ないものは造る
欲しいのに売っていない。それなら自作するしかない。これが私のモットーです。これまでにも幾つかの雑誌で度々書いてきた言葉ですが、この気持ちはきっと誰にでもあるはず。特にこの冊子を読んでいるようなあなたなら分かってもらえるでしょう。でも、大抵の人は「造れないから」と笑って終わりにしてしまうようですが、本当はそうじゃありません。「作り方を知らない」からだと思います。
なら、教えましょう。
というわけで、今回はいきなり実戦(マジな実践っていう意味ね)編です。
自作は大変、でも改造は
MFの自作はとっても大変です。模型をよく作っていて、ガレキ(ガレージキットの略ね、分かってるだろうけど念のため)も、ちゃっちゃと造れる人でも、MFの自作となると考え込んじゃうはず。
実は、そういう人なら原形はできるんですよ。じゃ、どうして悩むのかと言うと、メタルにするのが大変なんです。なにせ、熔かした金属の「湯」を流し込んで造るんですよ、火傷は「お友達」状態です。熔けた湯が皮膚についたら、しゃれになりません。私はこれまで入院せねばならんほどの大事故になったことはありませんが、右手をクレーターだらけにして一月ほど筆が持てなかったことは二度ありますし、爪に湯が飛んで穴が空き、文字どおり「焼きを入れる」状態になったこともあります。汗が湯に落ちて爆発し、眼鏡のプラスチックレンズが熔けたことも。もし眼鏡がなかったら失明間違いなしでした。(恐い話になってしまいましたが、実話です。皆さんが購入したFM企画のMFはこういったリスクを背負って誕生してるんです。大事にしてね)
話を戻しますと、大変なのはMFにすることなんです。材質をメタルに置きかえるという作業がとっても大変なんですね。
それに比べたら改造って簡単なんですよ。もちろん、改造したMFを原形にしてメタルを流すってことになると、結局自作同様に大変ですが、自分のPCや、セッションに使うスペシャルキャラだったら1体でいいわけです。量産の必要はありません。1体だけの製造を一点物、ワンショットメイクと言いますが、それなら、この冊子を読めば出来るようになりますよ。
改造の分類
一言で改造と言ってもいろいろあります。でも、とにかくここではすぐに出来る、そして出来たら楽しい改造をモットーに、幾つかの段階に分類して説明しましょう。
1:盛り付け
2:合成
3:全身改造
まず1:盛り付けですが、なんのことはない、パテを盛るだけです。つまり既存のMFを100%利用して、それに+αするっていうことです。これに必要なテクはパテ盛りだけです。
2:合成というのは、2体(場合によってはそれ以上)のMFを組み合わせて1体にする方法です。たとえば、こんなことありません?
このMFが剣持ってたらピッタリなのに、とか、顔はこの子の方がかわいいけど、装備はこっちの方が似てるよなって時が。そういう時には迷わず合成しちゃいましょう。この段階で必要なテクは先ほどの「パテ盛り」と切断そして接合です。
ここまでの3種のテクを覚えたなら、改造の最終段階、3:全身改造が可能です。この全身改造というのは既存のMFの装備などを総て削ぎ落とし、裸の状態にしてから自由に服や武器など装備を加えて、表面上は全く別のMFにすることです。つまり既存のMFを「芯」にして新造するということです。これができれば、あなたもMFスクラプターの仲間入り。
書くと簡単、やると大変。というのはこういうノウハウ物のお約束なんで、やっぱり実際にチャレンジするには覚悟が必要です。でも自分だけのMFって、やっぱりいいですよね。レア物なんてメじゃありません。一点物なんですから。何度も書いてますが、要はあなたのPCやキャラへの思い込みと愛情が大切。この際、うまい下手は問題外です。
あなたがそこまで情熱を注ぐ子がいる。それはとっても幸せなことなんです。その幸せを形にしてみませんか?
私なんか、パソコンゲームをやっててお気に入りの子がいるとすぐに作っちゃいます。で、モニターの脇にちょこんと立たせて、にんまり笑ってます(その姿は家内の心を寒くさせているようですが。とほほ)。
なにはさておきエポパテ
MFである以上、どんな改造をするにも絶対必須になるのがエポキシパテの利用法。エポパテマスターの称号を得るのがMF改造の早道。でも、このエポパテって模型工作では小物作成程度にしか使われず、模型制作の本を買ってもあまり詳しく載ってません。ましてや人形改造になるとまず紹介程度。
その理由はなにしろ乾きが遅い。1週間経っても乾いてないのがほとんどです。こういった素材は締め切りがあるモデラーにとって厄介このうえないもの。で、乾燥が早く、すぐに作業に入れるポリパテが主力になるわけです。また高価なのも問題点。1/6のフィギュアなんかこれで造ろうもんなら幾らかかることか。昔、雑誌の表紙用で、1/6のおねいちゃんを100%エポパテで作ったことがありましたが、材料費が別に出てなかったら赤字になるところでした。それほど高価になっちゃいます。そんで人形造型をやる人は石粘土系の素材を使うんです。
でも、今回の主役はMF。小さいもんですから、材料費もさほどかかりませんし、締め切りなんかないからじっくり造れるエポパテでもいいんです。ま、実際に一回造ってみたら、エポパテでもいい、じゃなくて、エポパテしかない!
