イラスト:平井久司
開発コード<あやかし>。商品コード「KQ1」。正式名称は<かいき☆くえすと・左>。<右>と対を成す、学校を舞台とした怪奇ものぢゃった。
ワシも殿下も伝奇ものが大好きぢゃったから、<だいす☆くえすと>ルールを使った怪奇ものを作ることは当初から予定があった。そこで最初に考えたのが現代もの<だいす☆くえすと・妖(あやかし)>。山伏、神父、巫女などが妖魔と戦うゲームじゃった。ぢゃが、テストプレイに入った段階で、どうも単にジャンル違いの<だいす☆くえすと>の感を拭い得ない。そこで、ユーザーに、より一層理解しやすいものとして、舞台を学校にしたのぢゃ(実はFM企画のある場所の真正面が都立高でな、夜の学校での冒険をやってみたかったんぢゃよ)。
プロの退魔師ではなく、あくまでアマチュアの学生を冒険者にし、感情移入しやすいように「死」を払拭。さらに敵も成仏するだけで「死」はない、というような原案とルールのコンセプトをワシが出し、殿下の仲間、爆裂隊を中心に新システムを頼んだ。こうしてできたのが「S.G.C.(スクール・ゴースト・チェイサーズ)」ぢゃった。そのルールをテストプレイしながらルールをどんどん改定していたのが<つぅ>を発売してからしばらくした頃ぢゃ。この段階で多数来ていたゲーマーからの意見を反映し戦闘にも新しい概念を加えた。
こうしてシステムとして完成した段階で、残念ぢゃがワシは再検討を決意した。<S.G.C.>は<だいす☆くえすと>をよく知っておる者によって作成されたものぢゃ。それ故に、<だいす☆くえすと>を知らないと分かりづらい部分が多かったのぢゃよ。
初心者が買ってすぐにできる。
これが真の<だいす☆くえすと>ぢゃ。これをベースにした新規の作品は、何もワシ等が手を出さずとも、ユーザー諸氏が、そしてメーカースタッフが作ってくれる。それなら、ワシのなすことは何か。そう考えた結果、バリエーションである<S.G.C.>を離れ、<だいす☆くえすと>に並ぶ入門ゲームを用意することにした。その後でも<S.G.C.>のようなバリエーションは出せるのだから。
シンプル・イズ・ベスト。
もう一度そこに立ってデザインし直した結果、<だいす☆くえすと・わん>にあたる、簡易ルールを使用した入門用の<左>、そして<つぅ>にあたる本システム、<右>の二本立てとなった。こうして妖魔狩りというダークさよりも、学園七不思議風にコミカル性の高い、<かいき☆くえすと>が出来上がったのぢゃよ。さらに<そろすぺ>で行なったキャラクター導入も検討し始めた。ルールの説明をただ書くだけでなく、あたかも本当に学生として入会したような感じを出したかった。さらに分かりやすいキャラを出すことで、感情移入を促したかったのぢゃ。
感情移入。これはRPGの本質の一つぢゃろう。しかし、<だいす☆くえすと>では真っ先に削除せざるをえなかったことぢゃ。没個性。これがシンプルさを追求した結果の選択ぢゃった。しかし、この<かいき☆くえすと>では、日常のすぐそばにある非日常を示したかった。その思考の末、ワシがたどりついたのはキャラクターの導入ぢゃったのぢゃよ。サンプルキャラクターでも一緒に冒険に行くNPCでもない存在。つまりルールを解説してくれる「先輩」という存在でぢゃ。
システムの再構成が一段落し、ついにルールをまとめる時が来た。今度は具体的にキャラクターを導入する番ぢゃ。で、DDマガジンに掲載予定ぢゃった短編、「シュン、サー、そして元帥」のキャラを持ってきたのぢゃ。この小説は当時プレイングガイドに連載していた「第三の紋章」の著者、秋澤弘の作品で、RPGを趣味にする学生たちが同好会を設立するまでの有様を描いたものぢゃったが、すでにイラストレイターの平井久司によってキャラも出来ておったのでな。
これに<アヤカシ>の時にライバルのNPCチームとして設定されておった退魔師の一族、御崎(美咲)家の三人娘(当時は姉妹ぢゃった)を加え、イラストレーターの「殿下」までワシが勝手に追加して「フツーの2・3年生、ミョーなOB」というキャラ構成にした。
