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2007年02月13日掲載 


My precious,

PENTAX auto110


ペンタックスauto110販促用パンフレット「A DAY IN THE LIFE」


 掃除をしていたらカメラのカタログがどっさりと出てきました。懐かしいなぁ、なんて思いながらもさっさとしまっちゃおうとスチール棚に詰め込んでて、その一つに思わず手が止まってしまいました。

 周囲がぼろぼろになったパンフレット。
 犬の散歩、朝のベッドサイド、職場にテニスコート。そして海辺に置かれた自転車。日常の光景の中で脇役として配置されているのはペンタックスのauto110。
 性能を声高々に歌い上げるのがカメラのパンフだと思っていた私が、これを初めて見た時の衝撃。本来主役であるはずのカメラを脇役に。カメラの機能よりも存在価値にスポットを当てたその内容。今思うと、カメラのある風景というか、その周囲のあり方を見せるという手法にびっくりしたんですね。

 このパンフ裏面には7903という数字があります。1979年3月、もしくは三版、ということでしょうが、このカメラ自体が同年3月の発売なので三版ということはないでしょう。1979年3月発行と読むのが普通のような気がします。
 1979年ですか。当時の私はペンタックスMXをメインにシステムを組んでたと思います。K2やKXの重さに負け、Mマウントレンズに暫時交換していた頃でしょう。サブ機にはシャッター速度優先のコンパクトカメラ、リコー500を使ってました。常時持ち歩いていたので両機とも傷だらけ。特にMXは何回サービスセンター送りになっったか分かりません。その頃の私にとってカメラは箱にすぎず、写したフィルムにこそ価値がある。カメラは使いつぶすツールだ。そう考えていたわけです。

 それがこのパンフレットで「目から鱗」。
 カメラを常時持ち歩く。それはある意味獲物を狙う狩人と同じ。カメラ=銃のような感覚。そのはずだったのがこのパンフをめくると、カメラはアクセサリー。持ち歩くというよりも身につけているという印象。日常の中に自然とそこにあるもの。これは衝撃でした。
 カメラを持つからこそカメラマン。そう思っていたのに、このパンフの世界では人がいればカメラがある。今の携帯電話と同じ感覚でカメラがあると言えば分かります?

 ファッションと一緒にするなよな。

 衝撃から覚めた私の反応は反発でした。

 こんな小さいレンズで何が写るんだ、110フィルムなんて素人のものじゃないか(と言ってる本人が単なる学生の写真部員なんですがw)。

 とまぁ、今思うとなんて度量の狭いヤツだ、私。

 実際の所、35ミリ(金属の筒に入った普通のフィルムね)でも小型カメラであり、商用は120等のフィルムを使うのが当たり前だった時代です。コダックの細長い箱形110カメラはコンパクトカメラどころか、ポケットカメラと呼ばれ、写真マニアからは「おもちゃカメラ」扱いでした。
 えっと、そうですねぇ、ちょっと前の「写るんです」の感じ? 実際初期の「写るんです」は110フィルムでしたしねぇ。
 そんな中、110フィルム使用の便利さを既存のSLR(一眼レフ)の技術で体現したカメラも既に登場していました。有名なのはミノルタ110ズームSLR。その名のとうり、SLR構造のズームレンズを搭載し、ホロミラーを持つという先進の機能。これはauto110に先立つ事三年、1976年発売です。しかし、身近に買った人がいなかったので、行きつけのカメラ屋で触ったレベルの私には110のイメージを覆すほどのインパクトがなかったのです。コダックの箱ポケットにズーム付けたのか。そんな程度の理解(大馬鹿者;;)。

