はじめに
塗装はMFの楽しみのうち、かなりの部分を占める大切な要素です。これまでにも「メタルフィギュアマニュアル」などでいろいろと解説してきましたが、1996年春から「RPGマガジン」(ホビージャパン刊)誌上で連載した「メタルマスター実戦(?)編」は今までで一番分かりやすく解説した塗装記事となったと思っています。
RPGマガジン誌上ではカラー写真も多数載っていましたので、言葉ではなく、直感的に理解してもらえたでしょう。しかし、いかんせん雑誌の宿命で、現在では入手が難しい号ばかり。できれば塗装全体の流れを知るために、一度はRPGマガジンを友人から借りるなり、バックナンバーを置いている店で買うなりしてもらえると便利だと思うのですが。まぁかなりの号数になるので入手できない人もいるでしょう。
そこで今回は連載当時の記事を再録することにしました。写真も減って文章中心というさみしいものになってしまいましたが、連載当時はバラバラだった記事を一気に読めるという利点で勘弁してください。
なお、再録にあたり、レイアウトの都合で省略せざるを得なかった部分は加筆しています。逆に写真がないと全く分からない描写はカットしました。あらかじめご了承を。
(補足注:初出が96年と古いため、このページで使用しているMFは全て現在入手できません)
実戦(?)編
「下地」
さて今回から実践編。まずは基礎たる下地。ここで完成度の8割を決めるという基礎中の基礎。しっかり身につけてください。
ステップ1:「接合」
接着が必要な時は瞬間接着剤を使用。ドラゴンの羽など自重が重いパーツはピンバイスで両方に穴を開け、真ちゅう線を差して芯にしてから接着する。
ピンバイスの刃は垂直になるように回す。片方を開けたら真ちゅう線を差し込み、1ミリ程出る長さにニッパーで切断。これをもう一方に押しつけ、真ちゅう線の先端でキズを付ける。それを目安に穴を開け、先に差し込んだ真ちゅう線を取り、双方の深さにちょっと足りない程度の長さの物と交換し、瞬間接着剤を塗って固定。
ステップ2:「ライン消し」
次いでパーティングライン(接合線)を丁寧に消す。大きなバリはニッパーやクラフトナイフの刃を立てて削ぎ落とし、細かい所は針ヤスリで丹念に消す。最後に金属ブラシで軽くこする。
ニッパーやクラフトナイフの刃は基本として立ててそぎ落とすこと。MFは金属としては柔らかい素材なのでそっと削る。しかし一応は金属なので普通のカッターだと、刃が折れたりするので危険。必ず模型用のを使用すること。針ヤスリは模型専門店で購入する。カッターの入らない隙間などで大活躍。細いと狭いところにも入って便利だが、折れやすいし、なによりミゾを作りやすい。細い物と太目の物と二本を併用するとさらによい。
ステップ3:「プライマー」
金属に直接塗装するとハゲるので、必ずプライマーを塗る。コツは2、3回に分けて薄く塗ること。
プライマーの吹き付けには、塗料皿(100円)の裏に瞬間接着剤を少し付けてフィギュアを固定すると便利。ベースが別のフィギュアは目玉クリップではさむ。プライマーは臭いがキツイのでベランダなど換気のいい所で吹くこと。
筆塗りプライマーを使用する場合にはなるべく薄くぬることを心掛ける。筆塗りはスプレーよりも被膜が厚いので、ちょっとでもかかっていれば充分。ボタッと垂れるような厚塗りは避けること。もしも垂れそうな場合にはティッシュで吸い取る。
塗装後には必ず筆を油性アクリル系のシンナー(Mr.薄め液等)で洗うこと。こうしないと筆が固まって再使用不能になる。
道具の紹介
○ニッパー(900円から。メタルだと磨耗が早いので安いのを早めに買い替える。ただし安すぎるのはbad!)
