かつて水俣病やスモン病、あるいはイタイイタイ病になどついて、医者たちは、体質のせいだ、遺伝の家系だ、などと言って「本人の落ち度」を指摘したことがあります。村人からは、信心が足らない、先祖の供養が足らないなどと中傷されたり、あるいは、伝染病だと村八分にされたりしたこともあるようです。しかし幸いなことに、これらの病気は発生が急激であったために、本人に落ち度は無いのではないかという慎重さが働きました。そして、熊本大学医学部の医師の献身によって、水俣病の原因はチッソ(株)の工場排水中の水銀 <Hg> であると特定され、スモン病は、新潟水俣病と闘った経験をもつ新潟大学の医師によって、整腸薬キノホルムが原因であることが分かり、その後の研究で、キノホルムが体内の必須ミネラルである、銅 <Cu> を過剰に流失させることで生じることが分かりました。富山県の神通川流域で発生していたイタイイタイ病は、富山市の開業医荻野氏の、行政や大企業の圧力や妨害、学会の嘲笑にも屈しない闘志と献身によって、三井金属神岡鉱業所の鉱石残滓置場から、カドミウム <Cd> が神通川に流出することによって起こっていることが突き止められたのです。
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この種の社会的広がりを持つ事柄には、企業や行政や学界など、いろいろな社会的利害がからんでいます。ですから、「人工的にアトピー性皮ふ炎を作り出しました」という動物実験では、万人の納得を得ることはできません。
原因の追求は、論理の積み上げと疫学的手法で行うのが合理的です。原因と思われるものを論理的にしぼり込み、それを排除した場合のアトピー性皮ふ炎の発生率の変動を見るのです。原因追求を論理的に進めるためには、原理原則をしっかり立てておくことが必要です。以下のように、合理的と思われる7つの条件(フィルター)を適用します。
●印をつけた、1から4までの条件は絶対的な必須条件であり、無印の5、6,7の条件は、それらの条件を満たす方が原因として確かだという、確認のための条件です。
原因追求の7条件
●条件1.原因はアトピー性皮ふ炎の人全員に共通 (共通性)●条件2.原因は発症の最初期に存在する (原初性) ●条件3.原因は現代社会に特徴的なもの (現代性) ●条件4.原因は 1933 年には存在していた (歴史性) 条件5.原因は皮ふへの直接的な刺激である (直接性) 条件6.原因は日本で特に多用されているもの (地域性) 条件7.原因はそれを除去すれば改善効果がある(除去効果) |
ある一つの疾病の原因は、その疾病にかかっている人たちの全員に共通であろうとは当たり前のことで、いまさら言うまでもないことのように思えます。ところが、医者たちはそうは考えません。アトピー性皮ふ炎の原因は人によって違うと考えられていて、この子は家ダニ、あの子はタマゴ、同じ人でも長ずるに従って原因は変わる、と考えられています。原因は全員に共通のはずだ、などといえば、シロウトが何を言うかと叱られるのです。しかしこれは論理的におかしな話です。いろいろあるにせよ原因が分かっているなら、タマゴ皮ふ炎とか、家ダニ皮ふ炎とか、原因ごとに分類すればよいことだからです。
本当は、アトピー性皮ふ炎の原因は「不明」なのであって、「分からない」ということと「いろいろある」ということとは天と地ほど違うことです。
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これは当然のことで、アトピー性皮ふ炎が発症した最初期において、原因はすでに存在していなければなりません。そして条件1により、原因は全員に共通ですから、発症の最初期において原因を解明できれば、それがアトピー性皮ふ炎の全体の真相となります。では、アトピー性皮ふ炎はいつ発生するのでしょうか。好都合なことに多くの統計が、アトピー性皮ふ炎が生後まもなく発生することを明らかにしています。たとえば、国立小児病院の211の症例では、その41%が生後2ヶ月以内に、70%以上が生後6ヶ月以内に発症しています(小児アレルギー学会誌 V.5-1 P.1 1991 国立小児病院 飯倉洋治)。その中には母乳だけで育っている子もいるでしょう。ですから設問は理想的に単純化されています。「母乳しか飲まない赤ん坊が、なぜアトピー性皮ふ炎になるのか」これが解くべき課題のエッセンスになります。