 後発のペンタックスはファッション性で売るのか。ふ〜ん。
 なんて思っていながら、何故かこのパンフがしまいこめない。いつも机や本棚に置いてあるんですね。で、めくっちゃう。もう周囲がぼろぼろになるまで。
 当時の私のテーマは町中の鳥。スズメやカラスを主に被写体にしていました。山に行くのではなく、あくまで町中で。そんな時には鳥写真の基本、超望遠ではなく、標準かちょっと長めの中望遠で。その鳥の周囲をフィルムに残さないと、鳥の生きている空間が見えないからです。そう、鳥写真というより、鳥のいる光景がテーマでした。
 で、ふと気づいたわけですよ。カメラのある光景という言葉の意味に。気が付くとすごく自然に馴染めたんですね。なるほど、ずっと気になってたのはそのせいか、と理解。


 ってことで。買いました。
 それまでこのカメラがあればこんな写真が撮れるかも。いつもそう夢見て新しいカメラを買っていた私が、初めてカメラそのものに惹かれたお買い物だったと思います。

 最初に買ったのはauto110のメジャーキットでした。これはフルセットにあたるコンプリートキットから、フィルターを除いたものです。必要なフィルターだけ別買いするつもりでしたので。
 最初は広角、標準、中望遠の三本しかなかったシステムに、パンフォーカス(ピント合わせのいらない全焦点レンズ)が追加され、続いてミノルタに対抗するかのようなズーム、そして望遠が追加。計6本のシステムになりました。そしてカメラ本体もauto110 SUPERに切り替わりました。上の写真のはそのSUPERです(初代のauto110は手元に一個も残ってませんので・・・)。

 auto110同様、ライバル、ミノルタの110ズームSLRもSLRマークIIに進化していますが、こちらの進化はもう劇的なもの。SLRが110カメラにズームを乗せた感じだったのに対し、SLRマークIIは一眼レフをそのまま小型化したような構造。しかも高級一眼レフを。オールインワンで総て済まそうという野心作。もう初代とは全くの別物といっていいほどの完成度。
 一方、auto110の二代目、SUPERは基本的には初代と同じ。改良型と言えます。もともと一眼レフを簡略化して110フィルムサイズにしたというカメラだったので、外見からは大きな変更が見あたりません。まぁ、中身は随分代わっているんですが、デザインはほぼ一緒。ペンタックスらしいシルエットです。初代に慣れた人がそのまま使えるようにしたのでしょう。ということで、私も初代と二代目、一緒に使っていました。多い時には初代3台にSUPER1台という構成。

 初代とSUPERとの大きな違いは・・・

 セルフタイマー搭載(ペンタプリズムにある赤部分が点滅するんですね。見た目では一番大きな変化では?)
 逆光時用固定露出補正機能(auto110 SUPERの文字がある反対側、筋目の入った小さなパネルが補正ボタン)
 シャッターセレクター搭載(A:自動露出、L:ロック、S:セルフタイマー)
 連写対応(別売のワインダーIIが必要)
 ストロボ接点保護キャップの非分離化(キャップの一部が本体にくっついており、折り曲げる方式)
 フォーカシングスクリーン(スプリット式からスプリットマイクロプリズム式に変更)

 こんなところだったかなぁ。

 中古で程度のいいのを見つけると買い足したりしたので、一体何台買ったのか分かりません。10台くらいかな? 内二台がSUPER、残りが初代に限定版のマロン。平成に入ってから、レンズがなかったので売れ残っていたボディの新品を、普通のカメラ屋で購入したこともあります。その後、auto110にはまったINITIATIVEのH君等友人にあげたり、壊れたり、無くなったり(;;)で、今手元に残っているのはSUPER一台だけです。レンズも標準とズーム、望遠のみ。
 システムカメラなのでいろいろと遊んでいた結果、この選択が私に一番納得いくものだと気づいたからです。普段はレンズキャップ代わりに標準を付けて散歩カメラ。どこか撮影に行く時にはワインダーにズーム装着、望遠はバッグの中。そういう割り切りになっていったせいですね。



