#22   選択のとき   “Felicity Was Here”  (99/09/24放送)


「親愛なるサリー、あれからずっと頭が混乱してるの・・・ほら、ベンとキスしそうになっちゃったでしょ。でもやっぱりあれは・・・私の思い過ごしだったんじゃないかしら・・・そんなことあるはずないもん」


                

フェリシティがディーン&デルーカのバイト中に、ベンと棚卸しをした晩のことに思いをめぐらしていると、新副店長ダニーが「バイト中にボーッとしてない?」と恐る恐る話しかけてきた。フェリシティは仕事を再開するのだが、フロアの掃除をしているベンの方に目を向けると彼が優しく微笑んでくる。それを見たフェリシティはやっぱりボーッとしてしまう。

「思えば、ベンとキスしかけたなんて錯覚を起こしたのは、ミーガンが恋の魔法をかけたって聞いたせいかもしれない・・・いずれにしてもあの夜の出来事をとりたてて大袈裟に考える必要なんてないのよね。ただ、あれがきっかけでいろんなことを思い出しちゃったの・・・
例えば私がベンを追いかけてニューヨークまで来た事とか、高校時代ずっとベンに憧れていた事とか・・・もしも今、というか今更、本当にその彼と私がキスするなんてとんでもない状況になったとしたら、それこそ人生がひっくり返っちゃう!」

掃除をしていたベンはフェリシティの方に歩み寄り、「あれはどういうことかな・・・」と話しかける。先日キスしかけたことを言っているのだが、わかっていてもついはぐらかそうとしてしまうフェリシティ。そこにダニーがベンに「貯蔵庫に来て手伝ってくれ」と頼みに来て話は中断してしまうのだが、彼は「ややこしくなりそうだな」とフェリシティに告げ行ってしまう。


「あっという間の1年だったって感じてるのは私だけかしら・・・なんか、時間が倍のスピードで過ぎていっているみたい。
最近、何故かいつもより早めに目が覚めるの・・・夏休みを前にして気持ちが高ぶっているのかも。この1年も残すところあと数日・・・そろそろ荷物を整理しようと思ってクローゼットを開けたら、偶然壁に彫られた名前を見つけたの。この部屋で暮らした歴代の学生が1968年から受け継いできた伝統・・・・・個人的にはもちろん誰一人として知らないけど、なんだか不思議と懐かしい気がしたわ・・・。皆今頃どこにいるんだろう・・・それぞれの人生を歩み出した後、ここでの暮らしを思う事はあったかしら・・・」

寮では全ての学生が荷造りを始めている。フェリシティは荷造りの途中でベンと別れて元気のないジュリーの部屋に休憩に行った。アメリカ横断旅行に行かないとジュリーに伝えるフェリシティだが、ジュリーは「頼みたい事があるから横断旅行には行って」と言い出す。「男の子が別れたいって言い出すのは他に好きな子がいるからよ・・・だからベンと旅行に行って彼が誰を好きなのか探って」と頼まれてしまい、複雑な気持ちでOKするフェリシティ。


ジュリーはベンのアパートにある荷物を取りに行くのだが、どうしてもフロッピーが一つ見つからない。ジュリーは授業に行くからと合い鍵を返そうとするのだが、「また探しに来ればいい」と戻される。ぎくしゃくした空気の中、新学期までのお別れを言う二人・・・ベンは「そのうち電話するよ」と言うのだが、ジュリーは「電話はしないで・・・電話の前から離れられなくなりそうでつらいから・・・そんなのミジメじゃない」と断り部屋を去った。



エレナはマグラス教授と一夜を過ごし、幸せそうに彼の寝顔を見つめていた。満ち足りた様子で朝を迎えベッドを出たのだが、ふと教授の机を見ると、次の授業で返却される 学生達のレポートが積んである。興味を持ってめくっていくエレナだが、自分のレポートの評価が「Bマイナス」であることに動揺してしまう。

