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遊月の俳句 < hajko >


遊月の俳句は五七五有季定型を基本にしながら、無季・自由律も含め、言葉による自己表現を楽しむことを目標としています。皆さんのご感想を聞かせていただけると嬉しく思います。 喫茶室 Verda Kafejo(掲示板) へどうぞ。

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更新日 2003年9月5日


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2003年最新

石壁を庭木をかいで猫の朝

片陰に五六人待つ赤信号

母刀自の元気に居ます送盆

グランドに打たれし水の匂ひかな

応援の手袋白し法師蝉

通勤の道きょうからは蓼の花

白く高く雲の編み目に秋の風



2003年1月

浜風や城山よりもたかく凧

冬鳥のひとこえ啼いてそらを切る

初風呂や浮きつ沈みつ柚子三個

マフラーを巻きなおしてる待ち合せ

著作権法に触れます人クローン

山茶花やローランサンの眼は黒く

大吉の母のおみくじ初詣

寒晴や小走りに来る塀の猫

山茶花の雨に散り敷く瑠璃光寺

枯草のかがやく日差し無人駅

赤鬼の片眼がにらむ寒の朝

大寒や日の出をつつく烏ども

五六人壁に入りけり霜夜かな

つむじ風去り水仙の立ち姿



2003年2月

枯土を指でぬぐへり痩大根

遠くへと旅する生命(いのち)流星忌

前足を揃えて猫は春を待つ

絹の雨ふりだしてより梅の花

如月の大福やはらかくなりぬ

珈琲の光にそそぐ春の雨

ボールペンすらと進まず浅き春

いつからか雛を飾らぬ家となる

風船をふけばうつろのふくらみぬ

戦争やめろ寄せて包みし人の波



2003年3月

桜もち半ぶんこした甘さかな

身じろぎもせず春霖の窓の猫

水仙や陽射のなかに群れる子ら

白塗の洋館の窓雛飾り

春の闇指の先まで来て居りぬ

料峭や出しそびれたる封書の名

また寄せてまた引いてゆく駅の朝

山笑うキャラメルひとつ頬ばって

黒板の公示一枚冴返る

団子屋に寄道をして暮遅し

糸に吊る赤子人形雛灯り

六十三歳答辞を読みて卒業す

雀らも世間話や枝垂れ梅

鷹鳩に化して戦を諫めけり

朝刊にそぼ降る雨の暖かし

白魚の天麩羅さくりビルの地下

記念日に桜の苗木求めけり

料峭のひと美しく修羅の道

朧の夜流星あまた空(くう)を撃つ

砂嵐床に残りし血の赤さ

朧夜の雷火 母と子の祈り

辛夷咲く遠くにありて元気な子

はこべらやときどき猫の鈴のおと

ケーキ屋の緑の看板風光る



2003年4月

桜散る花びら一枚の悲鳴

頑張れと鞭打つ人や花の冷え

幾人か言葉を呉れし暖かし

うららかやスプーンを口に離乳食

菜の花や少年の追うゴムボール

さへづりや寝覚の部屋の薄明り

弔いの煙の上を初燕

ご近所は誘い合せて紫木蓮

風光る旅客機の飛ぶ三丁目

連添いてゆっくりとゆく道日永



2003年5月

車窓より風と光と揚雲雀

ぐずぐずと雨に崩れし牡丹かな

八階のハンバーグには春キャベツ

葉桜を見上げ青葉の精となる

夏草の香に佇めば雨催い

手をとりし後の寡黙や若葉影

少年の初アルバイト青葉風

黒揚羽飛ぶ永遠の父と子と

傘運ぶ人々の列緑雨かな

風薫るコーヒーミルの歌う朝

プリントを鞄のなかに麦の秋

アイスクリーム小さき舌のよく動く

爆音の遠くより来る薄暑の夜

大南風(みなみ)苦しきことの続くかな

微笑みの記憶と柿の花こぼる



2003年6月

手のひらに羽ばたく蝶の命かな

梅雨晴間岬をめぐる外洋船

潮騒の走る国道松並木

城山に猫顔洗ふ樟若葉

雲龍の里に風力発電機

少年の瞳で夏の蝶を追い

夏盛る双手をあげし猫の腹

待つことにまだ慣れなくて白日傘

街なかに疲れひと声時鳥

梅雨晴間まさりて白きビルの壁

巴里祭に生まれし母の喜寿の顔

田水引く四角四面に沈む空

二の腕のふくよかなるも梅雨晴間

マンモスの骨にくい込む石斧かな

青紫蘇をサーモンに巻くきっちりと

六月のスペアミントを噛む男

梅の実と緑の髪に触れる風

助手席に風紫陽花の雨あがり

笹竹の揺れつつ道を渡りをり

教室を風吹き抜ける時鳥

駆けだせば君住む街に青時雨

うどん屋の金曜定休雲の峰

夏至の夜の猫の額を可愛がり

サルビアの花の数だけ嘘をつき

草の葉の雫にひそむ蜆蝶

紫陽花や頭の大きな男の子

仰け反りて天を突く死の蟇

口上を添え紫陽花の葉を刻む

白鷺や低き空のみ愛しけり

心臓のときどき動く梅雨最中

紫陽花やあなたの好きなメロンパン



2003年7月

黒南風や猫の鈴音帰り来る

さよならを幾度交せし芥子坊主

自転車の髪黒南風に梳かせつつ

生意気を青きトマトと聞き流す

たましひをしぼり蛍をはなちけり

洗濯機朝から響く梅雨晴間

亡父の業務日誌や半夏生

黒南風や沖の干潟に明と暗

洗濯機猫の寝ている梅雨最中

裏庭に楚々と花咲く珠すだれ

鴨足草(ゆきのした)いつか小猫の来てゐたり

母刀自の指図あれこれ簾吊る

陽の光風の香の欲し水中花

炎天の畦道駆ける武者一騎

素粒子の超ひも理論ところてん

鬼百合や風を孕みて崖の道

灯台の岬にとばす夏帽子

雨つづくほど紫陽花の葉のみどり

確かなる盛夏わが家の野草園

常になく猫のおとなし血糊かな

百合の名はカサブランカよペンキ塗る

少年のいくつ数えし虹の色

炎天に転ぶピンクのポリバケツ

わが家に猫あり庭のねこじゃらし

プラットホーム加速して夏の旅

夏草や何処へ続かぬ廃線路

恋の吐息のかけらふりつむ合歓の花

人が来て回り始める扇風機

梅雨明けの夏物一掃セールかな



2003年8月

ざわめきと人声夜の扇風機

老嬢の姿勢正しきカフェテラス

厨より水路に続くカンナかな

蕎麦すゝる老婆の元気夏暖簾

夏盛る空より魚鱗とめどなく

白亜紀の声の記憶かも知れぬ

茄子トマトピーマンパスタバルサミコ

浜木綿やはるか沖より母の歌

サイレンに立ちて黙祷蝉時雨

電網が地球を包む夜の秋

診察の女医のお喋り秋兆す

初秋の星砂光るガラス壜

残暑なり動悸のしばし治まらず

日本の、アジアの八月十五日

新涼や寝ざめの耳に貝のこえ

淡々とつづく読経や白木槿

手にとって必ずこわす芙蓉の実

初秋の夜の高みの炎星

コンビニの郵便ポスト秋日和

せせらぎや尾根黒々と銀河の夜


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作成日 2000年11月25日