
頭作成
前記のとおり、あたしゃいきなし頭(かしら)から。
頭作りの最初のポイントは首の位置です。これも前出のとおり、首は真下ではなく、一旦後方に下がります。この角度を間違えると悲惨の一語。原寸の側面図をよく確認しながら作成してください。頭蓋骨を思い起こしてください。アゴの後ろに首がつくスペースがあるでしょ。あれはちょっと斜め後ろに伸びてるわけです。後頭部の真下から伸びてるのではありません。
あたしの場合、まずは0.8ミリか0.5ミリの真鍮線に適当な大きさに丸めたエポパテを付けます。この「適当」ってのが曲者なんですけどね。感じとしてはMFの頭蓋骨の大きさにちょっと多いかな、程度の量です。髪の毛の分は考慮しなくてOK。
この後の作業中、軸線がずれたら大変なので、しっかりと固定できるように多少軸線に伸ばしておきます。ここが首の軸になります。後で曲げるので1ミリもあれば十分。この段階で表面は可能な限りなめして置きましょう。形としては逆さに置いた卵を真似するといいでしょう。上が大きく、下が細い卵型。んで、真鍮線がちょっと斜めにささっている感じです。で、形が整ったら、真鍮線の下方を曲げて、机に置けるようにしておきます。さらに本などで押さえておくといいでしょう。


まずはぶっさし状態。今回の絵ではずいぶん俯いているので、それに合わせて首の付け方も曲げてあります。通常はもっと後方に伸びますのでご注意を。
さて、これからが大変。もう一度よーく絵を見ておきましょね。鼻の位置。目の大きさ。正面と側面をつなげるようにしながらよく記憶します。
顔は人形の命。だからいろんな作り方がありますが、あたしのはちょっと大胆すぎかも。
まず頭頂部に正面と側面がわかるように細く十字線を入れます。髪の毛で隠れる場所にしましょう。ま、大抵背面は完全に隠れますから、背面側だけは真鍮線からそのまま伸ばしてもいいです。次いで耳が付く部分にも軽くマーキング。耳の高さは目の配置を知る重要な要素になりますから。もちろん顎のラインもこの段階でしっかりと整形しておきます。
ま、のっぺらぼうを作る感じね。
で、ここまで出来たら正面のラインに沿い、額にあたる部分からアゴの先までを、水をつけた指先で一気につまんでしまいます。これで、顔の正面だけ出っ張った状態が出来あがり。いゃあ、考えてみると本当にダイナミックつーか、無神経な造り方だな、我ながら。ははは。