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アトピー性皮ふ炎は現代に特徴的で、かつ近年増加傾向にあります。ですから原因は現代の物質で、このところ増加傾向にあるものでしょう。ところが、2千年も前の歴史家が簡単な記述を残していることだけを根拠にして、
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アトピーの歴史は古くて、ローマ皇帝アウグスツが、いまのアトピー性皮ふ炎とぜんそくと鼻炎とに悩まされていたことが記録に残っております。 (毎日新聞 1993.3.30 東海大学皮ふ科 元日本皮膚科学会長 大城戸宗男氏) |
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皇帝アウグスチヌスの身体は、皮ふの痒みと激しい掻破により引き起こされた多くの固くて乾いた局面により損なわれていた。また彼は、早春には横隔膜が固くなり、サハラの熱風が吹くときはカタル(鼻炎)が起こるという季節的な病気をもっていた。 (山元真理子 山元医院 「アトピー性皮ふ炎」朝日新聞社 1991) |
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19世紀末フランスの皮ふ科医ベニエ先生は、乳児期に湿疹が生じ、年長になるにつれて皮ふがザラザラして厚くなる傾向を示す慢性の皮ふ疾患を記載しています。 (山元真理子 山元医院「アトピー性皮ふ炎」朝日新聞社 1991 前出 ) |
原因は現代社会に特徴的なものだとは言っても、あまりに新しいものは除外されます。この「奇妙な皮ふ炎」が発見され、それがアトピー性皮ふ炎と命名された、1933年という時点において、社会に存在していなかったものは、アトピー性皮ふ炎の原因とはなり得ません。本格的な石油化学工業の発達や、自動車時代の到来は、欧米では1930年代の後半から、日本ではようやく戦後の、1960年代の高度成長期からです。ですから、漠然と現代の化学物質を列挙してみても、たいていのものは原理的に原因ではあり得ないのです。
このことは、アトピー性皮ふ炎についてさまざまに論じている人々の、意外な盲点になっています。彼らは、アトピー性皮ふ炎の原因は人によっていろいろある、という固定観念をもっていますから、デイーゼル排気だ、農薬だ、食品添加物だ、新建材だ、と次々に数え上げて、たくさん思いつくほど真相に近づくことができ、たくさん思いつくほど、世のため、人のためになると信じているようです。しかしそうではありません。真相を知るには原理原則を守らねばなりません。1933年にこの世に存在しなかったものは、1933年に認知された疾病の原因には「なれない」のです。ダイオキシン説などもかなり魅力的ですが、これも歴史の問題として原理的に排除されてしまいます。
ただしこれは、これらの物質が、現代のアトピー性皮ふ炎とまったく無関係だということではありません。これらの物質は、化学物質過敏症と呼ばれる症状を目や呼吸器や皮ふや神経に引き起こし、アトピー性皮ふ炎を悪化させる要因となります。また、現代日本では、1933年に認知された本来の「アトピー性皮ふ炎」とは別の化学物質皮ふ炎がたくさんあって、それらがアトピー性皮ふ炎と診断されている、という現実があります。「それは医者の誤診である」と突っぱねるのは教条主義というもので、それでは現実の問題は解決できません。それらの新しい皮ふ炎については、この1933年条項をはずして考えるのが、わが国においては現実的でしょう。
![]() 炎症がよく生じる部位 |
この条件は必須条件ではありませんが、アトピー性皮ふ炎は皮ふに起こる症状ですから、原因は、まずは皮ふに対する直接的な刺激から探していくのが自然でしょう。
