人自身がそうであるように、母方の苗字を受け継ぐ人もいます。父方の血統を示す中国や朝鮮半島の「姓」と違い、日本の苗字は建前の上でも先祖を示すものではありません。
Q16 苗字というものは、明治に入ってつけたものが大半で、研究する価値など無いのではないですか?
A 全くの俗説で検討する価値もありません。私のサイト内にある、下記の記事を御参照下さい。
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/myouji.htm
Q17 外国姓も載っているようですが、なぜですか?
A 外国姓の中には、漢字表記では日本の苗字と区別ができないものが少なくありません。「金(こん)」や「張(ちょう)」という日本の苗字もあります。「高(こう)」や「田(でん)」などは日本の苗字の方が多く、音読みの一字だからといって外国姓と思うのは、間違いです。音読みで一字の日本の苗字には、「藤(とう)」「長(ちょう)」「伴(ばん)」「清(せい)」「菅(かん)」など、中国や韓国にはまず見られないものも少なくありません。種類の少ない他の漢字文化圏の姓に、どんな姓が多いかという知識さえあれば、容易に見分けられることでしょう。
在日コリアンなどの日本名(通名)となると、ますます見分けは困難で、その名で帰化している人もいるので国籍で線を引くことも出来ません。それに、今後は元の姓のまま帰化する人も増えるものと思われます。なお、写録宝夢巣では大半の外国姓が東京に最多となっていますが、これは通名を名のらない新渡日の人が東京に多いためと思います。
Q18 私は戸籍上は「小澤」ですが、電話帳には「小沢」で載せています。こちらは電話帳をもとにしているとのことですが、私のような例も多いのでは?
A 日本の戸籍は戦後の文字改革に合わせて書き換えるということが行われていません。そのため、戸籍上は旧字体、日常生活は新字体と言う使い分けをしている人は多いと思います。戸籍名を本名と考えれば、すべての戸籍を調べあげる必要が生じますが、これはむしろ、戸籍が現状を反映していないと考えたほうがいいでしょう。「小沢」と名のる国民が間違えているのではなく、「小澤」で登録している国家が間違えているというか、怠慢なのです。前問と合わせて考えると、本サイトでいう「本名」とは、「日本に住む人が日常本名として用いている漢字で書かれる苗字または姓」ということになるでしょう。
Q19 他の苗字サイトに載っている「春夏秋冬(ひととせ)」「東西南北(よもひろ)」「日日日(ひびか)」「己己己己(いえしき)」「○(まる)」「1(たていち)」「い(かながしら」「八月十五日(あきなか)」などの苗字が、こちらには載っていませんが、なぜですか?
A 勘違いや意図的な捏造によって作られた「幽霊苗字」だと考えるからです。こういった苗字は、電話帳で全国ゼロであるばかりでなく、ウェブ検索でも本名としては確認ができません。それが何か面白げな苗字である場合は、眉に唾をつけたほうがいいでしょう。漢字で六文字以上の苗字というのは確認できず、五字姓も「「勘解由小路(かでのこうじ)」と「左衛門三郎(さえもんさぶろう)」しか確認できません。同じ漢字が3つ以上続く苗字というのも確認できません。「○」のような記号や「1」のような算用数字は、役所が受け付けないはずですし、「い(かながしら)」は江戸時代の力士の四股名を誰かが本名と間違えたものと思われます。
一方、日本の苗字は実に多様で、「四月一日(わたぬき)」「小鳥遊(たかなし)」「駄阿(だあ)」「鼻毛(はなげ)」「那俄性(ながせ)」「唐桶(からおけ)」などは確かに実在しますから、面白げだからといって幽霊苗字だと断じることができないのも確かです。しかし、ここに挙げた苗字は、電話帳やウェブ検索でちゃんと出てくるので、「東西南北」や「春夏秋冬」と違って実在であることが容易に確認できます。
Q20 漢字表記自体は実在するが、読み方が実在しないという例もあるのでしょうか?