になりますよ、本当に。
エポパテ、つまりエポキシ系パテですが、じつは随分種類があります。最近入手しやすいのだけ挙げてみても・・
セメダイン社各種補填用(木工用、水道用などなど)、ウェーブ(ミリプット)、タミヤ、GW社など、専門の模型店なら10は簡単に見つけることが出来ます。用途によって異なるわけですが、ざっと分けますとどろどろの石膏状と粘土状の二種に大別できます。
基本的にMFのエポパテ造形は「どろどろ」の方を使います。まず心棒で骨組みを用意し、それに盛りつけ、完全硬化後に削ってモールドを入れてゆく方法ですね。ウェーブのものがその代表例。一方、セメダインのやタミヤのは大抵が割と硬く、弾力があります。そのため、盛りつける段階で整形しておくのが基本です。
あたしは一般的なエポパテ人形作りとは異なった方法をとっています。つまり弾力のあるタミヤ製ので、盛りつけながら整形し、硬化させるという方法です。正直、この方法で作るMFの原型師ってまずいません。まぁ、人によってやりかたはいろいろなんですが、あたしはこの方法しかできないので、ここでもその方法で解説します。
(一応他の方法もやってはみたのですが、あたしの性に合わなかったんでね。ちなみにあたしゃポリパテの臭いがだめ。おかげで造形はタミヤのエポパテオンリーです。変人扱いされる由縁ですな。以前、模型見本市用の参考出品をB社から依頼された時、泊まり込みで呼ばれたんですが、行ったら開口一番、「冷蔵庫にタミヤのエポパテ一箱入ってるから。ぐゎるま用に買ったんだ、全部使って良いぞ。どうせ俺達は使わないから」と言い切られたことが・・。それくらい珍しいです)
ですが、この方法、一番汚れず、なおかつ狭い場所でもできます。何より小量で売っているので始める予算が安いですし。ですから、試しにチャレンジするには一番だと思います。ま、慣れてからいろんな雑誌等に載っている方法を試してみてはいかが?
ってことで、あたしが使用するエポパテはタミヤ製。実はこれも昔は300円の一種類だったんですが、今は二種出てます。値段も400円に変更。でも、以前のは15g、今のは25g入り。まぁ、計算してみると今の方が安いかな。
現在出ているのは茶系の「速硬化タイプ」と青系の「高密度タイプ」の二種。あたしは昔のに近い「高密度タイプ」を愛用。ただ、昔のに比べますと完全硬化まで時間がかかり、さらにどうも弾性が強く、モールドが埋まりやすい欠点があります。昔よりもちょっと広めにモールドしておかないとダメですね。ついでに深めにね。でもこれはあたしが昔のに慣れちゃってるだけですから、新規で購入する方なら別段支障はないでしょう。
もう一方の「速硬化タイプ」、あたしはダメです。セメダインのと同じ感触で、ぼろぼろ落ちるのと、すぐくっついちゃうのとの境目がシビアすぎ。水気がちょっとでも多いと弾き合い、少ないとくっついちゃう。っつーわけであたしは「高密度タイプ」オンリーです。ま、もし暇があったら両方使ってみてください。あたしの言いたいことが分かるでしょう。もちろん昔のエポパテに慣れちゃってるあたしにとって、ですよ。某氏は「さくさく出来る、速硬化タイプ、さいこ〜〜」って叫んでますし(爆)。
ちなみにMFの「頭」を「高密度」で作り、ボディのあらかたを「速硬化」で作るというのも手です。で、表面に出る服や装備品をまた「高密度」で作るんですね。この場合、茶系の「速硬化」と、青系の「高密度」の二色の原型になります。
写真は胴体を「速硬化」で作り、装備を「高密度」で作っている例。左側の子は胸部に注目。茶色い部分ね。モールドがまだなされていない部分は、肩から乳房部分がそのまま見えています。右のは太股だけ、茶色が見えています。「速硬化」タイプで出来ている裸体部分ですね。白く見えるのが「高密度」タイプ。この後で完全に茶色は埋め尽くされてゆきます。
服などに隠れてしまう部分は手早く、ざっと「速硬化」で作り、表面のモールドは「高密度」で作る。これ、結構いいかも。
なお、複合ついでに布地にはGW社から出てる緑のを使うと、硬化前にシンナーを含ませた筆で「なめす」ことも可能です。布の雰囲気を出すには便利ですよ。この場合には三色の原型になります。ま、サフェーサー吹いちゃえば一色なんですけどね。
さて、そんでは使い方、つまりエポパテマスターへの道です。それには次のポイントを押さえておけば大丈夫。
1) しばらく放置
2) 水を忘れずに
3) 乾燥前に表面処理
4) 加熱処理も便利
これだけ押さえればなんとかなります。じゃ、いつもどうり「論より実戦」。本当に改造するつもりで、実際の作業工程を説明しましょう。
準備
エポパテ(私はタミヤのを愛用。一本400円くらい)
水入れ
新聞紙
クリアファイル(駅で売っているような透明の安物で可)
スパチュラ(もしくはヘラ、なければつまようじ)
クラフトナイフ(なければカッターでも可)
ちり紙
用意するのはこんなところでしょうか。まず、机をきれいに片づけて、いらない新聞紙を敷きます。エポパテが机にくっつくと、後々大変ですからね。んで、新聞紙の脇に水を入れた水入れを置きます。皿状のものがよいでしょう。片手の五指の先が全部付けられるようなのがベスト。私はコーヒー缶の蓋や小さい金属皿を使ってます。作業中頻繁に指先に水をつけますので大きくて安定したものを探してください。これに水を入れておくのですが、できればぬるま湯がいいでしょう。