ついでスパチュラ(もしくはヘラ)を用意。額と鼻筋を残すように、他の部分を押しつけて引っ込めます。まずは額の下部、鼻筋のスタートラインをスパチュラの丸い柄で、真横から押さえます。次いで落ち窪んでいる部分、眼窩とか鼻と頬の隙間などをスパチュラで丁寧にそっと押し込みます。顎のラインなどとの位置関係を確かめながら丁寧に丁寧に。
最後に鼻の下端部をヘラで修正し、口元を作成。この時、真横から見て鼻と上唇との隙間、そして下唇と顎との隙間。この二箇所の隙間を細い丸棒でそっと押さえてください(唇の整形はなくても、そこさえ押さえてあれば十分に口に見えます)。次いで今度は正面から、今押さえた部分が頬の高さになじむように修正。唇の左右の端を斜めにそっと押して整形します。最後に唇の下半分をそっと押してやり、中心に線を描きます。ただし、デフォルメキャラの場合には口のラインのみで唇を無視してしまった方がかわいくできます。この辺には慣れが必要ですね。唇が目立ちすぎて「たらこ」になったら可哀想でしょ?
さて、ここまで、ちゃんと形になりました? 形を直接見るだけでなく、単一光源から当てた光で影を確認してみましょう。影のつき方が左右違っていたらどこか間違えてますから。ここで歪みがあったり、押しすぎてへこんでいたりしたら、最初からやり直し。頭を真鍮線からえいっと取り、また丸め直して再挑戦。いいですか、人形は顔が命ですよ。ちょっとでもおかしかったらやり直しましょう。何事も最初より二回目、二回目より三回目の方がうまくいくモンですからね。エポパテなら作業時間は長いので、3回くらいなら挑戦可能。それ以上だったら、新規でパテを切りましょう。しくしく。
でもここでめげちゃダメ。「お父さん頑張るからね」ってつぶやきながらチャレンジし直しましょう。
満足のゆくのができました? できたら、さぁ、いよいよ最難関、「目」です。リアルキャラなら額(眉毛のあたり)と目との隙間をちょっと押し込み、目のモールドを入れます。目の下と頬とのラインは正面と横を何度も確認しながら慎重に進めましょう。実は目そのものを書き込むより、額と頬のラインの方が大変です。
デフォルメキャラの場合、額と頬のラインを整えてから目にかかります。一回全体をそっとなめし、平らにしてからスパチュラで目の輪郭にそって押し込みます。線を描くというよりも、ヘコミをつなげてゆく感じで。へこんでいる部分が目の外周になるのです。睫毛部分が目の輪郭より出っ張っているなら(特に目じり)、そこはモールドを彫り込むつもりで修正します。
目の外周が一通りへこんだら、原寸原画と見比べて確認。ミスがあったら・・・。また丸め直しです。とほほ。OKだったら今度はまず目の外周部の外側をヘラでそっと押してなめします。へこます段階で少し出っ張ってしまっている可能性が高いからですね。ついで目の内部をなめらかにします。ヘラの跡を一つづつ消してゆき、つるんとした表面にします。
目の作業はヘラにつける水の量を少し多めにしておくとよいのですが、もしも目の窪みなどに水がたまってしまったら、慎重にちり紙で吸い取ります(余談ながら、あたしゃ吸水性の点で優れたクリネックスを愛用してます)。
片側が完成したら、今度はそれを真似しながら反対側も造ります。特に左右で大きさが違ったり、角度が違ったりしやすいので、横と正面を何度も回して確認してください。耳につけたマークと顎のライン、そして額のラインをベースとして慎重に。失敗したら・・・とほほ。
両方完成したら作業は一旦終了。耳は後で付けた方が確実ですから、耳なし頭の出来あがり。完全に乾かしてください。
なお、しつこく「やり直し」と書きましたが、通常の人形作成では、目の位置程度なら後から修正可能です。しかし、MFの場合、小さすぎるため、後から修正しづらいのです。また、エポパテは性質上、ポリパテのように固まってから彫り込むという方法よりも、固まる前に表面処理した方がきれいなので、面倒でもやり直してください。
無駄に思えるかもしれません。でも、やり直すたびに必ずあなたの経験値は上がってますよ。

とりあえず頭は形になりました。この段階ではまだ台座がありませんので、各自工夫して乾燥させましょう。乾燥時間はたっぷりととって下さい。次の行程は真鍮線を曲げますから、中までしっかりと乾燥してないと頭がもげてしまいますよ。
軸線の加工
頭部が完全に固まってから、軸線の加工を開始します。まずは原寸側面図に載せ、首から腰までのラインを曲げてみます。肩までは背骨の位置に、そして腹部と腰部は中心にくるようにしましょう。ついで今度は正面図にあててみます。首の角度等を確認し、修正したらまた側面図に置いて再修正。上半身が完成したら、今度は正面図に当てなおし、腰から重心のある側の股関節までの移動分を曲げて作成。(多分1ミリ程度しかないはずです)
側面、背面、正面の総てに問題なく通るように脚の軸を曲げてゆきます。この時も中心を通るようにしておきましょう。特に軸線がズレる膝は慎重に!






こうして足首まで伸びたら、足の底面にあたる部分から今度は重心方向に軸線を延ばしておきます。真鍮線はわりと丈夫ではありますが、何度も曲げていると折れてしまいますので、くれぐれも慎重に。もし折れた場合、仕方ありません、頭の根元から抜いてさし込みなおすか、腹部など、多少膨らんでいてもOKな場所で接合し直しましょう。


ついで台座を用意します。既存MFの台座だけ切り落としておくといいでしょう。あたしは数種類台座だけメタルで複製してありますの簡単。足の軸線が来る場所両方にピンバイスで穴を開けておきます。あたしの場合、ついでに靴底にあたる部分を掘り返してパテの食いつきをよくしておきます。
そこに頭から伸びた真鍮線を差し込みます。この段階で最終チェック。身長が変わっていないか、台座と頭部との位置関係が曲がっていないか等を確認してから瞬間接着剤で台座に固定。余った軸線を台座の裏から切り落とします。この段階で台座に固定しておけば、エポパテが乾くのを待っている間の安定性が増します。
次に重心のかかっていない側の足用に軸線を固定します。

