MFガイド改造編 自作実例


イラスト:平井久司

 改造の腕が上がりフィギュアの原型ができるようになったのなら、遊びの幅が大きく広がります。装備や髪型を変えてみるのはもちろん、そのフィギュアをキャストででも複製できたなら、いろんなバージョンを作成可能。これが有る意味、究極の楽しみ方です。

 これはあたしが以前やっていたPC、ノームの幻術使い、セル君のフィギュアセット。左下のが本人。で、その隣のヒューマンはセル君が幻術で人間に化けた時用。目玉みたいなモンスターはセル君のお供。上のベースだけ塗ってあるのは幻術で分身(空蝉みたいなのね)を出した時用。
 で、セル君は宝石専門のローグでもあったので、ダンジョンで宝箱を開けると撃墜マークとして置いていました。


 こっちはセル君の故郷のみなさんw
 NPC集団ですな。


 歩いてるセル君とお供に乗っかってふよふよふよ〜ん、してるセル君の自作フィギュア。お供もベース以外、自作です。まぁ、こんなお遊びができるのも自分で作るからですなぁ。


 こんな風にあたしは自分のPCで遊んでいたわけです。で、これからご紹介するのはあたしの一番最近のPC、アーシァちゃん。
 士官学校で参謀を目指してる小娘っす。謎解き大好きっこで、肉体労働大嫌い。戦闘はもっぱら射撃で、接近戦は苦手。


 あたしが描いた設定です。で、この子はLVでMF化することにしてあったので、でふぉるめたる用に等身を直したのが下。


 LVは素体を先に作成し、それを直して三種類作ってます。「駆け出し」「ベテラン」「マスター」とLVアップを立体で再現するのがこのシリーズですから。
 右の写真がその素体。これにペタペタとパテを盛りつけて、いろんなポーズにするわけです。これは複製したままなので湯口への道がそのまま残ってます。耳や顎にもありますね、バリ。


 見て貰えば分かるのですが、この写真、「駆け出し」のアーシァは素体をそのままベースにしてあります。というか、駆け出しのを作る課程で一旦型抜きし、バリエーション用の素体にしている、という感じです。ですから重心も右足にありますし、胴体の向きも微妙に曲がっています。そのためポーズを変えるのにはちょっと向かない素体になってしまいました。
 等身が低く押さえてあるのは「ガキ」だからです(爆)。尻とかもガキっぽさを残しました。
 で、実は今回はいつもとは違う作成方法(特に頭)を試してみたんです。でも、これが出来上がってみるといつもとほとんど同じ。真横から見ると違いが分かるのですが、その程度。折角製造担当の今野君に頑張って貰ったのに。すまん。
 ま、こういうのもやってみないと分からないので、勘弁ね!


こっちは中堅まで上がった「ベテラン」ね。

 さてこの素体。これをベースにMFを作るとなりますと、いろいろ複製時の制約のため、実はあんまり自由には出来ません。あたしは顔を統一するというのと、等身、特に身長を揃えたいので素体を使用していますが、結局これから複製するわけですから制限は同じです。
 しかし、一体モノ、つまりワンショットディールであれば話は別です。以前MFガイドでも書きましたが、ホワイトメタルなりピュータなりに抜き直し、MFにする必要は実はないのです。特に自分のPC用とか、NPC用とか言う場合には。

 あたしはそういうのをMFに対してPF、つまりパテフィギュアと言ってます。パテのままだということですね。複製を気にしないので好きに作れますよ。
 パテフィギュアの問題点はやはり強度。金属と比べるともろいので、倒れたりしますと運が悪いと簡単に割れます。
 一方の強みは自由度です。複製の制約から解放されてますから自由に作成できます。湯周りなり空気穴なりを考える必要もありませんし、なによりパーティングラインを考慮しなくていいのでポーズを自由にできます。場合によっては両腕を胸の前に尽きだして手を握る、かめはめ波を打った瞬間のようなポーズもできるわけです。武器などの小パーツも抜きを考慮して厚くしたり、大きくする必要がありません。
 ただ、十分な強度を与えておくには心棒が必須になります。

 で、MFとPFの中間もできるわけで。MFをベースにパテ盛った、ってのもそうですが、量産しないのが前提なら、結構シビアな造形でも無理矢理複製することは可能なのです。ただし、一体の抜きに成功するのに十体も失敗しますし、すぐシリコン型が壊れるので、大変な出費になりますが >.<;;

 下はその中間の一例。先程の素体をベースにして射撃姿勢にしたものです。「あーしぁちゃん、しゅーてぃんぐも〜ど!」ってね。当然一体物の、いわゆるワンショットなので、販売予定なし。なので、かな〜り自由に作れます。

 白く見えるのがエポパテです。いつもながらタミヤのね。ちなみにまだ大まかなパテ盛りが終了した段階です。細かい部分をこれから形にするって所ですね。そういう作業に入る前に、一回完全に硬化させてしまおう、という状況です。
 さて、この子は素体を利用してはいますが、もう大変更です。でも最初からパテで作りますと強度が全然足りません。心棒を埋め込むのはやはり金属であった方がいいので、こういう改造にしています。実はあたしの場合、顔から全部から作った方が完成早いんですけどね。見てのとおり、顔と左足の靴先以外、金属部分は残っていません。素体は「心棒代わり」ってことですね。