次に作業スペースにクリアファイルを置きます。エポパテはビニールなどには密着しずらいので、この上で作業します。あ、そうそう、間違っても新聞紙の上にエポパテを置かないように。この素材は新聞のインクと相性がすっごくいいので、きれいに写し取ってしまいます。必ずクリアファイルの上で作業しましょう。(ちなみにこの性質を利用して、下書きしたマーク等をきれいに写し取ることもできますが、まぁそれは置いといて、と)
ではいよいよエポパテを開けましょう。タミヤのを一応薦めておきますので、以下、タミヤエポパテの場合です。開けると板状の粘土のようなものが2本入ってますね。この2種を同じ分量だけ練ると化学的に反応して硬化します。まぁ多少誤差があっても硬化はしますが、ムラになったりするので可能な限り同分量にしましょう。
まずは保護用のビニール袋を開けます。この袋は後々必ず使いますので丁寧に開けて、ちゃんととっておきます。中から長方形のビニールにサンドイッチされた形でエポパテが出てきます。そのビニールの片側だけを使う分量だけめくります。全部取っちゃいけませんよ。その状態でクラフトナイフに水をつけ、刃先が濡れた状態で垂直に刃をあてて二色とも切断します。
この時に下のビニールまで切断してはいけません。あくまでソフトに、パテのみを切断します。その後で切り取った分を手でこね回して練るわけですが、まずは切り取った分はクリアファイルの上に置いておいて、残ったエポパテをまたビニールに包み直します。外側のビニールはまだ後で使いますので、とりあえずそのまま箱に戻すなりしてきますが、箱に直接エポパテがつくと面倒なので、必ず上下をはさんだビニールの短冊でくるみます。
さて、いよいよ練るわけですが、ここで急いではいけません。乾いた手で練ると指や掌についてネチャーという状態になりますので、先に水を付けておくのを忘れずに。びしょびしょにしてしまうと今度は溶けてパテが流れ出してしまうので、指先に付けた水を両手にまぶし、ちり紙で簡単にぬぐっておくといいでしょう。
練る場合、別にコツはありませんが、まずは捻じって二色のパテを混ぜるのが先決。紐状に捻じっては団子に丸め、また捻じってを繰り返せば、いつの間にか縞模様が消えてまざっているはず。でもそこで止めてはいけません。また少量の水を指先につけ、もう疲れるくらい練ります。
具体的にはというと、夏場なら3分ほど、冬場なら5.6分というところでしょうか?
冬場の場合、堅くなっていますので、まずは摩擦熱で暖めるようなつもりで、両手の掌でぐりぐりとこすりあわせましょう。逆に夏場の場合、すぐにべとつくので水分補給を忘れずに。
で、もういい加減あきたな、って頃になったらとりあえずエポパテの入っていたビニール袋に載せてみます。適度につやがあってぐんにゃりしていればOKなんですが、こればっかりは慣れで覚えるしかないでしょう。
さて練り終えたパテですが、そのままの状態で使い始めると手につくわ、形にはならないわで、もう大変。大抵の人はそのまま使ってしまい、「エポパテって役に立たないジャン」って思い、「使えないヤツ」のレッテルを貼られてしまうんですね、この子は。
この問題を回避するのは簡単。しばらくほっておけばいいんです。この放置するという段階を踏まずに進むと悲惨な結末が待ってます。
摩擦熱を失ったエポパテが常温に戻り、しばらく放置しておくと第一段階の硬化が始まります。種類によってその時間は変わりますが、タミヤパテなら作業時間が夏場で30分、冬場なら1時間ほどはあります。これだけあればじっくり作れますし、失敗してもやり直せます。硬化が遅いのが利点になるわけですね。で、その前の熱を加えられた状態、言い換えれば練った後すぐに盛り付けを始めようものなら……。ま、やり直した方が早いでしょう。たはははは。
さて、放置時間も気温によって随分変わります。まぁ5分か10分というところでしょうか。もういいかな、と思ったら、ヘラでちょん、とたたいてみましょう。たたいたヘラにくっついちゃうようならまだ。たたいた状態そのままにへこんだらOKです。
待っている間にまず手を洗いに行きましょう。冷水だとパテが固まった状態になるのでぬるま湯がいいですよ。台所に給湯器があれば便利ですね。石鹸を使ってよくもみおとすように洗います。指の横や爪などに残りがないようにしましょう。この段階で指についているのは混ざる前のパテの可能性が多く、これがもしMFにくっついてしまうと大変ですから。
ついで今度はクラフトナイフについた分もきれいに掃除します。特に夏場の場合、切る時に二色のパテが部分的にくっついてますのでちゃんと掃除しておかないと、次に使うとき、固まってたりします。