A よくあります。「一(にのまえ)」「兼坂(んねざか)」「王来王家(おうらいおうけ)」などで、正しくは順に「はじめ、かず」「かねさか」「おくおか」です。「にのまえ」は捏造くさく、「んねざか」は何かの間違いを誰かが言いふらしたもの、「おうらいおうけ」は読みが分からないままに適当に読んだものでしょう。いわば「幽霊読み」です。「十」という苗字は、電話帳では全国に1件のみありますが、この希少姓に対して「もげき」「もぎき」「つなし」「えだなし」「よこたて」など、さまざまな読み方を聞きます。あちこちで適当に読んだだけで正解は一つだけしか無いと思います。全国1件の「十」さんを紙の電話帳で「も」のところで見つけたので、当サイトでは「「もげき」で載せています。他の読み方は限りなく捏造に近いと断じていいでしょう。
これほど面白げなものでなくても、市販の苗字本や苗字辞典では、読み方が確認できないまま、あるいは確認する方法論すら無いために、思いついた読み方を片っ端から羅列してあるものが少なくなく、苗字サイトでもそれが無批判に援用されています。読み方をやたら羅列するのでは、結局どう読んでいいのかが分からず、読み方を記す意味すら、なくなってしまうのにと思います。本サイトでは、どの苗字にも探せばさまざまな読み方があることを自明の前提とした上で、さまざまな読み方がどのような比率であるのか、その中で、どの読み方をすれば無難かを可能な限り示すことに力を注いでいます。たくさん示せば「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」とは考えず、根拠のない読み方を示すことを避けて、確かに存在する読み方だけを記したいと考えています。
Q21 日本の苗字にはなぜさまざまな読み方があるのでしょうか?
A 漢字で表記されるためです。日本語では、同じ漢字に音読みと訓読みがあり、訓読みは意味さえ近ければ、さまざまな読み方が可能であり、音読みにも呉音や漢音などさまざまな読み方があり、「田舎」や「土産」など複数の漢字に別の読み方を与える熟字訓まであるからです。詳しくは、サイト内にある下記のページから始まる記事を御参照下さい。
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/kotoba.htm
これに対し、同じく漢字を用いる中国や韓国では、漢字で書きさえすれば、読み方は一つに限定されます。アルファベットを用いる欧米では、もともとが表音文字ですから、複数の読み方が生じる可能性は普通はありません。もっとも、アルファベット表記が複雑な英語圏には例外もあり、西部劇俳優として有名だったReagan氏が大統領就任時に読み方を「リーガン」から「レーガン」に変えた例があります。重要スタッフの一人に同じく「リーガン」と読むReegan氏がいたためです。普通ならスタッフの方が読み替えそうなものですが、英語のスペリングではReaganを「レーガン(厳密にはレイガン)」と読むことは可能でも、Reeganには「リーガン」以外の読み方がないためこうなったようです。
Q22 それなら、日本の戸籍登録は、かな表記をメインにすべきではないでしょうか?
A 全く同感です。昨今の年金問題で多くの記録が行方不明になった原因の一つも漢字表記のみを用いていたことです。今の戸籍では読み方を変えるのは自由でも漢字表記を変えるのは困難で裁判を要する例が多いため、読みにくい苗字の人がさまざまに読み替えるため、同じ漢字表記の読み方が明治以降どんどん増えてしまいました。「小澤」さんが「小沢」さんにかえることは国が新字体を定めたため容易ですが、「日下部」さんが「草壁」さんにかえるのは難しいと思います。「掘」さんなどは役所が「堀」を書き間違えたのが元と思われるのですが、一旦公的に「掘」と表記され、気づかぬまま時間が経つと、元の「堀」に戻すのは難しいようです。
Q23 苗字には地名に基づくものが多いと聞きますが、本当ですか?