 両足の中心がベースの中心にないのに注目。重心がある左足をベースぎりぎりにしています。つま先が出っ張るほどぎりぎりに。こうしたのはもろくなる延ばした腕側を保護するためです。伸ばした腕で右サイドに寄りがちな重心(ポーズのではなくMFの自重の、です)をベースの中央に移動し、倒れにくくするためでもあります。

 ここから具体的な製作方法です。
 先程の素体からまず頭部をエグザクトでカット。次いで右足を股関節からななめにカット。重心が変わるので股関節との接合角度、そして左右どちらが上に来るかがまるっきり変わるので仕方ありません。半身どころか2/3は新規作成です。その後で左足をベースから切り離し、各部の角度をゆっくりと曲げながら調節します。

 一番のポイントは何度も書いてますが強度。いくらベースがMFでもこれだけ切り張りした上、角度を変えたりしたらもろいです。左右両足にしっかりと心棒を入れるため、いつもの.5の真ちゅう線ではなく、一回り太い.8(スピア等の芯に使っている太さ)のをピンバイスでしっかりと固定します。
 首と腕の接合は干渉しあうのでまず肩を左右に貫通し、次いで頭部用の穴を開けます。
 首が真横近くに向いている上、肩の上下感を出すために何度か微調節を繰り返します。そのため首はいつもの.5です。で、納得できる肩胛骨と首筋が出来たなら、いよいよ腕。これは右手先端から右腕、肩を貫通し左腕と、一本の.8の真ちゅう線で通してあります。つまり左右の腕は一本の心棒です。あたしはこの方法を「河童」と呼んでいます。強度の問題をクリアするのはそれが一番早いからです。
 また、人間の関節は若干伸び縮みしますので、大きく腕を伸ばしているポーズの場合、腕の長さの調節がかなり困難になります。服を着せたら長すぎたり、短すぎたり等々。ましてや首を真横に向けてますので肩関節の場所の決め方が大変。
 その点、貫通させておいて左腕側に多少余りを用意しておきますと、作業中に微調節(出し入れ)が可能です。延ばした腕がOK、ってなってから反対側用の心棒を曲げるんですね。

 銃身に真ちゅう線が見えていることに注目。これが心棒の先端です。つまり、銃身の先からスタートして手首部分で曲げ、本体の肩部分を貫通して腰にあてている左手の手首までが一本の真鍮線なのです。こうしておけば原型作業中に曲がったりすることはまずありません。腕だけならMFよりも原型の方が丈夫なくらいです。

 こういったワンショットのフィギュアの場合、もう本当に自由に改造できます。顔と左足の甲以外パテで埋もれており、素体部分が表面に出てるのはそこだけ。つまりもうほとんど別フィギュアということ。

 さて、こっちの写真は塗装し完成した物。礼服なので色は白。ただ、写真だとずいぶん「飛んで」いるので、実物はもうちょっと陰影付いています。銃のランヤード(吊り紐)は0.5mmの真ちゅう線をベースにしています。モーゼルを握る右手親指のすぐ上にちょこんとあるのがM712系の特徴、セレクター。分かってないとまず見付かりません。また、銃の後端部、袖の上に乗っている出っ張りがハンマー。これも起こしたというか引いた(つまりすぐ撃てる)状態にしてあります。射撃姿勢ですからね。もちろん、腰のホルスターは銃を抜いた後なので、握りの部分(左上端)がありません。


 で、こっちは銃の代わりにリピーティングボウガンを構えたバージョン。普段はこっちを撃ってます。弾丸、高いから(爆)。

 上からの写真を見て貰えると分かると思うのですが、ハンドクロスボウ、「とれんた君」、中央構造物以外、真ちゅう線で組んでいます。そのため、弦もクランクも別パーツになっているので、量産はもちろん、複製も絶対にできません。ワンショットディールならではのお遊びです。パテフィギュアならでは、ですな。



 お気に入りのMFがあれば、それをベースに改造しちゃいましょう。同じのを幾つか買って置いて、マントを付けたの、抜刀したのとバリエーションを作り、シナリオの状況に合わせて交換すると楽しいです。
 「こりゃヤバイ。いっちょ気合い入れるか」って時に戦闘用のかっちょええポーズのを作っておくと「張り切り度」がゲーム仲間にも伝わりますよ。
 あるいはすごいマジックアイテム、剣とかシールドとか入手したら、それを持たせるのもいいでしょう。複数のMFを切り張りすれば簡単です。
 模型でやったことのある人なら別段説明もいらないほど。金属なので接着を瞬着かエポキシ性の二液混合接着剤にすれば大抵できます。


 写真一番右が素体。で、それを大改造して作ったMF、その完成品、さらに小改造した一体物、そして一番左が透明Ver.という順です。
 ベースフィギュアがあればいろんなことができますね。これはもぅ、究極のMFの楽しみ方ですなぁ。