そういえば、冬場の場合、パテの両端が硬くなっている場合があります。単に寒くて硬い場合もありますが、劣化して硬くなっていると大問題。区別するにはとりあえ袋ごと両手ではさんであたためてから、ちょっと曲げてみましょう。しわならともかく、パキパキと裂け目が端に出てしまったら劣化です。その時には諦めて端っこを2mm程度づつ切り落としてしまいましょう。白と青の二色のうち、白の方が硬くなります。これを練り合わせるのは至難の技なんで、端だけ切り捨てるのが正解。青の方は硬くなっていないでしょうが、同量練り合わせるのが基本なので、もったいないですが同じ幅で切り捨てましょう。後の処理を考えたら、その方がよっぽど得ですから。
放置も終わり、いざ、盛り付けという時にも水をお忘れなく。とにかくほんの少量でもいいので水分を指先に含ませておくことが大切。そうしないと盛り付ける場所に置いても、そのまま指先にくっついて来てしまうことがありますから。これはヘラ、もしくはつまようじで作業する場合も同様です。必ず少量の水をつけてからパテに接触させます。
水が多すぎると今度はパテに逃げられてしまったり、盛り付けた場所からつるんとおちてしまうので、これは慣れて覚えてください。
盛り付けた後は自分の望む形にヘラ(つまようじ)で修整します。で、形になったら、次は表面処理。エポパテは硬化前に表面処理を行っておくのが基本です。
さて、改造する場所、完成予定では金属になるのですか? それとも布? あるいは皮膚? それに合わせて下記の表面処理を行います。
ツルツル:金属感を出すにはエポパテが入っていた細いビニール袋を使用します。パテに水を大目につけた後、ビニールにも水をつけ、表面にそっと押し付けてからはがすと、パテの表がツルツルになります。パテの表面がビニールの表面、つまり平らな形を写し取るからです。これを利用しますと、剣や盾の面出し(平面感の表現)が簡単です。ただし、あくまで水のバリアーがあればのこと。量が少ないとそのままビニールにくっついて、でろーんとなってしまうので、水だけは絶対に忘れないでください。ごわごわ:毛皮のマントやモンスターの剛毛を表現するにはMF用の金属ブラシが便利。使いすぎていらなくなったものを再利用しましょう。まずはこれにも水をつけ、ちょっとおしつけてみるとごしゃごしゃの表面が簡単に再現できます。また、固めの歯ブラシをそっと押しつけて一定方向にすっと移動すると、毛の流れも簡単に表現できます。
普通:ヘラの平らな部分をそっと押しつければそれなりに表面が落ち着きます。また、つまようじの柄をころころと回転させてやれば、微妙な凸凹のある表面もできます。もちろん、この処理にも水をお忘れなく。
プロになってからはさすがにこういった方法はしてませんが、昔、自分のPCのMFを趣味で改造していた時にはよくやりました。他にも、まずは適当に表面を慣らしてから、つまようじの先端を針代わりにして均等に刺すだけでチェインメイルの雰囲気が出ます。この場合、押し付けられたパテが表面に盛り上がってなかなかの質感です。また、シャープペンの先や、細いしんちゅうパイプを同様に均等間隔に刺すと、リングメイルの出来上がり。ま、こういった簡単テクは粘土細工のつもりでいろいろやってみてください。
表面処理がひととおり終わったら、乾燥に入るわけですが、先程も書いたとおり、完全硬化には数日かかります。大体半日から一日たつと固まりますが、これは第二次硬化段階。実はここから完全硬化に至るのがすんごく長いんです。
確かに固まっているんだけど、触ってみるとどうも弾力がある。こういう状態が第二次硬化状態。そのままずっと放置しておいてもいいんですが、その間にやる気がうせちゃうと悲しいですし、時期によっては数週間かかりますから、ここは強制硬化といきましょう。
えー、ちなみに先ほどから乾燥と書いてますが、実際には乾燥するわけではなく、化学変化の終了を待ってるわけですから、要は化学変化を促進してやればいいわけです。つまり熱を与えればいいんですね。
一番手っ取り早いのはドライヤー。MFを固定して全体からムラなく温風が当たるように吹いてあげればすぐに完全硬化へと向かいます。
ただし!
熱を加えすぎると水泡状のあばたが表面にできてしまい、場合によっては熱に負けてボロボロになっちゃいます。絶対に強くしないでください。ま、コツとしては熱が加わっている表面にツヤが現れたらすぐにストップ。ただし、現れた時には遅いかもしれないので、現れるまで吹くのではなく、現れないように吹くこと。これも経験がモノをいいますので何度か試して覚えてください。ちょっと熱を与えるだけで随分完全効果が早くなりますので、弱めにしておきましょう。また、MFの素材は模型素材の中でも特に熱伝導がいいので、表面だけでなく、金属にくっついている部分から伝わる熱でも十分に効果があります。ドラゴンなど大物なら、エポパテを盛っていない部分に熱を加えるという方法もありますよ。
完全硬化したかどうかは見ただけではわかりません。私がよくやるのは爪で表面を軽く叩くこと。完全硬化していればコツコツという軽快な音がします。机など、堅い木製品を叩くような音です。で、硬化前だとちょっと鈍い音になります。この音の違いが分かるようになればあなたもエポパテベテラン。
さて熱を加える際に注意するのは火傷だけではありません。ドライヤーでいきなり熱風を与えるという大技は、相手がMFだからこそできること。これがプラだったら歪んでしまいます。で、ここでチェック。あなたのMF、プラ部分はありませんか?