フェリシティが大学で郵便物をチェックしているとノエルが現れ、開口一番「一緒に行こう」と言い出した。驚くフェリシティだが、ノエルはベルリン行きのチケットをもう一枚用意したとフェリシティを誘う。「返事は後でいいから、よく考えて・・・行くって言ってくれ!」と言うノエルに、フェリシティは嬉しそうに「いいわ」と答える。すかさずノエルは「行くってこと?考えるってこと?」と聞くが、フェリシティは少し考えて「そうね・・・よく考えてみるわ」と返事をする。

「考えるまでもないわよね!だって、彼氏と言ってもいい大好きな人からヨーロッパ旅行に誘われたのよ!こうなったらベンには一刻も早く断らなきゃ。でも、うまくいくかしら・・・・幸運を祈ってて!」
早速ベンのアパートに行きベンに「行けないわ」と伝えるフェリシティ・・・その理由は3つ。その3つ全部を聞かせて欲しいと言うベンにフェリシティは説明を始める
1.ノエルと一緒にベルリンに行きたいから
2.ジュリーを傷つけたくないから
3.自分達はキスをしかけたから(旅行に行ったらどうなるかわからない?)
ベンは3つめの理由には納得行かないと言い、前回キスしかけた時の瞬間の気持ちがはっきりしていないからだと、突然フェリシティにキスをした。
「ずっとキスしたかった」と言うベンに何も答えられず、フェリシティは慌てて「安全な場所に避難しなきゃ」とアパートを去るのだった。

寮に帰ったフェリシティはノエルの部屋を訪れた。フェリシティをベルリンに誘うため、ベルリンの素晴らしい景色のスライドを用意していたノエルを見てフェリシティはつい「ベルリンに行くわ」と答えてしまう。喜んだノエルは「絶対に後悔させない、約束する」とキスをする。「夢みたいだ!」と喜ぶノエルに フェリシティは内心複雑ながらも笑いかける。

翌日、マグラス教授の最後のセミナー。フェリシティはエレナに、ベンからキスされたことを告白するのだが、予想に反してエレナの意見は「ベンと行きなさい」。そこに、マグラス教授がやって来て前回のレポートの返却をした。前もって自分の評価が「Bマイナス」であることを知っているエレナはフェリシティに「しくじっちゃった、最悪」と愚痴を言うのだが、返却されてみると、エレナのレポートは「A」に書きかえられていた。驚いてマグラス教授を見つめるエレナ・・・。

「エレナは間違ってる!ベンと二人で旅行するなんて問題外よ・・・・・・でしょ?」
フェリシティは寮の部屋を空けるため、本格的に荷造りを始めた。そして、一足先に荷造りを終えたミーガンが荷物を持って出て行こうとする(あの謎の箱を大事にかかえて)。「じゃ、行くわ」とぶっきらぼうに言うミーガンに、フェリシティは「魔女のキャンプ・・・楽しいといいわね」と声をかけるのだが、ミーガンはあっさりと出て行ってしまう。
・・・しかし、すぐにミーガンは戻ってきてフェリシティに一通の手紙を手渡す。その内容は『フェリシティはアマちゃんだ。ここでは絶対に1年もたないだろう』。ミーガンは、その手紙はフェリシティが大学生活にめげて出て行く時に「ほら、ごらん」とばかりに渡そうと書いて置いたものだったと説明し、「渡す機会なかったけど・・・あんたもけっこうやるわね」と言った。新学期からは、またどこかの寮に住んでアドバイザーでもやりたいというフェリシティに、ミーガンは「私も」とだけ答えて出て行く。こうして二人のルームメイト生活はひとまず終わりを告げるのだった・・・。