とにかく小さい

 カメラを見慣れてる人は右のF4と比べてみてください。そうじゃない人は左のDVDと。
 このサイズでレンズ交換可能。しかも全レンズの明るさをf2.8に統一し、粒子の粗い110フィルムでもそれなりに写りました。
 実際の所、110フィルムで撮った写真はボケボケなのが多かったのです。粒子が粗いのも理由ですが、ピント合わせができない簡易機種がほとんどだったからですね。その点このauto110や110ズームSLRなら自分でピントを合わせられます。しかもauto110だとレンズを交換することでボケ味もコントロールできます。サービスプリントなら十分に見られる写真が撮れたわけです(当時の水準では、ですが)。
 2000年頃だったかなぁ、110のフィルム現像を頼んだカメラ屋の店頭で、「この写真でよろしいですね」とか言われた後で。店主、手に取った写真をじっと見てから「これ、カメラは何です?」。
 写真を見ると私の姪っ子のポートレイト。ピントは目に合わせてるのでバックがぼけ、予想通りの仕上がりでした。フィルムが110である以上、こういったボケ具合の写真が撮れるカメラは限定されるわけです。
 私がauto110だと答えると店主は満面の笑み。
 「私もあれ、大好きなんですよ。もう無くなって随分になりますけどね、最終生産の時、一台予備で買ったんです。まだ新品状態で箱も開けてませんよ、あっはっは」
 カメラ本体だけでも目立つ上、仕上がった写真でも会話のきっかけになるというのがこの子ですな。



造りは精巧



 レンズ交換式一眼レフですから、ボディにも、レンズ前後にもキャップがあります。それがまた小さい。なにしろ10円玉サイズ。すぐどっかいなくなります;; 無くすとなかなか買えません。ポケットに入れて紛失対策必須。
 ちと脱線しました。え〜、ご覧のようにレリーズ(シャッターボタン)にケーブルソケットもあります。底面にはもちろん三脚穴も。サイズが小さいだけで、ほとんど普通の一眼レフのように撮れます。写真で見て、ボディ右肩付近にあるのは専用ストロボ用のコネクター。大きな方の円が接続部と接点、右隅の小さいのは露出をストロボ用に代えるスイッチで、ストロボを付けるとそこが押し下げられ、ストロボ専用の露出になります。


 この子は内部構造を見せる、展示用のもの。「auto110スケルトン」と呼ばれています。カメラ屋さんに展示用として配布されたのですが、時々中古市場に出てきます。光線遮蔽が成されていないので当然撮影不可。ちなみにレンズもダミーで、区別できるようにDUMMYと記されています。
 スケルトンで中身を見ると、びっしりつまっている部分と、小さくするために外装しかない部分と、極端なのが分かります。

 こっちはSUPERの背面。注目すべきはアイピース(覗き穴)のカバーがあること。セルフタイマーの搭載により、ここから余計な光線が入って露出が狂うのを防ぐため新規に付属されたもの。つまりセルフタイマーのなかった初代にはありません。
 ミノルタの方にはシャッターが内装されてますが、こっちは単なる蓋ですw この子も簡単に行方不明になります;;


 で、さらに注目すべきが専用のディオプター(視度調整レンズ)。上が裏側、下が表側です。
 これで眼鏡がないとピントも合わせられない私でもちゃんとピン読みできるわけですよ。いやぁ助かる。小さいから特に眼鏡なしだとつらいしねぇ。

 こちらはauto110SUPERのマニュアルから転載。ファインダーの中です。こんなに小さいのに、当時のペンタックス一眼レフ系でお馴染み、スプリットマイクロプリズム式のピント合わせ。これでしっかりとピント合わせできるわけですが、あまりに小さいので慣れないと見ずらいかも、ってくらい精巧です。喜ぶべきか困るべきか・・・

 auto110の方は全面マットは変わりませんが、マイクロプリズムがなく、スプリットイメージだけです。なので、ファインダー内部はシンプルに見えます。
 SUPERのファイダーはうるさいからいやだ、という人もいますしね、実際。



いかにも写りそうな追加大型レンズ(でもちっこいw)

 これはレンズに同梱されていた説明書の表紙。六本時代になってからの、ですね。上が1981年版。下が85年版。内容はほとんど同じですが、下の方が何箇所か改訂されています。まぁ使い方は同じですけどね、当然ですが。