シールドはもちろんですが、シタデルのプラベース物に直接熱を与えると悲しいですよ。ご注意を。
さてさて、どうでしょうか、完全硬化しました? そうしたら今度は本格的な表面処理、と言いたいところですが、もう一つ前に作業があります。それは段差を確認すること。ベースに使用しているMFにパテを盛ったわけですから、当然厚みが加わります。うまくなめして消したつもりでも、結構残っているものです。そこで、そういった部分を探すため、サフェーサーをうすーく吹き付けます。うすーくするには十分に距離をとり、流すようにさっと吹くこと。この場合には改造していない部分に吹く必要はないので、そこに吹き付けられたらOK。
で、吹き付けたサフェーサーを半日程かけて乾かしてから、じっくりと表面を見てみます。段差があったら筆塗りのサフェーサーを盛るようにして塗り、また一日乾燥させます。ただでさえ筆塗りのサフェーサーはスプレーに比べて乾燥が遅いのに、盛るようにして塗ったら随分時間がかかります。でもここで焦っちゃうとだいなしなので、一日は最低でも置いておきましょう。その後で紙やすりで丁寧に削って段差を無くします。
この作業が終わってから、今度は改造部分全体の表面処理になります。毛皮など、ごわごわの表面処理をした時以外、パテ盛りをした部分全体を一度軽くなめすようにこすっておきましょう。紙やすりでそっとこすると、サフェーサーの表面からつやが消えますから、そうしたらもう充分です。
もしも服のしわ等を表現したいなら、400番ほどの耐水ペーパーを小さく切った物を用意します。これを二つ折りして、その折り目にあたる部分でしわにあたる部分に線をえがくようにこすりつけます。数回こすると折り目の部分のザラザラが消えてしまい、こすっても抵抗感がなくなりますので、そうしたら今度は折り目をずらして折り、これを気に入ったしわの深さになるまで繰り返します。完全乾燥していてもパテはホワイトメタルよりは柔らかいので、力を入れて削ると、ホワイトメタル部分はほとんど削れていないのに、パテ部分だけ呆気なく削ぎ落としてしまうことがあります。気をつけてそっと削ってください。慣れてくれば針ヤスリで同様の処理ができるようになりますが、針ヤスリは当然曲がりませんから、微妙なしわを表現するには二つ折りしたペーパーに全権を委ねるほかありません。
改造部分の表面処理が完全に終わったら、軽くMF全体を歯ブラシで磨いてやります。飛び散ったエポパテの粉や、ちりを取るためです。その後でもう一度サフェーサーを、今度はMF全体に吹き付け、塗装すれば完成です。
こういった手順でエポパテを使用するわけです。ここまでの技術が盛り付けということになります。これをマスターしない限り、改造の道は険しいものになりますが、盛り付けができるようになれば、今度はすっごく楽しいものになりますよ。
んじゃ、ここで盛り付けの際のポイントを紹介しときましょう。まずはエポパテをどういった形状で盛るか。玉にしたり板状にしたり、紐状にしたり。その部分に応じた形にしておいてから盛りましょう。
次は簡単な改造から始めること。やっぱ、できた後の爽快感は大事。難しいのにチャレンジして疲れちゃうより、簡単なのでも完成すればうれしいもんだから。ま、一番簡単なチャレンジはマントかな?
これ付けるだけで偉そうになるからね。
マントの場合、一度に作ろうとしても難しいもんです。なぜなら、薄いから。MFにくっついている部分は簡単なんですが、脚の間とか、腕と腹の間とか、なかなか難物ですよ。なにしろ後ろ側を押すと前が出る。前にしわをつくろうとへらを押し付けると、後ろがめちゃくちゃ。
ってわけでこういう場合にはまず前だけ作っちゃうのが勝ち。布の前面にあたる部分をまずはきれいにモールドしときます。さっきの脚の間とか、腕との隙間とかね。んで、これが完全に乾いてからおもむろにやすりで後ろ側に出過ぎた部分をそぎ落とします。で、その後で固まってる前の部分に後ろ用のパテを盛れば、ほら簡単。しわを彫り込む部分は後ろのパテを盛り出す前に針ヤスリで削っておけばOK。
マントは二回に分けて作りさえすればすっごく簡単。そのくせ効果も高いんで、最初の練習台として一番いいんじゃ。

台座が緑のMFは改造してマントを着せたもの。一番手軽でしょ? ポイントとしては邪魔な部分を先にそぎ落としておくことかな? 一番右の写真の腰のところ。上着の裾がマントの邪魔なんで、先にそぎ落としときましょう。

こっちは髪をロングにしたもの。これも右はじの写真を見て。髪の後端が邪魔になるんで、カットしておきましょう。で、ちなみにこの写真と上の写真のMHは、雑誌に掲載した時に初心者入門を考慮しつまようじだけで改造してあります。慣れればこれくらいできますよ。もちろん、スパチュラ(ヘラ)を使えば、もっと詳細にしわを刻めますが。

さてこちらはこれまでのワンポイント改造を何カ所化に施したもの。腰のアーマー、ブレストプレート、肩、左膝のニーパット。ちょっと見づらいけど、左手にはバックラーシールドもついてます。髪には羽根飾りもね。ここまでくらいなら、盛りつけ技術だけでできますよ。んで、ついでに口もクラフトナイフであごからそぎ落とし、開いた状態に新造してます。これだけは初心者向きじゃないけど、基本としてはパテ盛り技術だけでも可能です。
口の改造以外なら簡単。んで、こういった作例で手慣れてから、次のステップへ。
合成・切断と接合
とりあえず盛り付けができたなら、今度はベースに使うMF本体をいじってみましょう。これによって、本当に自由度があがります。
◆素材集め
改造する素材を探しましょう。買ったはいいが使っていないとか、うっかり曲げて脚がおれちゃったというようなMFがあればそれを使うのがいいですね。廃品利用みたいなもんです。で、胴体はコレ、腕はコレ、顔はコレ、というように素材を集めてそれを合成するのですが、最初は簡単に武器のすげ替えから。この場合、素材は2ケで済みます。本体と武器ですね。武器は握っている手ごと切断するのが一番簡単。で、手を切り落とした本体に合成します。
◆切断個所の確認
手を切ってつなげるといっても、MFサイズになると手も随分ちいさいもの。手首の太さだけで武器の重さを支えるのはなかなか大変。そこで肘近くにまで手袋をはめているのがあればもっと簡単です。その手袋の端を切断すれば、その断面は手首より明らかに太いはず。で、本体の方はその手袋があると仮定して切断します。とりあえず、最初はこれでやってみましょう。
手袋付きのMFでお気に入りの武器を持ってるのが見つからない?