右図のように、炎症が、顔や、ヒジやヒザの内側など、よくこすったりこすれたりする部位や、汗のたまる部位に多く現れることもまた、原因が「じんましん」などの内部的なアレルギーではなく、皮ふへの直接刺激であることを示唆しています。
米国の著名な自然医学者であるアンドルー・ワイル氏は、次のように述べています。
| 日本を旅行していると、アトピー性皮ふ炎の異常な出現率に驚かされる。日本の乳幼児達の約半数が多かれ少なかれその症状を呈し、青少年における症状の程度もアメリカのそれよりはるかに深刻である。現代医学の治療はステロイド剤で皮ふ炎の症状をおさえるだけという粗末なもので、治癒は期待できず、患者はステロイド依存になって、ありとあらゆる副作用をこうむっている。日本にアトピー性皮ふ炎が増えたのは最近のことである。何が日本人を変えたのか? 遺伝ではない。過去50年間に日本人の遺伝形質が大きく変化したという裏づけはない。(アンドルー・ワイル 「癒す心、治る力」角川書店 1995) |
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本邦では、世界に類のないアトピー性皮ふ炎患者の急増をみている。 (田上八郎 東北大学皮ふ科 メディチーナ V.34 No.2 P.199 1997) |
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沖縄県においては本土復帰(1972年)前後からアトピー性皮ふ炎が増加し始め、いまも増加しており、 これは沖縄県の「本土化」と並行している。 (中岡嘉子ほか 済生会川口看護専門学校 小児アレルギー学会誌 V8-2 P73-80 1994) |
「あるものを除去したら、アトピー性皮ふ炎の症状が改善された」としても、それだけでそのものをアトピー性皮ふ炎の「原因」と決めることはできません。それは悪化要因です。そしてそれらの悪化要因のうちのどれかが、アトピー性皮ふ炎の真の原因です。悪化要因は 人により、時により、違うことがありますから、たとえばタマゴを食べないようにしたり、ダニを駆除したりすることで、アトピー性皮ふ炎が良くなる人もいれば、改善されない人もいます。
これに対し、条件1によって、原因は全員に共通ですから、原因を除去した効果は全員に現れるはずです。これは、原因を除去すればアトピー性皮ふ炎が完治するということではありません。たとえば、熱いフライパンにさわって手をヤケドをしたときは、すぐに手を離します。それでヤケドが治るわけではありませんが、フライパンにさわったままではヤケドは治りません。フライパンから手を離せば、少なくともヤケドの進行は止まります。これが除去効果であり、その効果は全員に現れるはずです。
以上の7つの条件に照らして、世上、アトピー性皮ふ炎の原因(悪化要因)として挙げられているものを評価してみましょう。各項目について「● YES 2点」「× NO 0点」「? 不明 1点」で評価しました。
外因候補の比較表 |
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| 外因候補 |
共 通 性 |
原 初 性 |
現 代 性 |
歴 史 性 |
直 接 性 |
地 域 性 |
除 去 効 果 |
総 合 評 価 |
| 寄生虫の不在 | × | × | × | × | × | × | × | 0点 |
| 母乳 | × | ● | × | ● | × | × | ? | 5点 |
| 粉ミルク | × | ● | ● | ● | × | × | ? | 7点 |
| 食物アレルギー | ? | × | × | ● | × | × | ? | 4点 |
| 食品添加物 | ? | ? | ● | × | × | ? | ? | 6点 |
| 大気汚染 | ? | ? | ● | × | × | × | ? | 5点 |
| ダイオキシン | ? | ? | ● | × | × | ? | ? | 6点 |
| 家ダニ | ? | ? | × | ● | ● | × | ? | 7点 |
| 精神ストレス | × | × | ? | ● | × | × | ? | 4点 |
| 合成界面活性剤 | ● | ● | ● | × | ● | ? | ● | 11点 |