新しい真鍮線の先端を腰部にまきつけて接着。不用部を切り落とします。そして股関節で曲げたら、先ほど同様に側面図等に合わせながら曲げてゆき、OKだったら台座に通して接着し、また不要部を切り落とします。
次には腕の軸線を固定するのですが、この状態のままでやりますと、軸線があっけなく曲がってしまい、やり直しになりやすいので、まずは軸線を補強しておきます。エポパテを細い紐状にして、台座から腰に至るまでの軸線を包み込みます。ところどころ軸線が見えていても気にせず、細く、細く伸ばしてゆきます。もちろん、この段階で軸線が曲がったらまた直してください。
(余談ですが、あたしはこの時に、もう裸の脚部を作ってしまいます。太ももなどは後で盛りますが、足首や脹脛、そして特に膝は整形しつつ伸ばします。ま、後で服で隠れる場所でも、ちゃんと裸の状態を作ってから載せた方が、整形処理にウソが出ませんからね)
下半身の補強が終わったら、完全に乾かして、次ぎに上半身。ここも曲がらない程度の細さで紐状のエポパテで包みます。肩部のすぐ下まで伸ばしたらOK。この段階でまた完全に乾かして下さい。そのままの状態ではエポパテもぐにゃぐにゃですから、補強の意味を成しませんよ。数日おいて完全硬化させましょう。
固まったら新しい真鍮線を肩部に巻きつけて瞬間接着剤で仮固定。肩甲骨の位置を確認し、OKだったら接合部にもエポパテを載せて補強します。この段階ではとりあえず肩から腕が伸びている方向に真鍮線があれば結構です。後から修正できますから。なお、肩胛骨の背面に補強をあてすぎると、後で削らなければならない場合があります。側面から見て、背筋が直線ではないからです。側面図を確認しつつ進めて下さい。
ここらで残ったエポパテで耳も作っておきましょう。髪形によっては完成時には隠れてしまいますが、耳が付いている状態でないと、髪、特に耳の前に伸びる部分の束の処理がしずらいですから。
また完全に固まってから、今度は両腕の軸線を曲げてゆきます。もしも剣なども自作するなら、握りこぶしの位置から曲げて、剣先のちょっと前までも軸線を曲げて行きましょう。とても丈夫になりますから。そういった装備がないなら手首のちょっと先、手のひらの中心くらいで切り落としておきます。慣れれば中指なり、人差し指なりに軸線を通して行くように加工できますが、MFサイズで指先に軸線を通すのは至難の技ですから、手のひら部分まででいいでしょう。
最後にこの軸線もエポパテで補強します。ただし、腕は非常に細いので、それに合わせてエポパテもほそーく伸ばしてください。
ここまででほとんどの骨組みが完成しました。後はこれにエポパテを乗せて行くだけです。
また余談ながら、あたしの場合、実は腕の軸線は作りません。下半身の形状ができたら、硬化を待たずにそのままでいきなり裸の状態での胸部を作ってしまいます。で、次に腹部を作り、結果として肩部でばっさりと両腕を切断された状態の裸体が完成しちゃってます。写真はその状態をMFに複製したもの。これがあたしにとっての「骨組み」です。
んで、その後でピンバイスで肩に穴を開け、軸線を埋め込んだり、場合によっては紐状のエポパテそのもので腕の軸を作っちゃいます。これは腕が邪魔な部分、つまり脇腹等の処理のためなんですが、もちろんお勧めしません。紙ヤスリ等なしで、硬化前に一発で裸体の曲線が作れる腕と、後から服の分のパテを盛っても「着膨れ」しないようにどこをどれだけ細くしておくかという慣れがあってこその方法ですから(良い子のみんなは真似しちゃだめよ)。
写真を見て下さい。腹部は極端に細く、太股から臀部にかけての盛りつけもしていません。ここを本当に裸の状態で作っちゃうと、服を乗せると「着膨れ」しちゃうからです。乳房の下方も同様の理由で左右つなげたまま。一方、上部は襟から見えるので谷間も作ってあります。ついでに商品段階では見えない「耳」もあるでしょ?