○クラフトナイフ(300円から。これも刃はこまめに代える)
○棒ヤスリ(500円程度)
○針ヤスリ(千円程度)
○金属ブラシ(300円〜千円程度)
○ピンバイス(タミヤ製が入手容易で丈夫。1500円)
○ピンバイスの刃のセット(タミヤ製1700円)
○真ちゅう線(ウェーブ製200円。パーツの大きさとピンバイスの刃の口径に合わせ、0.5、1、1.5ミリ と各種揃えておくと便利)
○スプレープライマー(GSIクレオス製400円)
○スプレーホワイトプライマー(GSIクレオス製500円。白色のプライマー。便利だが、厚吹きになりやすいので私は使用しない)
○スプレーサフェーサー(GSIクレオス製400円。表面のキズを消すためのトノコの様な物。プライマー後に吹くときれいに仕上がるが、吹きすぎるとモールドが埋まるので注意。白色もある)
○スーパーサフェーサー(タミヤ製400円。プライマー効果もあるサフェーサー。表面がザラつくので水性塗料 の喰い付きがよくなるが、女性キャラだと肌が荒れて見えるので一長一短)
○筆塗りプライマー(GSIクレオス製200円)
○Mr.うすめ液(各種あるが小で150円。プライマーを筆で塗ったらこれで洗わないと筆が固まってしまう)
○小さめの平筆(100円程度。塗装用とは別に筆塗りプライマー専用に安いのを買っておく)
注:価格は雑誌掲載段階のものなので、再編にあたり気づいた部分は現行価格に直しました。でも不完全かも・・・。参考程度でよろしくです。
注2:工具の詳細に関しては別ページに「MFガイド:工具編」がありますので、後でご参照ください。
自然なグラデーション。塗装の目標はこれ。まず一つの色は二色以上の合成という大前提を常に頭に入れてください。
今月は数ある塗装法の中で、ハデになるPC向きの塗装、明暗法を解説しましょう。これは最初にフィギュアを真っ白に塗ってから明部を塗り、次に暗部を塗って陰影を表現してゆきます。この場合、重ね塗りが必須ですので水性アクリル塗料を使います。また、影の付け方は水性アクリルの本領発揮、ウォッシングでやってみましょう。慣れれば簡単な方法です。上達するには一体を何度も塗り直すより、どんどん完成させて慣れるのが一番。

塗装の進行
1:白吹き
まずスプレーを使いMFを真っ白にしてしまう。この時に使用するスプレーにもいろいろ選択肢がある。
タミヤスプレーカラー白
きれいな色になるが塗料が薄く、下地に左右されやすい。
GSIクレオス Mr.スプレーつや消し白
下地に左右されずらいが、多少濁りは残る。
モデラーズ スーパーホワイト
純白になるが塗料が下地に左右されやすい
モデラーズ ベースホワイト
下地の影響をほとんど受けないが圧塗りしやすい
上記の種類別の他、つや消しか光沢かという選択肢もある。ウォッシングに慣れていないならつや消しがお薦め。つやを消すために表面が目に見えない程度のざら付きができ、水性塗料の食い付きがよくなるからだ。水性塗料は真っ平らな部分だと簡単に弾かれてしまうため、つや消しがやりやすい。ただし、慣れてきたら一度は光沢を試してみるといいだろう。こっちの方がきれいに塗れるという人もいるので。
ちなみに私の場合は大抵モデラーズのベースホワイト(¥700)を軽く一回吹き、次いでMr.スプレー62番ツヤ消し白(¥500)を数回に分けて吹いている。
2:明部塗装
明部の色を塗り完全に乾燥させる。この際、明部はかなり明るい色にしておくこと。これも慣れないうちは、予想している色よりもさらに白に近い色にしておく。赤なら黄色やオレンジ、青なら薄い水色など。
3:暗部塗装
次に暗部になる色を塗る。この時、塗料をパレットや塗料皿の上に少量出し、水で少し薄めるとよい。塗装後、乾く前に水を少しつけた別の筆でこする。この「乾く前」がポイント。塗料の薄め方も「習うより慣れろ」の世界のため、何度でもチャレンジすること。



本来は明部色を1色塗るごとに暗部色でウォッシングし、乾いてから次の明部色を塗るので、左の状態になることはない(ウォッシングのはみ出し部分を毎回修正しながら塗るため)。これは最初の色がどういうものだったかを見せるために塗ったもの。