| 浴用水の塩素 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 14点 |
「浴用水道水の塩素」は、従来、アトピー性皮ふ炎の原因とは考えられていませんでした。筆者の考えで付け加えたものです。しかしこれは、7つの条件をすべてみたします。
| 現代人はすべて | 共通性 |
| 産湯の時から水道水の塩素を浴び | 原初性 |
| それは現代の化学物質で | 現代性 |
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しかも水道水の塩素消毒は、アトピーという疾患が世界的に認知された 1933年には、欧米で一般的に行われていました。 | 歴史性 |
| また、塩素が皮ふに対する刺激物であることはプールなどの体験で明らかであり、 | 直接性 |
| 日本の水道水の塩素濃度は世界最大で、日本人ほど風呂好きの民族はいません | 地域性 |
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そして塩素を除去した効果は、浴用水やシャワー水から塩素を 除去したり、 井戸水に代えたりすることで症状が軽快することや、温泉療法 が成功して いることなどで明らかになってきています。 | 除去効果 |
現代ではほとんどの人が、生まれたときから水道水を沸かして入浴しており、そこには皮ふに刺激性のある「塩素」が投入されています。
塩素はナトリウムと化合して塩化ナトリウム(食塩)になっていたり、マグネシウムと化合して塩化マグネシウム(にがり)になっていたり、プラスチックに加工されて塩化ビニールになっていたり、ごくありふれた物質で、そういう形で存在している分にはそれほど危険でもなく、海の中には塩がたくさんあって塩素だらけです。しかし塩素は、人間の操作によって酸素1個と結合させられて、次亜塩素酸という形になると、活性がきわめて強くなってタンパク質やビタミンCなどと強く反応し、相手を破壊するようになります。これは、酸素が加ったことによる「活性酸素」の働きの一種で、この働きによって単細胞生物(細菌)などはたちまち死んでしまいますから、水道水の消毒にこれを用いますし、シャツの黄ばみ(タンパク質)を溶かして漂白したりします。塩素ガスは、目や呼吸器に入ってそこの水分と反応して次亜塩素酸となり、細胞を傷つけますから毒ガス兵器として使われ、兵士を失明させ、窒息させ、皮ふをびらんさせます。カルキ(次亜塩素酸)の入ったプールに入ると、皮ふがカサカサになって痒くなり、目が真っ赤になります。塩素が皮ふや目の細胞を損傷させるからです。水道水に金魚を入れると死ぬのは、塩素がエラの細胞を破壊するからです。野菜を水道水で洗うと、ビタミンCが破壊されます。
![]() 健康な毛髪の表面 |
![]() 塩素で損傷された毛髪の表面 |
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右の写真は、上が健康な髪の毛の表面で、下は2ppmの塩素水に1日さらした髪の毛の表面です。キューティクルがひどく損傷しています。塩素がタンパク質を壊したのです。
また、筆者は無毛ラットの皮ふに塩素入りの水を刷毛で塗る実験をしてみました。ちょっと濃すぎたかも知れませんが、1%(1万PPM)の塩素水を塗ったところ、見る間に赤く腫れ上がりました。それが右の写真の、上のラットです。下は天然の水を塗ったラットで、変化は起きていません。この実験によって、塩素が実際に皮ふに炎症を起こす力を持っていることが確認されました。
浴用の水道水に含まれる塩素の危険性については、欧米では早くから警告されています。
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シャワーから、塩素を除去するフィルターを購入することを考えなさい。湯に含まれる化学物質の20〜90%は、入浴中やシャワー中に皮ふを通して、また湯気を吸い込むことで体内に吸収されています。 (ドリス・J・ラップ NY州立大学小児科 「Is this your child?」1991) |