A 地名と苗字の関係は、きわめて密接であると考えます。ただ、その地名に近い所ほど地名と同じ苗字が多いと考えてはいけません。それでは同じ苗字が同じ地域に固まることになって不便なことになります。地名を元にした苗字は、やや離れてはいるがさほど遠くはない所に多く、地名のお膝元にはむしろ珍しいことが多いといえます。
たとえば、山形県に寒河江という市があります。寒河江という苗字も全国1334件中608件が山形県にあります。しかし、県内の分布を見ると、山形市153、東置賜郡川西町94、米沢市75、東根市70となっていて、寒河江市にはわずか2件のみです。
また、苗字のもとになった地名は、いま有名な地名とは限りません。今や大都市となっている神奈川県の横浜という地名は幕末の開港までは地元以外では誰も知らない、戸数わずか16の漁村の名前でした。「横浜」という苗字は、全国897件中275件の青森に最多で、うち143件が野辺地町に集中しています。野辺地町の隣に横浜町があるのですが、ここには横浜姓は1件しかありません。
下記の一覧表に載っている苗字には、それぞれの都道府県内か隣県に同じ地名があるものがきわめて多く、地名と苗字に密接な関係があることは明らかです。市町村名と同じ苗字がその市町村内に稀だということをもって地名と苗字の関係を短絡的に否定する人もいるようですが、地名と苗字の関係はもっと多様であり、発想の範囲が狭すぎます。Q14で述べたように、全国的に多い苗字の場合は発祥地を遥かに離れた所に多いこともあります。分布が狭い領域を抜け出したからこそ、全国的な苗字になったとも言えるでしょう。
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/bunpu2.htm
Q24 苗字について信頼できる本や辞書はありますか?
A 全面的に信頼できるものは、残念ながらありません。あれば、このようなサイトは必要ないということになります。丹羽基二氏の「日本苗字大辞典」など、収録苗字数の多さを誇るような辞書には少なからぬ幽霊苗字が含まれています。また、苗字研究の権威と呼ぶに値する人も見当たりません。たとえば、下記の森岡浩氏の記事など、電話帳を利用するに当たって注意すべきことということなら共感できるのですが、これだけの理由で電話帳(さらにはウェブ検索)を全く活用しないような態度は、実証性に欠けると言わざるを得ません。また、下記のページで森岡氏はある時期の電話帳でなければ価値が無いなどといっていますが、電話帳のデータの膨大さに比べれば、時期による収録数の差が資料的価値に与える影響など、ごくごく僅かなものだと私は考えます。きっとみんなで確かめられる資料がお嫌いなのでしょう。
http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/denwacho.html
まことしやかに語られる実在しない名字(幽霊名字)の排除に熱心なことでは、森岡氏は得がたい人ですが、下記の記事に見られるように、「大長光」「小長光」「西周」までも幽霊名字としていることからは実証性の無さを感じます。どれも、電話帳やウェブで実在の苗字であることが簡単に確かめられますから、お試し下さい。「西周」という名字は、「にし・あまね」という人のフルネームを見誤ったものなどではなく、千葉県茂原市の人にとっては、ごくありふれた日常的な苗字です。電話帳を活用しないだけに、氏の著書で示される苗字の分布は間違いだらけという感じがしています。
http://home.r01.itscom.net/morioka/myoji/jitsurei.html
本というと無条件に信用する人がよくいますが、私は、万人に開かれ、当否をみんなで確かめていける電話帳やウェブを活用する方法のほうがずっと有益だと思います。IT時代以前に地道に足で歩いて調べ上げた努力には敬意を表しますが、それによって得られる情報は、残念ながら氷山の一角にすぎません。
Q25 管理人が苗字に関心を持った理由は何ですか?
A 「信太(しだ)」という、読めない、書けない、聞き取れないという三拍子そろった苗字であることが第一の理由ですが、関東から関西に移って苗字の分布の違いを感じたこと、教師という職業柄、さまざまな苗字に接する機会が多かったことも理由になっていると思います。自分の苗字については、下記のような記事も書いていますので、御笑覧下さい。実在する「しだ」「しんた」「のぶた」「しのだ」以外に、苗字本や苗字サイトで「した」「しんだ」「しのた」「しぶた」「しぬだ」といった、一体どこにいるのと言いたくなる読みを見つけたときには、思わず溜息が出てしまいます。
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/Sida.htm
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