また、写真ではわかりづらいが、剣はマスキングテープで保護して金属そのものの色に光っている(下のワンポイントアドバイス参照。)ちなみに作例使用のMFは米国ラル・パーサ社のローラナ。
◆攻略のポイント
暗部色がうまく落ちない場合もっと薄くするか、クリアーを混ぜてしまう。逆に暗部色が弾かれる場合は薄めすぎ。もしムラになったら、修正するより明部色を塗り直し、練習したほうがいいだろう。
私は右手に暗部色の筆、左手に少し水のついた筆を持って一気にウォッシングするが、もちろんお薦めしない。要は手際よくすることだ。インク(シタデルカラーなど)があれば簡単なので探そう。ただし、インクは色数が少ない上に、乾いた後、テカテカの光沢になるので事後処理が必須。
エナメル塗料でウォッシングという最後の手段もある。明部色をアクリルで塗っておけばエナメルの暗部色が乾いてもエナメル溶剤でぬぐえるからだ。ただし、次の色を塗る前にツヤ消しトップコートを吹くこと(次に溶剤を流す時、混ざることを防ぐためアクリルの皮膜を作るのだ。こうしておけばどんどんエナメルで暗部を塗りながら進行できる)。

◆ワンポイントアドバイス
プライマー後、剣にマスキングテープを張り、スプレーで白吹き。塗装終了後マスキングテープをとれば剣はMFの素材を磨きだしたままの色に戻るため、塗装では再現できない金属色が出る。ただし、必ずプライマー後、白吹き前にマスキングテープを貼ること。
写真左はプライマー吹き付け後、塗料皿の裏側に瞬間接着剤でちょん付けした状態。右はそれに白スプレーを吹いたもの。マスキングテープ(黄色の部分)だけ金属色が残ってリアルになるというわけ。ちなみにあたしはこのまま塗料皿に乗っけて塗装し、完成後にはがしてます。こうしておくと乾燥時に便利だし、スプレーも簡単に全周囲に吹けるから。
他にもシタデルものなら大きめの目玉クリップで止めたりするのはうちの常識。いろいろとアイディアを出して、塗装を楽にできるようにしてみましょう。実際の塗装中に考えるのは色の組み合わせだけで済むようにね。
さて実戦編第三回の今月は暗明法。先月の明暗法とは全く逆でまず真っ黒にしてから明るい部分を塗る方法です。使用技法はほぼドライブラシのみ。使用塗料は基本色が油性アクリル、明部がエナメル。二種の塗料を使用しシンナーもそれぞれ専用のが必要ですが、筆塗り塗装の基本中の基本。
面倒なテクニックが不要で途中修正可能なため、初心者向きに思えますが、不経済(塗料を2種づつ揃えるため)だし、完成品は渋くて目立たないし、なによりシンナーを多用するので不健康なのが問題点かな。暗明法はドライブラシさえ覚えちゃえば説明は不要なくらいなので早速これから。
◆ドライブラシとは
固めの筆に塗料を小量つけ、すぐに布やティッシュでぬぐい、残ったほんの少しの塗料だけをこすりつける技法。まず小さい平筆に少し塗料を付け、すかさず筆についた塗料をぬぐう。けばだたない布がベスト。こすりつけず筆を引き抜く様に落とすこと。さらに紙にこすりつけ、ほとんどの塗料分を落とす。これも一定方向に引くように。こういった手順のため、乾きが遅いエナメル塗料が一番よい。モールドへ垂直に筆を立ててこするとエッジが浮き出る。何度も何度も繰り返し、て少しづつ少しづつ進行すること。急ぎすぎは失敗の基。じっくりと。
基本色(暗部色)を油性アクリルでドライブラシし、次いで細部や明部をエナメルでドライブラシするのが通例。失敗したらエナメルシンナーのついた筆でぬぐうと、エナメル塗料だけ落ちるので何度でも修正可能(逆は不可)。
明暗法と暗明法の比較をすると、目立つ事が前提のキャラクター向きが前者で、後者は怪物など、ダークなイメージに向きます。言い代えればプレイヤー向きが明暗法、マスター向きが暗明法ともいえます。しかし、ドワーフや渋いじじぃなど、おっさんには暗明法もいい味出しますよ。
◆ドライブラシ攻略のポイント!