| 塩素ガスは熱い湯に溶けにくく、空気中に拡散される。シャワーや入浴中に塩素の臭いを感じるのは、塩素がガスとなって浴室に充満するからである。希釈された塩素溶液を身体全体に浴びると、塩素が皮脂と反応して塩素化合物を作り、それが身体に吸収される。塩素の酸化力のために、連続的に塩素処理水につかることは、老化を促進する。太陽に長くさらされることと全く違わない。(F.アッシュトン 豪州食品リサーチ研究主任 「水道水の塩素処理100年/知られざるシャワーの害」 1989) |
水道に塩素が使われた最初は、19世紀末、イギリスのミッドストーンにおいてであり、それから水道水の塩素消毒が欧米で普及しました。ですから、先述した「ベニエ痒疹」も水道水の塩素で説明できる可能性があります。
日本では戦前はあまり塩素を入れていませんでした。戦後、アメリカ軍が日本を戦地と同様の野蛮な土地と考えて、占領軍の安全のために「野戦基準」の塩素投入を強制したのです。
それは浄水場で2
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長く東京都の水道局に勤めた小島貞男さんの話では、世界で水道水の処理のためにもっとも大量の塩素を投入したのは、東京の玉川浄水場だそうである。小島さんが玉川にいた頃、100 PPM の塩素を投入したと話している。東京都の資料では、最高の時は塩素を150 PPM という記録があるから、間違いなく世界一であろう。 (中西準子 東大環境安全研究センター 「水の環境戦略」岩波新書 1994) |
アトピー性皮ふ炎/小児ぜんそく/アレルギー性鼻炎 の3疾患は、同じ子に順々に発症してくることがあるので、ひとつの系統をなす同類の疾病と考えられています。
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乳児期にアトピー性皮ふ炎で始まり、次にぜんそく、そしてアレルギー性鼻炎という順序で起こることが多いのです。これがアレルギー・マーチです。 (斉藤洋三 東京医科歯科大 耳鼻咽喉科 「アトピー」有斐閣 1990) |
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さて一方、小児ぜんそくは世界的に増加していますが、その原因はどうも従来考えられていたような大気汚染とは言えない、というデータが集積されています。
| 北九州市内の小学生のぜんそく罹患率は、1969年に3.0%だった。しかし 12年後の1981年には7.9%と2倍以上の増加が見られる。大気汚染は明らかに改善されているにもかかわらず、学童のぜんそく罹患率が2倍以上にまで増加していることは、大気の汚染がぜんそくの罹患率を上げているとは短絡的には考えがたいことを示している。(古庄巻史 小倉記念病院小児科ほか 「ぜんそくはなぜ増えているのか」国際医学出版 1987) |
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全島の小中学生6067人を対象に調査を行った。気管支ぜんそくと診断されたことのあるものは、小学生10.2%、中学生7.1%だった。そのうち90%が、就学前に発症していた。離島の対馬においても気管支ぜんそくの頻度は高く、全国の傾向に近かった。 (岩崎郁美 上対馬病院小児科 飯倉洋治 国立小児病院アレルギー科 日本アレルギー 学会誌 V.43-2-2 P.413 1994) |
水道水の塩素に触れないように暮らしていると、どんな効果が得られるかについては、「温泉療法」あるいは「水療法」の実績があります。参考になる書物として、
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「アトピー性皮ふ炎の治し方がわかる本」 小川秀夫 日本オムバス かんき出版 「アトピー・脱ステロイドへの道」 鶴町和道 鶴町皮ふ科 文理書院 「アトピー性皮ふ炎の温泉・水治療」 野口順一 盛岡市上田病院 光雲社 |