フェリシティが荷物の整理を続けていると、今度はベンが訪ねて来た。「俺を避けてるようだけど、引き下がるつもりはない」と笑顔で話す彼にフェリシティはやんわりと断ろうとするのだが、ベンは説得を続ける。二人きりで旅行したらプラトニックでいられないかもしれないと心配するフェリシティに、「絶対に友達の一線は越えない」と約束するベン。
なおも拒むフェリシティに、ベンはドライブのシュミレーションを始める。ベッドに二人して並んで座り、「なかなか上手いもんだろう、俺の運転」とハンドルを持つ真似をするのだが、フェリシティは「じゃ、モーテルでシングル一部屋しか空いてなかったら?」と質問。
二人してベッドに並んで寝てみるのだが、フェリシティはベンと目が合った瞬間、飛び起きて「やっぱりダメ!」と叫んでしまう。ベンはフェリシティが、自分が贈ったネックレス(第5話の一番最後に贈ったお詫びの品)を最近いつも身につけている事を指摘し、「君だって少しは俺の事が気になっているんだろう」と言うのだが、フェリシティはベンに帰るように催促する。
フェリシティはベンをエレベーターまで送るのだが、そこにノエルが駆け込んで来る。フェリシティに「パスポートの申請した?」と浮かれ気味に問いかけ、ベンには嬉しそうに「僕達ベルリンに行くんだ!」と話すノエルだが、フェリシティは素直に笑えない・・・。

フェリシティは早速パスポート用の写真を撮りに行く。カメラマンのおじさんに「車でアメリカの横断旅行をしたことありますか?」と質問するのは 決心が揺らいでいる証拠?カメラマンは「行ったことがある。あれは最高の旅だった・・・オススメだよ。車っていうのがまたロマンチックなんだな」と答え、フェリシティは興味ありげな反応。

大学に行くと、ジュリーが「ベンの相手がわかった」とぶっきらぼうに報告をしてきた。フェリシティは驚いて「ベンが言ったの?」と聞くのだが、ジュリーはリンから ニコルとベンの間がアヤしいと聞いたことで確信したと言う。以前ニコルのことでは相談を受けたフェリシティは、「知っていたのにどうして黙っていたの」とジュリーに責められるのだが、フェリシティは「ベンにその気はない」と請け負う。ジュリーは「じゃ、誰なの?」と不機嫌に黙り込んでしまった・・・。

う少しで言いそうになったわ・・・『ジュリー、信じられないだろうけど彼が好きなのは私かもしれない』って・・・。でも、もし言ったら私の気持ちを聞かれるに決まってる・・・自分自身でもはっきりわからないのに・・・。
ただ、エレナにああ言われて、私は心のどこかでベンと旅行に行く事をなんとなく考え始めていたの。思うだけなら誰も傷つけないでしょう?」
ディーン&デルーカでバイトをしながらもベンばかりを目で追ってしまうフェリシティ。時折ベンも彼が送ったネックレスをつけたフェリシティを見つめ笑顔になる・・・。しかし、そこにノエルがフェリシティを訪ねてくる。ノエルはフェリシティにベルリン行きの飛行機のチケットを手渡し、フェリシティも笑顔で応じるのだが、その二人をベンは遠くから複雑そうに見つる・・・。

フェリシティはバイトが終わっても寮にまっすぐには帰らず、ベンのアパートの前で彼を待っていた。帰ってきたベンは、「なんか混乱しちゃって・・・」と言うフェリシティに微笑みかけ、アパートに入れる。
ベンは「俺は今夜中にサンフランシスコに発つ・・・一緒に行こう」と誘うのだが、フェリシティは「こんなことを話しにくるなんて最低・・・私達だけの問題じゃない、周りを巻きこむことになるのよ」と自分を責める。そしてベンはこう言う。
「俺は君が好きなんだ。ヘンな娘だし・・・ほら、なんでも分析するから見透かされそうで怖かったけど、君って他の娘とは全然違うんだ。友達としても最高だし・・・だから好きなんだ。こんなチャンス滅多にあるもんじゃない・・・一緒に来てくれないか」
熱心な説得に、フェリシティはつい彼の目を見つめ「私も行きたい・・・」とキスをしそうになる。
しかし、上から階段を降りてくる足音が。
ジュリーが無表情で「これ見つけたわ」とフロッピーを掲げて見せ、黙ってアパートを出ていった・・・。