余談ついでに、うちのLVシリーズは装備品違いで3種づつありますが、総てこの段階をMFにした「素体」から作ってます。このようにバリエーションを作るにはいいんですがね。
骨組みなしで一気にここまで作成するのは多分数年&百体程の経験が必要でしょう。もちろん頑張ればできないことではありませんが、全体のバランスが崩れやすいので結果としてマイナス点が多いです。しつこいようですが、まずは基本通りの骨組み作成をお奨めします。あたしも昔はそうでしたからね。
盛りつけ
ここまで出来ちゃいますと、後は改造と同じです。ここから先はガレージキットの作れる人なら問題なく作成できるはずです。
要は一ヶ所づつ作りながら、全体を確認してみることです。バランスが一番難しいですからね。何度となく原寸図にあててみて、その都度チェックを入れましょう。原画さえしっかりバランスがとれていれば、さほど困難なく形になるはずです。原画の作成時間の方が、実際のパテ盛りよりも長くかかるのはそのためです。
この時にもう一つ大事なポイントは作業手順です。首と肩胛骨、鎖骨といった一連の形を作ってからでないと、襟はできません。そして髪の作業はもちろん襟ができてからになります。さらに長髪の場合、髪がかかる服や装備なども完全硬化してからでないと難しいです。作業工程の順番を考慮して下さい。完成時に見えなくなってしまう部分でも、形にはしておかないとバランスが崩れやすいですから。表面処理はなくても結構。形だけにはしておきましょう。こういった理由から、作業は盛っては硬化、盛っては硬化という何段階もの行程になります。
ところが、そうやって立体的に製作しますと、「着膨れ」になりがち。今製作している部分の上に何層のパテが来るのかを常に頭に入れながら製作して下さい。
なお、エポパテは油と相性が悪いので、硬化したパテに油が付いた部分がありますと、上に乗せたエポパテが後でポロっと取れます。前髪作成時など、それを利用して、エポパテがついては困る場所(瞳の中とか)にほんのすこーしポマードなどを塗っておくことも有名なテクニックです(あたしゃメンソレータムのリップを綿棒でこすって塗ってますが)。もちろん、作業終了後に取っておかないと、サフェーサーも弾いちゃいますよ。
また、この特性を利用し、額に油分を付けたまま前髪を成形。半乾きの状態で前髪を曲げると、サイボーグ009とゆーか、ガンダムウィングのトロワとゆーか、顔の前にどーんと伸びた前髪などもできます。半乾きでしたら、べと付かないので、押さえになにか挟んでおき、完全硬化してから裏側にまたパテを盛って成形しましょう。
肩や胴体に油分を付け、その上からそっとパテを乗せて鎧の形状を作り、後で外せば、装備着脱式のMFも可能です。ま、そういうのは個人用のワンショットメイクならではのお遊び。でも憶えておいて損はないテクです。
ちなみに、作業中には毎回パテを練ることになりますが、大抵余ります。ごく少量づつ練りますとムラになりやすいですからね。あたしが数体同時に進行するのはそのせいです。硬化させながら他の原型を進行させてますから。ま、同時進行は大変ですし、飽きやすい(大抵お気に入りのだけに熱意が行っちゃって、他のは「形になったからいいや」ってことになっちゃいます。とほほ)んで、お勧めしません。
余ったパテが勿体ないという人は、ついでに台座でも作っておいたらどうですか? あるいはあまり気にせず作れる小道具とか。スライムとかグレイウーズなんかにして、ちょこちょこ大きくなってゆくのも楽しいかも。(プレイヤーにとっってはいい迷惑かな?)
ぐゎるま流開始!
ってわけでこっから先はあたしのやり方。本邦初公開なんで、じっくりと見てってね(あまりにアバウトで大雑把、かつ行き当たりばったりなやり方だから、あんまし役にはたたんと思うけど)

ここまでは同じ。んで、あたしは前に書いたとおり、いきなり足からパテを盛り始めます。



って具合で真鍮線に直接盛りつけてボディを作ってしまいます。もちろん、その間に真鍮線が曲がったら「直しゃいいや」。上の写真の段階から足に盛ってから、べとつかない程度まで強制乾燥、ついで胸を盛って強制乾燥。最後に腹とお尻を盛って強制乾燥で、約2時間ほど。ま、そのうち大多数は乾燥時間だけどね。
注意:強制乾燥はミスると全てがパーになります。慣れないうちは必ず自然乾燥を主に行い、2,3日経ってもどうも硬い音がしない、って時だけ強制乾燥するようにしてください。
失敗してもあたしゃ責任持ちません。ま、自分でミスったなら、「バカヤロー」と叫びながら最初からやり直すだけですが。
なにしろあたしは「やる気」が持続しない人なんで、大抵2日で形にならないと放り出します。んで、1週間で完成しないと……。お蔵入りですね、ははは。(現にPC4になるはずだった子なんか完成は2年後。PC20番台クラスに落っこちたはず)
ってわけで、速攻作りがあたしのモットーなんで。(すまん、参考にならんで)