| 娘は、生後すぐから肌がカサカサしており、皮ふ科医にアトピー性皮ふ炎の可能性が高いと言われ、非ステロイド系の薬をもらって塗っていましたが、よくなりませんでした。たまごの黄身と白身のアレルギーはどちらも陰性でした。その後、皮ふ科でステロイドを処方されましたが、よくなりませんでした。ところが、1才半のとき、田舎の両親が子供たちを山中湖につれていってくれて、5日ほどして帰ってきた娘の肌は、ゆで卵をむいたようにツルツルになっていました。これは東京の水道水のせいかも知れないと思い、近所の銭湯で聞くと、そこは井戸水で、浴槽には塩素を入れているが上がり湯には入れていないとのこと、さっそく娘を連れて銭湯にゆき、上がり湯だけを使っていたら1ヶ月半で、だいぶよくなりました。結局自宅に井戸を掘って、風呂の湯を井戸水に変えたら、それから5ヶ月で、娘のアトピーはほとんど治って、夜もぐっすり眠るようになりました。(婦人の友1997年3月号 「井戸を掘る」) | ![]() |
![]() 大国様の言うとおり きれいな水に身を洗い 蒲の穂綿にくるまれば ウサギはもとの白兎 | ||
塩素に次いで、アトピー性皮ふ炎の原因として疑われる物質は、合成界面活性剤です。
水と油は、互いにその境界面がはじき合って混ざり合いません。境界面を活性化することによって、このはじき合う力(界面張力)を失わせ、本来なじまないものをなじませる作用をもつ物質を、界面活性剤といいます。界面活性剤は、「せっけん」と「合成界面活性剤」に分けることができ、洗剤の中で「合成界面活性剤」を含むものを合成洗剤と呼びます。
せっけんの化学名は、「脂肪酸ナトリウム」と「脂肪酸カリウム」の2つです。これに対して合成界面活性剤の化学名にはいろいろあってややこしいのですが、商品の裏側に成分として、アルキルエーテル、ポリオキシエチレン、ラウリルエーテル、などの長くて難しい名前やカタカナばかりの記述が書いてあれば、それは合成界面活性剤です。気をつけなければならないのは、合成界面活性剤は石油からだけではなく、ヤシ油やトウモロコシ油など天然の植物素材からも作られていることです。素材が天然油脂だから合成洗剤ではないということではないのです。(石油も天然油脂のひとつと言えます)
合成界面活性剤を含む品には、洗濯洗剤、台所洗剤、シャンプー、ボディシャンプー、ベビーシャンプー、リンス、歯磨き剤、シェービングクリーム、化粧品などがあります。ただし、シャンプーなどには合成界面活性剤の表示が義務づけられていないので、何も表示されていないことがあります。シャンプーなどは、特に「せっけん」(脂肪酸ナトリウムあるいは脂肪酸カリウム)の表示がなければ、合成界面活性剤を使用していると考えてよいでしょう。また、ベビーせっけんという呼称で合成界面活性剤を含んでいる商品もありますから、注意が必要です。
| せっけん | せっけん洗剤/せっけんシャンプー など |
| 合成界面活性剤 | 洗濯洗剤/台所洗剤/合成シャンプー など |
人間の皮ふは、どんな物質も簡単には入り込めないように、防御機構が出来ています。しかし合成界面活性剤だけは特別で、皮ふからどんどん侵入してしまいます。皮ふ表面の皮脂膜をはぎ取り、細胞と細胞とのすき間を広げ、細胞膜を溶かして細胞を破壊します。これが、皮ふ障害、肌荒れ、ひび割れです。そして、皮ふの防御機構が壊れると、合成界面活性剤はさらに深く皮下に侵入し、皮下組織を破壊し、血管壁を破壊し、血液の中に侵入してゆきます。 恐るべき残留性 合成界面活性剤が恐ろしいのは、それがいつまでも分解されないことです。せっけんは1日以内に分解されますが、合成界面活性剤は何週間も分解されず界面活性作用を持ち続けるため、血液の中に侵入したあと内臓に対しても同じ働きを及ぼし始めるのです。洗濯物の繊維の間に残った合成界面活性剤は、乾いた後でも分解せず、それを着ればやがて汗や湿気で再び溶けて、皮ふから侵入してくるのです。 |
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| (坂下栄 三重大学医学部 「合成洗剤 恐怖の生体実験」メタモル出版 1992) |