●一色の表現を、最低でも3色にはすること。思いどうりの色がないなら、塗料皿に出して白と混ぜてでも作る。
●筆の穂先のみをすこ〜し接触させる。軽く、ソフトにし、力みすぎは不可。
●拭う時には常に一定方向に。ごしごし落とすと筆先が乱れ、余分な所に塗料がつく。
●左から右に塗るなら、ずっとその方向で。左右に往復させる、返し筆をしない。逆側を塗るにはフィギュア自体を逆さに持つ。
●エナメル塗料は皮膜が薄く、さらに乾きが遅いので、塗装中でもドライブラシした部分には触らない。塗料皿に固定するのがベスト。
●とにかく少しづつ何度でも塗ることが秘訣。
GSIクレオス(旧グンゼ産業ホビー事業部) Mr.カラー
油性アクリルの代名詞。ラッカーとも呼ばれるが、本来ラッカーとは別の塗料。色数豊富、皮膜は丈夫で乾燥も早いが、筆ムラが出やすく、専用の薄め液(シンナー)が必要。一色120円から
タミヤカラー エナメル塗料
塗りやすくキレイな仕上がり。だが皮膜が弱く乾燥に時間がかかり、専用溶剤(シンナー)も必要。しかし皮膜の弱さを利用し、ドライブラシやスミ入れに多用される。一色120円
ハンブロール エナメルカラー
エナメル系の高級品。輸入品のため入手難だが、塗りやすさ、発色など、一色220円の価値は十分にある。ただし、非常に乾きが遅いため、これでもか、というくらいにしっかり攪拌してから使用しないと、上澄みの溶剤分のみが筆に付き、数ヶ月どころか、一生乾かない可能性あり。
ども。ぐゎるまです。うち(FM企画)にくる具体的な塗装の質問で一番多いのは目の塗り方。「人形は顔が命」と信じるモデラーにとって、「目」は腕の見せ所。しかしMFサイズだと「つまようじでチョン塗り」で十分です。瞳の部分に少し塗料をつけたつまようじで、チョコンと乗せて塗る方法ね。
もう一歩進めて、面相筆(細筆ね)のほそーいヤツに白を付け、目に添って塗っておいてから、チョン塗りするともっとリアルです。面相筆は目に沿って、横に塗ると簡単です。まぁ簡単といっても、始めて間もない人には大変な作業でしょうけど。何度も書いてますが、無理して失敗し、塗り直しに時間をかけるより、どんどん完成させた方が上達の早道なんです。インクウォッシュで全体を塗り、軽いドライブラシでハイライトをつけるという作業に自信を持つのが先決。まずは基礎をみっちり身につけましょう。
最近は、グンゼ産業(現GSIクレオス)のガンダムマーカー・スミ入れペンでチョン塗りするってのも楽。黒、茶、灰と三色ある油性極細ペンで一本二百円という手頃なお値段が魅力。さて今回はその段階を卒業したあなたに送る「目の塗り方各種」です。特製「目のでかいSD・MF」でご説明しましょう。なお、この娘はお店では売ってませんので念のため。





ってわけで、次なる話題はベース。ベースは単なる台じゃなく、フィギュアの立派な一部。ただ、つい手抜きをしがちで、単色で塗っておしまいになりやすいもんです。ま、ゲーム用ならキャラのベースは茶、モンスターは黒、みたいに分けると便利だし、ダイスのように持ち主ごとに色を分けるって手もあります。でも展示用なら、アイディア次第なんで、実は一番ハッタリの効く部分なのよね。
とりあえず基本的なベースの塗り方を紹介しときましょう。用意するのは下記のとうり。
鉄道模型用の粉(シーナリーパウダーってヤツ。いろんな色があるけど、茶や緑がいいかな?)。
接着用に木工用ボンド
捨ててもいい筆
大き目の箱(粉が飛び散らないように、中でまくため。あたしはその時作ってるプラモの箱を適当に使ってます)。
以上にぬるま湯を入れた皿とちり紙があればOK。
木工用ボンドは粘度があってそのままでは塗りにくいので、ぬるま湯で薄めながら手早くベース全体に延ばす。乾きだす前に粉をまき、しっかり乾かす。忘れずにすぐに筆を洗うこと。
一色だとさみしいなら、数色をまぜてまくといい。小石(鉄道模型用のシーナリーバラストという名称で売っているのが便利)や芝をちょっと混ぜるとリアル。しっかり固定するには、かなり薄めた木工ボンドを上からたらす。

さらに凝るなら、乾いてから筆塗りサフェーサーを塗った上で塗装する。サフェーサーを塗ることでシーナリーパウダーが剥がれることを防止し、かつ自然な凹凸にすることができる。完全に乾燥後に塗装。その後でウォシングするなり、最後に軽くドライブラシしたら完成。