今回はちょっと胸の形が気になったんで直しました。右が新しい方ね。乳房の付け根がなんか変だったんで、一回こそぎ落とし、盛り直しました。今回はここだけでしたが、場合によっては何カ所も直すハメになることもあります。



強制乾燥後、お次はブーツ。さっさと軸足の右を完成させました。んで、次は左足。まずパテ乗っけて(写真左)、伸ばして(写真中央)、形にして出来上がり(写真右)。この間、約5分。ま、パテ練ったり、一次硬化を待っている時間の方がよっぽど長いので、足や胸を作る前に次の分のパテ、コネちゃいます。
ちなみに、ブーツの上端部はスカートと接しているため、スカート作成後の方が簡単。ってわけで、後で処理するのでそのままです。

お次はそのスカート。まずは股間の下の空間にあたる部分をパテを盛って埋めます。この時に、スカートが自然な流れになるように、お尻のラインとうまくつなげておきます。もちろん前面もね。
この作業をやっておかないと、改造の時解説したマントのように、押すとヘコむことになりますよ。なお、うちのMFは一体成形組立不要、しかも量産するので、こういった部分は埋めてしましますが、あなたが自分だけで使用する、いわゆるワンショットメイクなら、スカートを前後分割し、後付けする方法もあります。


今回のMFでは背面部が髪の毛で見づらくなりますので、最終接合面(一番最後に修正する場所。一番問題が多く出る場所です)を背面上部にします。というわけで、その正反対の場所にパテをポチっとな。
んで、ヘラで伸ばします。スカートはこの子の「ポイント」なので、さすがにイージーなあたしも、この時には原画を見ながら慎重に進めてます(いや、ホントよ)。


んで、大体成形終了したとこ。量産しやすいようにスカートの中もちゃんと平らに埋めておきます。ここを埋めておかないと試作品段階で型が壊れそう。それに、次にブーツの上端を作るときにも、ここが平らな方が楽ちんだからね。
ちなみにおへその前あたりにあるくぼみは、ベルトが来るであろう部分。どこに何が来るのか、ちゃんと処理しておけば簡単ですよ。

通常のフィギュアですと、大まかな形が出来てから乾燥させ、後から削り込むなり、追加するなりしますが、MFは小さいため、乾燥前に表面処理まで行った方が安全です。っていうわけで、スカートが形になったら、速攻で、モールドを彫り込みます。今回のはモールドというより分割(しかもエプロンみたいに前部が上に載ってます)なので、ヘラで前部の左右を押さえ、立体感を出します。で、ここまで来たらまた乾燥ね。自然乾燥なら1日くらい、強制乾燥なら20分くらいかな。



さて、完全硬化後、ブーツの上部を作り、さらに上半身の服を作成。ついで、肩から腕の軸芯を作ります。
ここまで出来た状態が、あたしの言う「形になる」ってヤツ。こうなればこっちのもの。ここまで来て、完成しなかった子はほとんどいません。ってことで、今日はここまでかな? もう朝だし。
作業開始から約6時間。とりあえず、初日の作成はここで一旦終了し、一晩そのままに放っておくことにします。
んじゃ、おやすみ。
初日終了
二日目
とりあえず形にはなったので、ここから先は盛っては硬化待ち、盛っては硬化待ちという実に単調かつ、地味な作業。つまりあたしが一番嫌いな「つまんない仕事」です。はぁ。
なんか、見るからに進んでないと、全然進んでるって気がしないんで、やっててつまらんのですわ。つーわけで、やる気のあるうちにここまで進行してないと、作る気が失せちゃうのね。ま、今回は一日でここまで来たので、「よーし、一気に畳みかけるぞ」って気になっているので、早速スタート!