また、坂下氏はこの本で、合成界面活性剤の毒性を示す実例を、多数紹介しています。合成シャンプーをたった1回背中に塗られたラットが、真皮ごと毛がはがれ、背中に塗られたにもかかわらず腹部から出血して死んでいったこと、合成洗剤の水溶液の中でメダカが、眼球が溶け、エラがぼろぼろになって数分で死んだこと、一方、せっけんで同じ実験をしても、このようなことはまったく起こらなかったこと、などが写真とともに報告されています。
また、毎日、合成シャンプーで洗髪している20才の女性の髪は、毛が細く、キューティクルがぼろぼろにはがれていること、一方で、せっけんシャンプーに替えて15年になる40才の女性の髪は、毛が太く、キューティクルも美しいことが顕微鏡写真で示されています。坂下氏は、合成シャンプーでぼろぼろになった髪を、「ほら、サラサラです」とメーカーは宣伝し、利用者も錯覚しているが、それはシャンプーの中に入れたコーティング剤によって髪に一時的な被膜を作り、ニセのサラサラを演出しているのだ、と指摘しています。
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合成洗剤の恐ろしさ、有害性は、心ある科学者、専門家、消費者団体によってこれまで何度も指摘され続けてきたことです。また毎日、台所用洗剤、洗濯用洗剤に接している主婦ならば、合成洗剤が危ないことに体験的に気づいている人も多いはずで、合成洗剤を使わぬようにしてきた人もたくさんいるでしょう。しかしそれでも合成洗剤がこれほどまでに私たちの生活と切り離せないものになってしまったのは、ひっきりなしに流されるテレビのCMで、合成洗剤の便利さと安全性だけは強調されるのに、その裏に潜む恐ろしい事実はいっこうに知らされていないためです。 (坂下栄 三重大学医学部 「合成洗剤 恐怖の生体実験」メタモル出版 1992) |
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右の図は、わが国のせっけんと合成洗剤(黒い部分)の生産量の推移です。
合成洗剤は1950年代から生産されており、したがって1933年に認知されたアトピー性皮ふ炎の原因ではあり得ません。しかしこの増加ぶりは、水道水の塩素の増加曲線と同様、わが国におけるアトピー性皮ふ炎の増加に10年ほどずつ先行してきた「指標」のように見えなくもありません。
合成界面活性剤の毒性は明らかですし、いわゆる「主婦湿疹」や「若はげ」の急増など、合成洗剤や合成シャンプーの影響と考えられる現象も進行しています。
現在わが国でアトピー性皮ふ炎と診断されている皮ふ炎の中には、1933年当時とは異なる「合成界面活性剤皮ふ炎」が、かなりの割合で含まれているのではないかと考えられます。
実際、坂下氏は合成洗剤を「現代日本における」アトピー性皮ふ炎の原因と考えており、アレルギーのテストで合成洗剤に反応する人がたくさん見つかること、合成洗剤をやめてせっけんに替えることで、アトピー性皮ふ炎の症状が著しく改善されることを、同書で報告しています。これについては、他にも興味深い体験が報告されています。
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私自身も1965年ごろから、毎年赤い湿疹ができて悩まされていました。その原因が当社のドル箱の合成洗剤と知ったときはショックでした。もはや悪いと分かった商品を売るわけにはいきません。そして1974年、人や環境にやさしい無添加せっけんの製造販売に切り替えたのです。正直いって強力な宣伝力に支えられた合成洗剤や、香料、添加物だらけの化粧せっけんの方が消費者受けするので、悪戦苦闘の連続でした。 (シャボン玉せっけん株式会社 森田光徳氏 同社カタログ 1996) |
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洗剤はごくふつうの合成洗剤で問題ありませんが、入れすぎると完全に溶けきらず、洗濯物についたまま残ってしまいます。これがアトピー性皮ふ炎の肌に触れると、肌を刺激し脂分をとってしまって、肌をますます乾燥させてしまうのです。 お風呂の注意としては、せっけんできれいに洗い、そのあとでせっけんをよく洗い流すことです。シャワーなどでていねいに流すようにしましょう。お風呂に入ったら、必ずシャンプーをする習慣をつけさせることです。 普通に市販されているシャンプーでいいでしょう。すこしだけ注意してほしいのは、必要以上に使いすぎないことです。また、シャンプーのあとはきれいに洗い流してください。 (溝口昌子 聖マリアンナ医大皮ふ科 「アトピーがほんとうにわかる本」 ゴマブックス 1993) |