シタデルのベースはミゾができるけど、タミヤから出ているプラ棒の2ミリ角でピッタリうめられる。必要な長さに切ってうめこむだけでOK。またシタデルのMFのタグ(足の下にある、ベースに固定する部分)も塗装開始前に、足の幅よりちょっと細目に残し、切り落としておくとよい。少しでも残っていればベースに固定できる。両足の間の部分はベースに溝ができるので、ここも2ミリのプラ棒でうめておくこと。
塗料は光沢、半光沢、ツヤ消しの三種に分かれますが、インクウォッシュをすると全体的に光沢が強くなります。インク自体が光沢系だからですね。本当は「影」の色なのでツヤ消しがいいんですけど……
で、塗料のツヤを調節するフラットベース(ツヤ消し剤)が登場。同色を2、3本買ってコレを加えて好きなツヤにしておく。でも、そうするとすっごく高くつくし、なにしろ塗料の置場が大変。
そこで今回の主役、表面処理剤が登場。無色透明、クリアーカラーのスプレーで表面をコートしちゃうって寸法。でも、ちょっと待って! つや消しにするので、「つや消しクリアー」のスプレーを買って吹くと、あれ? って事態が起きることも。塗った塗料の色が変わっちゃったり、張ったシールが溶けちゃったり・・・。
スプレー缶の中は色素分(いわば顔料)を溶剤で溶かした液状です。噴霧するのだから当然ですけど。で、噴射口がごく小さく狭いため、うまく色素分が溶剤に溶けていないと、つまっちゃうのです。また、缶内部で色素分が沈殿しますので、振ってかき混ぜるのが楽なように、溶剤に溶けやすい油性アクリルが使用されています。
例えばですね、タミヤ模型は瓶詰め塗料で水性アクリルとエナメルを発売しており、油性アクリルは出していません。しかし、そのタミヤでも、スプレーは油性アクリル系なのです。それほど、模型用スプレーでは油性アクリルが基本ってこと。
でも、それでは表面処理のために塗ったつや消しスプレーが、MFの塗料面を溶かしてしまう恐れがあるのです。困った・・・。
そこで、トップコートってスプレーが出て来るわけです。上に書いたとおり、スプレーは基本として油性で、プライマーもサフェーサーもそう。ところがトップコートだけは違って、水性です。だから先に塗った塗料がなんでも溶けだす心配がないわけ。
トップコートには光沢、半光沢、ツヤ消しの三種あり一本五百円。我々が愛用するのは、もちろんツヤ消しね(といっても完全にツヤは消えない。完全に消すにはツヤ消し剤を20〜30%入れたクリアーを筆塗りするんだけど、やっぱりトップコートの方が便利なので最初はこれがお奨め)。
これを吹くと表面に透明な膜ができ、丈夫になるので、ツヤ消し効果と合わせて一石二鳥。それに、光沢はおもちゃチックに見えるんで、それも防げて三鳥かな?
さらに、コレを使うと全体的に光沢度が統一され、高級感が増すというオマケも。


塗装後、トップコートつや消しを吹き、完全に乾燥させる。できれば一晩置くこと。最後に光らせたい所にクリアーを筆塗りすればOK。単なるクリアーだけでなく、クリアーレッドやクリアーイエローで血走った目と鮮血まみれの牙などを再現するのもよい。
基本的には全体のツヤを整えて、必要な部分のみ光沢にするということ。この方法だと手軽にツヤをコントロールできるわけ。
でも、もっとリアルにしたい、という方は、各塗料をツヤ消し剤でコントロールするしかないなぁ。特にエナメル系はきれいに光沢・半光沢・ツヤ消しが作れるので、油性アクリル+エナメルの暗明法ならわりと簡単。試してみてちょうだい。毛皮やら皮膚などの再現性は水性アクリルの比じゃないからね。まぁ今回紹介した方法を数回試してみて、慣れたら挑戦してみて。
グレージング
グレーズって知ってます? ガラスと同義で、塗装関係では透明、つまりクリアーカラーのこと。シタデルカラーにあるでしょ、レッドグレーズとか。グレージングってのはクリアーカラーを上乗せして色の深みを出すことです。金属部分にいい方法です。
クリアーカラーのブレンディング
グレージングを一歩進めて、多色を混ぜる方法。普通の塗装では難しい水晶や宝石の表現にピッタリ。まずトップコートで基本塗装を固定。次いでクリアーグリーンを影になる部分に塗り、クリアーイエローをハイライト部分に乗せます。で、乾く前に境目を筆でぼかすわけ(クリアーをエナメル系にすれば、乾いてからでもエナメル溶剤でぼかせますぜぃ)。もちろんルビーならクリアーオレンジ、レッド、イエローの組み合わせになるなど、いろいろ可能性はあります。試してみてください。