フェリシティは寮に帰ってジュリーの部屋を訪れた。「こんなことになる前にちゃんと話すべきだった・・・」と説明しようとするフェリシティだが、ジュリーは「人の彼を盗っておいて、よくそんなこと言えるわね」と冷たい。
涙ぐんで謝っても、ジュリーは「あなたは大嘘つきで卑怯者よ!」と話を聞こうともしない。フェリシティは「私はノエルとベルリンに行く」と訴えるが、ジュリーは無表情で「そう都合良くいくかしらね・・・・ノエルに話したわ」と・・・「どうしてそんなことを・・・」と絶句してしまうフェリシティ。
ノエルの部屋を訪ねたフェリシティは、今度はノエルに冷たく「チケットを返してくれ。どうしてかはわかるだろう」と言われてしまう。鞄からベルリン行きのチケットを取りだすのだが、ノエルはフェリシティと目を合わせようともしない・・・フェリシティはチケットを傍にある机に置いて部屋を去った・・・。

翌日、一年の締めくくりにカウンセラーに相談に行ったフェリシティはこう話す。
「この一年は無駄だったんでしょうか・・・そうは思いたくないけど。ここに来た時は知り合いもいなくて・・・ここまで追いかけてきた彼もほとんど他人同然・・・今思えば、だからこそ追って来れたんでしょうけど。・・・でも、その後ここで出会った人達が、今ではかけがえのない存在になってます。だから・・・何があっても皆ずっと・・・親友だと思ってた・・・」
話しているうちに涙が止まらなくなってしまったフェリシティに、カウンセラーは「まだアドバイザーをやる気はある?」と優しく質問する。フェリシティは「ありません・・・私は人に・・アドバイスを与えられるような人間じゃありませんから」と涙を拭うのだが、カウンセラーは「この一年は無駄じゃないよ・・・また、秋に会おう」と言う。

寮で最後の荷造りをしていたフェリシティの部屋にベンがやって来た。昨晩のうちにニューヨークを発ったはずのベンの来訪に驚くフェリシティだが、ベンは引き返してきたと説明。運転しながらも何とか説得しようと考え、やはり彼女の為に戻って来てしまったのだ。
「俺は君が好きだ。ジュリーを傷つけるつもりはなかった・・・こんなことになるなんて残念だよ。でも、だからといって君への気持ちは変えられない。最後にもう一度だけ頼むよ・・・一緒に来てくれ。二人で一緒に旅行したら絶対楽しいから。」
フェリシティはまだ、自分でもどうしたいのかがわからない・・・そんな気持ちを察して、ベンは「じゃ、こうしよう。俺はいったんアパートに帰る・・・10時まで待って君が来なかったら諦める」と提案する。

荷造りを続けていたフェリシティは、机の上にノエルからの手紙を見つける。
「いつの間にか、ノエルからの手紙が置いてあったの・・・内容はこう・・・。
『親愛なるフェリシティ、こんなことを書いても君は信じないかな・・・。僕達は9ヶ月前に出会ったばかりだけど、今僕は確信を持ってこう言える・・・君以上に大切な人は存在しないって・・・。例え君とベンの間にどんなことがあったとしても、僕のその気持ちは変わらない・・・。信じろっていう方が無理かもしれないけど、それだけは伝えておきたかった。やっぱりこのチケットは君に使って欲しい・・・空港で待ってるよ。  愛を込めて・・・ノエル』」


フェリシティは荷造りを終え、何もなくなった部屋で一人、サリーへのヴォイスレターを綴る。
「・・・私も今やっと、心に決めたわ。一人で家には帰らない・・・ベンかノエルか選ぶなんて嫌だったけど、もう逃げない・・・」
フェリシティは、クローゼットの裏に自分の名前“FELICITY PORTER ’99”と彫り残し、1年間を暮らした部屋に別れを告げ、タクシーに乗りこむ・・・。「どこまで?」と聞く運転手に行き先を告げるフェリシティ・・・(それがどこかは聞こえない・・・)

             

  「2週間後に家に戻ったら全て報告するわね。・・・愛を込めて・・・フェリシティより」

  [ 出演 ]
  フェリシティ ベン ジュリー ノエル エレナ ミーガン マグラス教授 ダニー パパレオ 写真屋(宝亀克寿) 
  タクシー運転手(<宝亀克寿>)