左手に持つワンドは真鍮線をまず埋め込み、そこにエポパテを盛り、形にします。で、ベルトとブーツの紐(下段分)を作成。とりあえず、ここで強制乾燥。ここが硬化していないと、次の作業が面倒なんで、速攻で形にします。
写真のワンドと左手の軸の先に注目。接してないんですよ、この時には。つなげちゃうとワンドの円断面が出しにくいので。

完全硬化したら、まずベルト周りを修正、ブーツの紐も上段部を作ります。ついでワンドを持つ左手も。先の写真の作業が固まっていないと、この作業はかなり大変なので、段階を組んで作業する必要性があります。あ、ついでにパテが余ったので、耳と後ろ髪のベースを作っておきました。


腕のカフス部等を作成、スカートの腰回りと肩元、首筋など、細かい部分を修正しました。
言い出すとキリがないのですが、首は角度を直し、右腕も伸ばす等々とにかく、この辺は細かい作業がずっと続きます。


カフスなど細かい飾りを付け、髪の毛を完成させます。左が前髪を付けた段階。んで、硬化後にカチューシャと耳の前の髪を付けたのが右の写真。
写真だと、どんどん出来て行ってますが、実際にはパテを小さくまとめて、付けては形を修正し、硬化させるという実に地味な作業の繰り返しです。付けては形を作り、また、パテを小さくちぎっては・・・。
あー、思い出すだけで面倒くさい。しかも、全然進んだ気がしないのが致命的。一カ所づつやってては終わりがないので、可能な限りいっぺんに複数実行するようにします。数カ所に分けるのですが、近い場所だと、作業中に盛ったパテに触れて作業がパアにななっちゃう。ってことでなるべく離れた箇所を選びます。
全体が形になった後、複製時に便利なようにと各部の接合部や、髪と胴体の間の隙間などを、同様に一カ所づつ修正してゆきます。ま、うちの場合量産するのが基本なので、この段階で可能な限り問題点を解決しておかないと、後で今野に「このままだと抜けません」とか言われて原型が返却されちゃうんで、ガンバって修正しときます。
ごく細い隙間などは後からサーフェサーや溶きパテなどで埋めることもできますが、気が付く限りはこの段階で処理しておきます。

つーわけで作業が一段落したのがこの状態。例えば左手に持つワンドと手の隙間が気になったので、ワンドにハンドストラップを付けました。さらに後ろ髪を広げて腕と体との隙間を埋めました。他にもずいぶんちょこちょこ直してます。
ここまでで多分30回ほど盛り・硬化を繰り返してます。なんせ、初日と同じ時間(約6時間)かかってますから。ほんと、時間がかかるわ、この作業は。とほほ。

2日目終了

3日目
今日は仕事が忙しく、サフを吹いただけ。すまん。
でも、この段階で今野のチェックをパスしたので、市販化は間違いなくできるでしょう。そんじゃ、おやすみ。

4日目
こうなると、もう説明のしようのない状況。特にMFならでは、って場所があるでなし。ほら、ガンプラ製作の最初の難関、パーティングライン消しみたいなもんね。紙ヤスリやらメスやらで、一つづつ、一つづつ、ひたすら地道に修正。
もー飽きた。今夜中にケリを付けるぞ! って勢いだけっすね、ホント。
ついに完成!


原型を製造担当の今野に渡し、待つこと数日。ついに出来上がりましたん。
んで、これが型ね。開けるとこうなってます。こうやってベースの底から「湯」を流すわけですな。空気抜きもこんな風に数本伸びます。