合成界面活性剤以外にも、現代ではさまざまな化学物質が大量に生産され、私たちのまわりにあふれています。農薬や殺虫剤、食品添加物、化学繊維、プラスチック製品、新建材など、主として石油から作られた大量の品々や、それらの廃棄物を燃やした煙などです。その量がどのくらい増えたかというと、1945年のアメリカの化学物質の生産量はわずか800万トンだったものが、1985年には1100億トン、なんと1万4千倍にもなっているのです。このような化学物質の氾濫に伴い、最近、「化学物質過敏症」と呼ばれる、一連の症候群が注目されてきています。それは以下のような病気です。
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化学物質に比較的長期、大量に接触したのち、ある時期、今度は急にきわめて微量の化学物質に接触しただけで、頭痛や全身倦怠感、集中力の低下などの不定愁訴といってよい症状が出現してくることがあります。これが皮ふに出ると、湿疹やじんましん、かゆみ、紅斑、多汗、蒼白、光過敏などを起こすことがあります。 (石川哲 宮田幹夫 北里大学眼科「あなたも化学物質過敏症?」 農文協 1993) |
最近、特に話題になっているのはダイオキシンです。各地のゴミ焼却場からの排煙の中にたくさん含まれていますし、野焼きやさまざまのゴミ焼き排煙にも含まれ、それは地上や海に降り注いで、魚や農作物や水に入って、最後は人体にたどりつきます。また、最近の知見では、一部の農薬にもダイオキシンのような作用をする物質が含まれていて、それはすでに日本の農地に大量に散布されたということです。
ダイオキシンがアトピー性皮ふ炎を悪化させることは、埼玉県所沢市などでの体験例で確認されています。また、ダイオキシンは、それ単独で皮ふ炎を起こす力を持っています。しかし、アトピー性皮ふ炎に限って言えば、先述したように、ダイオキシンもまた1933年にはほとんど存在していなかったという理由で、その原因物質ではありません。
ただしダイオキシンは、アトピー性皮ふ炎だけの問題ではなく、生命や遺伝子を破壊する致命的なものとして、私たちの生存を脅かしています。そしてそれは、個人的に避けることはできませんから、私たちの生活そのものを根本的に見直す、大きな社会運動として取り組む必要があります。
これは、次章で述べるアトピー性皮ふ炎の「内因」とも関連しますが、多くの若者たちは、残留農薬、ポストハーベストの殺虫剤、保存料、化学調味料、さまざまな食品添加物、などを、スナック菓子やファストフードのハンバーガーや、コンビニで買うレトルト食品やサンドイッチなどから、日常的に大量に取り込み、さらに、風邪薬や強壮ドリンクなどの薬物を常飲しています。さらにその上、食生活や生活リズムの乱れによって、多くの若者たちが、小学生さえ含めて便秘になっています。ですから、現代日本の若者たちの多くは、取り入れた毒素を長期間、体内に保持することになっています。
結局それらの毒物は、皮ふから出てきます。それはひと昔前の、「ニキビは青春のシンボル」といった、のんきで平和なものではありません。そしてそこには、TVコマーシャルに乗って大量に市販されている、ステロイドを含有した肌荒れの薬とか、かゆみ止めの薬などが塗られます。
この状況は、現代日本の、利のみ追い求める社会のシステムが生み出したものです。このように暮らしている若者たちの皮ふが、ある日突然かゆくなり、そこにステロイドが処方され、やがて「アトピー性皮ふ炎」と診断されることは、十分にあり得ることであり、現に起きていることでもあるでしょう。しかしこれはダイオキシンとは違って、それに気づきさえすれば、個人レベルで防ぐことができます。ぜひ、気づいてほしいものです。