なぁに簡単です。手袋、作っちゃえばいいんですよ。もう盛り付けはできるでしょ? それに、たとえば右腕を改造した場合、左腕にもなくちゃおかしいでしょ、手袋。片方作らなきゃいけないんだから、両方作っても大差ないっしょ。
というわけで、いいMFがなかったら、肘の少し下あたりまで手袋があると仮定して切断しましょう。もしその場合、手袋の後端と仮定したラインより、2mmほど手側に切断面を想定します。理由は後出。
◆切断
この作業にはレザーソーが一番。レーザーソーじゃないよ。あったら便利そうだけどさ。レザー(かみそり)みたいに薄いソー(のこぎり)ね。ちょっと高いかもしれないけど、後々絶対あれば便利だから、お昼ご飯抜いてでも買うこと!
切断する個所は予定よりも1mmから2mmずらします。切ったままの表面はわりと凸凹だから、後で切断面処理が必要。で、ぎりぎりに切っちゃうと処理した分だけ短くなっちゃって、MFのままの左腕と長さが違っちゃうからね。
ずらすのも、本体側は腕の先にずらし、武器側は胴体側にずらすこと。これは当たり前よね。逆にするともっと短くなっちゃうから。
いよいよ切断だけど、まずは本体を使用する方からチャレンジ。理由は武器の方より簡単だから。慣れてればどっちが先でも大丈夫だけどね。
切断は断面が垂直でないとやりずらいのでMFを固定するのが先。どんなMFでも大抵は二面型(たいやきの型みたいに二枚で押さえるやつね)だから、横に寝かせると安定する方向があるはず。で、机の上にちり紙(もしくはいらない布)で山を付くっておき、そのベッドに寝かせるつもりで固定します。しっかりとね。上からまたちり紙で山をこさえて押さえつけ、切断する腕だけ出るようにしたらガムテープ(セロハンテープでもいいけど)でぐるぐる巻きにしちゃいましょう。結局、えびの天ぷらの尻尾みたいに、ガムテープの「衣」から腕だけ出てるようにしちゃうの。こうしとけば机にMFを押し付けても、「衣」がMFのモールドを守ってくれるし、間違って必要な本体部分にレザーソーで傷つけることもないからね。で、寝かしておいた方が平らなはずだから新聞紙の上においていよいよ切断。
なんだけど、よく見て。腕が宙に浮いてない? ちり紙分だけ浮いてるでしょ? そしたらその下にまたちり紙をまるめて、とりあえず下をしっかりと支えときます。こうしないと腕が肩から呆気なく曲がっちゃうからね。
切断そのものは特に説明いらないでしょう。一定方向にゆっくりとね。MFは金属でもニッパーで切れちゃうほど柔らかいから、多分思ったより簡単に切れるはず。で半分程切れたら反対側から切って完全に切断します。終わったらグルグル巻きの刑から解放してやりましょう。慣れればこんなことしなくても、ちり紙のベッドの上に乗せるだけでできるようになるけど、最初は用心もかねてグルグル巻きにしておきましょう。
さて今度は武器側。さっきとおんなじようにするんだけど、今度は武器もちゃんとくるんでおくこと。使うのは武器側だからね。こっちが傷つくとだいなし。で、今度は切断面だけ出てるようにします。でも、そこだけ出すってのはなかなか難しいから、塗装用のマスキングテープの登場。これを切断予想部分とちり紙の間に巻き付けます。一回だけじゃ心もとないので、2,3回まきつけ、ちり紙の端もこれで固定しときましょう。こうしておけばちょっと手元が狂ったくらいならマスキングテープの層が守ってくれるからね。でも、これをセロテープでやると、のりが残って大変だから、マスキングテープ使ってね。
両方切断できて、材料がそろったら、今度は切断面の処理。あたしはクラフトナイフの刃を立てて削ぎ落としちゃうけど、これも慣れがいるんで、まずは平ヤスリ。机の上にヤスリを寝かせて、その刃に切断面をあててこすりましょう。大根おろしの要領ね。で、予定面に近づいたら、今度は紙ヤスリに替えて、同じようにごしごし。平らになるように注意しながらやってね。
それが終わったら切断作業は終了!