こうして<かいき☆くえすと>が完成したのぢゃ。ここまでにはずいぶん時間がかり、確か1991年も6月に入ってからの事ぢゃったのぅ。
次は<左>と<右>用の2枚の箱絵ぢゃった。これも平井が担当したがな、ワシが渡したラフよりもさらにコミカル、かつ妙な雰囲気の絵に仕上がった。下が最初予定されておった<かいき☆くえすと>の箱絵ぢゃ。実は、最初はこっちが基本ルールとなる予定ぢゃった。ちなみに、このPTは五人編成なんぢゃが、リーダーがここにいないのは、彼が記録用にこの写真を撮影しているということになっておったからぢゃ。リーダーは写真部ぢゃったからな。以後、その設定は継続され、06年に至るまで、リーダーは一回も絵になっておらん(爆)。

で、下のは<つぅ>にあたる方の絵ぢゃ。これを見た時に、わしは愕然とした。「これだ!」という感じでな。もう、これが<かいき☆くえすと>を代弁しておるとまでワシは思ったものぢゃ。で、すぐさまこっちを基本に変えたのぢゃ。ということで、最初<右>が基本だったのが<左>に変更になった。そのためにこの絵を受け取ってから、再度ルールを書き直したほどぢゃよ。

さて次はダイスのイラスト等ぢゃ。これは平井と殿下が手分けして起こしてくれた。簡素な記号のような殿下の絵とリアルタッチの残る平井の絵の2種の組み合わせがやりたかったのぢゃ。<かいき☆くえすと>はそういったゲームぢゃったからな。
1991年も秋口に入り、箱のレイアウトもあらかた完成し、問屋さんに注文書を流してもらい、いよいよ印刷。
その時、メーカーがゲームから撤退したのぢゃった。それまでに商品化されなかった一切の企画は、総て只働きに終わった。<かいき☆くえすと左>は一夜で終わってしもうたのぢゃ。<かいき☆くえすと左>はな。
実に十年近い時が流れ、1999年11月。<だいす☆くえすと>が市販されたのと同じこの時期に<超かいき☆くえすと左>が市場に流れた。<超>を付ける以上、ルールは全面的に修正された。妨害者の強さも一から考慮し直し、アイテムの価格も大きく変化した。この結果、さらに入門用になったことは間違いないと思うが。なにしろこのゲームの購入者は<だいす☆くえすと>どころか、ダイスゲームというジャンルすら知らぬであろうからのう。システム的には入門にあたるため、なるべく平均化を図った。一方、同時進行で進めておった中級ルール、<右>はわざと混沌的部分を残しておいたがな。
しかし、出るには出たが、所詮は「同人ゲーム」ぢゃ。シールはビク抜きはおろか、印刷もできん。単なるMacからの打ち出しぢゃし、ルールはコピーぢゃしのぅ。<だいす☆くえすと>の時の様に広告も打てん。ましてやあの時のように無償で協力してくれる「仲間」がおるわけでもない。特に殿下が音信不通なのが一番痛かった。(「もしこれを読んだなら、すぐに連絡してくるよーに!」:vonぐゎるま)
もちろん通常のゲームのようにメーカーから出してもらうことも考えた。メーカー三社に出資依頼を当たってみたが、回答は否定的すぎた。結局サークル・FM企画が独自で作成する同人ゲーム以外の選択肢がなかったのぢゃよ。
ぢゃが、どうしてもこのゲームは出したかったんぢゃ。コピーでもいい。とにかく出したかったのぢゃ。やってみてくれれば分かる。面白いのぢゃ。ダイスを振るという楽しみに徹したため、RPG同様の楽しみはない。しかし、それでも十分面白いのぢゃよ。ま、ワシの独り合点かもしれん。それはこのゲームを遊んだ皆の衆が決めてくれればよい。
ながながと昔話につきおうてもろうて、感謝しておるぞ。出来れば一度でよい、<超かいき☆くえすと>を遊んで欲しいぞ。
同人ゲーム
<超かいき☆くえすと 左> \1,000
内容物
:ルール
:無地ダイス4ケ
:ダイス用シール(カッターなどで切って貼ってください)
:記録シート(コピーして使用してください)
ご注文は通販のページをご覧下さい。
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