雑誌での連載はここまで。最後に、この塗装編を連載するちょっと前に、同じRPGマガジンに載せた記事を紹介しときましょう。ガンプラモデラーのZEN吉本氏が明暗法で塗ったのが左。んで、あたしが暗明法で塗ったのが右。これで塗装法を比較するという企画でした。当時は塗装方法に、大別して「明暗」と「暗明」の二種類あるということすら知られていない状況でしたので、こういう企画になったんです。
ぐゎるま「シタデル塗りを明暗法、エナメル塗りを暗明法って名付けたんだけど。分かりやすいでしょ」
Zen「偉くシンプルですねぇ、それは。まぁ渡部なんかはアクリルで暗明やっちゃいますけどね」
ぐゎるま「覚えやすいでしょ? で、あたしが暗明で塗るから、センセ、明暗法で同じMF塗ってみない?」
Zen「おぉ、面白いですね、やりましょう! 折角だから、写真で分かりやすいように大きいのがいいですね」
ぐゎるま「ドラゴン・・・じゃHJ持っていくの大変だから、ラルパーサのサイクロプスで行こう。新製品だし(当時)」
ってことで企画実現w
今回のメインイベントは「派手さ」のZENセンセ VS 「渋さ」のあたし。まずは必殺技の解説を。以後、順を追って説明します。
基本色を明るく塗ってから陰をつける方法。基本色が乾いた後で、暗い塗料を薄めて塗り、洗う(ウオッシュ)ように塗る。薄めた塗料が乾く前に、不要部分を筆などでぬぐってゆく。自然に凹部に色が付く。下に塗った塗料が溶けださない水性アクリル塗料が便利。特にシタデルからはウォッシング専用の「シタデルインク」まで出ている。ZENセンセの作例はほとんどシタデルカラー。
基本色を暗く塗ってからハイライトをつける方法。基本色が乾いた後で、明るい塗料を筆につけ、布なのでぬぐって、少しだけ残った塗料をこすりつける。自然に凸部に色がつく。基本色をラッカーで塗り、ドライブラシをエナメルで行なうのが通例。まれに某ネクロマンサー、ワーベのように総てMrカラーでやる奴もいるが……
ZENバージョン:プライマー吹き付け後にホワイトサフェーサーを吹き、シタデルのスカルホワイトで下地塗装。白をベースとして、発色を良くする。
ぐゎるまバージョン:プライマー筆塗り後、黒を吹き付け、暗い色に仕上げる。




ZEN:対応するシタデルインクを流して、インクが乾く前に水をつけた筆で調節する。インクは光沢系なので、事前にタミヤアクリル用のフラットベースを混ぜておくと便利。
ぐゎるま:対応するタミヤエナメルをドライブラシ。布でぬぐった後、封筒など、けば立たない紙で充分に落としてからごく小量ずつこすりつける。
ZEN:一番明るくなる部分に、明るい色を明暗共に塗り、2色が乾く前に水をつけた筆で調節する。2色を混ぜる(ブレンド)のでブレンディングと呼ばれる技法。
ぐゎるま:白に基本色を少し混ぜた色で軽くドライブラシ。全体の調子を整えるため、フラットクリアーにごく小量のウッドブラウン(Mrカラー)を入れて全体にエアブラシ。
ZEN:濃い部分で5色。薄い部分で3色。
ぐゎるま:濃い部分で3色(プラス下地の黒)。薄い部分で2色のみ(ドライブラシの回数のみで調節)。
ZEN:1週間
ぐゎるま:2日(Mrカラーの方が乾くのが早いからねぇ)
う〜ん、今回の対決はどうでしょうか? 本当はドライブラシとウォッシング(ブレンディングも)は場所によって使い分ける技法なので、「禁じ手」がつらかった。スミ入れしたらもっとリアルなのになぁとか思いながら塗ってました。

後記にかえて
思いだすとこの連載、かなり時間もかかり、いろいろ苦労もしたなぁ。撮影立ち会いを快諾してくれたホビージャパンのカメラマン、M氏には大変お世話になりました。ライティングや構図まで、指示どうりにしてくれて。「もうちょいアオって」とか「半段くらいハイキーにできます?」等々、ポラを片手に勝手な事を言うあたしに、夜遅くまでつき合ってくれました。ありがとうです。
版権の問題あるので、彼の写真が転用できなかったのがすごく残念。
ちなみにこのページの写真は私が自分で取り直したんですが、全部リコーDC−2で撮ってました。35万画素ですぞ、35万・・・。最近の携帯のでさえ100万画素越えてるのに・・・。時代の変化って大きいなぁ・・・・。
ってことで、一部撮影しなおしました。でかくなったので塗装の細部が見えると思われ。
Von:ぐゎるま
本編は(株)ホビージャパン刊行の「月刊RPGマガジン(現ゲームぎゃざ)」誌に掲載された記事を基に、筆者自身により加筆修正されたものです。