◆接合
切断面の中心に芯として、しんちゅう線を入れるだけ。この辺は塗装編を読んでね。
ただし、角度を間違えないでね。人間の間接は曲がる角度の限界があるから。自分でポーズとってみて決めましょう。接着もできれば金属用の瞬接がいいでしょう。
◆合成
さあて、どう、形になりました? でもここまででせいぜい50%。残りの表面処理がポイントだから。ちゃんと手袋をつけたMFを見つけた人なら、後はその境目を筆塗り用のサフェーサーで埋めてあげるだけなんだけど、自分で手袋を作ることにした人はここから基本のパテ盛り。この作業からは逃げられないよん。
さっき書きましたが、この場合切断面をずらしたのには二つ理由があります。一つは接合部分を手袋の中にしちゃえば、接合部分の表面処理をしなくていいから。二つ目は接合部分をパテでまるごとくるんじゃえば、その厚みの分だけ丈夫になるから。
ってわけで接合面をそのまま隠すようにして手袋を盛り付けます。他のMFでそういったロングタイプの手袋をしてるのを参考にして造りましょう。で、片側が終わったらもう一方。左右均等に造るのはなかなか大変だけど、これができないと完全自作なんて夢だからね。頑張って。
余談だけど、MFはスクラプターによって随分デザイン違うでしょ? デフォルメの仕方まで違うから。というわけで、実は左右で手の大きさが違ったりすることもあるわけで。気にしないならいいんだけどね、気にする人はここも修整しちゃいましょう。小さい方の手にエポパテを盛るだけ。でも面倒って人はいっそのことガントレットというか、手の甲にパットをつけちゃうってのはどう?
小さく丸めたエポパテを両方の手の甲に乗せ、四角く伸ばすようにして掌側に伸ばせばOK。よく格ゲーキャラにいるでしょ? 指だけ出したパットつけてるの。ああいう風にしちゃえば、手の大きさも分かんなくできちゃうわけ。簡単にね。
形が完全にできたら後は塗装。で、おしまい。ただし、接合した以上、どうしてもそこは弱くなっているから倒したりしないように要注意。なお、こういった改造を数箇所にしたりすると、その分もろくなってゆくから、これも注意。
最後にワンポイント。
首のすげ替えの場合、首の向きだけでなく、背骨の方向も考慮すること。人間の首はまっすぐ下に向いているのではなく、必ず一旦後方に沿っている。これを忘れると×。首の向きを変えない限り、いっそのこと腰から上半身ごと変えた方が簡単。首の向きを変えたなら、必ず背骨と首筋の方向性を確認すること。それが面倒なら、マフラーなりマントの飾りなどで首ごとエポパテで覆ってしまう方法を考えること。
首をすげかえるのは簡単そうに見えて、実は大変。でも、これができればこのステップは無事卒業。合成の最後に、卒業試験のつもりでチャレンジ!
全身改造
さて、いよいよ最後のステップ。既存MFを骨格として流用して、自分だけのオリジナルを作ってしまおうというのが「全身改造」。ここまでのステップをちゃんとこなしてれば特に問題なくできるはず。
エポパテには慣れた?
切断と接合は大丈夫?
両方ともYESなら、なんとかなるはず。まぁ、まだやったことがない人が多いだろうから、とりあえずポイントだけ記載しときます。
1:原画をしっかり描く
全身改造となると、やはりデザインが必須。とにかく3面図には絶対しておくこと。ここをさぼると、折角の挑戦が無駄になる可能性高し。パテ盛りのときに下に敷いていたクリアファイルにこのデザイン画をはさんでおくと便利。できればMFの原寸大に縮小コピーしたものも一緒に入れておくと楽。
2:ベースになるMFを探す
とにかく骨格にするわけだから、最低限ポーズだけでも似てないとダメ。MFだから多少なら曲げて強引にポーズを変えられるけど、全体のバランスと、強度の問題で、可能な限りそのまま流用できるのを探すこと。また、エポパテマスターを自他共に認識するレベルでないなら、顔もそのまま流用した方が無難なんで、顔もお気に入りのを探すこと。(顔は首からすげ替えることも可能だが、できれば骨格はいじらない方がいい。これもバランスと強度の問題)
3:流用可能な部分を探す
ベースになるMFが決定したら、余分な部分を削ぎ落とすのだが、完全に裸にする必要はない。ブーツとかズボンとか、とにかく流用可能なところがあれば残すこと。ただし、ベルトだけ残してその下の服を変更したりするのは面倒なので、どこまで残すかはデザイン画と合わせて熟考。場合によっては服をそのまま残し、アーマーをパテで加えるだけでも十分効果あり。
4:改造の簡略化を考える
プロとして作品を発表するのなら、なるべく基本をおさえ、裸から始めた方がいいが、自分のPCを形にしたい、というようなレベルなら、簡略化も考えておいた方がよい。たとえばマント。これをつけることで肩や背中のモールドは最低限ですむ。他にも女性キャラなら髪型をロングにするだけでもかなり楽になる。ただし、忘れてはいけないのは、そういった隠れる部分でもちゃんと形にはすること。表面処理は不要だが、見えない部分、たとえば後ろの襟首なども作っておかないと、最終段階でバランスが狂うことが多い。あくまでも簡略化のためであり、手抜きではない。