左から原型、MF、白吹き状態の三人って見れば分かるか。
こんだけラチチュードが広いと、全部に露出を合わせるのは無理。ってわけで、中間を撮ってます。

さ、後は白吹きしたのを塗装すれば完成。

MFでの複製
繰り返しますが、MFへの変換は大変危険です。個人の責任において実行してください。また、鉛を溶かすわけですから、あなただけでなく、家人の健康にも影響があるかもしれません。特に小さい子供や妊婦がいる場合にはどのような影響があるかは分かりませんから。
それでもやってみたいという人に、一応うち(FM企画)での使用用具を載せておきます。
シリコン:信越シリコンKE−17(他社から耐熱シリコン等もでているが、耐久性の点でこっちが○。ただし、姉妹品のKE−12は×)
キラ粉:アイルランド、プリンスオーガスト社製型抜き用タルクパウダー(量産用。試作品用にあたしが使っているのはひ・み・つ)
熱源:家庭用ガスコンロ
素材:プリンスオーガスト製インゴット他(調合はひ・み・つ!)
鍋:プリンスオーガスト製MF用フライパン
注:現在、プリンスオーガストUSA社の海外通販が滞っているので、同社製品はなかなか入手できないかも。イギリスやアイルランドから輸入した方が確実。もちろん、国産品でも各種出ているのでそれを探してみてもいいだろう(あたしゃ量産するから品質で輸入品を選ぶけど、個人で使用するなら国産品でもいいのでは)。
幾つか企業秘密というかサークル秘密がありますが、そういった部分以外ならお教えできます。HPで掲載予定はありませんが、個人宛のE-メールなら話しは別ですよ。でもあくまで個人的にですが。冒頭に挙げた殿下や今野、そしてメルトダウンの橋本氏にも、10年ほど前にあたしがやり方を1から教えました。っていうわけで、知り合いなら「覚悟」の程を確認できますからね、直接。どーしても知りたいなら、まずはあたしと個人的な知り合いになってください。(別に東京在住で顔を合わせられなくても、MFの普及活動を自主的にやってれば、勝手にそうなると思いますが。メジャー化してない分、仲間意識が強いでしょ、MFファンって。)
MF作成用原型
MFを作るための原型は、ワンショットメイクの原型と全く次元が異なります。型抜きのしやすさ、湯の回り具合、冷え方等がさまざまな要素になってくるためです。多分、何も考えずに作った原型は型抜きできませんし、場合によってはシリコン型から出す段階で壊れてしまいます。
レジンキャストの原型になれている人でも同様。レジンの流れ方とメタルの流れ方は根本的に異なるためです。現在、市販されているアニメキャラやゲームキャラの「MF」と称される商品が、今一つ海外のMFに対抗できるまでに至っていないのは、原型師の腕ではなく、量産段階の問題が大きいです。日本では昔から金属製人形といえば、徽章関係のものだったためです(トロフィーの天辺に付いている、ゴルフしてるおっさんとか、テニスしてるおねーちゃんとかの人形ね)。そのため、通例業者が発注する先、通称アンモ屋さんはそういった素材には強いのですが、モールドばしばしで、曲面は柔らかい、といったMFには向きません。最近はガレージキットの下請け屋さんなど、ホワイトメタル技術のあるところに発注するメーカーも増えましたが、生産数が全く異なるため、海外のMFメーカーのような「こだわり」は難しいのです。また、原型師自身がたいていレジンキットに手慣れているため、MF用の原型を作り切れていないという理由もあり、実力を出し切れていないのが現状です。原型はすごいのに、MF化したら、「何だかな〜」ってことになってしまうのですね。
当然ながら、自分で複製する以上、原型段階で抜きやすくしておくことが可能です。慣れれば下書き段階で、「ここは抜けないかも」といった部分が見えてきますが、あくまで慣れればの問題。
ま、ここでは複製してMF化する際に問題になるポイントだけ挙げておきましょう(結局は数をこなすしかありませんが)。
髪
ボリュームのつき方:MFは二面型で抜きますので基本的に前後に抜けるようにしておかねばなりません。つまり、側面には凸部ならOK、でも凹部は抜きづらくなるということです。ここで問題になるのは耳の下部。後ろ髪と耳の前の髪、そして耳と肩。この四箇所に囲まれたくぼみはまずそのままでは抜けません。髪の毛の流れを工夫するなり、襟元をデフォルメするなりして対処します。レジンなら流し方で対応できますが、メタルの場合、そこで冷えてしまうのでなかなか大変です。気泡が全く存在しない事の代償のようなものですね。
前髪:特に目にかかっているような髪型や、筋のように分離して流れている形だとまずきれいには抜けません。髪と顔との隙間が邪魔するためです。ここはあきらめてデフォルメするか、あるいは隙間を完全に埋めて、塗装段階で暗部色を境界線に塗ってごまかすしかありません。