 この6本のうち、今手元に残っているのは標準24ミリ、ズーム20〜40ミリ、望遠70ミリの三本。普通のカメラだとそれぞれ大体50ミリ、40〜80ミリズーム、135ミリ相当と、倍にすると焦点距離が分かります。110はフィルム面が小さいので、焦点距離も短くて済むのですね。


 これは望遠70ミリ。もう前面全部がレンズって感じの造り。すごいですよ、これは。初めて見た時、もう見た目だけで「これは良く写る!」と確信できるほど。
 まぁ思いこみですな、単なる。でもその思いこみ=やる気につながるわけですから大目に見てくださいな。

 金属製専用フードを付けるとこんな感じ。なんか普通の一眼レフっぽいでしょ? 
 でも、実は私、このフードほとんど使ってません。もっと長いタクマー用のを流用してましたので。後期に出た金属製レンズ二種はフィルター径がペンタックスやオリンパスで標準仕様だった49ミリなので、いろいろ選択できるのですよ。

 こっちは一番愛用していた20〜40ミリズーム。最初に買ったのはお亡くなりになったのでこれは二本目です。これもまた「写るぞ〜〜〜〜〜」って思わせてくれる外見(思いこみですなw)。


 短いながらずっしりとしたレンズなので、ボディに付けて手にすると前に傾きます(爆)。さらに卓上に置くと、レンズの方がでかいので上を向きますw


 最初に買ったレンズは死んじゃいましたが、この金属製純正フードはまだ最初のを使ってます。右のがそれね。もうぼろぼろ。何度も歪んだのを直して使ってます。で、左が二本目を新品で買った時、それ用に購入した予備。使ってないので新品同様です。
 このフードが結構重宝するんですよ。49ミリ径のネジなのでMマウントレンズ(ペンタックスが出してた普通のカメラ用のね)広角にいい。頑丈だし。本来KやMに付く角形フードもすごい効果なんですが、なにしろネジ止めじゃなくってスプリング止めでしょ、ぶつけると簡単に外れちゃうんですよ。このフードはオリンパスの広角にも使ってたので、ぼろぼろさ加減に拍車がかかっております。しかしながら。もう30年近く前の物がいまだに使えるのは感動ものですな。


 フードついでに。上が金属外装レンズ用の金属製フード二種。下はプラ外装レンズ用のラバー製で折り畳み可能なフード。下段左から24ミリ標準用、18ミリ広角用、50ミリ中望遠用になります。このラバーフード群、なんかライカ用フードと外見がよく似てるんですよ。プアマンズライカの気分? ライカCL用のも同じ折り畳み式だったし、どうも共通感があります。
 24ミリのは先端に一回りサイズの大きい保護用のフィルターをゴム系接着剤で付けたりしてましたね。懐かしいなあ。
 このラバーのは折り畳めるので携帯に便利・・・なはずなんですが。
 実は弾力のせいで、簡単に折り畳まれた状態に戻っちゃいます。変な歪みクセもすぐついちゃうし。シャッターを落とした後でフードが畳まれてる事に気が付いたりして。う〜ん、ちょっとこれだけは使えなかったなぁ。この三種はフィルター径がカメラ用としては特殊で(8ミリカメラなど動画用にある口径)、代用品で安いのがあまりなかったので、困ったものでした。ただ、当時はパーツとしてこのフード、普通に注文できたので、私はこれのラバー部分をひきちぎり、金属部分を他社用の金属フードに固定して使ってました。今思うとなんて勿体ない事を・・・。

 70ミリと20〜40ズーム以外、フィルターも専用径なので、予備に買っておいたものです。なんか特価600円とか見えるぞw 製造中止になった時に買ったのかな?

 とまぁ、このようにレンズもフード、フィルターなど揃っていました。特に一眼レフの特徴を生かし、接写用のフィルターがあったのが印象的。撮影旅行で切符とか、撮ったなぁ。





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