5:強度を考慮する
折角作ったのに壊れてしまってはもともこもない。愛情込めて作ったオリジナルMFだから、この世にたった一体しかないのだ。壊れたらそれでおしまい。修復も大変。ましてやつぎはぎしているわけだから、通常のMFよりももろいことを忘れずに。そのためにはベース段階で強度を補強しておくこと。
たとえば剣を持たせるのなら、武器を他のMFから流用するよりも、自作した方が強度が増す。なぜなら芯を入れられるからだ。ベースMFの持っている武器を手のこぶし幅で切断。その後で手のこぶしを貫通するようにピンバイスで穴を空け、0.5mmほどのしんちゅう線を剣の長さだけ差し込んで固定しておく。これを芯にして改造すれば剣と腕は一体化している。
また、肩などには真横から穴を空けてしんちゅう線を埋め込んでおき、強度を増すという方法もある。重い盾などを持たせる場合には保険のつもりでやっておこう。
首を挿げ替えたりした場合には、固定用のしんちゅう線を長めにし、いっそのこと頭部のてっぺんから胸のあたりまで通してしまう。頭部は髪をモールドするので跡も残らない。
余分な部分を削ぎ落とす時にも、厚さを考慮すること。薄手の服にするのなら裸にしなければならないが、アーマーをつけるのなら、元のままでもパテを盛ってしまえば大丈夫。基本的にホワイトメタルとエポパテでは強度が違う。デザイン画をよく見て、モールドを落とせばよい場所と、皮膚まで削ぎ落とさねばならない場所を選択する。
とにかく、ベースMFを骨格にした段階で可能な限り強度を増すようにしておくこと。強度としては「しんちゅう線」「ホワイトメタル」「エポパテ」の順で弱くなるのだから、可能な限りエポパテのみのパーツはなくすこと。たとえば前髪がピンと伸びている髪型だったり、耳の前の髪の房が腰まで届いているような髪型を作るとしても、しんちゅう線をうめておいてから作った方が、エポパテも盛りやすいし強度も増す。そのためにもデザイン画で、どこに前髪をどのように伸ばすかをしっかりと決めておくこと。MF自体のベース(台座)も大き目のものに交換するとか、大き目のものを台座の下にはりつけ、パテを盛り付けてディオラマ風に地面を作っておくと、強度だけでなく、視覚的にも効果絶大。
6:デフォルメをうまくこなす
このサイズのMFにはデフォルメが必須。全体としてリアルにしておきたくとも、間接や手など、デフォルメにしなければならない場所は多い。これもデザイン画を起こす時に考慮し、デフォルメのウソがばれないようにすること。
7:盛り付けの順番を考える
実際に着せるつもりで盛り付けて行くこと。服もベルトで止めるのなら、ベルトの幅だけパテを薄くし、その部分のしわを全部作り終え、完全にパテが乾いてからベルトを盛り付ける。同様に剣の鞘を下げるのなら、鞘の部分だけへこませてズボンを盛り付ける。手慣れてくれば一度にできるようになるが、最初は本当に着せてゆくつもりで、順番を決めること。ただし、パテは布地よりも厚くなるため、重ね着している部分は厚さを考慮すること。襟首が見えるだけで他が上着で隠れるのなら、その襟首部分だけを先につくり、上着に隠れる部分は紙やすりで削り落しておく。
基本的にはブーツや髪の毛は最後になるだろう。肩や首の服部分をパテで作り、顔を整えてからでないと、肩までかかる髪の毛は作ってはいけない。後で修整が効かないからだ。特に髪の毛はないとイメージがつかみにくく、途中段階で盛り付けたくなるものだが、決して作業順を変えてはいけない。イメージがつかみにくいのなら、デザイン画を何度も描いておき、髪や武具がなくてもバランスをつかめるようにしておくこと。
ブーツなどをMFのまま流用するのなら、ズボンの裾がブーツにはさまっているようにしわで表現するのが、なかなかうまくいかない。そういったベースのままの部分は端の処理が勝負。自信があるなら残すブーツでも端は削ぎ落としておき、ズボンのモールドが硬化してからブーツの端だけパテを盛ってみる。自信がないなら、ズボンの処理終了後、ブーツの上端部分にエポパテを紐状にしたものをまきつけ、あたかもブーツの上端に飾りがあるようにしてしまう。うまく処理して、ブーツ前面に網紐を作ってしまうのも効果的。
ま、こんなとこかな? 何度も出てきてるけど、やっぱりこのステップではデザイン画が一番大事かな。もちろん技術も必要だけどね。でも、ここまでのステップでたくさん実戦を積んでるなら、エポパテを小さな玉にしたり、紐にしたり、いろいろと技術が身に付いているはず。どんな場合でもやはり基本が大事。順番どおりにやってけば、必ず完全改造もできますよ。
というわけで、あなたも自分のMFに、マント、着せてみません?