また、前髪が額から随分前に突き出している形状の場合、前髪と鼻、もしくは頬が出っ張っているため、目の窪みがぬるくなります。意図的に側面図を修正し、なるべく平坦な顔に修正するのが早いのですが、もしどうしても前髪のボリュームがほしいのなら、別パーツにしちゃいましょう。うち(FM企画)のMFは初心者用に組み立て不要の一体整形を銘打っていますが、自分で使うのなら別パーツでもいいわけです。これは耳の前に一房たれているような形状でも同様です。
顎
アゴ。これが実は大変な難関。メタルは予想以上に早く固形化が始まりますから、凸凹凸と続いた場合、大抵全体のぬきがぬるくなります。アゴ、首、胸の3点が代表例。側面図を確認して、可能なら原画そのものを修正しておきます。手っ取り早いのはタートルネックやチェインメイルのように首の凹部を埋めてしまうこと。もしくは顎を引いて首とくっつけてしまい、相手を三白眼でにらみつけるようなポーズにしちゃうのも効果的。ポーズではどうしようもない場合、デフォルメしたネックレスでごまかしたり、マントをつけたりするしかないでしょう。ただし、顎に手をつけた、いわゆる「ぶりっ子」ポーズは逆効果。指のモールドすら抜けないという結果を招きます。要注意!
背筋
裸体の場合、背筋は微妙にへっこんでいます。さらに腹部の背面から腰部にかけてが側面から見て一番窪んでいます。これをそのまま再現すると、腰と肩甲骨にはさまれてぬけにくくなります。よく「おねいちゃん」キャラで、胸と腰にボリューム満点の装備をしているのに、おへそ丸だし、ってのがありますが、あれは結構きついです。夏用のセーラー服を考えてください。背面にはセーラーの代名詞、伸びた襟がどーんとついてます。で、腹部がちらっと見えたりして、そこから下はまたスカート。しかもお尻がどーーーんと出てたりした日にゃ、襟後端とお尻が出っ張り、腹部背面との差が5ミリほどもあったりまします。これじゃ、ぜーーったい抜けません。
台座側から湯を流した場合、まず二本の足首を通った時にもう冷え始めます。ついで細い足を冷えながら通過、お尻からまた細い腹部に行った段階でさらに冷えます。ついで上半身部分に流れ込んだ時には随分熱を失っているため流動性が少なくなり、結果、上半身全体がぬるくなってしまいます。
一番抜きやすいのは単なる円柱です。同じ太さが続いているなら簡単に抜けますし、メタル特有のエッジも立ちます。腹部が細い、ひょうたん型は抜きづらいため、特に原画段階で注意が必要です。ま、一番簡単なのはマントをつけちゃうことでしょうね。
足首
腹部同様、ここが細いとつらいです。なにしろ、頭部に湯口を作れない以上、台座の底から湯を流すのが通例。ってことは、ボディ全部の容量が、この細い足首から流れるんです。なるべく細い部分をなくしましょう。特にピンヒールなどは論外。どうしても細い足のままにしたいのなら、服をたらすとか、足元に猫をはべらすとか、何か工夫が必要です。
いっそのこと、ベースから原型を切り離し、真鍮線でボス(ガイド)を作り、台座と分離してしまう方法もあります。サンダーボルトマウンテンでのトム・メイヤー氏とか、身近なとこではメルトダウンの橋本氏がよくやってます。シタデル風にタグを作って、シタデルのベースを流用するとかも簡単。
全体
抜き型が二面である以上、抜く方向性があります。シルエットを考え、一番外のラインをつなげておくことが必要です。そのため、前後に伸びている剣の柄とか鞘、そして立体的に交差せざるをえない腕組み状態などは難しくなります。まずは単なる素立ち状態をクリアーしましょう。
また、マントなど、リアルに薄くすると抜きづらくなります。1ミリ近くは幅がないと、湯が流れません。そこだけ虫食いのように穴が残ったりしますのでうまくデフォルメをこなしてください。MFの上達=デフォルメの上達という常識は金属という素材特有の流れ方にあるのです。
表面処理
MFにするなら、全体の表面処理が必要です。ほんの少しの隙間でも、湯が流れる場合もありますし、逆に深いモールドにしておかないとぬるくなる場所もありますから。パテを盛って行く段階で、継ぎ目に隙間はありませんか? 全体にスプレーサフェーサーを吹きつけ、上下からじっくりと境目を確認してください。隙間が残っていますと、折角作ったシリコン型が、一回湯を流しただけで壊れてしまうという原因になりえます。ましてやMFの場合、型が温まるまで数回は無駄に流しておかないと綺麗に抜けないので、一個も複製が出きる前に型がおしゃか、って場合もありえますからね。
後書き
いやぁ、本当にしんどかったわ、今回は。もう、ここまで面倒だった原型作りも初めてじゃないかな? 製作そのものは大体予想どおりに行ったんだけど、自分で撮る途中撮影ってのがこんなにしんどいとは。「やんなきゃよかった」って何度思ったことか。特に2日目あたり。もうへとへとよん。
でもさぁ、とうとうここまで来たかって感じだね。随分前から「どうしようかなぁ、まだ早いかなぁ」とか10年前からずっと思ってた企画だからね。憶えてる人いるかなぁ、むかーし、むかし、「ヴィジュアルダンジョンコーナー」っての雑誌で連載してた時、「MFの自作方法もいつか紹介します」みたいな事書いたんだよね。もう、ずいぶん経つけど、やっと約束を果たせた感じだよ、今。