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第7回 「X-Boxは何をもたらすのか」 (2000/03/10)
1年以上ぶりの新作コラム、テーマはX-Boxである。
X-Boxの性能は、Playstation2をも圧倒する、驚異以外の何ものでもない代物だ。秒間3億ポリゴン、これだけでも途方もない数値である。これに加えて、大容量のメモリ、高速なネットワーク接続機能などを備え、価格も相当安くなるものと予想され、その力は、本命たるに十分なものと言えるだろう。
開発環境にも、実績のあるWindows互換OSとDirectXを採用し、PC用に開発されたゲームアプリケーションを極めて簡単に移植できる。ソフトにも不安はないと言っていいだろう。
もし不足するようなことがあっても、SONYを買収することさえ不可能ではないMicroSoftの資金力を活用して買収してくれば、いくらでも補える。
はっきり言って、死角らしい死角といえば、実績がないことくらいで、今後の動き次第では、セガ、任天堂を圧倒し、ソニーをも脅かす存在となっても不思議ではない。この上なく恐ろしい力を持った新勢力といえるだろう。
これに対して、各社はどう動くべきか考えてみたい。
セガ・・・「試練の時。新ハードを焦るな」
セガは、X-BoxにDreamCast互換機能を搭載するかどうかをめぐって、ぎりぎりまでMicroSoftと交渉していたという噂もあり、X-Boxの脅威をもっとも恐れていた企業といえる。そして、X-Boxの登場によって、もっとも脱落の危機にさらされる企業でもある。
DreamCastと比べると、X-Boxの性能はPS2の比ではないほど圧倒的であり、もはや、力で勝負しても勝機はないに等しい。
この状況に対抗するセガの武器は、自社のソフト開発力と、分厚いセガファンであろう。このセガファンは、セガが自社のソフト開発力を生かして長年蓄えてきたものであり、セガを支える大きな力となっている。
DreamCastも、先行して発売した甲斐あってハードに対する理解も深まり、熟成されたタイトルが確実に登場してきつつある。確かに、X-BoxやPlaystation2と比較すれば、DreamCastの性能は劣るものではあるが、NBA
2K、電脳戦機バーチャロン、ソウルキャリバーなどの画面からも分かる通り、絶対的な性能そのものは高く、タイトルの完成度を武器に、「ゲームの面白さ」で勝負していけば、生き残りの目は十分にあるだろう。
そのためにも、新ハードを焦ってはいけない。DreamCastが本当に枯れきる時、そのときまではDreamCastを引っ張るべきである。
任天堂・・・「もはや猶予なし。Dolphin投入が遅れればセガ以上に危機的な状況も」
任天堂は、PlayStation2に続いてX-Boxが登場することで、もはやNintendo64の寿命はほとんど終わったといってもいい状況に入りつつある。ハードウェア的にはまだまだ可能性があるが、スペック差があまりに決定的すぎるのだ。Pokemon人気も永続するものではないことを忘れてはいけない。何より、TVに接続する家庭用機では、Pokemonはまだ主役にはなっていないため、この状況下では効果を期待することも難しいだろう。
任天堂も、セガと同じく、最大の武器は自社の開発力である。だが、セガと違い、メインマシンのNintendo64は明らかに性能不足だ。新ハードなくして任天堂の未来はない。その未来を担うDolphinの開発は、今なおほとんど状況が明らかになっていない段階である。今回ばかりは、いつものようにマリオをじっくり作って、満足できる完成度になってから発売するというような余裕はない。
一刻も早いDolphinの完成、これ以外に任天堂が残る道はないだろう。
SCEI・・・「死角は慢心と独占欲。企業レベルで見れば挑戦者であることを忘れるな」
ソニーは、PlayStation2を発売したばかりで、その勢いはとどまるところを知らないようにさえ見える。実際、予想される、予定されているタイトルの充実度は最高で、ハード性能も高く、どう見ても順風満帆、X-Boxの圧倒的なパワーをもってしても優位は揺らがない、そう考えがちだ。
だが、相手はあのMicroSoftである。
今までも、誰がどう見ても優位は揺らがないと思われてきた企業を、強引な力技と過激な戦略で次々と覆してきたMicroSoftが相手では、油断は致命的な結果を簡単にもたらす。隙はすでに見え始めている。PS2向けタイトルの価格上昇、クオリティの問題、Playstation.comの登場による小売店への圧迫など、問題は多い。これに加えて、MicroSoftが、強引な攻撃を仕掛ければ、優位が揺らぐ可能性は無視できないだろう。
PSの成功に奢るな。これが、SCEIに必要なことである。
そして、MicroSoft・・・「自社の武器を最大限に生かせ。攻めの一手のみ」
MicroSoftは、かねてから入念な準備を重ねて、この日に臨んだと推察される。発表されたX-Boxの性能はPlayStation2の数倍、開発環境にはDirectXを採用など、システム的には欠点はほとんど見当たらない。
当然、MicroSoftとして取る手は、攻め以外にないだろう。資本力でも、どのライバルと比べても完全に圧倒しており、必要とあればその資金を生かして、次々とライバルメーカーよりの企業を買収してまわることも容易に可能だ。無論、SCEIの実績と実力はMicroSoftから見ても脅威であり、SEGA、Nintendoの力も到底無視してよいようなものではないが、「邪魔なら買収してしまえ」を実行すれば、一気に覆すことも不可能ではない。
たとえば、スクウェアとエニックスを買収して、X-Box向けのみにソフトを供給させる(両社は株式を公開しているため、公開買付で買収することは可能である)というようにすれば、SCEIの持つ優位が一瞬で崩れ落ちるだろう。MicroSoftは、そういう「無茶」でさえ実行できるほどの力を持っている。
弱点といえば、実績がないことと、MicroSoftという名前の持つ否定的な印象くらい。後は、いかに人々の心を敵に回さないか、それにさえ気をつければ、確実に大勢力を築けるだろう。
こうしてみると、MicroSoftの参入が持つインパクトはあまりにも大きい。競争は大きな進歩をもたらす。セガとSCEIの競争が、ゲーム機本体やソフトの価格を大幅に引き下げたり、流通に革命的な変化をもたらしたことは、まだ記憶に新しいはずである。MicroSoftは、再びこの時代と互角、もしくはそれ以上の競争をもたらし、ゲーム業界を大きく進歩させてくれるだろう。
具体的なタイトルの進歩が見えてこないことだけが不安である。 ゲームの進歩に結びつかなければ、どのような競争も我々には無価値であることを忘れてはいけない。
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